どうでもいいけど、オーブニカが発売されるとか……欲しいような、欲しいような(笑)
ダークリングも再販してくれないかな。
では、本編どうぞ
「おはようございます!」
「おう、おは……優也、気持ち悪い顔してるぞ」
店に行くと、マスターからいきなり罵声を浴びせられたけど、気にしない。
「とりあえず顔洗ってくるか、コレつけるか、どちらか選べ」
そう言って、マスターが差し出してきたのは……翁のお面?
「そんなに酷い顔してるか?」
「翁のお面の方が100倍マシだな。般若の方が10倍マシだけど……夏休みだし、子連れが来るかもしれないからな」
――確かにそうだけどさぁ……。
「よく言えばにやけ面だな……うん」
「わ、悪く言えば?」
「ア○顔かな? 地上波で放送出来ないレベル」
「……顔洗ってきます」
さすがに放送禁止レベルの顔で接客は出来ないのでトイレに行って顔を洗うことにする。
「にやけ面が治らん……」
顔を洗い鏡を確認するも、映っているのはにやけた男の顔……俺だった。
とりあえず頬を掴んでムニムニとマッサージする。にやけ面と合わせて滑稽になった。
試しに眉間に力を入れてみる。……笑いを堪えているようにしか見えない。
「あはははは……どうしましょう」
朝の出来事――正確に言うと、藍子さんに名前で呼ばれたこと――が頭から離れず、自然とにやけ面になってしまう。
どおりですれ違う人がわざわざ大回りして避けて通るわけだよな。明らかに不審者だもの。俺自身じゃなかったら通報してるよ。
「とりあえず、口角上げて、笑顔の練習……っと」
バイトを始めた時にマスターに指摘されたことを思い出し、人差し指で口角を上げて笑う。
「これならなんとかなるかな」
タオルで顔を拭いて、気合を入れるために頬を叩く
パァン!
「……痛い」
思いの外痛かった。
「ホントだ、にやけ面だね」
「でしょう?」
「本日の第一声がソレですか」
着替えを終えて戻ると、渋谷さんがいて、いきなり貶された。
そして、マスターはニヤニヤしていた。
「じゃあ……いらっしゃいました?」
コテンと首をかしげる渋谷さん。クール系と言われながらもこういった仕草もするから可愛くもある。
「なんかそれも違う気がするけど、まぁいいでしょう。今日は早いんですね」
「ハナコの散歩に行ったからね」
「ハナコ?」
――のちに思えば、この話題を掘り下げるべきではなかった。
「そう。うちの犬……まぁ、家族だけどね。ほら、これ写真!」
「へ、へ~。ヨークシャーテリア……ですか?」
「ううん。ヨーキーとミニチュアダックスのミックス」
――ダックスの部分が分からない……。
「で、散歩の時間になると、リードを咥えて起こしに来るんだよ! こう、前脚で『起きて~』って感じに」
そう言いながら手を前脚に見立てて動かす。
いつもの渋谷さんからは考えられない行動だ。
「仕事から帰ってくると、いつも走って寄ってくるしね。その時に一生懸命尻尾振ってて、ちぎれないか心配なんだけどね!」
――お、おう。
マスターに助けを求めようとアイコンタクトを試みるも――
『俺、知らない。お前、うらやましい。お前、ズルイ』
と、アイコンタクトで送った後、ランチの仕込みを始めた。
「で、地方での仕事から帰ってくると、トボトボって歩いてきて、『何処行ってたの?』って表情で来るの! でも抱っこすると、いつもみたいに尻尾ブンブン振ってるの。
そんなときは一緒にベッドで寝てあげるんだ」
「し、渋谷さん?」
さっきから詰め寄ってきて、少し怖いです。
「何?」
――おぅ、目が怖いです。真夏なのに室温が5℃ほど下がった気がした。
「大変申し訳ないんですが、そろそろ仕込みの方を……それと、近いです」
「――でね」
――あ、スルーですか、そうですか。
諦めて話を聞くことにする。食材の在庫はまだ大丈夫だから、買いだし行かなくても大丈夫だし。
「じゃあ、私これからレッスンだから」
満足したのか、渋谷さんはお会計を終えて――
「あ、ランチタイムの終わり狙って、後でまた来るから」
「アッハイ、アリガトウゴザイマシタ」
ランチタイムの前にドッと疲れた。さて、テーブルのセッティングと仕込みをするとしよう。
さすが夏休み、普段のマダムス・ファミリーに加え、学生も意外と来る。部活動終わりだろうか?女子高生が来る、来る。
「お待たせいたしました。チョコレートパフェとストロベリーパフェになります!」
夏場ということでパフェやらアイスクリームやらが飛ぶように売れる。それなりに買いだめしたはずだが、ランチタイム終わった後で買いに行った方がいいかもしれない。
さらに、今日のランチメニューの夏野菜カレー。夏場って意外とカレー。が食べたくなるよね?
洋食の定番のオムライスやらハンバーグも健在。
夏だからってそうめんばっかり食べてちゃ健康に良くないからね。
「お待たせいたしました。カツカレーになります」
「よっしゃ! きた!」
男子高生も来ているのがかなり意外。
……でも、トンカツ系は勘弁です。マスターがかなり蒸されてるので。
『優也、かわれ、かわれ、かわれ』
と、アイコンタクトしてくる。
フロアは冷房が効いているとはいえ、テーブル、カウンター間のシャトルラン。
『こっちも、キツい、体力、もつ?』
『む~り~』
――うん、知ってた。
「あれ? 川嶋くん?」
呼ばれて振り返ると、同じクラスの女子グループ。
「あぁー……いらっしゃい」
「えっ? ここ、川嶋くんのバイト先?」
「バイト先……と言うか、家業と言うか……」
正直俺も分からないんだよね。給料は出るけど、家業と言えば家業の気もするし……テスト期間は『家業』と言い張ってやってるけど。
「じゃあ、あのダンディな人は?」
ダンディ(笑)なのかな? 俺からしたらダンディはダンディでも、黄色いジャケット? スーツ? を着ているダンディなのだが……。
「おじさんだよ。忙しいから御免ね。ゆっくりしていってね」
断り、カウンターへ戻った。
「優也~、看板ひっくり返してきてくれ~。ちょっと休憩しようぜ~」
タオルを首からかけて、キッチンから戻ってくるマスター。
「はーい」
ランチタイムが終わって、客足が引いたものの、念には念をいれて……ってことで、休憩のために看板をひっくり返しに外に出る。
「あ、暑い……」
アスファルトからは陽炎が上り、相当な暑さだということがわかる。
――これは、お好み焼きの鰹節の気持ちが分かる。
「あ、ランチタイム終わったの?」
そんなことを考えていると、聞き慣れた――強いて言うなら午前中に聞いた――声が聞こえた。
「あ、忘れてた」
「忘れないでよ」
――あの悲しい出来事は忘れたいんだよ。
「ん?」
渋谷さんの隣に見慣れない女の子が2人いた。
「えっと……とりあえず、中へどうぞ」
「北条加蓮です」
明るめの髪をサイドポニーにした、『ギャル』といった感じの北条さん。
「神谷、奈緒です」
くせっ毛、太眉で、どこかぶっきらぼうな印象がある神谷さん。
「はじめまして。川嶋優也です。いつも渋谷さんには当店をご利用いただいております」
お辞儀をして、接客スマイルを浮かべる。
「凛……いつも来てるのか……」
「待って! そんなに頻繁には来てないから!」
神谷さんの呟きに、必至で弁解する渋谷さん。
かわいそうだし、助け船、出してあげますか。
「えぇ、そんなに頻繁にはいらしてませんよ。週1ほどですかね」
「凛……」
「待って! せいぜい2週間に1回くらいでしょ!?」
あ、泥船だったー(棒読み)朝のお返しってことはないから安心してね?
まぁ、2週間に1回でも相当だと思うけどね。
渋谷さんの慌てふためく様を見て、楽しんでいると――
「川嶋さん。あの人は?」
神谷さんが示す先には――
「マスター? なにしてんの?」
しゃがみ込み、ブルブル震えている。
――まさか、熱中症になったんじゃ!?
そう思い、マスターの肩に手を置こうとすると――
「トラプリがうちの店にキター!!」
バキッ
「ふべらっ!?」
「「「!!?」」」
マスターが跳び上がり、左手が俺の顔面を直撃。後ろにひっくり返る俺。驚く3人。
「あれ、優也。なにしてるの?」
首をかしげる
「少し……頭冷やそうか……」
「喫茶店って聞いてたけど、いろいろあるんだなぁ」
マスターとO☆HA☆NA☆SHIを終えて戻ってくると、神谷さんがメニューを見て呟いた。
「よく言われます。喫茶店よりも洋食屋の方が近いかもしれませんね」
「あ、あたしポテト食べたい」
「また加蓮は……」
北条さんが目を輝かせ、対照的に渋谷さんは額にてを当ててため息をついている。
「北条さんはポテト、お好きなんですか?」
「うん。大好き」
――今の大好きって声だけで、何人のファンが卒倒するやら。
「加蓮のはそれこそ週1だもんね」
「それでしたら、満足していただけると思いますよ?」
「フフン、あたしを満足させられるかな?」
不敵な笑みを浮かべる北条さん。ノリはいい方らしい。
「ポテト、ポテトって、なんだぁ!?」
メニューを見ている神谷さんが驚いた声を上げた。気づいたのかな?
「ん?何々?ポテト(m)、ポテト(M)、マッシュポテト、カールポテト、ジャーマンポテト、ハッシュドポテト……」
「ポテトに力入れすぎだろ!?」
――神谷さん、いいツッコミだ。
日頃ツッコミ役になってしまっている俺からすると、楽が出来てうれしい。
「ちなみに、ケチャップ、バーベキューソース、マスタードも選べますよ?」
「ナゲットじゃねぇかソレ!?」
「ちなみにこの(m)と(M)の違いは?」
「こちらの(m)が○ック、こちらの(M)が○スになっております」
「ソレ大丈夫か!?」
――叩けば響くってこういうのをいうのかな?かなりツッコんでくるね。
「あくまで分かりやすくするための名称ですので。(m)は細長くてカリカリのタイプ、(M)が太めで柔らかいタイプになってます」
「な、なるほど」
納得されたのか、神谷さんが冷静に――
「あ、私オムライスとアイスカフェラテね」
「凛は冷静過ぎるだろ!?」
あ、再沸騰した。
「うんうん。分かってるねぇ。じゃあ、ポテトの(m)を大盛り、バーベキューソースで」
「ご一緒にビシソワーズはいかがですか?」
「「「ビシソワーズ?」」」
3人が首をかしげる。ナニコレかわいい。
「ジャガイモをこした冷製スープです☆」
「ポテトじゃねぇか!?」
――ハッハッハ。ワロス。
「んじゃ、それももらおうかなぁ」
「かしこまりました。神谷さんはどうなさいます?」
「頭痛い。フレンチトーストとアイスミルクティーで」
「あれ? ハッピーなセットじゃなくていいの?」
「んな、かーれーんー!!」
北条さんの一言でさらに燃焼。ハッピーなセット?あぁ。あれか。
「申し訳ありません。当店ではハッピーにはなれますが、ハッピーなセットはちょっと……」
「分かってるよ!!」
「では、ご注文の確認を。オムライス1つ、アイスカフェラテ1つ、ポテト(m)の大盛り、バーベキューソースが1つ、ビシソワーズが1つ、フレンチトーストが1つ、アイスミルクティーが1つ。以上でよろしいですか?」
「「「はい」」」
「では、少々お待ち下さい」
一礼して、カウンターへ向かう。
「マスター、オーダー。オムライス1、アイスカフェラテ1、ポテト(m)大盛りBBQ1、ビシソワーズ1、フレンチトースト1、アイスミルクティー1」
「エムってどっちよ!?」
「分かってないじゃん!?」
「あれだよ、全滅しちゃう方!」
「どんな教え方だよ!?」
「あぁ、了解」
「分かっちゃうの!?」
ハッハッハ。神谷さんは律儀だな。
カランカラン
「こんにちは~」
「はい、あ、お疲れさま」
しばらくして藍子さんが来た。
「表の看板ひっくり返ってましたけど……」
「今は半ば休憩中だからね」
「あれ? 藍子?」
「あ、凛ちゃん。加蓮ちゃんと奈緒ちゃんもこんにちは」
手を振りながら3人の席へ近づく。
「まぁ、とりあえず座りなよ」
渋谷さんが奥の席に詰めて、藍子さんを座らせる。
「制服?」
「はい。夏休みの補習に行ってたので……」
「藍子が補習? イメージ無いなぁ」
「課題の提出と、小テストの予定だったんですけど、担当の先生が夏風邪ひいてしまって、色々予定が崩れてこの時間に……」
「気の毒だな」
だからこの時間だったのか……。
「あ、アイスミルクティーとパンケーキ下さい」
「かしこまりました」
「ところで、優也さん。荷物、どうしましょう?」
カウンターから戻ってきて、藍子さんから尋ねられる。
「とりあえず、食材買わなきゃいけないから、その前に家に寄ろうか」
「分かりました」
「ねぇ、荷物って何?」
――あ、ヤバイ忘れてた
「それは、私の――」
「藍子さん!」
藍子さんの言葉を制するも――
「
「あ」
「そう言えばさっきも
3人の追求に藍子さんは小動物のように怯えている。
一方3人は、ニヤニヤして俺と藍子さんを見ている。ここは、三十六計逃げるに――
ポンッ
「その話、俺も詳しく、聞きたいなぁ」
背後にはマスターがいた――大魔神のような表情で。
前門の
「え、えっと……お手柔らかに頼みます」
「闇を抱いて、光となるぁ!」
マスターのラリアットが優也を襲う。立って!優也!アンタが負けたらあーちゃんはどうなるの!?
次回、優也死す デュエルスタンバイ!