サイドアビス   作:こねこ

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※随時編集、誤字修正


第4話

 アビスへの旅の始まり。

 奈落の底への探窟を組合へと申請、回答は数日後返答が返ってきた。

絶界行(ラストダイブ)を決行するとなると、探窟家は生きてオースへと帰ってくる事は不可能とされている。

 申請の書類を提出した際、やはり貴方も潜るんですねっと言われた。

確かに現在いる白笛は殆どはアビスへと潜っているか、根城を持っているものが大半だ。

 白笛は変わり者が多い、例外なく私も変わり者だ。

 

 取り敢えず先深界二層の誘いの森に設けられている監視基地(シーカキャンプ)を目指すことを目標とする。

 探窟への装備を整え、知り合いとの別れも済ませてきた。

 

 一層では瀑布ゴンドラで580mへの移動が出来てるようになっている。

 因みに一層の上層部では赤笛の探窟家、つまり見習い探窟家が未来の白笛を目指して探窟をしていることが多い。

 私は瀑布ゴンドラでの下降は断り、自分の足で下る事にした。

面倒なのは重々承知しているが、アビスへと入るときは自らの足で探窟し、自らの足で帰還する事を第一にしている。

 

 舗装された階段を下っていく。

一層は上層負荷も比較的軽く、人の手が入ることは簡単なので整備が行き届いている場所もある。

 途中、何人かの赤笛の子供たちとすれ違う。

オースではよく見る光景であり、子供の頃から様々な事を学びんで未来の探窟家となっていく子も多い。

だが、親がおらず貧困に苦しむ者も大勢いる。

 オースの南区はそう言う者が多く住んでいる。

 

「あ」

 

 横をすれ違おうとしていた赤笛の少年は、上昇負荷に耐えきれずそのまま嘔吐してしまう。

最初の頃は私もよく撒き散らしたものだと、嫌な記憶を思い出しながら苦しんでいる少年を支える。

 携帯していたハンカチの一枚で口を拭ってやり、吐き出す物を吐き出させてから呼吸を整えさせてやる。

 

「大丈夫かい、これはやるからゆっくりあがっていきな。急ぎは禁物さ」

「あ、ありがとうございます……おぇっ」

 

 一層の上昇負荷は軽い目眩と吐き気。

ここで身体を慣らしていかないと、探窟家としてスタートラインはたどり着けない。

 次第に呼吸を落ち着けた少年は、ようやくこちらの姿を確認出来るまでには回復した。

 少年はこちらの笛を見て、目を見開いた。

突然白笛が目の前にいたら、私だって驚くだろう。

 気を取り乱さない為に、少しだけ立ち話をする事にした。

 

「私は白笛なりたてのシオンだ、君の名前は?」

「えっと、ナットって言います……」

 

 

 赤笛のナットは最初は緊張していたが、目線を合わせてやりながら話をしていくうちに次第に落ち着きを取り戻していく。

 彼は西区にあるベルチェロ孤児院の探窟家、今日は単独での探窟らしくその帰り道に出会ったわけだ。

長話は出来ないので、軽い談話であったがナットの気は紛れただろう。

 少しの硬貨をナットに手渡し、別れを告げる。

また上昇すればまた負荷が襲うかもしれないが、こればっかしは本人の気力に任せるしかない。

 

「ナット少年。寄り道せずに帰るんだぞ」

「あ、あの! 一つ、一つお願いがあります!!」

「ん? なんだい、これから潜る私に叶えられる事か?」

 

 ナットの表情は強く、そして聞き覚えのある願い事をされた。

 

「このアビスの深く、俺と同じぐらいの女の子と男の子が探窟しているんだ。もし、もしも偶然出会ったら俺達は元気にしているって、伝えてほしい」

「ふむ……同じぐらいってことは赤笛の探窟家かな。まあ、そこは気にはしないけども、出会ったばっかりの私に何で頼んだのかな?」

 

「あんたが、悪そうな人に見えなかったから。どこか、リコみたいな目をしていたから……」

 

 いやはや、オースの探窟家の将来は有望だ。

ナットの頭を豪快に撫でててやり、大きく笑う。

 ハボの頼み事とは内容が少し違うが、結果としては同じ事だろう。

ここまで色んな人に心配され、助けられている子供達を余計に見てみたくなった。

 

「わかった、わかった! その頼み事、この白笛のシオンがしっかりと聞き受けた! じゃあ、その子達に会うためにも早く行かないとな、じゃあなナット少年!」

「お、お願いします!」

 

 少女、リコ。少年、レグ。

アビスの奥深くを目指すだけを目的としていたが、ハボとナットの頼み事によって期待に胸が膨らんできた。

どんな子達で、どんな冒険を楽しんでいるのだろうか?

 歩くスピードは次第に速まっていき、口元は少しほころんでいた。

 

 ◆ ◆ ◆

 

 深界二層、誘いの森。

深度1350mから2600mの空間を指す言葉であり、上昇負荷は一層よりも重い吐き気と頭痛、末端の痺れ。

 あたりは森林で覆われており、ある場所からはねずみ返しのようになり、木々が逆さまにハエル逆さ森へと到達する。

逆さ森付近は気力が不安定であり、事故によって命を失う探窟家もいる。

 端まで目指せばアビスの端に行くことができ、目指している監視基地(シーカキャンプ)は二層の終わりに設けられている。

 監視基地(シーカキャンプ)はアビスから離れた場所にある為、比較的負荷が軽減されてはいる。

 逆さ森が高すぎる場所にあり、迂回する為に作られた中継場所ではあるが偶然にも都合が良かったのだろう。

 

 そして、一番重要なことがある。

監視基地(シーカキャンプ)には防人。

不動卿、動かざるオーゼンがいるのだ。

 因みに殲滅卿の笛や手紙を見つけたのも、不動卿とされている。

これは、ハボからの情報なので間違いはないだろう。

 

 しかしながら個人的に不動卿は苦手だ。

力をつけるために躍起になっていた時、不動卿の癇に障ってしまい大怪我を負った事が未だに尾を引いている。

 そもそも、あの雰囲気が苦手だ。

しかし、行かなければ補給や休憩も取れない以上は諦めるしかない。

 できれば、会いたくない人だ。

 

 マジで苦手。

 

 




本当に書くの難しい…そもそも、リコやレグに会えない可能性が微粒子レベルで存在する????

あ、そうだ(唐突)
プルシュカちゃんやミーティの裏表紙かわいいな…いいな…よくない???
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