軍艦少女という化身   作:小説好きの黒虎

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第1話 補給線の監視者 -上-

西暦2022年3月1日2333

 

 

 

---バタン軍港第一宿舎 提督部屋---

 

 

 

壁は鉄板張り、床はメタリックで無骨な部屋。

 

さて、問題の洲本攻略作戦にあたってわかっていることは占領された呉の軍港から補給を受け取っていること、これは第2艦隊に任せよう。ホワイトボードを取り出して、艦名がかかれたマグネットカードを貼っていく。

 

編成は…

 

 

 

 

 

艦隊編成表

 

 

 

第2艦隊

 

1番:ヴォークラン

 

2番:タシュケント

 

3番:アリシューザ

 

4番:オーロラ

 

5番:飛鷹

 

6番:隼鷹

 

 

 

次に、第1艦隊は…

 

 

 

第1艦隊

 

1番:吹雪

 

2番:白雪

 

3番:シリアス

 

4番:アトランタ

 

5番:レキシントン

 

6番:サラトガ

 

 

 

「艦隊の編成はよし、搬出する武器と物資のチェックよし、敵情の把握よし。To Doやることの8割は終わった。後は明日に第1と第2艦隊を呼集して作戦会議すればおっけーだ」

 

 

 

疲れた…。結構書類仕事に追われていたような気がする。

 

 

 

「にしても、全然予算くれねーな。これじゃあ某平和ボケスパイ天国列島戦争放棄経済大国のお役人と同じじゃねーか。おっと、祖国の悪口はここまでにしとこう。今が重要になってくる。うん、そうだ」

 

 

 

コンコン

 

 

 

ん?ノックの音だ。誰が来たんだろ、こんな真夜中に

 

 

 

「入って~」

 

 

 

「そうだ、今が重要だ」

 

 

 

扉が開く音と共に提督部屋に入ってきたのは身長は俺よりも高い181㎝、銀髪のブロックショートで、少し老けてはいるがまだ若さが残っている顔立ちにスリムな体型のイケメンだった。

 

 

 

「お、野良猫」

 

 

 

「山猫ワイルド・キャットだ」

 

 

 

「わりい、わりい」

 

 

 

「にしても、相変わらず疲れてくると独り言を喋るよな。話相手にでもなってやろうか?」

 

 

 

「っで、どうかしたの?」

 

 

 

「あんたが立てた計画だが、ひとつ問題がある」

 

 

 

そう、山猫に今回の計画で何かないかを調査させていた。

 

山猫と俺はUIN側であるが、実はUIN自体所属していない。どちらかというと民間軍事会社の小さい規模、プライベートフォース『サウスイースト』の派遣工作員だ。俺は司令官ではあるが、いざというときには敵地に赴き、色んな汚い仕事をこなす任務ミッションもこなしていく。俺はUINに偽の経歴書を黙認させ司令官を努めている。他の連中からばれると厄介なことになるが…。

 

それよりも、俺は山猫に言われたその問題を訊ねる。

 

 

 

「問題?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

山猫は頷き、机に地図を広げた。北九州、山口県、広島県、島根県、四国北西の地図だった。山口県と広島県の境辺りに赤い丸印が描かれていた。場所は、厳島だ。

 

 

 

「厳島は知っているか?歴史上では有名な厳島神社が建っているだけでなく、中世室町時代後期で大きな戦いがあった場所でもある。あんたが好きな内容だ」

 

 

 

「毛利元就が安芸国に侵攻してきた大内軍を撃退すべく囮の城を建て、背後から回り込み大内軍に大打撃を与えた厳島の戦いか」

 

 

 

「そう、昔はな。だが、今は違う。そこには囮ではなく、本物の重要施設が確認されている。深海軍が呉から淡路島まで監視しているレーダー網の管制基地が見つかった。艦砲射撃でも戦艦の主砲が届かないほどレーダーの探知範囲が広い。しかも、それが淡路島にまで及んでいるから遠回りでの奇襲は不可能だ」

 

 

 

「それじゃあ……」

 

 

 

「ああ、ここをどうにか破壊工作しないと深海軍の遠距離攻撃がお前の艦隊を襲う」

 

 

 

深海軍は対艦巡航ミサイルをどこかの地下の方に配備されているという。レーダー網に探知された軍艦少女を撃沈しようとミサイルが彼女目掛けて飛ぶことになる。つまり、レーダー網の対処を放っておけば呉の補給線を破壊できず無駄に犠牲が増えるということを意味している。

 

ここまでわかってるなら後の行動の準備をするに限る。

 

 

 

「なら、手回し頼むよ」

 

 

 

「わかった、"メコ"。あんたはプライベートフォース、【サウスイースト】の最高指揮官だからな。これくらいの雑務、朝飯前だ」

 

 

 

「期待してるよ、山猫。で、ルートはどうする?」

 

 

 

「ここから山口県下松まで水上車両だ。下松に上陸したら岩国のアメリカ海兵隊基地までジープで移動する。そのあとは徒歩だ。以上。

 

何か質問は?」

 

 

 

「ない」

 

 

 

「そうか、それでじゃあおやすみ」

 

 

 

「おやすみ」

 

 

 

山猫は告げることを告げると、帰っていった。俺は時間が時間だったので、さっさと消灯してふかふかベッドの中で眠りについた。

 

あ、作戦会議の司会はアイラにやってもらうか…σ( ̄∇ ̄;)。

 

 

 

 

 

 

 

---第1大型工廠---

 

 

 

 

 

メコと山猫がブリーフィングをしている時と同じく…

 

 

 

バタン鎮守府の工廠の窓から暖かい光が漏れており、工廠の中からは溶接機の音が聞こえてくる。

 

 

 

「ふう、なかなか手間取るなこれは…」

 

 

 

深夜の工廠で開発し一息付ける女性の姿がある。

 

彼女はビスマルク。軍艦少女になる前はドイツの科学者で某研究所に勤務していたが、軍艦少女に対する高い適正により軍艦少女となり、今はバタン鎮守府に着任し戦艦ビスマルクとして戦闘に赴くだけではなく工廠で新兵器の開発や研究を行っている。

 

 

 

「にゃん姉ちゃん、お疲れ様」

 

 

 

「ん?どうしたティルピッツ。もう寝る時間だぞ?」

 

 

 

作業台にコーヒーを入れたカップとソーサーを置く少女の名前はティルピッツ、ビスマルクの妹だ。本来、彼女は成人しているのだが姉の発明品の事故に巻き込まれてしまい幼女化してしまっている。だが、元々夜型なので今の状態でも変わらず夜更かしをしている。

 

 

 

「にゃん姉ちゃんが夜遅くまで作業しているんじゃないかと思ってコーヒーを持ってきたよ」

 

 

 

「ああ、ありがとうティルピッツ」

 

 

 

ティルピッツが淹れたコーヒーを飲もうとカップを手に取り飲むビスマルク。

 

 

 

「ん、相変わらずティルピッツの淹れるコーヒーは美味いな…」

 

 

 

「にゃん姉ちゃん聞いた?アドミラル、しばらく出張だって」

 

 

 

「ああ、仕方ないさ。アドミラルは元々ここUINの人間じゃない」

 

 

 

 「知ってる。本当は│あるPMCのメンバー《・・・・・・・・・・》でわざわざ深海軍の基地の偵察にも赴いていることも。おかげでうちは他の所と比べると勝ち続けていることも…。でも、私はアドミラルの事が心配で…」

 

 

 

 「心配するな、ティルピッツ。ああ見えてアドミラルは大怪我しても帰ってこれる奴だ。それに何があってもうちの艦隊には秘書艦である吹雪とアイラが臨時指揮権を握っている。吹雪はああ見えても指揮官としての才能はある、前々から士官の適性があるという話は聞いているからな。アイラはなんと言っても俺たちの幼馴染だ。語るまでもない」

 

 

 

「うん、だけど艦隊の指揮官の心配もあるけど、それ以前にアドミラルが無事に帰ってこれるかが心配…」

 

 

 

「だからだ。俺たちはアドミラルの無事を祈り、母港に帰れるように祈るしかない。それに、アドミラルは俺たちと一緒に戦いたいと言っていた。なら、俺は技術者の端くれとしてアドミラルの要望に答えてやるさ…」

 

 

 

「これが出来上がれば、アドミラルと一緒に戦えるんだね…」

 

 

 

「ああ。アドミラルは現地で指揮がとれるようになるだけでなく、我ら軍艦少女の大きな助けになる」

 

 

 

ビスマルクが振り返って見るのは大型の航空機らしき機械だった。

 

 

 

 

 

 

 

二日後の昼

 

 

 

---山口県2号線道路 ジープ内---

 

 

 

天気は快晴、青空が果てしなく続くと言うほど雲がない。

 

ここはまだ人がいる。でも、人は少ない。それもそのはずだ。ここは深海軍の領域に近く、戦闘の流れ弾で死ぬのが怖い住民たちは避難すべく場所へときえていったからだ。だから、寂しい空気に包まれていた。俺は戦争に疲れて古巣から離れた。だけど、また戦争に赴くということは俺はもう、戦争でしか生きられないのだろうか?今は六花たち軍艦少女と一緒にいるし、戦闘はたまにあるがイキイキできる。もしかしたら、俺が戦う理由は案外単純なのかもしれない。

 

色々と考えていると山猫が声をかけてきた。

 

 

 

「メコ、持ってきた装備を確認してみたらどうだ?」

 

 

 

「ああ、そうするさ」

 

 

 

言われた通りに確認する。さて、俺が持ってきた装備は…

 

 

 

麻酔拳銃 32発

 

アサルトライフル『AK-47』210発

 

スナイパーライフル『ワルサーWA2000 OD色』

 

30発 徹甲弾12発

 

グレネード×3

 

指向性地雷クレイモア×1

 

C4爆弾 1キロ

 

C4爆弾信管×4

 

C4爆弾遠隔起爆装置

 

 

 

双眼鏡

 

暗視ゴーグル

 

アメリカ製メディカルポーチ

 

-内容物

 

瞬間凝血スプレー剤×3

 

減圧針×1

 

止血帯×4

 

火傷用冷却湿布×4

 

サウスイースト製軍用食レーションセット×3

 

-メニュー

 

3食ともにパック

 

五目飯 さんまの味噌煮 金平ごぼう

 

A&W ルートビア×1

 

携帯コンロ

 

携帯コンロ用カセットボンベ×2

 

 

 

ODポンチョ

 

替えの下着セット×1

 

よし、異常なし

 

 

 

「山猫、こっちは異常なかった」

 

 

 

「………」

 

 

 

「?」

 

 

 

どうしたんだろう?山猫、真剣そうな顔してる…。

 

 

 

「あの娘…六花…いや、吹雪はメコにかなりなついてるな」

 

 

 

あ、また山猫の悪いの嫉妬が始まった。

 

 

 

「うん、休日にはよく遊んでいるし一緒に温泉行ったりとかするよ」

 

 

 

「な、なんだと…!?Σ(゜Д゜)

 

そ、それで…、抱いたのか…!?」

 

 

 

「え!?、あ、まあ、うん」

 

 

 

「。・゜゜(ノД`)

 

で、吹雪と付き合っていると聞いたが実際どんな子なんだ?」

 

 

 

「それに、吹雪はラノベ好きだしゲーマーでもあるけど秘書官だとかなり優秀だよ」

 

 

 

「ほお、好きな文化は合っているし秘書艦だし優秀とは、それは結構なことだ。ちなみに、俺は側に居てくれる女子がいなくて寂しいのだが?」

 

 

 

「いないって、深海軍出身のスタッフと付き合えば良いのに…」

 

 

 

「俺と付き合ってくれるいいこちゃんがいないんだよ(# ゜Д゜)」

 

 

 

ああ、これは何度もアプローチしてるけど全部失敗しているパターンだなこれは……。

 

 

 

「(;´∀`)」

 

 

 

「いいなー、メコはガールフレンドガールフレンドいていいなー。しかもいっぱいいるし…(´・ω・`)」

 

 

 

「お二人とも、お話の途中で失礼しますが中継地点LCに到着しました(^_^;)」

 

 

 

運転手が到着を知らせてくれた。山猫の嫉妬は今に始まったことではなく、任務前と仕事中でも突っかかってくる。これがかなりめんどくさく、酷いときには一時間もトークが続く。幸い、到着七分前だからよかったがそうじゃなかったら退屈なうえに疲れてくる。

 

 

 

ジープから降りると廃墟だらけだがまだ機能している建物が見えた。ここはアメリカ海兵隊の基地で度々深海軍が陸上部隊を出しては襲撃しているという報告が何度も挙がっていた。

 

 

 

「ここか、岩国アメリカ海兵隊基地は」

 

 

 

山口県岩国米海兵隊基地、その近くには海上自衛隊の航空基地があったが、今は深海軍の攻撃で破壊されてしまい機能を失っている。

 

 

 

「うん」

 

「ここからは歩きだ」

 

 

 

「運動には丁度いいんじゃねえの」

 

 

 

「よし、いくぞ」

 

 

 

ここから県境までは歩いて一時間十五分程度の距離だ。そう遠くはなかったのだが、これ以上は深海軍の攻撃射程に入るため敢えて徒歩で向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徒歩一時間十五分後

 

 

 

---山口・広島県境小瀬川旧山陽本線鉄橋上---

 

 

 

 

 

「ここから先は深海軍陸上総軍Deep Sea-Military Force Armyの勢力圏内になる。2号線上にはDSMFAの監視所がいくつか設置されている。ここは鉄道で使われなくなったところには哨戒兵が少ない。だが、兵士の警戒が薄いぶん、指向性地雷ショーテルが偽装設置されている。

 

ここは、地雷探知機を使えばわかる。地雷さえ注意していれば安全だ。だが、油断して脚をとられることがないようにしてくれよ。

 

ここから目標ターゲットまでの距離がだいぶあるが、休み休み行っても問題ない」

 

 

 

深海軍陸上総軍、通称DSMFAは本来、海軍に相当する深海軍がさらに陸上での活動を広げるが為にある海兵隊のような軍事勢力だ。ただ、今まで確認されている情報の中で装備や部隊編成からすると陸軍に近い。

 

 

 

「山猫は?」

 

 

 

「俺も一緒に行こう。三年前の第二次朝鮮戦争で活躍した英雄様の活躍を見たいからな。それに、今ミッションのバディだからな」

 

 

 

「第二次朝鮮戦争っていやな事を思い出すな…、単独で五百平方メートルの基地内で30人以上もいる警備兵の目を盗んで機密書類を回収したのが懐かしい…。潜入任務スニーキング・ミッションなんて何度もやってた…。それを今回もやるとは!」

 

 

 

「さすが、兵長でレンジャー教育を受け、十年間の勤務と第二次朝鮮戦争で行われた任務を全うした英雄だ」

 

 

 

「バカにしてんの?

 

兵長じゃなくて陸士長だよ。それに、俺はあの部隊レンジャー教育に駆り出されただけだし、任務の内容がハードかつブラック企業が出しそうなもんだよ。数ある任務の中でもハードだから…。なんですか、一人で対馬にある北朝鮮の日本侵攻方面軍司令部破壊しろとか、笑っちゃうよ。あと、それなりに階級あげてやめただけだよ」

 

 

 

俺は思い出して少しも嬉しくない事を尋ねられて、声を少し荒くすると山猫は笑いだした。

 

 

 

「そう、荒くなるな」

 

 

 

「全く…」

 

 

 

「さて、心の準備は出来たか?」

 

 

 

「ああ、コンディションは良好。何時でもいけるよ?」

 

 

 

「わかった。じゃあ、ミッションを開始するぞ」

 

 

 

「了解、Mission start」

 

 

 

ミッション開始した俺と山猫は廃線上をランニング程度のスピードで移動する。

 

開始地点から2百メートル歩くと、なにかを見つけた。レールの影でわかりづらかったんだがワイヤーが張ってある。もしかして、先は………

 

 

 

「山猫、待ってくれ」

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「何かある」

 

 

 

俺はワイヤーの先にある物が気になり、暗視ゴーグルを取り出して確認する。

 

ワイヤーが若干光を反射していたので探すのが容易だった。

 

 

 

「やっぱり、何かあるな。だけど、クレイモア指向性地雷にしては形が違う」

 

 

 

「ほう、これは…」

 

 

 

目視では迷彩でわかりづらかったが、半円の形をした物体が見えた。山猫ワイルドキャットが言っていた例の指向性地雷だ。

 

 

 

「ショーテル……。有効加害半径は31メートル、アメリカ陸軍が使用している同じ指向性地雷クレイモアの鉄球とは違い、1000度の熱線を90°方向に放射するという代物だ」

 

 

 

「1000度って、炭化待ったなしだわ」

 

 

 

「余談だが、ショーテルの形からキラーハーフウッドケーキGlosbe halb Baumkuchenと言われている。

 

さて、こいつは一体どうするのか、久々の陸上での任務をこなすメコを期待してるぜ」

 

 

 

幸い、ワイヤーは足を大きく上げて通れば問題はないな。ワイヤーに引っ掛からないように……、よいしょっと……。

 

 

 

「なるほど。まあ、これが続くのかはわからんがな」

 

 

 

ショーテルか、帰還のさいに解除して何個か持てるなら回収しよう………。

 

 

 

(メコは何か考えがあるな。ん?なんだ、その後のお楽しみにとか、教えてくれたっていいがここはメコを信じよう)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---バタン軍港司令部会議室---

 

 

 

 

 

 

 

「我々UINは深海軍の猛攻を受け、今は日本、フィリピン、中国海岸線、アメリカ西海岸、極東ロシア海岸線しか残されておりません。このままでは人類滅亡の危機ということもあります。そこで、UINは一大反攻作戦に打って出ます。ただし、これから説明する海域を先に攻略しなければなりません」

 

 

 

演説台に立つのはUIN参謀ドイツ海軍大佐のアイラ・グナイゼナウ。

 

 

 

「現在、深海軍が駐留している呉では今作戦の目標である淡路島洲本の補給線となっています。呉から出る補給は深海軍にとっては淡路島洲本の領有維持、東日本侵攻の足掛かりです」

 

 

 

「こんさくせん………」

 

 

 

呟いたのは頭に猫耳みたいな機械をつけている青いショートヘアーが特徴の防空巡洋艦『アトランタ』だ。彼女は軽巡洋艦の中でも対空性能に優れている軍艦少女だ。

 

一方、隣にいる紫で染色されている官能的な服装を纏い、アメジストのような色をしている眼と眼帯をつけている銀髪の軍艦少女、軽巡洋艦『シリアス』もアトランタと肩を並ぶほどの対空性能を持っている。シリアスはアトランタのボケにツッコミを入れた。

 

 

 

「アトランタさん、渾作戦ではないです」

 

 

 

シリアスが言うとアイラは咳払いした。

 

 

 

「話を戻します。

 

第2艦隊の任務は深海軍呉補給基地を襲撃し、深海軍淡路洲本泊地に停泊中の東日本侵攻主力艦隊の戦力を奪ってください。第1艦隊は前線で敵の哨戒艦隊をひきつけてください。ここまで質問のある方は挙手を御願いします」

 

 

 

「はい」

 

 

 

挙手したのは白色のラフな仕官用海軍制服に白の短パンを着ているエメラルドグリーンの瞳の淑女『CV-2 レキシントン』。

 

 

 

「それだけだと敵の補給基地が深海軍の主力艦隊に増援要請を出される危険性があります。しかも、UIN諜報班の報告書には呉・洲本補給線を防衛するレーダー網が張られていると書いてあります。なにか作戦がありましたら情報提供をお願い致します」

 

 

 

レキシントンがそう云うと、アイラはレキシントンの心配を気にするようなそぶりを見せていない。

 

 

 

「心配はありません。レーダー網に関しましては工作員メコに任せています」

 

 

 

「メコ?」

 

 

 

「はい、UINに雇われたサウスイーストというPMCが腕利きの工作員を送ってくれるそうです」

 

 

 

「へえー。サウスイーストってなに?」

 

 

 

 サウスイーストについて

 

 

 

 「サウスイーストは主に東南アジアの治安維持を行っている小規模な民間軍事会社です。現在、東南アジアはシンガポール、マレーシア、フィリピンのダバウ島、ブルネイ王国、ビルマ(ミャンマー)が深海軍とその陸軍にあたる『軍事組織DSMFA』により陥落しており、サウスイーストの台頭によりDSMFAの東南アジア侵略に歯止めをかけています」

 

 

 

「でも、どうして東南アジアで活動している軍事会社がわざわざ日本に…」

 

 

 

サウスイーストの活動範囲が本来及ばないはずの日本にまで広げていたことにタシュケントは疑問を感じていた。

 

タシュケント、イタリアの駆逐艦だがソ連が海軍育成の為に購入。以後、ソ連製の駆逐艦はタシュケントをモデルにしていたという。

 

その化身である彼女はロシア人女性とイタリア人男性のハーフであり、学生時代は陸上競技のエースだったという経歴がある。

 

 

 

「理由はどうであれ、我々は我々が遂行しなければならない任務を片付けるのみです。

 

話を続けます。レーダー網オフライン後に飛鷹と隼鷹は航空戦で呉を襲撃し、燃料タンクと弾薬庫を重点的に爆撃してください」

 

 

 

「アイラさん、補給基地の戦力はどの程度なのでしょうか」

 

 

 

「呉補給基地には軽空母1、軽巡洋艦3、駆逐艦5の計9隻の中規模な哨戒艦隊しかいないことを考えるとこちらの方が戦力に余裕があります」

 

 

 

「敵の航空戦力もさほど多くはないですね。軽巡洋艦が防空仕様であれば多少手は焼きますが…」

 

 

 

「ところで、提督はどちらに?」

 

 

 

白雪は自分の上司が何故作戦会議に参加していなかったのかを疑問を口に出した。それにアイラは答える。

 

 

 

「先ほど、上層部から呼び出しがかかって留守にしていますね」

 

 

 

「じゃあ、それでいなかったんだ」

 

 

 

アイラの答えに吹雪は頷いた。吹雪は己の提督の正体はわかっている。しかし、それを他の軍艦少女に勘づかれたりしないよう上手く演技していた。

 

 

 

「むぅ…」

 

 

 

心配していない楽観的な吹雪とは対称に白雪はお気に入りの男がいないことにヤキモキしていた。このヤキモキはメコに好意を抱いている吹雪にも向けられている。

 

 

 

 

 

 

 

2時間後………

 

 

 

 

 

---広島県恵川山陽本線ルート---

 

 

 

 

 

「市街地に入る。にしても、車両さえ確保できれば時間短縮できるはずだけど…」

 

 

 

「だが、この先からは歩くしかない。と言っても、流石に現在地からターゲットまで遠すぎる。何かいい方法は………」

 

 

 

変だな、何でこんなに戦車がいるんだ?大雑把に数えても30両はいる…。

 

 

 

≪ボス、ワイルド・キャット。聞こえるかい?≫

 

 

 

突然、無線が入る。ラインハルトはサウスイーストの通信兵の一人で諜報能力に長けている工作員でもある。

 

 

 

「ラインハルトか。聞こえるぞ」

 

 

 

「同じく、感度良好」

 

 

 

≪追加情報だ。二人とも知ってはいるだろうが2号線にはDSMFAの防御陣地がいくつか確認されている。が、問題が発生した≫

 

 

 

「問題?」

 

 

 

≪ああ、アメリカ海兵隊が2号線にいるDSMFAに攻撃を仕掛けたんだ≫

 

 

 

「なんだって!?」

 

 

 

妙だな、アメリカ海兵隊は機甲戦力を調達し終えてから攻撃すると見越していたけど、もう終わったの?にしても早すぎる…。

 

 

 

「そんな、海兵隊のDSMFAへの攻撃作戦なんて聞いてないぞ!?それで、2号線の状態はどんな感じだ?!」

 

 

 

え?どういうこと?

 

 

 

≪DSMFAがアメリカ海兵隊に対抗して戦車53両という大規模な機甲部隊を出動させてしまったんだ。おかげで2号線上の監視所の警戒レベルが高になってしまい、しばらく緩みそうにないんだ≫

 

 

 

そんな、冗談もよしてくれと言いたい。恐らく、DSMFAの監視所は電磁シールドによる道路封鎖と同時に迂回路となるような場所を徹底的にクリアリングしてくる。しかも、道中には機甲戦力が点在している。見つかったら俺たち二人という豆粒のような規模でも容赦しないだろうね…。あれ?でも、これって…

 

 

 

「「ちょっとまて、どうするんだよこの任務、積んだー \(^o^)/」」

 

 

 

「? ラインハルト?そういえば、別ルートってないの?」

 

 

 

≪ある、42号線と289号線が脅威は低い。遠回りだがそこなら監視所は多くはないうえに機甲戦力は配備されていない。ただ、それでもクリアリングは実行中ではあるけど…≫

 

 

 

それでも十分だ。機甲戦力がいるルートを通るよりはマシだ。

 

 

 

「仕方ないな、2号線沿いのルートから42-289ルートに変更する」

 

 

 

≪了解、敵に見つからないでくれよ。アウト≫

 

 

 

「ねえ、山猫」

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「アメリカ海兵隊の機甲戦力配備、知らなかったの?」

 

 

 

「ああ、サウスイースト本社にその情報は入ってきていなかったな」

 

 

 

どういうこと?海兵隊はなぜこのタイミングでDSMFAの機甲戦力を攻撃したんだ?どう考えても自殺行為のハズなのに。

 

 

 

「メコ、考えていても仕方がない…」

 

 

 

ん?待てよ…。警戒レベルが高いなら敵の車両に潜り込めば…。

 

 

 

「山猫、良いことを思いついた。これなら良いかもしれない」

 

 

 

「どういうことだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---広島県厳島 DSMFAレーダー管制基地入口検問所---

 

 

 

[CPストラテーゴス、こちらε6エプサイラン ヘキサ]

 

 

 

[エプサイラン ヘキサ、こちらCP]

 

 

 

[補給物資を積んだトラックが基地内に通してくれと要請を受けた。車番は2Γα-111だ]

 

 

 

[了解、通せ。通信終わりアウト]

 

 

 

「通ってよし、ご苦労さん」

 

 

 

「あんたもな」

 

 

 

しっかし、まさか本当に通るとはな。メコの発想はシンプルに聞こえるがとても有効な方法だった。トラックは車両輸送用水上車に乗せられ、厳島の港に着き、検問も越えた。道中、ばれなければ任務は円滑に進みそうな勢いだ。

 

 

「よし、今だ。運転手と車主を撃破するぞ」

 

 

 

 

 

 

メコがチャンスとばかりに気付くほどの大きい音を出した。

 

 

 

「なんだ!?」

 

 

 

「いきなりデカい音がしたな…。一回見てくる」

 

 

 

よーし…、こいこい…。

 

 

 

「!?だれd」

 

 

 

メコが麻酔銃で敵兵を一人眠らせ、残りは俺が羽交い絞めで…。

 

 

 

「どうした?いつまでかかっているn ぐぅぅぅぅぅ……っっっ!!?」

 

 

 

よし、気絶させて無力化した敵兵二人を森の中で隠しておこう…。

 

 

 

「よし、これでトラックは俺たちのものだ」

 

 

 

「はあ~、何とかなった~。しっかし検問所の監視が緩くって良かったよ。佐世保の機能がマトモじゃないうえに東日本侵攻も時間の問題だったんだろうな……」

 

 

 

「かもな、にしてもあいつらもたるんでいるな」

 

 

 

「全くだな」

 

 

 

「ん?………!!!」

 

 

 

どうしたんだ、メコのやつ。汗がだらだらだな。

 

 

 

「そういえば、今乗っているトラックに積んである物資ってなに……?」

 

 

 

「さあ……、食い物とかじゃないのか?」

 

 

 

「だと、いいけど。敵兵が居ないところで積み荷を確認してみるよ……」

 

 

 

「あ、ああ……」

 

 

 

人の気配は、ないな。ここなら安全だ。

 

 

 

「ここでいいぞ」

 

 

 

メコが示した場所にトラックを止め、幌を上げて積み荷を確認しようとする。

 

 

 

「どうだ?」

 

 

 

「何も注記されていない段ボールと後ろにあるのは………、これはやヴぁい………。なんてこった、見えちゃあいけないものが………」

 

 

 

メコが積み荷の正体を確認出来たのだろうか。いつもの声とは違い、かなり震えていた。よっぽどマズイものなのだろうか?

 

 

 

「メコ、なにがある?」

 

 

 

「あいつらもわかってたのかな……、これ、中身が生物災害もんだよ………」

 

 

 

「まさか、てぃー」

 

 

 

「ちっがーう!!!それだとどこかの墜ちやすいヘリコプターで有名な会社になっちゃうでしょーー!!!」

 

 

 

ぶっw、わかっていたのかwww。

 

 

 

「いやあ、すまねえ。メコが怖がってたからついー、ボケちゃった」

 

 

 

「全く、さっきのボケで緊張が吹き飛んだよ………。っで、中身なんだけど…」

 

 

 

突っ込みを終えたメコは真剣そうな声色に変わっている。

 

 

 

「で、中身は生物兵器だったのか?」

 

 

 

「うん、だけど中身はわからない。ドラム缶に生物災害のマーク、数字とバーコードが描かれているだけでなんとも……」

 

 

 

「Intelのバーコード・スキャニングはできなかったのか?」

 

 

 

「読み込めたけどギリシャ文字だよ」

 

 

 

「だったら翻訳すれば」

 

 

 

「翻訳してもそのまま。バーコードから読み込んだギリシャ文字自体が暗号になってる」

 

 

 

「なんて書かれている?」

 

 

 

メコがIntelの画面をおれに見せた。これは、どういう意味だ?

 

 

 

448ΔΡξ

 

 

 

なんだこれは?

 

 

 

「レーダー管制基地に向かうしかない。取り敢えず、この謎の生物兵器は後回しだよ。まずは管制基地に向かおう」

 

 

 

「ああ、そうしよう」

 

 

 

俺はトラックに乗り、あのドラム缶の中身に疑問を感じ続けた。レーダー管制基地に向かう輸送トラックの中身がなぜ生物災害を引き起こす荷物を運ぼうとしていたのか。今この場で考えていてもわからなかった。メコが運転席に乗りエンジンをかけ目標であるレーダー管制基地に向かってハンドルをきり、トラックを走らせていった。

 

 

 

-次回へつづく…-




時間がかかり過ぎた・・・。
話のネタを絞るのも大変だし、ゲームだけじゃなくて仕事とか色々とやっていたから投稿ペースがとんでもないくらい遅くなってた・・・。
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