もしもシンゴジが艦娘の存在する世界で現れたら 作:watazakana
『米国による大使館防衛を目的とした爆撃作戦の概要とその爆撃範囲』ーーーグアムの米軍基地からB-2ステルス爆撃機の小隊が出発、バンカーバスターで始末するーーー
「有効かは知らねぇが、爆撃範囲がこうも広いと都民の避難とか絶対考えてねえだろ…」
唐澤は海軍省に着くと、直ぐに海軍大臣の元へ向かった。
東京都 霞ヶ関 海軍本省50階 海軍大臣執務室ーーー
「B-2の爆撃範囲は霞ヶ関も入っている。巨災対も立川に場所を移すようだ。内閣も全てそっちに持っていくと、飯田総理からのお達しだ」
海江田海軍大臣は必要最低限の書類とノートPCを秘書に持たせ、先に行くよう指示した。
「君も立川へ行け。タバ作戦には失敗したといえど、ゴジラについて、まだ君の意見を聞きたい」
もちろん責任はとってもらうがね、と海江田は静かに言った。
「米国が最強の火薬爆弾を投下するのに私の意見を、ですか?」
「…予想外の展開はこういう時にこそ起こるものだ。ICBMで焼き払えた深海棲艦の、重巡級以降が物理障壁を持つようになったように、深海棲艦に陸上種が現れたように、予想外の展開はこういう時こそ起こる。念のためというものだ。私は総理や大臣たちと一緒にヘリで立川に向かう。君は八雲官房副長官と共に行きたまえ」
そう言って海江田は唐澤に八雲との合流場所を伝え、執務室を出た。
もう、日は沈んでいた。
東京都港区 赤坂 外堀通りーーー
「アレが、ゴジラか…」
先程の停電によって暗闇に放り込こまれた都民たちがパニックになって我先にと地下へ駆け下りていく中、八雲はほの赤く光り進むゴジラを睨んだ。アレが、ゴジラ。荒ぶる神の名を冠した、地球上で最も進化した生物ーー
「おーい、八雲副長官!」
八雲が視線を移すと、そこには唐澤が。
「唐澤中将、ですね」
「そうだ。だがそんな挨拶やってる場合じゃねえ。アイツら、想定より早く着く。もうすぐで米軍機が来るぞ!」
B-2ーーー来たる戦争のために、ステルス性と航続距離を両立せしめた戦略爆撃機。誰にも気付かれずに核爆弾を敵国首都に落とし、壊滅的な打撃を与えることを目的に造られた全翼機。そんな爆撃機が積んでいるのは地中貫通型爆弾、MOPⅡである。爆弾はB-2の手から離れ、ゴジラの背中へと飛び込んでいった。
「ゴジラ損傷!出血を確認!」
「さすが米軍だ。旧時代の兵器も侮れん」
流石のゴジラも呻き声を上げる。「これで、これでやっと倒せる」、そう誰もが思っていた。しかしーーー
「何の…光だ?」
紫の、美しい光が東京を照らす。ほんのりからまばゆく、強烈に。
海軍本省屋上ーーー
「ゴジラの背部放熱器官が発光中!詳細不明!」
「やはり「予想外」は起きるか…」
「ゴジラ…何をする気だ?」
紫電の如く眩く光る背びれの先から、熱線が上空に放たれた。それは、何かを迎撃しているかのように。
東京都福生市 国道16号 駐日米国大使公用車群ーーー
”There’s an emergency call from Yokota Airbase. B-2, Number 1 seems to have been downed!“(横田基地から緊急連絡、B-2の一番機が撃墜されました!)
再び赤坂ーーー
「んだよアレ…まさか、対空火器とでもいいてえのか⁉︎まさか…!」
ゴジラが飛行するものを撃墜する能力を得た…しかし、ゴジラに知性はない。もしかすると、爆撃機と鳥の区別すらついていない…すなわちーーー
「飛行する物”全てを“撃墜する…⁉︎海江田ァ!」
僅か0.3秒の間に電話帳から海江田の名をタップする。しかしーーー
一閃、この世に存在するとは思えない輝く紫電のような熱線が東京に走った。東京都心を火の海にしてーーー
数回コールの後、電話に出る音がした。
「海江田さん!おいだいじょ…」
『おかけになった電話をお呼び出しいたしましたが、おつなぎできません…』
不通。この揺るぎない事実は唐澤の頭にゆっくりと浸透していった。
「唐澤中将…もう大丈夫そうです…出ましょう…」
海江田海軍大臣、彼は防衛省時代からずっとトップでいた。深海棲艦による東京都への艦砲射撃の時、防衛省が更地になっても生き残っていた。唐澤は憧れていた。彼のしぶとさに、したたかさに、その強さにーーー
「おい…海江田さん…!アンタ深海棲艦にも殺されなかっただろうが!しぶとく生き残ってきただろうが!!あんなデカブツにあっけなく殺されんのかよッ!繋がれ!このポンコツ!繋がれ!」
「唐澤中将ッ!」
「っ…!」
八雲の声だ。
「今は立川に向かうことが先決です!行きましょう!」
「……あぁ……」
日は、もう登り始めていた。
現在、ゴジラは都心を焼き、活動を停止。唐澤と八雲は立川へと向かう。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 不明
内閣総辞職ビームってすごいネーミングですね