隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 祝勝回(誤字に非ず)です。
描写薄め、会話多めです。

さらに、ラストには驚きの人物が……。
ではお楽しみください。


焼き肉屋では効率良く肉を食え!

 最後の審判の時!あ……今日は終業式だ。

 期末テストは特に問題なく終わった。高森さんも小日向さんも赤点が無く、済んだらしい。

 2人に間違ったことを教えなくて済んでホッとしている。

 

 現在は――

 

「――ということもありますので、くれぐれも本校の生徒としての規律と自覚を持って夏休みを過ごすようにしてください。と、言っても数年前にも――」

 

 校長のありがたい、ありがた~いお話の最中である。

しかし、古今東西校長の話というのはどうしてこうも長いのだろうか。

 このように長い話を聞かせることで忍耐力を養っているのだろうか? はたまた日頃の仕事での鬱憤を晴らすためにマシンガントークをしているのだろうか。

 この話が綾小路きみ○ろのようなお話なら聞いていたいのだが……。

 

 「以上で終わります。始業式の日にお会いしましょう」

 

 よし、終わった。

 

 

「おーし。大事なことは校長が言ってたから、俺からは特に言わん。宿題は忘れるなよ? 言い訳は一切聞かんからな!」

 

 教室に戻り、御館様の一喝を受ける。

 

「それと、今日の5時から祝勝会だからな!? 忘れんなよ! 忘れたら知らん! 以上! 解散!!」

 

 そうだった。球技大会での祝勝会は今日だった。

正直行かないことも考えたがそうもいかないだろう。

 

「はぁ~、憂鬱だ」

 

「何が憂鬱なんですか?」

 

 玄関を出て自転車置き場に向かう途中で呟いた。

 まさかの返答に右を見ると高森さんがいた。

 

「なんでいるの!?」

 

「同じ学校ですし……」

 

「訂正。なんで横にいるの?」

 

「川嶋さんの姿が見えたので」

 

「そっか……」

 

「で、何が憂鬱なんですか?」

 

 今日の祝勝会の話をした。

 

「クラスの方と親交を深めるチャンスじゃないですか!」

 

 ファイトとp(^^)qポーズをする高森さん。カワイイ

 

「そうなんだけどさぁ~。バイトを理由にサボっちゃ……「ダメです!」やっぱり?」

 

 先に高森さんに逃げ道を塞がれた。

と、高森さんがスマホを取り出し、スゴい速さでタップしている。最近の女子高生はスゴい(白目)

 

「よし!」

 

 やりきった顔をして高森さんはスマホをしまった。

 

「何をしてたの?」

 

「今にわかりますよ」

 

 高森さんはニコニコしてるだけ。何のことd……

 

ブブッ

 

「ん?」

 

 ライン通知が来た。開いてみると叔父さんから……

 

『祝勝会に行け!行かなかったら給料カットな!』

 

「根回し早すぎませんかね!?」

 

「お話を聞くと、川嶋さんは主役みたいなものですしね。なにより……」

 

 ずずいっと近づいてくる高森さん。近すぎやしませんか!?

 

「川嶋さんはかっこよくて、優しい素敵な方だっていうのをみなさんに知ってもらいたいんです!」

 

 ドキッ

 

「!?」

 

「どうしました?」

 

「あ、いや、なんでもないよ」

 

 ――ダメだ! ――

 

「あ、駅まで一緒に帰りませんか?」

 

 ――勘違いしてはダメだ! ――

 

「あ、あぁ。いいよ」

 

 ――高森さんが俺を好きなんじゃないかって――

 

 

「じゃあ。祝勝会、楽しんできてくださいね?」

 

 駅に着くと高森さんは言った。

 

「うん。正直気が進まないけどね」

 

「ファイトですよ! あ、それと……お耳を貸してください」

 

 高森さんがちょいちょいと手招きをする。

なんだろうと思い、耳を近づける。

 

「25日、楽しみにしてますからね」

 

 そう囁くと、高森さんは改札を抜けて行ってしまった。

 

「プレゼント、用意しないとなぁ……」

 

 1人呟いてから自転車に跨がり、自宅へこぎ出した。

 

 

 

 焼き肉屋 充々苑

 

 某焼き肉屋と一文字違いながら、メニューが豊富でリーズナブル。

更にビュッフェスタイルで、寿司やカレー、デザート、クレープなんかもある店である。

 何か既視感? を覚えるなぁ。

 

 待ち合わせ時間の30分も前に来てしまった。

元来、待ち合わせで待つのはいつまででも待てるのだが、人を待たせるのが嫌いなのだ。

 そのため早く来る癖がついてしまったのだが、今回もそれが出てしまったようだ。

 

「店の前で突っ立ってるのもなんだし、中に入ろう」

 

 予約はしてあるだろうから学校名と学年、クラス、代表者は……御やか……武田先生の名前を告げれば席に案内してもらえるだろう。

 そう思ってドアを開けた。

 

「お、川嶋さん。来ましたね?」

 

「は?」

 

 開けた途端声をかけられびっくりした。

すでにクラスメイトは揃っていた。

 

「え? あれ? 俺、時間間違えた……でしょうか?」

 

「ハッハッハ! すまんすまん。お前以外には30分早く伝えていたんだ」

 

 豪快に笑う御館様。

 え、ナニソレ。イジメ?

 

「主役は遅れて来るものだろ? だからみんなで川嶋さんを出迎えようって」

 

 えぇ~……。

 

「ほらほら。主役なんすから、こっち来て座ってくださいよ」

 

 うぇ~……隅っこでいいよぉ~。ひまわりの種かじってるよぉ~。

 遠慮しながらも御館様と、中心メンバーと同じ席に座らされてしまった。

 

「よっし。ほんじゃ……2年4組の『バレーボール部門の』祝勝会を始めさせてもらいます。あ、本日進行をつとめさせていただきます池田です」

 

「「「池田ァ!!!」」」

 

 お、おう。正直ノリについていけないぞ。

 

「えぇ、まず始めに武田先生。給料日前なのにスンマセン。本日はゴチになります」

 

「全くだ。ただでさえ安月給なのに、クラス全員分なんだぞ!? お前ら、元とらなかったら許さなんからな!! 根性で食え!!」

 

「「「おお~っ!!!」」」

 

「そして、川嶋さん。川嶋さんのガッツでみんなやる気を出せました。ありがとうございました」

 

 頭を下げる池田。

 

「いや、本当に何もしてないからさ」

 

 場外に出た球を追いかけて、壁に激突しただけだし……。

 

「では、主役の川嶋さんから何か一言と、乾杯の音頭をお願いします」

 

……は? 一言!? いや、聞いてないし!!

 

「「「か~わしまっ! か~わしまっ!」」」

 

 川嶋コールと、俺に注がれる視線……。

落ちつけ、落ちつけ、接客モード、接客モード、相手はお客様だ。いつも通りにすればいい。

 目を閉じて自分に言い聞かせる。

頭がスーッとしていく感覚。

立ち上がり、接客スマイルをうかべる。

 

「本日はこのような会を開いていただき、武田先生には感謝いたします。

 自分自身は、壁に激突して途中退場となってしまい、あまりお役にたてなかったと思います。今回勝てたのはみなさんのおかげです。今日は期末テストなどの疲れを忘れ、楽しみましょう。乾杯!!」

 

「「「乾杯!!」」」

 

 さぁー! 宴だぁ~!

 

 

「よし、カルビいこうぜカルビ!」

 

「焼きなら、焼き肉屋バイトの俺に任せろ!」

 

「お前ら! 野菜も食えよ!?」

 

「野菜食いたきゃ焼き野菜屋に行けぇ! 肉を食え肉を!!」

 

「ネギタン塩をひっくり返しちゃダメだよぉ~。上のネギが落ちちゃうじゃん」

 

 ワイワイガヤガヤとする店内。貸切じゃなきゃご迷惑かかるよな。

 

「川嶋さん、食べてますか?」

 

「あぁ、気を遣わせてしまってすまない」

 

 先ほどの池田氏が声をかけてきた。

 

「川嶋さんは俺らのヒーローなんすから気にしないで下さいよ」

 

 ヒーロー? 何かしたっけか?

 

「俺、ヒーローって言われるようなことしてないぞ?」

 

「いやいやいや、1年の時に先輩にガン飛ばしたりとか、たった1人で学校の番長のグループ潰したとか有名ですよ?」

 

 1年の時?……あ、あれか。

 

「アレは誤解だぞ?」

 

「いやいや、そんな謙遜しなくても。田中を連れて行こうとした先輩を一睨みで黙らせたじゃないですか」

 

「あれは、トイレに行きたかったのに入り口を塞がれたからなぁ。我慢の限界だった……腹が」

 

 キョトンとする池田他数名。

 

「え……。じゃ、じゃあ、番長に体育館裏に連れて行かれそうになったときにグループのメンバー倒したってのは本当……ですよね?」

 

「あれは、偶然だ。と、いうか先輩が悪い」

 

「またまたぁ、これは本当でしょう?」

 

「あの廊下、ワックスがけしてあってな……」

 

「……ワックス?」

 

「俺は知らなかったもんで、足滑らせて、1回転と同時に1人の後頭部をヒットさせちゃって……」

 

「え?」

 

「で、どうにか謝ろうとしたんだが、ワックスで滑りすぎて、気づいたら先輩倒れてるし、制服はワックスまみれだし、先生には怒られるしで大変だった」

 

「あぁ、あの時のお前は火をつけたらさぞやよく燃えただろうなぁ」

 

 肉を返しながら語る御館様。

 

「先輩たちはばっくれるし、俺だけでワックスかけ直す羽目になって大変でしたよ」

 

 結局バイトにも遅刻したしな。

 

「え……じゃあ、川嶋さんが不良だってのは?」

 

「「根も葉もない噂」」

 

 俺と御館様は同時に答えた。

 

「え、じゃあ、みんなは俺を不良だと思ってたから敬語で話したりしてたわけ?」

 

 コクリと頷く同席メンバー。

 

「マジかぁ……マジかぁ……」

 

 妙な距離感の原因、こんなところにありました。

 

「じゃあ、これからはタメ口でいいん?」

 

「構わんよ。」

 

「なぁんだ。川嶋っておっちょこちょいなのな」

 

「まぁ、そんなことより肉食おうぜ! カルビ!」

 

「馬鹿者!!!」

 

 ここに来て、御館様が大声を上げる。

 

「カルビなどで元が取れるか!! 豚トロだ、牛タンだ! ミノだ! カルビは抑えろ! 野菜も食え!」

 

「「「お、おう」」」

 

 

 

 祝勝会もお開きになり、帰路へ着く前に、叔父さんからラインが入ったため、急遽店へ。

 

「叔父さん、話ってなにさ?」

 

 店内に入ってすぐ尋ねる。

 

「優也、お前にお客さんだぞ?」

 

「お客さん?」

 

 いつものごとくアイドル(っていうのもスゴい話だが)の誰かかと思ったが、店内を見渡して目に入ったのは、スーツの男性。いかにも会社員です、といった感じだ。

 その人は俺と目が合うと、スッと立ち上がり、俺の方へ歩いてくる。

 そして、俺の3歩前で立ち止まる。

 

「川嶋優也さんですか?」

 

「そうですが」

 

「私、こういう者です」

 

 スッと名刺を差し出される。

ドラマとかでは見たことあるが、実際にもらうのは初めてで勝手が分からない。

 失礼します、と一言声をかけ受け取る。

 そこに書いてあったのは――

 

『346プロダクション プロデューサー』

 

 相手は346プロのプロデューサーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回から夏休み編突入です。
エタってエンドレスエイトにならないように気を付けます
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