サイドアビス   作:こねこ

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やまなし
おちなし
いみなし

特に本編に関係は(ないです)。
書きたかったから書いたんや…もふもふ。


おまけ①

 どうも、みなさん。私はただの成れ果てです。

何時の間にか人ではなくなり、今はアビスの奥底でひっそりと余生を過ごしています。

 案外、この身体も便利なので。人の時の記憶が無いぐらいで不便はしていません。もふもふなのもいいものだ。

 この場所はアビスから横に広がる大空洞、凶暴な原生生物も来ず温和な生物が集まります。結構、食べても美味しいですよ。

 

「おーい!」

 

 おやおや、同じ成れ果ての女の子が川辺の方から走ってきます。もふもふの赤い髪の彼女、名前はミーティ。

私がここに住まってから数カ月後に迷い込んで来ました。

 彼女も人だった時の事を忘れてしまいまい、生き残る術を持たないので私が色々な生きる術を教えています。

 

「ミーティ、走ると怪我しますよ。この前も転んで泣いたでしょう?」

 

 この前は勢いをつけすぎて何回転もして、顔から地面に落ちたミーティを思い出す。あの時のミーティを宥めるのにはとても苦労しました。

 ミーティは頬を膨らませ、怒りを表現しながらも捕ってきた魚(?)を私に渡してくれました。

 

「泣いてなんかないもん! まったく、   は嫌なことばかり言うんだから!」

「ははは、ごめんなさい。おわびに今日はミーティが好きな物をつくりましょう」

「わーい!」

 

 魚(?)を受け取り、歩きやすいように整えた道を進んでいく。この川辺は住処にしている場所から少し離れているので、頻繁に訪れるのは苦労するのでミーティの様な元気な子がいてくれて大助かりしている。

 ミーティの頭を撫でながら、ゆっくりとゆっくりと戻っていく。撫でられたミーティは嬉しそうに尻尾を揺らし、笑みをこぼす。

 彼女が幸せなら、私も救われる。

私が成れ果てであろうと、誰かは幸せにできる。

 

 

 帰路についてから数十分、動き疲れたミーティが眠そうにしているので背中で担いで住処へと戻った。

まだ年齢を積んでいない彼女は、我慢をせずに我儘でいてくれればいい。

 

「ただいま」

「おかえり、今日は何がとれたの?」

 

 くるくると巻かれている尻尾、反り返っている前髪の様な毛。この場所に住む成れ果ての一人、名前はプルシュカ。

この場所には色々な成れ果ての子が住まっています、ついつい見つけては保護してしまうのが私の悪い癖のようです。この前もそれでプルシュカに怒られてしまいました。

 ご飯だって用意するの大変なんだから、  は優しいけれど考える事を身につけてよねと。

 

「ミーティがお魚をとってきましたよ、数匹はご飯にしてあとは保存食にしましょう」

「うん、わかった。私がミーティを寝かせてくるから  は用意してきて」

「はいはい、わかりました。気をつけてくださいね」

 

 背中で寝ているミーティをプルシュカにゆっくりと渡し、プルシュカはミーティの部屋へと連れて行く。

 ミーティが捕ってきた魚(?)を持って、調理できる場所へと移動する。途中、何人かの成れ果ての少年少女達が帰宅を嬉しがり背中をよじ登ったり、肩に乗って来る。

 また後で遊んであげますよ、そう宥めて調理場に来た。

台の下からこちらをのぞき込んでいる子の頭を撫でながら、空いている腕の数本を使い魚(?)を裁く。

 たまに毒をもっている奴もいるので、注意が必要。

この前は死ぬ間際までいって、泣きながらミーティにいいパンチを貰い昏倒しかけたので注意は怠らない。

 今日の魚(?)は危険度は少ない。

慣れた手つきで捌き、のぞき込んでいた子に内緒で魚の身をひと切れ口に運んでやると嬉しそうに食べる。

 

「つまみ食いさせちゃだめっていたのは誰だっけ〜?」

「おや、プルシュカきてましたか……痛い痛い、私の尾はそんな風に曲がりはしません」

 

 逆方向に尾を曲げられながらも、調理する手を止めない。ここに住まう子達を幸せに住ませること、それが今の私が一番に考えていること。不自由なく、したいことをすればいい。

私はそれを助けるだけだ、出来上がった料理(?)をプルシュカに渡して次の魚(?)を捌いていく。

 出来上がったのを次の子に、また次の子に。

数時間すれば片付けの為に皿を集め、川辺へと洗いに出かけなければならない。

 

「ご、ご飯……」

「おやおや、ミーティ……寝ぼけながらは危ないですよ。ほら、貴女の分もありますから」

 

 腹を空かせたミーティが来ることも予想して、一つ残しておいた物を手渡す。

自分は空腹と言う概念が無いので、食事はとらなくても死にはしない。

 まだ寝起きのミーティを抱え上げ、料理を持ち椅子に座らせる。机に料理(?)を置いて、ミーティの頬を優しくつねるとミーティは目を覚ます。

 嬉しそうに食べる姿はとても良い、幸せになれる。

私用に作っておいた椅子に腰をかけ、深く息を吐く。

 

 ここはどこで、私は誰かわからない。

何時か、わかるときがくるかもしれないが。

それまでは、この子達の笑顔を見ていられるだけでも良いんじゃないだろうか。そんな事を最近は思っている。

 

「   、お膝は空いてる?」

「ええ、いいですよプルシュカ」

 

 膝(?)に座るプルシュカの頭を撫で、安息にひたる。いつの日か、私が誰なのか分かる時が来るかもしれない。

それまでは彼女達の成長を見守る事にしよう。 

 

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