Fate/stay night [oath under snow] 作:ぽん太
―――――――俺は誰かを救う正義にはなれなかったみたいだ。
だけど、勝ったよ。切嗣。
視界がぼやけてくる。もう腕に力が入らない。これが走馬灯ってやつなのか・・・
あと、心残りなのは、桜を救ってあげたかった。
聖杯の願いがかなうならば、桜にもう一度会いたい。
そして救って見せる・・・・・。
◇◇◇◇◇
目を開ける、視界は妙にクリアで体の節々の感覚が鋭い。
あたりを見渡すと、そこには球体上の何かがある。
「ここは、英霊の座なのか・・・・。どうして俺は生きてるんだ・・・。
そうか、俺は置換の魔術、エインズワースのクラスカードを
使用してきた、その副産物として俺の体ごと英霊化してしまった
そう考えるのが自然か。」
守護者となった今、俺にできることはやはり正義の味方としての道なのか
後悔はない。むしろ死後になっても誰かを救う機会があったなら、それは
願ってもないことだ。
視界がまた、ぼやけ始める。おそらく俺は召喚されるらしい。
今度、召喚されたときは、必ず誰かを救ってやる。
◇◇◇◇
「___告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意この理にに従うならば答えよ」
声が聞こえる・・・・。
「___誓いをここに。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者___」
この聞き覚えのある声、懐かしい。なんだか涙が出そうだ。
「___汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ_!」
視界が開ける、尋常じゃない魔力に驚かされる。
おそらく魔力供給が上手くいっているのだろう。
「サーバント エミヤ 召喚に応じ参上した。」
「えっぇ、衛宮なのか・・・。なっなんで、衛宮なんかが
英霊として召喚されてるんだよ。くそ。」
その声の主は、以前殺したことのある間桐何だっけさんだ。
おそらく、名前はあるんだろうが俺は知らない。
「・・・・先輩・・なんで・・」
懐かしい声、ああこの声だった。声の主はそこに座っている。
「桜なのか・・・。」
俺はこの少女に注視する。
「なんだよ、お前・・さっきからよそ見しやがって。
マスターはこの僕、間桐慎二だ。そこの〃ゴミ〃なんて見てんなよ。」
コイツは桜のことを指さしている。こいつは桜のことを〃ゴミ〃と言ったらしい。
「お前は妹のことをゴミといったな。それに俺のマスターお前じゃない。
桜だ。魔力はお前からは確実にきていない。」
「ふーん、お前衛宮のくせに僕に逆らおうとしてるんだ。
だけど僕にはこの本がある。僕はこの本、偽臣の書でお前を
従えれるんだ。どうする。エミヤ。」
余程、頭にきたのか怒りを露わにする慎二。
おそらく、あれは一種の魔術的契約何だろう。
なら、それを破棄できる武器が必要だな。
「トレース オン」
俺は、ルールブレイカーを投影した。これでこの本を破壊できるだろう。
俺は、慎二に近づく。慎二は足を震わせている。
やはり刃物を持ったものと相対するのは怖いんだろう。
「慎二、諦めろ。その本を貸せ。」
「嫌だね。渡すもんか。」
俺は、瞬時に近寄りこの本を破壊した。
一瞬のことで驚きを隠せない慎二。
「ああ、僕の本が・・・・消えた。」
「慎二、これでお前は俺のマスターではない。俺のマスターは
間桐桜だ。」
俺は、横にいる彼女を起き上がらせる。彼女も動揺を隠しきれていないみたいだ
「あと、慎二。今度妹をイジメるようなことをしたら許さないぞ。」
俺はそう言って桜に近寄り、霊体化した。
◇◇◇◇◇◇
――――――――ああ、衛宮先輩だ。
いつもの風景。学校生活、普通に生きることが
とてつもなく幸せ。私は出来ることなら、この人の傍にいたい・・・・。
―――――――「桜。・・・桜。桜起きたか?」
ベッドから起き上がる彼女の上体を支える。その華奢だが、
その反面大人の色気を醸し出す体をしている。
「桜、夕食食べるか?一応食べやすいものを作ってみたんだけど。」
いきなりのことで驚いている桜は困惑しながらも食事に手を付けてくれた。
「美味しいです。先輩。」
満足げな表情で、平らげている。多分おなかが空いていたのだろう。
食事も終わり桜は、俺と向かいあって座った。
その真剣な顔には、悲しさが残り聖杯戦争の不安がうかがえる。
「先輩は、本当に英霊なんですか。私の知っている先輩は
魔術や戦いに身を投じていません。」
日常生活で俺を知る人はもちろんそういう。
「いや、桜。俺は本当に英霊だ。どこの英霊かどうかは自分でもわからない。」
「なんでわからないんですか。英霊は基本自分の功績や名誉を持っているはずです。」
「そうなのか、おそらく俺の場合はすごく特殊で英霊となった過程が違うみたいだ。」
「ところで桜はエインズワースという魔術家系を知っているか?」
「いいえ、知りません。聞いたこともありません。」
「そうか、ようやく合点がいった。」
俺が生きていた世界とこの世界は違っていてクラスカードも
なく、桜が死ぬこともなかったわけだ。
「桜、俺が学生時代を生きてきた世界とこの世界は違っていたんだ。
だから、俺が英霊になった過程はこの世界になくて、おそらく説明すれば
長い話になる。俺の昔話はまた今度な。」
「わかりました。それ以上は聞きません。」
桜は、少しむすっとした表情だ。
「では、マスター指示を」
「マスターはやめて下さい。桜でお願いします。
あと、先輩のクラスは何ですか。」
「おそらくアーチャーだと思う。それとこの世界にも
衛宮士郎はいるんだろ。呼び方は変えた方がいいんじゃないか?」
「そうですね、では士郎さんと」
「わかった。今後の方針はどうする。」
「士郎さんは聖杯に願いはあるんですか?」
……願いか
俺が今この少女と共にいることがまず奇跡なんだよな。
これ以上は、我儘だろう。
「いや、ないよ。だって俺の願いはもう叶っているからな。敷いていえば、聖杯戦争で
一般が巻き込まれるのは見過ごせないかな。」
そういうと桜はとびっきりの笑顔になる。彼女は笑顔が似合う。
「やっぱり、士郎さんは優しいです。世界は違っても私の知る優しい
先輩です。」
「桜は、何か願いがあるのか?」
「私は、聖杯戦争に託す願いはありません。私は当たり前の普通な生活がしたい
です。」
「では、今後俺は君と行動すべきなのか。」
「そうですね。私の傍で霊体化しててください。」
「わかった。」
会話もひと段落し、そろそろ寝る時間だ。
「桜、今日は疲れただろう。もう寝たらどうだ。」
「わかりました。士郎さん少しだけ手を握ってくれませんか?」
甘えた声で桜は俺を見る、その蕩けた顔がまた愛らしい。
「わかった。お休み桜・・・・・。」