奈良シカマルが好きなんです!   作:あるか

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その1

私、人並ナミには人には言えない秘密がある。

何を隠そうこの私はーーーー・・・

 

 

奈良シカマルが好きなのだ。

 

 

 

私の朝は教室に入りシカマルを見つけるところから始まる。

シカマルは面倒臭がりの割に余裕を持って登校する。

おそらく遅刻して怒られる方が面倒だと判断しているのだろう。

シカマルは普段おおよそ授業が始まる15分前に登校する。

誤差があっても2,3分程度。

これは数週間にわたってアカデミー前の木陰で計測した結果だから間違いない。

だから私はいつも授業開始10分前丁度に教室に入り、シカマルの斜め後ろの席をキープする。

シカマルは人の少ない席を計算しているのか普段から周辺に座る人もほとんど居ない。

だから授業開始10分前でも余裕で座れる。

 

道行くクラスメイトに挨拶しつつ目的の席に着席する。

 

「シカマルおはよー」

 

「…はよ」

 

はい、「…はよ」いただきましたー!

はぁ〜、今日もシカマルはかっこいいなぁ眠たげな目がセクシーだしそんなに眠たくても挨拶返してくれるなんて優しすぎるしほんと他の女の子達がいつシカマルの魅力に気付いてしまうかと毎日そわそわしているよ。

どうにかシカマルを私に惚れさせようとアプローチしてるけど1ミリも響いてないのが悲しいけどね!きっと私のことなんて眼中にも無いんだろうなぁ。

いやでもそこそこ喋る方だと思うし!他の女の子達よりはアドバンテージあるよ私、頑張れ私負けるな私。

 

今日の授業は特に変わったものは無い。

でも!今日は月に一度の消しゴム忘れデーなのだ。

消しゴム忘れデーとは、大体月に一度のペースで(同じ日だとバレるから毎月違う日にしている)消しゴムや鉛筆、教科書等を忘れシカマルに貸してもらおう大作戦の決行日なのだ。

言い忘れていたが、私がシカマルのことを好きなのは誰にも言っていないし態度にも出していない。

万が一バレたら恋バナ好きのクラスメイトにからかわれるのが目に見えているからだ。

そんなことになったらシカマルは嫌がり私を避け、そのままこの恋が敗れてしまうだろう。

そもそもシカマルが嫌がるようなことはしたくない。

だからこの恋はシカマルが私に惚れるまで誰にも悟られてはいけないのだ。

 

「あっやば、消しゴム忘れた。シカマルー、消しゴム貸して」

 

「またかよ、お前案外抜けてるよな」

 

「あはは、今度から気を付けるよ」

 

やっばい!えっこれわざと忘れてるのバレた?わざとらしかった?えっえっやばやばやば

 

「まぁ別にいいけどよ」

 

セーーーーフ!セーフ?セーフでいいよね?お許しもらったし実質セーフだよね?

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

俺のクラスの人並ナミについて話そうと思う。

名は体を表すと言う格言の如く、普通なやつだ。

俺のように面倒臭がりな訳でもなく、かと言って真面目すぎる訳でも無い。

人当たりも良く特別仲のいい友人は居ないが嫌われている訳でも無いそこそこの友人関係を築いている。

好きな食いもんは甘い物って言うところも女としては特に変わってない平均的な好みだな。

朝はいつも始業開始の10分前に来て人が少ない席が好きなのかいつも俺と似たような位置に座る。そんなやつだ。

 

何故俺がここまで人並ナミについて詳しいのか。

それはこの俺、奈良シカマルがーーー・・・

人並ナミのことを好きだからだ。

 

俺があいつの性格や友人関係をこんなに知っているのはいつも観察しているからだし、甘いものが好きだと知っているのはあいつが他のやつと話しているのを聞いたからだ。

俺がこの席に座っているのもあいつがいつも人の少ない席に座っているからであいつよりも先に登校するのは俺の意思であいつの近くの席に座っていると思われないようにしているからだ。

俺の朝は授業開始の15分前に登校するところから始まる。

そこそこ揃った顔触れをざっと見て授業開始時の席の配置を予測し、最終的に最も人が少ないであろう席に座る。

そして顔を伏せ寝た振りをしてあいつを待つ。

この寝た振りはあくまでもあいつの事を意識していないと言外に伝えるための行動だ。

あとあいつが教室に入ってきた時にうっかり見てしまわないための予防策でもある。

そして数分後、あいつが登校する。

あいつは教室に入ったらまずその場にいる奴に挨拶をする。

そして席に座るまでその道中の奴に挨拶をしていく。

その声が近付いてくるのを聞きながら俺の心音がどんどん早まっていくのを感じる。

もうすぐだ、もうすぐ…

 

「シカマルおはよー」

 

「…はよ」

 

これがあいつと毎日交わす数少ない会話の一つだ。

意識していないよう気怠げな顔を作り、しかしあいつの顔をちゃんとこの目で見て挨拶を返す。

あいつはいつも俺の後ろの席に座るから、これは1日の中であいつの顔を見れる数少ない機会なんだ。

絶対逃してたまるか。

 

今日の授業は普段とさして変わることは無かったが一つだけいい事があった。

あいつは基本的にはしっかりしているが、たまに抜けたところがある。

簡単に言うと大体月に一度くらいの頻度で忘れ物をする。

その時周りに人が座っていなければ、俺に助けを求めてくる。

今日がその日だった。

今日は運良く俺とあいつの周りにはチョウジしか座っておらず、しかもそのチョウジはあいつとは反対側の俺の隣だった。

従ってあいつは俺に助けを求めてきた。

 

「あっやば、消しゴム忘れた。シカマルー、消しゴム貸して」

 

「またかよ、お前案外抜けてるよな」

 

「あはは、今度から気を付けるよ」

 

まずい。

気を付けられたら月に一度あるかないかの楽しみが減っちまう。

どうにか問題無い事を伝えねぇと。

 

「まぁ別にいいけどよ」

 

どうにかこれで少しでも気にしなくなってくれ。




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