どれくらいがいいのか感想(?)とかで言ってもらえたりしたらありがたいです!(ハーメルンについてあまりよくわかってなくて……)
放課後。
俺は早速、生徒会室へと足を運んだ。
「あ、お兄ちゃん!」
「お兄さん!こんにちはです!」
扉を開けると、生徒会メンバーは忙しそうに仕事をしているのが見える。
小町と大志に軽く、おうとだけ相槌を打って中へ入っていく。
そして、いつものように一色は──
「せーんぱいー、遅いですよー」
仕事にはあまり触れず、呑気に椅子に座っていた。
「遅いってお前な、仕事もせずに何をしてるんだよ」
人に仕事を押し付けておいて自分は楽しようなど片腹痛い。
ここは一つ、先輩として注意しておくべきではないだろうか。
「は?生徒会長としてちゃんとメンバーを監視してるじゃないですか?」
……その、なんて言うかいう気が失せてしまった。というか、発言が想像の斜め上を行き過ぎていて言い返すとも出来ない。
「そ、そうか…………まあ一色に限ってはそっちの方がいいかもな」
こいつは指示出しや、周りのヤツらへの気配りについては中々の評価を与えれる。つまるところ、人を扱うのが上手いのだ。
むしろ副会長やその他メンバーからしたら、仕事なんてされたら足でまといにしかならないかもしれない。
さらには私物の冷蔵庫から紅茶を取り出し、カバンの中に入っていたお菓子と共に一人だけ自由気ままに高みの見物をしている。
…………やはり声だけでもかけておくか。
「おい一色、少しは手伝ったらどうだ?俺も見てやるから」
「むー仕方ないですねー。ではお昼に言ったサヨナラパーティーの案件に取り組むとしましょう」
「おう。で、そのパーティーで何をするんだ?」
「それが問題なんですよ、何も決まっていなくて。そもそも何でうちに来るんですかね、カナダのえっと……何とかスクール」
「ハンワースセカンリースクールな、それくらい覚えてやれよ」
そう。
うちの総武校では毎年四月になるとカナダにあるハンワースセカンリースクールという珍妙な名前の学校から生徒が体験入学に来るのだ。
この体験入学は年間行事に毎年含まれるほどの大々的なモノであり、その過程もそうだが、最後のサヨナラパーティーが印象付けとして最も大切になる。
「去年のサヨナラパーティーは確か……体育館の舞台を使って色々と演し物をしてたよな」
「はい、さすが城廻先輩って感じでしたよね」
「ああ……」
何なら今年も去年と同じことをしてもいいのだが、去年のめぐり先輩の活躍が大きすぎて二番煎じに思われてしまうので得策ではないだろう。
なんたってあのめぐり先輩だ。みんなの城廻めぐりをしていたあの人に、この一色が敵うはずなどない。
であれば必然的にそれ以外で楽しめるものを考えなければならないのだが…………
「これと言っていいものが思いつかないな」
「はい……去年が凄すぎてハードルがどうしても高くなってしまいます……」
「まあそんなスグに決まるものでもないだろう。とりあえず今日は考える時間を与えて、一人につき二つか三つ案を考えて来てもらう。それで後日話し合いをしたらいいんじゃないか?」
「そうですねー」
よし、これで俺の今日の仕事は終了。
小町と一緒に帰って、サイゼでもご飯を食べに行くとするか。
と思っても、この悪魔は全てを見通したかのように言動を遮ってくる。
「じゃあ先輩!今日はもう帰りましょう!」
「……は?」
「は?ってなんですかー。この美少女が一緒に帰ってあげるって言ってるんですよー」
思ってた反応と違ったのか、一色は頬を膨らませぷいっと顔をそっぽへ向けた。
「え?美少女?どこにいるんですかね?そもそも俺は小町と帰りたいんだが……」
「こ、こ、に、いるじゃないですかー!」
「はいはい、確かにお前は見た目だけは美少女だな、見た目だけは」
大事なことなので二回言いました。
「そ、そうですか……っていや!中身も超絶美少女ですよ〜」
「まぁお前が美少女かどうかは置いておくとして、何でお前が帰るの。副会長とかむっちゃ忙しそうに仕事してるじゃん」
これではまるで社会の闇を見ているようだ。
歳上の先輩や上司から『あれやって』『これやって』と指示されながらも、指示した本人は何もせず他の人達と喋りながらサボっている光景。
よくあるよね?
ソースは俺。
高校に入って暫くたった頃、欲しいゲーム機を買うためにバイトを始めたものの、パシリにされ続け長く続かなかった。
そう言えばちょっと前にもあったな。あれは確か文化祭の時。パシリ扱いされてたのは今でもよく覚えている。っべー、人ってマジで人だなー、っべー。
「みんながやってるのは主に書類作りやらチェックやらですし、別にいいんじゃないですかね?私帰っても」
「はぁ、まぁ別にお前必要なさそうだしな」
「ぶー、それは結構酷くないですかぁ」
ふてくされて不満気な顔をするが、そう言われても自業自得なものである。
「悪かったって。それじゃあ帰るか。小町〜、先行ってるからな〜」
あいあいさー、というよく意味の分からない返事を貰った所で俺と一色は生徒会室を後にした。
そのまま昇降口へと、こつんこつんと小さな音を立てながら歩いていく。
……まあ、たまには悪くないな。こういうのも。
あの日、あの時から。
俺は後悔した。いや自分でこうなる道を選んだ。
本物なんて求めずに、偽りを選んでしまった。
それは俺の罪だ。
結果的に一人になる道を選んだ。
それでも、こんな俺を頼りにしてくる一色は、俺の唯一の救いなのかも知れない。
だから俺は彼女が頼ってくる間は、彼女を助けてやろうと。
俺はそう決めた────。