隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 遅くなりました!
実家がド田舎で、毎日雪、雪、雪で、除雪してたりなんだりで投稿遅れました。
今回は短編3本でお送りします。


短編集

『誕生会アフター』

 

 

「次回から誕生会はこちらでやるのもいいですね」

 

 ケーキを食べながら島村さんが笑顔で言った。

 

「いいかもしれないね」

 

「あれ?この中だと1番近いのは誰だっけ?」

 

同意する渋谷さんと誕生日を確認する本田さん。

というか、ここでやることは確定なのか……。ありがたいことではあるけど。

 

「私と凛ちゃんは8月10日ですっ!」

 

「あぁ、2人とも一緒だったんだっけ?」

 

「「はい!」」

 

渋谷さんと五十嵐さんは同じ誕生日なのか。

っていうか、アイドルの女子トークに平然と混ざってるよ、このアラフィフ。

 

「私と未央ちゃんは12月ですね。」

 

「私は1日。みほちーは16だよね」

 

「私は4月の24日ですから、私が1番近いですね!」

 

「いや、これ卯月ちゃんの誕生会だからね?」

 

6人の話に耳を傾けながら、手持ち無沙汰なので人数分のカフェオレを入れる。

 

「ところで川嶋さんは誕生日いつですか?」

 

急に島村さんが聞いてきた。

 

「あ~・・・今月末」

 

「「「「「え!?」」」」」

 

お、おう。そこまで驚かれるとは思わなかった。

 

「正確には……28日だっけ?」

 

「そう28日」

 

マスターは覚えてくれていたみたいで少しうれしい。

 

「来週じゃないですか!?」

 

「え、嘘!? 誕生日おめでとう……いや、まだ誕生日じゃないけど」

 

「プレゼント準備しないと。バラの花束でもいいかな?」

 

「お、お誕生会やりましょう!ここで!」

 

「私、また腕によりをかけますよっ!」

 

 お、おう。嬉しいんだけど、何人かおかしいぞ!?

まぁ、祝ってくれるのは嬉しいな。

 最近は叔父さんたちが祝ってくれてたけど、ガキの頃は母さんは未希が小さかったからかかりきりだったし、親父は――

 

「ちょっ、川嶋さん! なんで泣いているの!?」

 

「えっ?」

 

渋谷さんに指摘されて頬を触ると濡れていた。

 

「いや、身内以外で祝ってくれる人は久しぶりでさ。嬉しくて」

 

「それならいいけど……」

 

 若干みんなオロオロしているのが分かる。小日向さんなんかはかなりの慌てっぷりだ。

 

「ともかく、プレゼントとか誕生会とかは大丈夫だよ。メールなんかで祝ってくれればそれだけでいいよ」

 

「でもそれって、アイドルと連絡先交換したいってことだよね?」

 

「あ……」

 

 本田さんに指摘されて気づく。普通に話しているし、普通に『連絡して』って言ったけど、相手はアイドルだった。

 

「あ、いや、ゴメン。そういうことじゃなくて、その……」

 

フォローしようとするが言葉が出てこない。

 

「アハハ。冗談だよ。かっしーは天然だね」

 

か、かっしぃー!? ナンダソレ!?

 

「かっしーって!?」

 

「いつまでも『川嶋さん』じゃ他人行儀じゃない? 身内にも川島さんがいるし、ならかっしーでいいかなって。どう?」

 

 この人、初対面で俺をかなり睨んでた気がするんだけど……あだ名つけるのがこの人なりのコミュニケーションなのだろうか。断る理由は無いし、まあいいかな。

 

「まぁ、いいけど」

 

 

「じゃあ、決まりね。って、P.C.Sの3人、早いよ!」

 

「「「えっ?」」」

 

 スマホを手に取り、連絡先を交換する準備に入っている3人。疑うことを知らないのだろうか……。

 対象的に渋谷さんは我関せずといった感じでカフェオレを飲んでいた。まぁ、渋谷さんとはプランの確認のために連絡先交換したからね。

 

 その日、俺のラインに4人分の友達が増えた。

さらに誕生日当日におめでとうラインが5通届いたのだった。

 

 

 

 

『誕生会アフター・アフター』

 

 

346プロダクション 女子寮

 

 

「みんな、ご飯だよ~」

 

 響子ちゃんの声にみんなが食道へ向かう。もちろん私も。

 

 女子寮では、いろいろな決まり事があるんだ。

例えば、『ご飯はみんなで食べる』

お仕事や用事がない子は基本的にみんな一緒に食べるんだ。やっぱりみんなで食べると美味しいし、楽しいよね。

 あとは、料理当番。みんなでの共同生活とはいえ、一人暮らし。将来的なことも考えて、料理当番を決めて朝ごはん、夕ご飯を協力して作るんだ。

 私もまだ上手にできないけど、響子ちゃんやまゆちゃんに教えてもらいながら少しずつ勉強中。

 2人みたいに上手につくれるようになりたいなぁ。

 

 

 今日の担当は響子ちゃんと美穂ちゃん。だからとっても楽しみなんだぁ。

 

 

 食堂に着くと、みんなが驚いていた。うん。これは驚くよ。だって何品もおかずがあるんだもん。

 

「ず……ずいぶん作ったんですね」

 

「えへへ、実は――」

 

 幸子ちゃんの言葉に響子ちゃんが事実を説明してくれた。

 

 今日卯月ちゃんのお誕生会をやったこと、その会場が事務所で話題になっている『clover』で行われたこと、そこで響子ちゃんとバイトの男の子が調理したこと、お互いに白熱しすぎて料理対決みたいになっちゃったこと、気づいたら喫茶店の食材を使い切ってしまったこと、店長さんのご好意でお土産替わりに今日の料理を持ち帰ってきたことetc

 

 響子ちゃんってスゴい。改めてそう思ったよ。

 

「と、いうわけで今日の夕ご飯はビュッフェスタイルだよ」

 

 召し上がれという響子ちゃんの声を合図にするかのようにみんな取り皿を持って料理を取りに行く。

 

「フヒッ、キノコソースの和風パスタか。いい仕事だ」

 

「このハンバーグ美味しいなぁ。目玉焼きとケチャップが血と目だm」

 

「美味しいのは同感だけど、グロいのはNGにゃ!?」

 

「フライドポテト(m風)とフライドポテト(M風)とツイストポテトとジャーマンポテトとマッシュポテト……ポテトばっかや~ん。加蓮ちゃんが喜びそうだけどさぁ」

 

 いつも以上に騒がしく、でも楽しい夕ご飯。みんなも笑顔で会話の花が咲く。

 

 私もハンバーグを一口食べてみる。美味しいのは間違いない。でも、いつもの響子ちゃんのハンバーグとは何か違うような……。

 

「今日のハンバーグは味が違うみたいですけど、響子ちゃんが作ったんですかぁ?」

 

 まゆちゃんが同じ疑問にいたったのか、響子ちゃんに尋ねる。

 

「今日のハンバーグは私じゃないですよ! そのハンバーグを作ったのは川嶋さんです!」

 

「川島さん? でも川島さんは今日は地方でロケでは?」

 

「川島瑞樹さんじゃなくて、喫茶店のアルバイトの川嶋さんですっ!」

 

 響子ちゃんと美穂ちゃんが川嶋さんについて教えてくれた。何でも、高校二年生なのに、マスターと2人で喫茶店を切り盛りしているとか。スゴいなぁ。

 

「気になりますねぇ。まゆも行ってみたいです」

 

「私たちより凛ちゃんとか藍子ちゃんの方が詳しく知ってると思うよ」

 

私も2人に聞いて今度のオフにでも行ってこようかな。

 

と、響子ちゃんと目が合った。

 

「美味しい?蘭子ちゃん」

 

「うむ!」

 

 

 

 

『幸せの代償』

 

 

346プロダクションレッスンルーム

 

 

「ほらほら、お前らの実力はそんなものじゃないだろう!?先日のライブを思い出せ!」

 

今日も今日とてマストレさんの声が響く。

と、言っても矛先はあたし達ではなく……

 

「自分たちから指導を求めるのは褒めてやる。褒美としてメニュー1.5倍にしてやるからな! ライブ後でもだらけるなよ?」

 

「「「はい!」」」

 

 

「なぁ、加蓮。凛達一体何があったんだ?」

 

「さぁ? とにかく私達もレッスン、レッスン」

 

 まぁ、終わってから聞くことにしよう。聞けるならな。

 

 

「よし、今日は終わりだ! クールダウンはしておけよ」

 

 

「「「あ、ありがとうございましたぁ~」」」

 

マストレさんがレッスンルームを出ると、3人はその場に倒れ込む。

 

「お疲れ~。大丈夫?」

 

「だ、大丈夫じゃないけど、生きてる」

 

倒れている3人の近くにスポドリを置く。

 

「しっかし、何で自主的にマストレさんのレッスン受けたんだ?ライブで気になるとこでもあったのか?」

 

「ライブ自体は問題ないよ。ただ、一時の幸せの代償は怖いんだよ」

 

あたしの問いに凛が起き上がり答える。

 

「はぁ?」

 

「どういうこと?」

 

「とりあえず……シャワー浴びてからでいいかな?」

 

 凛はヨロヨロと立ち上がり、シャワールームまで歩いて行った。卯月と未央はまだ時間がかかりそうだ。

 とりあえず2人の回復を待ってからシャワールームへ行くことにした。

 

 

「誕生会で食べ過ぎたぁ!?」

 

「しっ!」

 

 どうやら卯月の誕生会をやったのだけれど、料理がおいしくて食べ過ぎたために搾るためにマストレさんのレッスンを受けたらしい。

 

「そんなに美味しいお店なの?」

 

 

「美味しいけど、不思議とお客さんは少ないね」

 

「でも、ランチタイムは戦場だって言ってたよね?」

 

「どんなお店なの、それ?」

 

凛と未央の説明に加蓮は首をかしげる。

 

「外見はこんなの」

 

「普通の住宅じゃないのか?」

 

「あ、こんな風になってたんですね」

 

凛のスマホの画像を覗き込み、納得する卯月。

 

「卯月も見たんじゃないのか?」

 

「目隠しされて連れてこられたので、見てないんです」

 

「凛、あんた……」

 

「ついにそこまで……」

 

「待って、違う!サプライズだから」

 

サプライズったって……アイマスクされて、オロオロする卯月を引っ張る凛とか……犯罪チックだろ。

 

「ねね、奈緒。行ってみようよ」

 

「まぁ、凛達がそこまで言うところなら行ってみるか」

 

 こうして加蓮と喫茶cloverに行くことになった。

 

 

 のちにcloverに行ったアイドルは翌日にマストレさんのレッスンを受けるという決まりが出来たとか出来なかったらとかはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

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