もしもシンゴジが艦娘の存在する世界で現れたら 作:watazakana
「唐澤中将、それと八雲、ちょっと外で話そう」
「赤坂官房長官代理…」
立川広域防災基地 立川防災合同庁舎 新館屋上ーーー
「この先は国連の名の下に米国が巨大不明生物の処置を管轄する。戦後日本は常にかの国の属国だ」
諦めたように赤坂は淡々と話す。
「つまり、赤坂長官代理が言いたいことってのは…熱核兵器を都心で使う、そういうことか?」
「そういうことだ」
「戦後は続くよどこまでも…だから諦めるんですか?」
「熱核兵器の直撃、数百万度の熱量に耐えられる生物は物理障壁をもつ深海棲艦以外にいない。確実に駆逐するなら核攻撃は正しい選択だ」
「しかし、凍結手段もメドが立ちつつある状況です。再考を願えませんか」
赤坂はため息をついた。
「お前のプランにはまだ不確定要素が残ってる。それに巨大不明生物の核攻撃を容認すれば、復興時の全面的支援を世界各国から約束される。巨大不明生物を確実に処理できなければ、日本は世界の信用を失う。多国籍軍の核攻撃に頼るしかない。巨大不明生物生物を消した後の、日本の事までを考えるのが私の仕事だ」
「やっぱ軍人と政治家ではソリが合わねえな」
「今なら東京3区の被害で済みます。まだ東京の復興は可能です、核を使えばそれも難しくなります!」
「八雲、既に東京の経済機能はないに等しい。円も国債も株価も暴落し続ける現状では復興どころかデフォルトの危機にさらされている。日本には、国際社会からの同情と融資が必要だ。これだけ言ってもまだわからんか、夢ではなく、現実をみろ八雲」
「行こうぜ八雲。これ以上言い合ったって平行線だ」
そう唐澤は八雲を諌め、施設内に入っていった。
横須賀鎮守府 応接室ーーー
「これから私たちは、
大淀は呆然。無理もない。突然そう言われても戸惑うだろう。
「さっき私たちAIGISに即時退去命令が出た。我が国と言う名の多国籍軍が都心に熱核兵器を落とすことを国連が正式に決議したワ」
「っ…そんな…!選択肢としてはありですが…そんなの…!」
「でも、特別大使の友人から日本は起死回生の策を講じて、ゴジラを凍結させるという話を聞いた」
アイオワは勝利を信じているような笑みを浮かべ、言った。
「私達は、ゴジラ凍結計画に協力する。貴方達も、ゴジラを倒すためにこの兵装を買ったんデショ?」
机に置かれた十数本の矢とボウガンのマガジンを指差して。
「まぁ、そうですね」
大淀も、やっと笑みを浮かべた。
「これからAIGISは横須賀鎮守府の指揮下に入るケド、何か命令はナイノ?」
「そうですか、ではやることいっぱいです。さ、手伝ってください!」
十日後ーーー
巨大不明生物対策仮設本部 事務室(1)ーーー
「もしもし、大淀か。そっちはどうだ、ゴジラに焼き払われてもまだあまりあるくらいにはできたか?……よっしゃ、明石と夕張にはゴジラ凍結後にヤツの解析が待ってるからな、今のうちにゆっくり休んどけと伝えてくれ……ああ、ありがとう。じゃあな」
電話を切ると、今度は不知火が。
「船体召喚型、駆逐艦不知火、準備完了しました」
「わかった。よし、日本国海軍、出撃準備完了!八雲に知らせるか!」
同 事務室(3)ーーー
「もしもし、八雲です…そうですか、こっちはまだ…大丈夫です、絶対に核は落とさせません」
二日後ーーー
「牧名元教授は、この事態を予測していた気がします。はい」
「お、あざっす。牧名…って、例の特使が言ってた教授様か?」
休憩時間、八雲と唐澤は共に汁粉を飲む。
「ああ、絶対的な荒ぶる神の力を解き放ったとき、人類はどんな行動にでるか、核攻撃も含めて、「好きにしろ」と」
「ヘェ〜、…じゃあ牧名は何を好きにしたんだろうな?」
翌日ーーー
「“巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要項”…長いですね」
「軍とはいえど役所だしな」
「陸海軍民間共同作戦…しくじらないでくださいね」
「わぁーってらぁ。それで?カッコいい作戦名とかねぇの?」
「『ゴジラ凍結作戦』は子供っぽいですから、『ヤシオリ作戦』なんてどうでしょう」
「っははは!そりゃあいい!あのバケモンに、身も凍る酒飲ませてやろうぜ!」
当日ーーー
特科隊に挨拶をする前に、唐澤は八雲に絡む。
「よお八雲!実は秘密裏に米国の精鋭即応隊兼護衛艦隊、AIGISが協力したいと申し出があってな、もちのロンで兵装も貸し出すんだと。作戦の成功率も跳ね上がる。承諾するよな?」
「もちろん。ただし、貸し出したからには無傷で帰ってこないと思えと伝えてください」
「そういや大淀、消耗分は全部日本で負担して貰うっていってたぜ」
「全部日本で負担」というワードで、心なしか八雲の顔が少し蒼くなった気がする。
「大丈夫か?」
「⁉︎…いや、大丈夫。大丈夫です…」
立川広域防災基地 陸軍 立川駐屯地 本部ヘリポート
憎らしいほどの快晴の元、八雲は朝礼台に立つ。
メンバーは皆、決意の表情をしていた。誰も死なないというのはありえない。誰か死ぬのだ。もしかしたらここにいる全員が死ぬということもあり得る。だが、それを全く恐れていないような、そんな表情をしていた。
八雲はひとつ息を吸い、演説を始めた。
「今回のヤシオリ作戦遂行に際し…」
そして、ゴジラも目覚める。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 推定640万人