滅びしケルト魔術の使い手   作:妖精の瞳

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この度はリメイク版を読んでいただきありがとうございます。

自分でも旧作は読み返すと酷いと思いましたので、リメイク版を作ることにしました。
おそらく、こちらの方がいくらか良くなったと思います。

でも、相変わらずフィン・クルーダの表現が難しいです。
ちょっと無理矢理で自己解釈なところがありますが、気になるところがありましたら意見ください。
お願いします。


序章
プロローグ


魔術特製:霊樹の末裔

ケルト魔術:古代ヨーロッパに実在した「樫の木の賢者ドルイド」の魔術。この魔術口伝のみで伝えられ、膨大な量の詩歌や知識をすべて暗記しなければならない。

主にヤドリギから呪力を得て、特に月齢六日目、樫の木に生えたヤドリギは最上とされる。

神託や呪歌のほか、神の力を借りて嵐を巻き起こすこともある。

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□■-----

 

 

 

 

 

ウェールズの森には、人間を拒絶する清冽なまでの意思が存在する。

 

それも当然ではある。

 

日本の山や森は、よほどの深山でも基本的に人の手が入っている。人が住み、人が敬い、人と共存するのが日本の自然だ。

 

対して、ヨーロッパのそれは真逆。

人を廃し、人に牙をむく土地。

 

 

ゆえに、聖域。

 

 

それの入口から、鬱蒼(うっそう)とした森の小道を歩いたところに空間が開ける場所がある。

 

 

おおよそ体育館ほどの空間に、凄まじい大木がそびえ立っていたのだ。

頂は、森の天蓋を通り越して見えぬ。幹の太さは大人が十人両手を広げても、なお囲いきれないほどだ。地面をのたくった根は、大蛇にも似て何十本となく這い回り、苔むす大地に渦巻いているのである。

 

 

多分、元は樫の木だ。

だが、樹齢は果たして何年になるのだろうか。

百年や二百年ではきくまい。分厚く幾重にも重なった樹皮だけでも、その程度の年月は遥か昔に通り越している。

 

 

果たして、五百年か、六百年か。

あるいは、千年や二千年を超えてしまうのだろうか。

 

 

神聖視されてもおかしくない、その老樹の根元に、のんきに手枕で寝転がっている金髪の若者がいた。

その、若者の枯れ草色の髪も、鳶色(とびいろ)の瞳も、あまりに老樹と馴染みすぎていた。似つかわしくないといえば、若者の纏っている白のスーツのみだろうか。

 

 

そして、無防備に結界も張らずに寝ているこの若者は---

 

---"魔法使い"である。

 

それも、通常であれば才ある魔法使いが数十年掛かりで習得していくと言われる、今は滅びし"ケルト魔術"を一人で数年で再興した---

 

---世界でたった一人の"ケルト魔術"の使い手だ。

 

 

 

 

 

 

『フィン・・・フィン・クルーダ。起きてください。・・・起きるのです、フィン・クルーダ』

 

"特定の人物"にしか聞こえない、謎の女性の声が森に響き渡る。

声と同時に森が"警告"するかのように、草木はざわざわと騒ぎ立てる。

恐らく、森に外敵が侵入したことを知らせるの為のものと、まだ呑気に寝ている若者---

 

---フィン・クルーダを起こすために、草木は音を立てているのだろう。

 

『いつものことながら、起きないですか。仕方・・・ないですね』

 

謎の女性の声が響き渡ると同時に、老樹の枝が蛇の様にくねりフィン目掛けてしなる---

 

---その枝は空を切り、根元に当たる直前で止まる。

 

老樹の根元に、のんきに手枕で寝転がっている金髪の若者は、「ふあぁ~あ」と呑気にあくびをしながら、上半身をもたげた。

 

「おや。どうしたんです?」

 

と、老樹に顔を向けた。

 

『・・・本当、変わりませんね。貴方のそういうところ』

 

謎の女性の声は、老樹であったらしい。

そして、特定の人物とは"ケルト魔術の使い手である、フィン・クルーダ"のようだ。

 

「そうですか・・・これでも成長したつもりなんですけど。何か、頼みごとでも?」

 

フィンは柔らかな笑みを浮かべ、望みを聞くのが当たり前であるかのように老樹に訊ねる。

 

『やはり、変わりませんね。・・・森に人間を追って侵入してきた堕天使を無力化して欲しいんです』

 

「えぇ、構いませんよ。貴女の呪力をすこし使いますが、いいですか?」

 

老樹の頼みを二つ返事で快く了承する。

 

『あぁ、構いません。奴らはここから600m北西の位置にいます』

 

「ありがとうございます。では」

 

そう言い残し、木の上へと跳躍し堕天使がいる北西に向かって、最短距離で木々の間を跳躍していく。

 

『(変わりませんね。フィン・クルーダの性質(・ ・)は。妖精に攫われて帰ってきた取り替え児(チェンジリング)・・・か)』

 

老樹が心の中で哀しそうに呟く。

 

 

取り替え児(チェンジリング)---生まれたばかりの子供が妖精に攫われてしまうという、ヨーロッパの古い伝承。とりわけ、朝焼けと夕暮れの時間に多いと聞く。

 

日本でいうところの、神隠し。

向こう側(・ ・ ・ ・)に行ってしまった子供たち。

帰ってきたものも、普通にこちら側(・ ・ ・ ・)に馴染めるわけではない。一度でも向こう側を見てしまったものは、必ずその影響を残している。

 

 

たとえば、身体に。

たとえば、精神に。

たとえば---

 

---異能にも。

 

 

だからこそ、取り替え児(チェンジリング)は魔法使いの間ですら忌み嫌われる。当たり前だろう。魔法というのは、血と才能と技術に寄りかかったものというのが大前提なのだから。彼らは突然変異であるがゆえに、存在するだけで魔法の大前提を揺るがしてしまう。既得権益者にとって目の上のたんこぶに他ならないのだ。

 

 

 

 

 

 

特に、フィン・クルーダは取り替え児(チェンジリング)としてもケルト魔術の使い手としても有名だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、有名であるが故に過去にフィン・クルーダは並の魔法使い十数人から狙われた---

 

---多勢に無勢であったが、フィンは「いいですよ。まがいものなら、そのぐらいの陣営は必要でしょう」と相手に聞こえるようにつぶやき、ひとり頷いた。

 

その言葉に、相手は激昂し陣形もなし崩しに攻撃してきた---

 

---それが、一方的な虐殺の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

結果から言うと、フィンの圧勝だった。

 

 

相手の魔法使いが、多種多様な魔法---

---火、水、氷、雷、礫、光、闇、毒、を放ってくる。

その全てを、フィンはことごとく躱していくのだ。

まるで、舞踏であった。

ほんの一歩ステップを踏むだけで、あらゆる魔法は対象を失う。

避けるというほどの鋭さでもなく、足の運びはむしろゆったりした優美なもの。

なのに、当たらない。

 

「あなたたちの格付けは終わりました」

 

魔法使いを見ながら呟く。そこからは、本当に一方的な展開であった。

 

「--我は命じる(ハ イ ル)

 

呪文(スペル)はそれだけだった。呪力を励起するための呪物(フェティシュ)も、己の内側に魔術というシステムを構築するための暗示も必要なかった。

若者の手に一本。周りに無数に呪力でヤドリギが形成される。

ヤドリギは自動で放たれ、大きな弧を描きながら相手に向かって飛翔していく。

 

魔法使いたちは回避や防御をとるが、その場所にはフィン・クルーダが呪力を纏わせたヤドリギを片手に佇んでいた。まるで最初からその動きをとるとわかっていたかのように。

 

飛翔したヤドリギが魔法使いを穿つ。

フィンの腕が霞み、ヤドリギで魔法使いの首を一閃する。

魔法使いはろくに叫びも上げれずに、恐怖に打ちひしがれながら絶命した。

 

 

 

 

---数十分後、

そこは血の池だった。

切断された手足が転がり。首を無くし、今でも血が吹き出ている。腹を矢が貫通し、内蔵が飛び出している死体。

 

 

その中心に佇む若者---

 

---フィン・クルーダの白のスーツは返り血によって朱に染められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その殺し合いを---

 

---惨事を視ていた一人の魔法使いがいた。

 

 

その魔法使い曰く---

 

---人間の皮を被った、無邪気な化物だと。

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか?

自分でもあまり自信はないです。
ちょっと無理やりだった気もしますし(つд⊂)

気になる箇所がありましたら、感想・意見ください。
お願いします。


例年より暑くなってますので、体調にはどうかお気を付けてください。

では、また次回をお待ちください。
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