昨年はお世話になりました。
新年早々ではありますが、ブラックコーヒーを5杯準備ください。いきますよ!
12月31日
月末にして年年末の日。おそらく1年で1番慌ただしい日。
まぁ、それも大概7時位までで、営業していた店舗も閉店。家族団らんでテレビを見ていたりするだろう。
一部の方たちは本当にお疲れさまです。
cloverも本日は閉店。昨日は常連さんに『年末感謝祭』と称しマスターが腕をふるった。
ぜひとも来年も来てもらいたい。
そんなわけで一日暇だったのだが、今日は実家に帰らずに1人でのんびり年越し、明日実家に顔を出す予定だ。
未希には、
「お兄ちゃん大晦日帰ってくるよね? 帰ってこないの!? 1番にお兄ちゃんに新年の挨拶しようとしたのに!!」
と、怒られてしまった。お年玉奮発するしかないかな、これは……。
現在時刻は10時を回ったところ。先ほどまで紅白を見ていた。お目当てはもちろん……。
「さて、藍子たちも終わったし蕎麦でも茹でようかな」
『シンデレラガールズ』――自分の彼女や友人も紅白に出場していて、出番が終わったところ。
この後は都内で765、876、346、315合同のカウントダウンライブがあるとか……紅白並に豪華じゃないか。
本当は藍子と正月を過ごしたかったが、仕方ない。
……って、これじゃあ未希と同じだな。俺は苦笑した。
「さてと。なーべーなーべーそーこ抜け。そーこが抜けたら使えない」
とデタラメな歌を歌いながら鍋に水を入れてコンロにかける。
寂しくなんかナイヨ? ホントダヨ? 信じてください!
『川嶋! お前は謹慎だ!』
なんて誰も言ってくれるわけはなく、鍋の前でお湯が沸くのを待つ。
ピンポーン
「は?」
年末のこの時間に来客の予定はない。宅配便……なわけもない。来るとしたら未希ぐらいなものだが、もし未希だったら説教だ!補導されてもおかしくないのだから。
酔っぱらいの可能性もある。念のためのぞき穴をのぞいて……すぐさま開けた。
「こんばんは、優也くん」
ありのままおこったことを話すぜ。えっ? ありきたりな前振りはいい? まぁ、お察しの通りドアの向こうにいたのは、
「藍子? なんで? 紅白終わって、その後合同ライブじゃ?」
「まだ高校生ですし、時間も時間なので不参加です」
あぁ、そっか。10時過ぎたから帰されたのか。
「うん。そっちは分かった。で? 何故うちにいるのかな?」
「優也くんと初詣に行きたくて内緒で来ちゃいました」
「あ、そうなんだ」
「優也くんは私と初詣、行きたくないですか?」
藍子が上目づかいで聞いてくる。その顔は反則です。抗える男がいるだろうか? いや、いない!
「行きたいです」
「素直でよろしい!」
「あ、お母さんには許可とっているので大丈夫です」
そこはお父さんにも許可とってもらいたかったです。
「あ、シャワー借りますね?」
そういって着替えを持って浴室へ行ってしまった。
確定なのね。まぁ、今更のような気がして……
「待って! まさか泊まるつもりですか!?」
「今更じゃないですかぁ」
デスヨネー。とりあえず、お湯を沸かすのはあきらめます。
「ホントは振袖着たかったんですけどね」
浴室から戻った藍子が髪を乾かしながら呟いた。
「振袖? 確かに見たいけど、着付けとか大変じゃないか?」
よくは知らないが、浴衣とか振袖は着付けが大変だと聞く。
「美波さんが着付けの資格を取ったそうなんですが、今日のライブに出演予定だったので……」
「新田さん……」
346プロの資格ハンター新田美波。向上心と努力の塊である彼女に取れない資格はないとすら言われる彼女。
……彼女に取得できないのは男位だとすら言われている。
確かに彼女に見合う男性はかなり難しいだろう。相方のお眼鏡にかなわなければならないし。
閑話休題
「そんなわけで、振袖はまた次回ですね」
「やむを得ないね。で、初詣の神社なんだけど……ここでいいかな?」
少し離れた神社を勧める。
「こっちじゃなくてですか?」
藍子は近場の神社を示す。
「そっちは人が多く来るからね。こっちは人が少ないから。それでも意外と広いし、多少の出店が出てるよ」
「では、そっちにしましょうか」
「じゃあ、そろそろ出ないと行けないかもな」
「はい! では行きましょう!」
髪をおさげにして、眼鏡をかけた文学少女風スタイルにした藍子と部屋を出た。
「確かに広いですね」
「まぁ、人が少ないって言ったけど、いないわけじゃないからなぁ」
はぐれないように藍子の手を強く握った。
「こっちの方がはぐれないと思いますよ」
そう言って藍子は俺の右腕を抱きしめる。
「違いない」
左手でスマホを取り出し時間を確認する。
「おっ、後30秒くらいで新年だな」
「早いですねぇ」
「2年参りは無理そうだな」
「2年参りってどういうのでしたっけ?」
「忘れた」
俺は笑ってごまかした。
「新年明けましておめでとうございます、優也くん」
「明けましておめでとう、藍子」
まぁ、年の瀬と新年を彼女と迎えられたんだ。最高だ。
ようやく俺らの番が来た。2人で賽銭を入れ、鐘を鳴らし、2礼、2拍手、1礼。お祈りを終え、ふと見ると藍子はまだお祈りをしていた。
お祈りを終えた藍子に手を差し出すと、また手を抱きしめる。
「何をお願いしたんだ?」
藍子に尋ねると、
「言いませんよ。叶わなくなってしまうので」
そう言えばそんな言い伝え(?)があったっけ。
「ちなみに優也くんは何をお願いしたんですか?」
「いやいや、さっきの自分の発言思い出してくれよ! おかしいよな!?」
「冗談ですよ」
じゃなきゃ困るからな。
「お、甘酒あるぞ! 飲むか?」
「はい! 飲んで温まりましょう」
おじさんから甘酒を2つもらい、2人で飲む。
うん。体が温まる。藍子も温まって……
「優也く~ん。飲んでますかぁ~」
藍子は甘酒で酔っぱらっていた。
「え! 嘘!? アルコール入ってた!?」
焦る俺を見てケラケラ笑う藍子。
「おじさん! これ未成年飲んでも大丈夫なんだよね!? 」
「ありゃ、アルコール完全に飛んでなかったかねぇ」
「いやいや、ダメだろうよ!」
「むぅ、優也くん。無視ですかぁ?」
「藍子! 落ち着け!」
目線を藍子に合わせ、肩を掴んで呼びかける。
「優也くん、少しうるさいです。えい!」
「んむぅ!」
目線を合わせていたのが
「優也くんにキスしちゃいました。キャハッ!」
ラブリー17歳。って違う!
「お熱いねぇお2人さん。甘酒が沸騰しちまうよ」
誰のせいだよ、誰の!?
ともかく自宅に帰るしかない。
「藍子、帰るよ!」
「や~ん。優也くん大胆!」
アルコール弱すぎませんかねぇ、この娘!
足元ふらつく藍子を支えながらなんとか神社から離れる。
「優也くぅん、大好きですよ~」
「はいはい」
「むぅ、優也くんは私のこと嫌いですかぁ?」
上目遣い、涙目、紅潮した頬の三連コンボ。
「言わなくても分かるだろう?」
「言ってもらえるとうれしいんですよぉ~」
「あぁ、うん、そのぉ……」
「はやくはやくぅ~」
急かすなよ、恥ずかしいんだよ!
「大好きに、決まってるだろ。言わせるなよ」
言ったとたんにガクンと体勢が崩れる藍子。
何とか支えるのに間に合った。
「藍子?」
「すうー、すうー」
ありきたりだけどさぁ。
「嘘だろ」
俺の勇気を返して欲しい。
とりあえずおぶると、
「えへへ」
と嬉しそうにした。
「嬉しそうにしやがって」
とりあえず1人愚痴った。
その後、家に帰り寝かせた。
翌日起きた藍子は甘酒を飲んでからのことは一切合切覚えていなかった。
その数年後、無事に二十歳を迎えた藍子であるが、しばらくは飲酒禁止、飲むとしても俺の前限定にしたのは言うまでも無い。
昨夜8時の時点でまさかのランキング5位・・・何があったんですか!?
何はともあれ、感謝の意を込めて、急遽差し替えさせていただきました。
今年もよろしくお願いします。