もしもシンゴジが艦娘の存在する世界で現れたら   作:watazakana

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胎動

東京湾ーーー今日も今日とて穏やかな海だ。フェリーや貨物船が行き交い、羽田空港から飛行機がどこかしらへと飛んで行く。そう、東京湾では今日もいつも通りの1日が過ぎて行くーーーーーはずだった。

『東京湾内羽田沖に漂流中と思われるプレジャーボートを発見との通報あり』

『はまなみ、了解』

海上保安庁の警備艇が羽田空港沖の船に近づいていく。漂流船なんてそうあったものではないが、あるにはあるので、海保職員はマニュアル通りに事を進めていた。日常的な風景である。

『漂流中と思われるプレジャーボートを確認、船体の損傷認めず。船名、グローリー丸。船籍番号のMJG15041。所有者の照会を願う』

職員はそう言って無線を切り、漂流船に乗りこんだ。

「すみませーん、誰かいますか?」

「フライングデッキに人はいません」

無人である。かなり静かで、不気味だ。

『船内は無人の模様。遺留物あり。海中転落の可能性あり。自殺か事故か…やはり無人だ』

再び無線で連絡。しかし、不気味である。遺留物である封筒の上には折り鶴、綺麗に揃えてある革靴…自殺だろうと言ってしまえばそれまでだが、浜辺に打ち上げられた深海棲艦を見たときと同じ、不安にも似た戦慄を感じた。ーーー瞬間、船体が大きく揺らいだ。海に目をやると、水飛沫で何も見えない状態だ。何がーーー何が起こっているのだ⁉︎そう思考する間も無く、彼らは爆発に巻き込まれたのだった。

 

その瞬間、周辺の海は紅く染まり、直下にあるアクアラインは紅で満たされた。東京の、日本の、全ての国民の日常が、たった今崩壊したのだった。

 

そして、その崩壊の余波は真っ先に内閣に伝わり、次いで横須賀鎮守府にーーー

 

横須賀鎮守府ーーー

「はいもしもしこちら横須賀鎮守府」

横須賀鎮守府の提督、唐澤大地は最初のコールがなり終わらぬうちに素早く受話器を取った。電話の相手は海軍大臣の海江田である。

「ーーーーはい、……はい……分かりました。すぐに向かわせます、それでは」

がちゃん、と受話器を置くと今度は電話の右隣りにある内線電話を使った。

「川内。吹雪と千歳、あと時雨を連れて来てくれ」

 

 

 

 

「何の用?夜戦?」

「違う。羽田空港沖で偵察だ」

「?提督、羽田空港沖ってすごく近所じゃないか。深海棲艦だって入り込めないよ。なんだってそんなところを偵察する必要が?」

「さっき海軍大臣から連絡があってな、そこで変色海域が発生したらしい」

「変色海域⁉︎」

皆絶句した。変色海域は、深海棲艦上位種が艦隊を成したときに発生する、赤く変色した海域である。生物にこれを耐えられる種はおらず、艦娘の艤装さえも侵食するその海域は、危険な深海棲艦がいるサインでもある。しかし、東京湾に現れたことは一度としてなかった。厳重な防衛線をかいくぐることなど深海棲艦にはできないからだ。

「空港のレーダーには何も映ってないし、水蒸気爆発もあった。すでに海保の船が2隻やられている。直下にはアクアラインもあり、ほっとけば更に危ない事態になる可能性も高い。深海棲艦なら、発見次第報告。ステルス性がかなり高い新型の潜水艦か、知能の高い「姫」かもしれん。その時は我が連合艦隊で殲滅する。違えば監視を続行。何か質問は?」

「はい、それだけ深海棲艦の特徴が揃っているのに、深海棲艦「なら」って、どういうことですか?」

千歳が訊いた。

「本当に深海棲艦ならばいくら強固だろうと主要都市を中心に張っている防衛線は迂回に弱い。その場合潜水艦の随伴くらいいるだろう。それならば、羽田空港は潰し、東京に対して艦砲射撃を実施する筈だが、していない。もしかすれば、深海棲艦とは別のものかもしれん。念のためだ」

唐澤はそう答えて「解散」と締めくくった。

「了解です」

「夜戦じゃないのか…まーいっか」

「川内、そんなこと言わない」

「了解、提督。行ってくるよ」

 

 

「深海棲艦…じゃねえよな…もっと別だ…なんかイヤーな予感がするぜ…」

 

 

 

現在

犠牲者数 0人

負傷者 27人

 

 

 

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