最速RTA1:00:00‼ 残された連中の建国記   作:古い底の王

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人間の生活は衣食住から Ⅳ

アンリ「……まさか本当に糸がとれるなんて。」

 

ホークウッド「……まぁあの玉ねぎだしな。何しようが俺は驚かないね。」

 

あきれる二人の視線の先にはガハハと豪快に笑いながら糸を紡いでいる玉ねぎがいた。

 

もって帰ってからしばらくすると糸を吐き出し、皆が呆気にとられるなか冷静に槍を取り出したレオナールが玉ねぎに出てきた糸を巻き取るように命じたのである。

 

当然玉ねぎは快諾し、いまウイングドスピアは巨大な糸玉のようになってしまっている。

 

タマネギ「貴公達!糸がたくさんとれたぞ!さぁ服を作ろうではないか!」

 

ホークウッド「……なんとまぁ、すげぇな。」

 

レオナール「同意するよ。」

 

 

なにはともあれ糸が出来たので皆思い思いに編んでいく。

 

裁縫なんてしたことがない男どもは糸を寄り合わせて毛糸を作り、女性陣、器用な男達はそれぞれが好きなように服を作っていく。

 

アンリ 「上手ですね、どこかで習ったんですか?」

 

イーゴン「む?あぁ、教会のものは法衣を作るために裁縫を叩き込まれる。それを覚えてるんだろうな。」

 

ゴツい鎧で繊細なローブを編むイーゴンを見て数人が笑っているが、きっと彼らはこの後紙の怒りを食らうのだろう。

 

ジークバルド「ハハハ!どうかね!中々の物だろう!」

 

ホークウッド「……おっさんよ、それ襟広すぎだろうよ。肩まででちまうよ。」

 

「む!これはいかんな!よし、編み直すとしよう。」

 

ワイワイ進めているなか職人のごときオーラを醸し出す一団がいた。

 

ホレイス、オーベック、レオナールの三人である。

 

一言もしゃべらずにもくもくと作業を進める姿はまさに真剣そのもの。特にレオナールはみるからに高級感溢れるサーコートを作っていた。

 

レオナール「……ホレイス、この辺りに騎士の刺繍を頼む」

 

無言で頷き、言われたところに剣を掲げ、忠誠を誓う騎士の姿を刺繍する。背中には盾と剣を描き、まさに上級騎士といったような見事な布地が出来上がる。

 

レオナール「……よし、オーベック、魔術的補強と細かいところの修正を任せる。」

 

「あぁ。」

 

オーベックは鮮やかな手並みでコートに温度調節と衝撃吸収、防虫の魔法を施す。さらに内側に皮のベルトを通し、裏地にポケット、ホルスターをつけることでさらに使いやすさを探求する。

これによりサーコートは権力者が着飾るような見事な者へと仕上がる。

 

オーベック「どうだ。」

 

レオナール「………ふむ、素晴らしいできだ、では次はこれを頼む。」

 

 

こうして、三人は黙々と作業をこなしていくのであった。なお、サーコートは壮絶なじゃんけん大会の末にタマネギが纏うことになった。若干複雑そうな顔をするのは仕方のないことだろう。タマネギは上機嫌で喜んでいたが。

 

 

~~数年後~~

 

亡者A「何だおまえいい服着てんな。」

 

亡者B「へへ、これHOLの新作だぜ。並ぶの大変だったんだぜ。」

 

亡者A「マジか!いいな、俺もそろそろ一着ぐらいほしい。」

 

亡者B「並べよ、今度は一週間後だとよ。」

 

亡者A「よっしゃ、俺はロングコート買ってきてやる。頑張るぜ。」

 

亡者B「一番人気じゃん(笑)がんばれー。」

 

 


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