隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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やっと6月です。カフェの話なのに学校行事回です。

ちなみに、川嶋くんの会話が少ないです。
あとは、視点変更を取り入れてみました。
では、お楽しみください。


学校行事の醍醐味は授業が潰れること

 6月某日

 

 なんか5月が異様に長かった気がしたが気のせいだろうか。

はたまた忙しい上に内容が濃かったからだろうか。

GWに母の日の忙しさ。更に高森さんのお泊まり&買い物、島村さんの誕生会、俺の誕生日。

うん。濃いな。

 

 ちなみに未だに高森さんの誤解を解けてない。何度か直接言おうとしても避けられているのが現状。

頼みの綱の渋谷大明神もスケジュールが合わず、事務所で会えていないらしい。

もどかしい。前の自分なら誰かと会えなくても何ともなかったのに、高森さんと話していないだけで寂しさと切なさと何故か焦燥感を感じている。

そのせいか、満足に眠れていない。

 

 ともあれ、今日は授業が無いため居眠りで教師陣に怒られることは無い。

何故かというと・・・。

 

「2の4、勝つぞー!」

 

「「「イェッサー!」」」

 

 本日は球技大会だからである。

 我が校の球技大会は、男女それぞれ、フットサル、バレーボール、バスケットボールに分かれて行われる。

それぞれの競技ごとでポイント(1位10P、2位5P、3位3P)が与えられる。

 最低1人1つの競技に出なければならず、逆に1人が出られる競技数に上限は無い。ただし、自分が部活動として所属している競技には出られない。

 つまり、サッカー部に所属していればフットサルに出場できないということだ。(ただしマネージャーは除く。)

 

 俺はバレーに出場することになっている。

まぁ、フットサルやバスケと違ってそんなに複雑なルールではないだろうし。……バレー部には怒られそうだけど。

 

「さて。初戦は2の2だけど……まぁ、何とかなるだろ」

 

「まぁ、フットサルとかなら勝てないけど、あのメンツならな」

 

 2の2はフットサルとバスケに体育会系を揃えて、バレーはほとんど文化系のメンツである。

 

「スタメンはこのメンバーで行くぞ」

 

 なんか部活のノリ(体育会系がいるのでそうなるだろうけど)でスタメンも発表される。スタメンのみんな、頑張ってくれ。

……あ、俺もスタメンに入ってるのね。眠気がぁ-。

 

 結果からいけば、ストレート勝ちだった。相手側の自滅もあったけど、労せずして勝つことが出来た。

 

「さて、ここが正念場か」

 

「3の1……だな」

 

3の1。体育会系と文化系が半々だけど、団結力がある。一人につき攻撃力が800あがっているのだろうか。

 昨年の球技大会では、総合3位になっていることからその実力がうかがえる。

 

「メンバーは今のままで大丈夫か?」

 

「今のメンバーがベストだからな」

 

「川嶋さん、大丈夫っすか?」

 

 中心メンバーの1人が話し掛けてきた。顔色が悪く見えたか、はたまたいつも以上にしゃべらないからか……

 本音は眠いだけなのだが。

 

「大丈夫、問題ない」

 

何人かが『おい、フラグだろ』って顔をしていた。

 

「じゃあ、頼みます」

 

 俺は首肯で答える。

 

 

 試合は一進一退。2の2ほどスムーズにいかない。

相手側はミスをしてもフォローし合い、声も出ている。流れ的にはあちらが有利だろうか。

 一方でこちらは中心メンバーの頑張りでもっている。

ただ、その中心メンバーが疲れてきたら持っていかれるだろう。

 ここら辺で流れを変えなきゃいけないな。

そんなことを思っていると、相手側でトスが上がる。

トスの先は・・・相手側の中心人物だ。彼の攻撃で流れが出来てしまう。だからそれを……止める!

 

 スパイクの方向を読んでブロックする。

 

「川嶋さんナイス!」

 

「いけるよいけるよ!」

 

 ブロックを決めたことでこちらのチームが活気づく。

逆に相手側は励ましつつも動揺を隠せないようだ。

中心人物が止められたのだ。チームに影響しないわけがない。

 

「よっしゃ、サービスエース!」

 

 何気ないプレーでもミスが出始める。

 

「またスパイクくるぞ!」

 

トスに合わせて前衛2人が走り込んでくる。

 

1人は件の中心人物。こちらの前衛がブロック2枚で止めに行くが――

 

「それは読んでますよ」

 

「うおっ、また川嶋さんが止めた!」

 

「キレてる、川嶋さんキレてるよ!」

 

 そっちは囮だと判断し、もう1人の方を止めにいったのだが正解だったようだ。ちなみにキレてないです。(後で読みがいい的な意味だと知る)

 相手側はもう絶望的な表情を浮かべている。相手ではあるが、『諦めんなよぉ!』と言いたくなる。キャラじゃない?寝不足でハイになっているんだろうな。

 

 

 

 side高森藍子

 

 私は自分が出場していたフットサルの試合を終え、クラスの男の子を応援するために体育館に戻って来ました。

 今のバレーボールの試合は……3の1対2の4。

川嶋さんのクラス。それだけで胸が高鳴りました。

 

「お、川嶋先輩出てるね」

 

 隣にいた由奈ちゃんが川嶋さんを見つけたようでアソコアソコと指差します。

その指先を目で追うと――

 

「うわっ、1枚で止めたよ」

 

 川嶋さんが3年生のスパイクをブロックしたところでした。盛り上がる2の4。川嶋さんもクラスの人のタッチに応じています。

 

「川嶋先輩って部活入ってたっけ?」

 

「入ってなかったと思うけど」

 

入っていたらアルバイト出来ないと思うし。

 

「ふーん……。上背あるからもったいないなぁ」

 

 由奈ちゃんは羨ましそうに言いました。

 由奈ちゃんはバレー部に所属しているのですが、背が低いのが悩みのようです。

 

「おっ!」

 

 由奈ちゃんが突如声を上げました。試合に目を向けると、トスに対して3年生の先輩が2人走りこんでいました。

 

「あれも防いじゃうのか~」

 

 2年生の先輩2人が最初に跳んだ人に合わせてブロックしたのに対し、川嶋さんは1人でブロックを決めていました。

 

「読みがよすぎないかな?」

 

「う~ん……」

 

「あーちゃん、どしたの?」

 

「ううん。なんでもない」

 

 今日の川嶋さんを見ているとイヤな予感がするけど、気のせいですよね?

 

side out

 

 

「川嶋さん、お疲れさまっした」

 

「お疲れっした」

 

 試合は3対1で勝つことが出来た。相手の中心人物を抑えられたことが大きかった。抑えられたことで、相手は裏をかこうとしていたが、普段と違うことを強いられたことでミスが目立ちはじめた。

 準決勝と決勝はバスケの試合の1回戦、2回戦を挟んで行われるから、少しは寝られる。

 クラスメイトの労いの言葉に、大したことないと言うかわりに手を振って答える。

 教室へ戻り、昼メシを早々に終え、仮眠を取ることにした。

 

 

「川嶋さん、起きてください!」

 

「んあ? 何?」

 

「ヒィッ!た、大変申し訳ないんですけど、日程が急遽変更になりまして、開始時間を早めて準決勝を行うことになりまして……」

 

 話を聞くと2回戦の最終戦、1の3対3の2の試合が長引き(なんとフルセットまでもつれたらしい)、それならバレーを終わらせて、午後からバスケをすることになったらしい。ぎゃあてぇ……

 

「分かった。すぐ行く」

 

「お願いしゃすっ!」

 

 起こしてくれた彼は90°のお辞儀をした後、足早に去って行った。

 

 

「さて……川嶋さん、大丈夫っすか?」

 

「大丈夫、問題ない」

 

 正直眠いが仕方ない。ベストを尽くそう。

 

 

「しゃーおらー!」

 

 さすがに準決勝。3の2のメンツは体育会系で固めてきた。

ベンチに文化系の先輩もいるのだが、スタメンは――先輩に失礼なのだが――ゴリラと言っても過言ではない方ばかりであった。

スパイクはブロックされ、逆にブロックを弾くようなスパイクを打ってくる。あっさりと2セットを取られてしまった。

それでも何とか1セットを取り返した。4セット目も中盤。スコアは15対20。

 

「川嶋さんがまた来た!」

 

「まさかの3連続のバックアタック!」

 

「もう止められない!」

 

 体が温まってきた上に気分がハイになってきたのか、相手の動きが手に取るように分かる感覚に陥る。

 もう何も怖くない!

 

「うおっ!こっちも強烈なスパイクだ!」

 

 先輩の強烈なスパイクをクラスメイトがなんとかレシーブするも、ボールはコートの外へ――

 

「オーライ、オーライ!」

 

 追いかけて、何とかコート内に戻す。

 

「げっ!」

 

向かった先には、応援していたのだろう、女生徒が――

 

「くっ!」

 

 無理矢理体を捻って女生徒を避けるも、足がもつれて壁に激突。

 起きなきゃと思いながらも、俺の意識は沈んでいった。

 

 

side高森藍子

 

 惜しくも負けてしまったバレーの試合を終えた後で、私はお昼ご飯を食べていました。由奈ちゃんは食べ終わったみたいで、急遽日程が変更になったバレーの試合を観に行きました。

なんでもプレーの参考になるかもしれないとのこと。

 

「あーちゃん、大変だよ!」

 

 由奈ちゃんが大急ぎで教室に入ってきました。どうしたんでしょう?

 

「川嶋先輩が保健室に運ばれて!」

 

「えっ!?」

 

 その後由奈ちゃんが何か説明してたけど、私は急いで保健室へ向かいました。

 

「先生! 川嶋さんは!?」

 

「保健室だから静かにしようね?」

 

「あ、すみません」

 

 保健の森山先生に注意されて、謝ります。

 

「壁に勢いよく激突していったからね。脳震とうはおこしてるけど軽いものだよ。目が覚めないのは寝不足が原因かもね。」

 

寝不足……ですか。ホッとしてその場にへたり込みます。

 

「大丈夫?」

 

「腰が抜けちゃって……」

 

「アハハ。落ち着くまで彼のそばにいてあげるといいよ」

 

「か、彼じゃありません!」

 

 反射的に否定します。ただ、自分でも予想以上に声が出てしまい、口を抑えます。

先生はキョトンとした顔をしたかと思ったら大笑い。

 

「アハハ。ボーイフレンドの方じゃなくて、3人称の方だよ」

 

「あうぅ……」

 

 先生に指摘されて、顔が赤くなるのが分かりました。

 

「しっかし、アイドルに心配かけるなんて、罪作りな男だねぇ」

 

 じゃあ私は本部に戻るから、と先生は保健室を出ていきました。

 

 私は何とか立ち上がり、ベッドの横のイスに腰掛けます。

久しぶりに川嶋さんの近くに来た気がします。

しばらく川嶋さんの顔を眺めていたのですが、ホッとしたせいか眠くなってきてしまいました。

少しだけ……いいですよね。

 

side out

 

 

 

 目が覚めたら見慣れない天井だった。

ここはどこなんだ? ってか、俺はなんで寝ているんだ?

たしか、バレーの試合をしていて、レシーブしようと――

 

「つっ!」

 

頭に痛みがはしり、ぼやけていた意識がハッキリしてきた。

 

「あぁ、壁に激突したんだっけ」

 

 意識がハッキリしてきたからか、薬品の匂いがしてきた。

 頭を触ってみるが、タンコブが出来ているぐらいだろうか。腫れている以外外傷はないようだ。

ってことはここは保健室だろうか。

 

ふと足に重みを感じて起き上がると――

 

「高森さん?」

 

 高森さんが突っ伏すように寝ていた。

もう一度言おう。高森さんが寝ていた。

 

「え? なんで? なんで高森さんが?」

 

「んう?」

 

 高森さんが起き上がり目を擦る。

何この生物。カワイイ。

 

「あ、川嶋さん。……川嶋さん!?」

 

「えっと……オハヨウゴザイマス」

 

「おはようございます。じゃなくてですね!?」

 

 高森さんが怒っている。眉をつり上げ、頬を膨らませて怒っている。

 

「私、心配したんですよ! 軽い脳震とうと寝不足って……。ちゃんと寝ないとダメじゃないですか!」

 

 怒るところそこなんだ。

 

「何でですか!?」

 

「えっ!?」

 

「何で寝不足になったんですか!?」

 

「あ、ええと……」

 

「どうして!?」

 

 徐々に詰め寄ってくる高森さん。近いです! 怖いです!

 

「考えていたんですよ。高森さんに謝る方法を。渋谷さんにも協力してもらって」

 

「待ってください。何故そこで凛ちゃんが出てくるんですか?」

 

 思わず口を滑らせてしまった。正直に高森さんに話すことにした。

 

 

 

「じゃあ、黒髪の女性っていうのは……」

 

「誕生会の相談に来た渋谷さん」

 

「小さい女の子は?」

 

「お察しの通り、妹です」

 

「じゃあ、私と正反対のボーイッシュな女の子っていうのは?」

 

「……」

 

「誰なんですか!?」

 

「多分、俺の服着た高森さん……かなぁ。」

 

 他に思い浮かばないし。

高森さんは顔を隠した。なんか『私は私に……』とか聞こえたけど。

 

「気分悪くさせたので……ごめんなさい」

 

「いえ、私もすみませんでした」

 

2人して頭を下げて、2人して笑い合った。

 

 

 時間がかなり経っていたのか、下校時間になってしまい、帰ろうとしたら、廊下に荷物が置いてあった。

クラスの誰かが置いてくれたのだろうか。感謝して高森さんを駅まで送っていった。

 

 ちなみにバレーは俺が負傷退場してからクラスが奮起したのか、準決勝は逆転勝ち。

決勝も一致団結してフルセットの末辛勝し、優勝を果たしたらしい。

俺が復帰しなかったこともあり、祝勝会は後日行われるらしい。




 なんとか仲直りまで漕ぎ着けました。
この後は、どういう展開に行くのか・・・。次話はお店回になるのか、期末テスト回になるのか・・・。

次回をお楽しみください。
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