隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 残業、残業、また残業!
どうも、明日祝日なのに出勤のハマの珍人です。

 暦の上では春ですが、大雪に見まわれている日本列島。
 私にとっても厄月である2月です。
皆さんも体調不良に気をつけましょう


 待ち合わせは緊張する あまり合わない人ならなおさら

 夏休み初日の午前9時。

 蝉も朝早くから存在感を示している。7日しか地上で生きられないのに元気なものだ。

俺がその立場だったら……うん。やっぱりわめき散らして気づいたら7日たってそうだわ。

 

 

 346プロダクションのプロデューサーとの初遭遇から一夜明け、俺は待ち合わせのために某駅前にいた。

 高森さんの誕生日プレゼントを買うために、本田さんに協力を依頼した。

 高森さんの……というより、女の子の好みが分からない俺にとって凶力……強力な助っ人になるはずだ。

 

「しかし、暑い~」

 

 アイドル以前に女の子である本田さんを待たせるわけにはいかない。

そんなわけで忠犬の像の前で忠犬のごとく本田さんを待っている――集合時間の1時間前だが。

 現役アイドルとの待ち合わせでドキドキしてしまう。さらに相手が本田さんとなると初対面の印象から、失礼がないようにと考えてしまい、気づいたら待ち合わせ場所に来てしまっていた。

 涼しいコンビニや喫茶店で待っていればいいのだろうけれど、その間に本田さんが来てしまったらと考えて動かないでいた。待たされるのは耐えられるが、人を待たせるのはイヤなのである。

 あぁ、汗が出てきた。ハンカチは……忘れてきちゃった。

 

 

「だ~れだ!」

 

 30分ほどたっただろうか。突如視界を塞がれた。

ビックリしたけれど待ち合わせ相手を考えると1人しかいない。

 しかし、この人初遭遇時から信じられないくらいパーソナルスペース狭いな! ナニカ ヤワラカイ モノが背中に当たってるんですけど! 視界が塞がれているからなおさらなんですけど!!

 

「ほ、本田さん……?」

 

「おっ! 当ったり~」

 

 うん。当たるよね? 当たったよね!? でもなんでまだ目隠ししてるの!? むしろまだ当たってるよ!!?

 

「ほ、本田さん!? 当たってるんですけど!!」

 

「ふふふ。当ててるんだよ」

 

 お約束ぅ~!! いや、違うくて離れてくださいよ。理性が持ちませんよ!

 

「まぁ、冗談はこれくらいにしよっか」

 

 視界が晴れると同時に背中の感触が離れた。助かったような残念なような……

 

「やっほ、かっしー。ごめんねぇ待った?」

 

 チェックのスカートに黒のシャツ(名称不明)に薄手のオレンジのシャツを羽織った本田さんがいた。

 

「あ、いえ。今来たところ……です」

 

「うんうん。これも待ち合わせのお約束だよね」

 

 うんうんと本田さんは満足そうに頷く。

 

「で?」

 

「はい?」

 

「実際はいつから待ってたの?」

 

 ははは。バレテーラ。

 

「いや、ほんの10分前に着いたんですよ。本当です」

 

「ふーん……」

 

 俺の前に立ち、手を後ろに組み、前かがみになる本田さん。

3秒ほど本田さんと目が合うが、咄嗟に目線を下に……

 

「!!?」

 

 手を後ろに回したことで、胸が強調され、前かがみになることでさらに見やすくなる。さらに、ポーチの肩ひもがちょうどフィットしてしまってる。

 早い話が、谷間+パイスラの強烈コンボなのである。

咄嗟に視線を横にそらす。

 

「かっしーって嘘つけない人だね。視線がかなり泳いでるよ?」

 

 自分の状況を知ってか知らずか、本田さんは告げる。

 

「本当は……1時間前から……です」

 

 観念して実際の時間を告げると、本田さんは俺の腕を掴み、歩き出す。って、意外と力強い!?

 

「えっと、本田さ「黙って着いてきて!」……はい」

 

 どうやらお怒りのようだ。黙って着いていく方が賢明だ

 

 本田さんに腕を引かれ、近場のス○バに連れ込まれた。

本田さんは慣れたように注文を終え、俺を開いている席に押し込んだ。

 

「かっしー……なんで1時間も前から待っていたの? 私が30分前に来ていなかったらどうしてたの?」

 

「……あの場所で待っていました」

 

「汗かいて、水分もとらずに?」

 

「……」

 

「他の場所で待とうとは思わなかったの?」

 

「移動中に、本田さんが来たら申し訳ないなって……」

 

「それでも、ライン入れれば良かったじゃん」

 

「あ……」

 

 完全に忘れていた。連絡先を交換したのだから、場所の変更やらを申し出ることは出来たのだ。

 

「ふぅ……。怒ろうと思ったけど、怒るに怒れないや」

 

 そういって、買ってきた飲み物を1つと、ハンカチを差し出す本田さん。

 

「とりあえず、それで汗拭いて、飲み物飲んで。汗引いてから行動しよう」

 

「あ、払います」

 

 財布を取り出そうとすると、

 

「それはいいよ。おごってあげる」

 

「でも……」

 

「じゃあ、今度何かで返してよ。それでいいからさ」

 

「はい」

 

 申し訳ないと思いながら本田さんのハンカチで汗を拭う。洗剤の匂いなのか、いい匂いがした。

 

「それで、未央ちゃんに付き合ってほしいってなにかな? アイドルと禁断の恋をしちゃうのかな?」

 

 いつもの明るい本田さんに戻ったようだ。

 

「実は――」

 

 

「なるほど。靴をねぇ……」

 

昨日考えたことを本田さんに説明した。

 

「ええ。それで靴のサイズとか分からないからと思いまして……それと、カワイイ靴というのを見繕ってもらいたくて」

 

「でもさ。かっしーが選んだんなら、あーちゃん喜びそうだけどね」

 

ストローで飲み物と生クリームを混ぜながら本田さんは言った。

 

「まぁ。確かに高森さんなら喜んでくれそうですけど……

 想像してみてください。普段の高森さんの私服に、いかにも散歩用って感じの靴を履いているんですよ?」

 

「うん……。なんていうかミスマッチ」

 

「と、言うわけで、機能的な面では探せるんですけど、女の子のかわいさという面では不安があるので、お願いします!」

 

 対面に座る本田さんに頭を下げ――

 

 ガン!

 

 ――額をテーブルにぶつけた。

 

「ちょっ、かっしー、大丈夫!? 額赤くなってるよ!?」

 

 うん。額どころか顔中赤くなってるだろうね。恥ずかしぬ。

 店員さんが「大丈夫ですか?」と急いでとんできたが、大したことないというと戻っていった。

 

「ともかく、かっしーが……ククッ頭ぶつけるほど……必死なのはわかったよ」

 

 えぇ。本田さんが必死に笑いこらえているのもよくわかります。わかりますとも。

 

「だから、未央ちゃんも一肌脱ごう」

 

 と言いつつ、羽織ったシャツの襟を掴み、チラッチラッと――

 

「そういうボケはいいですから」

 

「ちぇーっ」

 

「ところで本田さん。変装しなくていいんですか?今更ですけど」

 

「まぁ、さっきは人が混雑してたから大丈夫だと思うけど……まぁ、秘密兵器もあるしねぇ」

 

「秘密兵器?」

 

「そうそう。これこれ」

 

 と、ポーチからメガネを取り出し、

 

「デュア!」

 

 かけ声とともにメガネを勢いよく――

 

「いった!弦が刺さった!」

 

「お、おう……」

 

 結局テイク6までかかった。

 

 

「フッフッフッ。これぞ346が誇るメガネソムリエ、はるにゃーの伊達眼鏡なのだ!」

 

 346プロダクションってすっげー(白目)

 

「346のアイドルって変わった人がいるんですね」

 

「まぁ、経歴が変わってる人もいるしね。モデル、読モ、アナウンサー、警官、秘書、看護師とか……」

 

 ツッコむのはやめよう。

 

 

 

 

「こんなのはどう?」

 

 靴屋にて本田さんと靴を選んでいる。本田さんに見た目で選んでもらい――

 

「重さはそんなに重たくないですね。撥水加工は……されているみたいですし」

 

 俺は機能面を確認する。

 

「靴底が気になりますね。本田さん、履いてみてもらえますか?」

 

「ええ!? なんで!?」

 

「いや、歩いた時に衝撃を軽減してくれるか分かりませんし……長い距離歩くのでしたら負担が少ない方がいいかと思いまして」

 

「な、なるほど」

 

 実際に履いて本田さんに数歩歩いてもらう。

 

「少し薄いかも……」

 

「じゃあ……この靴は?」

 

 本田さんに一足渡すが――

 

「地味」

 

「カハッ!?」

 

 一蹴された。

 

 その後2人で試行錯誤を続け――

 

「これは……どうでしょう?」

 

「うん。デザインも良さげかな」

 

「この靴の在庫はこれかな」

 

「あーちゃんのサイズは……あった!!」

 

「会計してきます!」

 

 無事に購入することが出来た。

 

 

「お、もうお昼時じゃないかな?」

 

 靴を買った後、本田さんと色々な店を見て回っていたら昼食時になっていた。

 

「何か食べたいものとかあります?」

 

「ん~……ファミレスでいいんじゃないかな。ちょうどすぐそこにあるし」

 

 この辺には詳しくないし、反対する理由もないので、ファミレスに入った。

 

「私はハンバーグプレートかな。かっしーは?」

 

「うーん……ジャンバラヤで」

 

 注文を受け、店員さんは戻っていった。

 

「こういうところってメニュー多すぎて悩みません?」

 

「まぁねぇ。結局いつもどおりか……直感だよ」

 

 本田さんは決め顔でそう言った。

 

「ところでかっしーさぁ……」

 

「はい?」

 

 本田さんが急に真顔になる。

 

「私のこと嫌い?」

 

 急に爆弾を投下された。

 

「えっ?」

 

「いやさ。みんなに敬語なのは分かるけど、私の時は妙に距離があるみたいだしさ。目を合わすと急いで逸らすし」

 

「嫌いってことはないですよ。ただ……」

 

「ただ……何?」

 

 誤解を招かないように正直に言うべきだろう。

 

「俺、人の視線が苦手なんです」

 

「……どういうこと?」

 

 本田さんは訝しげな顔をする。

 

「詳しい原因は、まだ話せませんが、人の視線が集まるのがダメなんです。叔父さんの荒療治のおかげでバイトの時は大丈夫なんですが……。

 初対面の時の本田さんの視線に苦手意識を持ってしまって……その、気分悪くさせてごめんなさい」

 

 本田さんに頭を下げる。

 

「そっかぁ。いや、嫌われてないならいいんだけどね。正直に話してくれてありがとう」

 

 と、話が一段落ついたところでそれぞれの料理が運ばれてきた。

 

「ささっ、食べよう食べよう」

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 駅の改札に入り、本田さんにお礼を言う。

 

「いやいや、未央ちゃんも楽しかったよ」

 

「それと……」

 

「ん? どしたのかな?」

 

「俺は本田さんとももっと仲良くなりたいと思ってます」

 

 本田さんはキョトンとした後、

 

「アハハ。どストレートだねぇ」

 

「あと、コレ……」

 

 小さめの紙袋を渡す。

 

「これ、何?」

 

「今日のお礼と、これからもよろしくの意味をこめた贈り物です」

 

「あ、ありがとう……」

 

 本田さんは受け取ってくれた。

 

「じゃあ、またお店行くね」

 

 そう言って本田さんは別の沿線のホームへ走って行った。

 

 

 

 side未央

 

 家に帰って、かっしーに渡された袋を開けると、星が3つ施されたネックレスが入っていた。

 途中で見て回ったアクセサリー店で買ったんだろうなぁ。

 

「センスあるんじゃんか」

 

 ネックレスを箱に戻して、紙袋に入れて、机の引き出しにしまった。

 今度お店に行ったときに着けていこう。

 

「意外と考えているんだなぁ」

 

 あーちゃんが気になる相手と聞いて、少し警戒したものの、あーちゃんの誕生日プレゼントを買うときのことを思い出す。

 あーちゃんのことを思い、さらにあーちゃんのファンのことも考える。

 

 彼なら、あーちゃんと付き合ったとしても祝福出来る気がしてきた。……問題は前途多難だと思うけどね。

 

 そんなことを考えながら眠りに――

 

「あ!」

 

 あーちゃんの誕生日当日、バースデーライブと、事務所での誕生会のことを言うのを忘れていた。

 

「どうしよう……」

 

 早くも暗雲がたちこめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ちゃん未央、半落ち!
正直グダグダ感はありますね。

そして、次回は誕生日……ではなく、バレンタインデーストーリーの予定です。

ブラックコーヒーを準備してお待ちください
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