東方記末神伝 〜Undefined Apocalyptic Museum. 作:らむねこ。
柒/女館主レミリア
「だからさっきから何度も言っているでしょうに……」
「あんたじゃなかったら誰なのよ!」
魔理沙が館主の部屋に飛び込むと、既に巫女と吸血鬼の火花飛び散る戦場と化していた。
「な、なんだこれ……」
一足一刀の間合でお互いを睨みつける彼女等の手には各々の武器が持たれている。
「黙ってるって事はやっぱりあんたが
「違うわよ!って言うか貴方の言葉通りパチェは籠もりっきりだから外のことなんか何も知らないわよ」
「どうだかね。あんたを潰して下に行った方が早いわ、潔くやられなさい」
決め台詞を言い終わると同時に、霊夢はバックステップでレミリアから距離を取ると幾枚かの御札を投げる。
「そんな御札、私には利かないわ。食らいなさい――」
飛来物を一振りの鈎爪で撃ち落とすと空の手でスペルカードを取り出した。
―「紅色の幻想郷」
刹那、掲げたレミリアの手から途轍もない程の弾幕が放たれる。
その展開された赤色の弾幕はさらに小さな弾幕を生成してばら撒いた。
「外も弾幕も部屋の壁紙も全部真っ赤、今度はあの積乱雲で太陽を隠そうって魂胆なんでしょ!」
赤い弾の間を縫い飛行する霊夢は懐から鋭い光を持つ大針を取り出す。
「飛べ!パスウェイジョンニードル!」
直線的に投擲された針の群れは赤い弾幕を打ち消しながら吸血鬼の掌を突き刺した。
「何するのよ、痛いじゃないの!」
「安心なさい、直ぐに麻酔が効くわ」
「吸血鬼が麻酔なんかで眠ると思って?」
―「フィットフルナイトメア」
封魔針のやり返しとでも言うかの様に何百ものナイフを超速で幾何学的に打ち放つ。
それを見切った霊夢はレミリアの周囲を旋回して躱し続ける。
「この十二秒間の悪夢、耐えられるかしら?」
「博麗の巫女を舐めていると痛い目を見るって口が酸っぱくなる程言ってるでしょ!」
「
「
糞喰らえな談義をしながらも霊夢は幾多のナイフを避けきった。
「……やるわね。最後にこれを避けることが出来たら終わりにしましょ」
―「スピア・ザ・グングニル」
レミリアの一声が魔力という名の弾幕を萃め寄せる。
霊夢の背後、レミリアの背後、上下左右斜め前方後方、至る所から彼女の掌の上に集まった弾幕はモヤモヤと槍の型を成形してゆく。
「そんな大技放って、あんたの体は持つのかしら?」
「さぁ、どうかしらね。……これで最後よ!」
最大出力でレミリアの掌から放たれたグングニルは空間を裂き、時を止めた様な速度で霊夢に襲いかかった。
兵器にも見えるそれを運とタイミングと勘をフル稼働して右に身を投げグレイズしながら回避し終えた時。
「魔理沙、待ちな――」
霊夢の背後にあったドアからふっくらビクトリア朝パジャマの少女が崩れ込もうとして……。
「パチェ!」
時は既に遅し、槍を撃った姿勢のままレミリアは石像の様に硬直していた。
捌/美鈴の安否
わ、わるかったわよ酷いわレミィ……あれは仕方ないでしょ第一あんな時に部屋に入ってきたパチェもパチェよ、かくかくしかじかまるまるうまうま。
お互いの頬を摘みながら喧嘩するその姿は仲睦まじい様にも見える。
「それで、本当にあんた達じゃないのね?」
「だからさっきからそう言ってるじゃない。
パチュリーを近くのソファに座らせると、レミリアは特等席に座り足組みして頬杖を付く。
「そういえば何故門番がいないのよ」
「風邪を引いて寝込んでるのよ。咲夜が空いた時間を使って美鈴の代わりに埋め合わせをしてくれてるの」
➕
その頃の美鈴。
「お嬢様、お力添え出来ずすみません!」
自室で、真っ赤な額の上に冷えた手拭いを乗せ、こほんこほんと辛そうな表情をして横になってた。
➕
「ふーん、宛がなくなったわ。魔理沙、なんか知ってることない?」
そう霊夢が呼びかけても魔理沙のいる場所からはうんともすんとも帰ってこない。
「魔理沙?」
「魔理沙ならさっきフランに連れられてどこかに行ってしまったわ」
振り向いたところにさらにその後から魔女の声。
「えっ。さっきからいたからずっといると思ったんだけどなぁ。仕方ない、情報収集しないと。……紅、日、太陽。そうだ、太陽の隠れる時間帯なら太陽の畑の花の大妖怪も出てこないでしょ。太陽の畑に行ってこようかな」
巫女は大幣を担ぐとレミリアの前まで来て腕を伸ばし利き手の中指を抑えて――
「あいたっ」
「何もするんじゃないわよ?」
「何もしてないのにでこぴんするなんて酷いじゃないの!」
そのまま霊夢は部屋を出ていった。
後書きです。次回は霊夢編となります、魔理沙編は次々回となります。ここまで見てもらってありがとうございました。次回まであでゅーです。