東方記末神伝 〜Undefined Apocalyptic Museum.   作:らむねこ。

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エリュシオンに氷の雨

壱/赤い雹と紅い屋敷の主

 

真っ赤なカーペットが敷かれた暗い洋館を一人歩く瀟洒な少女(メイド)。その片手にはストレートティーが注がれたティーポットとティーカップが二つ乗る銀の盆が乗せられていた。

瀟洒な少女はとある部屋の前で立ち止まり扉をノックする。

 

「お嬢様、妹様。紅茶が入りました」

 

少女が話しかけると部屋の中から、

「有難う、入りなさい」

と一言だけ返事が返ってきた。

 

ドアノブを握り扉を開けると、そこには吸血鬼の姉妹が手持ち無沙汰な様子で少女の淹れる紅茶を待ち望んでいた。

 

「……にしても、今日は一段と変な天気ね。この天気の原因、咲夜は何か知っているかしら?」

 

幼き吸血鬼の姉が瀟洒な少女、咲夜と呼んだ少女に言う。

 

「いえ。見た所唯の雹だと思われますが」

 

咲夜はお嬢様と呼んだ幼き吸血鬼の問に応えた。

 

「だといいのだけれど……」

 

少々訝しげな表情を見せる吸血鬼に、その妹は「どうしたの?」と言わんばかりの好奇心が詰まった笑顔を見せる。

 

「少し、気になることがあってね。咲夜、来客の準備よ。こんな荒れた天気の日に来るんだもの、笑顔で迎え入れて(迎撃して)差し上げなさい」

 

「来客、ですか?……承知致しました。速やかに妖精メイドを招集して迎えに上がります」

 

そう言って咲夜は部屋から姿を消した。

 

「お姉様、来客って誰?」

 

疑問符が幾つも浮かぶ幼き吸血鬼の妹は姉の命令を詮索する。

 

「貴方の大好きな人間(オモチャ)よ」

 

玩具(オモチャ)?」

 

「そう、面白い人間(オモチャ)

 

そういう幼き吸血鬼の姉の口元は微かに釣り上がり、それはそれは妖艶な三日月の様に笑っていた。

 

 

弐/御転婆少女

 

「チルノちゃん、待って〜」

虫の様な羽を生やした緑色の可愛らしい少女が、湖上の上でこれまた氷の羽を生やした青く可愛らしい少女、チルノを追いかけている。

 

「力がみなぎってくるからこんなのへっちゃらだぜー!」

 

「チルノちゃーん!危ないよ〜……」

 

チルノと呼ばれた少女と緑色の少女は共にイタチごっこを繰り返す。

 

「この赤い雹のお陰できっと私は強くなったんだ、今ならどんな奴と戦っても負ける気なんかしないぜ!だから最初は神社まで行ってやる!」

 

「やめようよ〜、チルノちゃんが危ないよ〜……」

 

そんな少女を置いて一足先にとチルノは神社のある方へ飛んでいく。

そこへ箒に立ち乗りした白黒の魔法使いが出会い頭に通りかかった。

 

「うわっと!?……なんだ、氷精か。急に飛び出してきたら危ないだろ」

 

「飛び出してきたのはどっちだよ、私は今から神社へ向かうんだ!」

 

魔理沙に向かって鉄拳を突きつけると、それを宣戦布告と受け取ったのか魔理沙は、

 

「いいだろう、だったら神社へ行く前に一泡吹かせてやる!」

 

と言ってポケットからスペルカードを一枚取り出した。

 

―恋符「マスタースパーク」

 

しかし宣言した後で気がついたのか、スペルカードを仕舞うと、

 

「そうだ、八卦炉は修理中だったんだ」

 

と言って腰に結わえてあった剣を鞘から引き抜く。

 

「なんだそれ。魔法使いらしくないな!」

 

「別に剣を使う魔法使いが居てもおかしくないだろ!いくぞ!」

 

―神器「天叢雲剣 彗星」

 

魔理沙が手にした剣は周囲の大気から光を萃める。

 

「何もしてこないのか?だったら私から行ってやるぜ」

 

叫んだチルノが魔理沙に向かって翔け出した時、光を放つ剣が一刀両断、振り下ろされた。

 

「チルノちゃん、避け――」

 

緑の少女が叫ぶよりも早く八卦炉の光がチルノを飲み込んだ。

 

「やったか?……って違う、今はこんな事してる場合じゃなかった。じゃあな大妖精」

 

もう一度、剣を鞘に仕舞うと魔理沙は紅い館のある方へと飛んでいってしまった。

 

「……はい。また今、度……。じゃなくてチルノちゃんは!?」

 

 

参/紅白と食欲旺盛な少女

 

「曇天の所為でだいぶ暗いわね。こんな時行灯でも持ってくれる仲間が居たら盾にも出来るし使い勝手が良いんだけど」

 

博麗の巫女は凍てつく紅雹の降る曇天の夜空を唯ひたすらに飛ぶ。

最終目的地は分からない、けれども最初に行く場所の宛はつけてあった。

 

「紅といったら吸血鬼でしょ」

 

そう言って霧の湖の先にある紅い館を目指して飛んでいると目の前にとある者が……。

 

「……うわぁ、明かりとは正反対の者が見えちゃった。遠回りして行こうかな」

 

霊夢が遠くまで聞こえるように大きな声で独り言を言うと、目と鼻の先にある“闇”から声が聞こえる。

 

「その声は、博麗の巫女かー?」

 

「あらら、バレちゃった。バレたからには退治するしかないわね」

 

「今のは絶対に隠す気無かったでしょ。……甘い香り、食べてもいいのかー?」

 

先程食べた柘榴の匂いを嗅ぎつけたのか、こちらへと暗闇が迫ってくる。

 

「ただの柘榴よ。あんたも食べるなら上げるわよ」

 

一玉手にした柘榴を暗闇の中へ投げつけると、中から「痛っ」という可愛い声が返ってきた。

 

「うぅ。……何するの!痛いじゃん」

 

「いや、あんたがあまりにも食べたそうにしてるからじゃない。自業自得よ」

 

「……美味い」

 

「人の話聞け」

 

柘榴一つで満足したのか、暗闇はふらふらとどこかへ飛び去って行った。

 

「何だったのかしら」




ちゃお。本編二話目、計三話目となります。原作リスペクトの為、六+αstageで書いていきたいと思います。一面ボスは言わずもがな。ゲームで例えると中ボスは霊夢の場合ルーミア、魔理沙の場合チルノ、といった感じになっております。第一節《雹榴崋》は原キャラ創キャラ合わせても中ボスstageボスとして出てくるキャラクターが記末神伝の内でも一番多いと思います、えぇ。一stageだけで(中)ボスが四人とか可笑しすぎだろ……
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