隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか?
筆者は背中ぎっくりのため、出かける予定はありません。
 ネタを考えながら、デレステやって、FG○やって、バンド○やって、ス○フェスやって、SA○やってます。


準備を怠ると……

 本田さんの計らいで短いながらも自己紹介、状況説明を終えて、とりあえず極刑は免れた。

 そうして、俺が膨らませたバナナボートを抱えて、3人は海へ突撃していった。そう3()()である。

 

 簡単な算数だが、6人いて3人が海へ行った。残ったのは3人。さて、その3人なのだが――。

 まずは俺。もともと荷物持ちのつもりだったし……海パン?何かあったときのためだ。

 そして俺の左隣にくmじゃなくて、ゴリrじゃなくて、プロデューサーさん。まぁ、監視なんだろうな。さすがに年下の子と一緒にキャッキャウフフはしないのだろう。

 さて、最後の1人は――

 

「高森さんは泳がないんですか?」

 

「わ、私はちょっと……」

 

 プロデューサーさんの陰から声は聞こえるものの姿が見えない。そもそも、パーカー着てるけど、暑くはないのかな? まぁ、俺も羽織ってはいるんだけどさ。

それに日焼け対策かもしれないしね。

 

「あーちゃーん!」

 

 と、海に向かったはずの3人が戻ってきた。どうしたんだ?

 

「どうしたんですか?」

 

「まぁまぁ、ちょっと立って」

 

「? はい」

 

 突然の本田さんの指示に、困惑しながらも藍子さんは立った。

 と、そこに――

 

「今です!」

 

 いつの間に背後に回っていたのだろうか。日野さんが藍子さんのパーカーをはだけさせる。露わになる藍子さんの肩。

 

「きゃっ!? あ、茜ちゃん!?」

 

「まぁまぁ」

 

「藍子ちゃんも一緒に泳ぎましょう!」

 

 そう言いながらパーカーを脱がす日野さんと本田さん。これ、イジメじゃないよな!?

 

「あーちゃんは、私と遊ぶの……いや?」

 

 ここで最後の揺さぶり、我が妹ながら恐ろしい。

 

「うぅ~……分かりました」

 

 藍子さんが堕ちた。これは仕方ない。

 

「「「やったー!」」」

 

「パーカーは、自分で脱ぎますから!」

 

 最後のささやかな抵抗なのだろう。ゆっくりとパーカーを脱ぐ藍子さん。

少しずつ露わになっていく白い素肌と暖色系の水着。

何故だろう。見ているこっちが恥ずかしくなってきた。

サッと目をそらす。

 

「レッツゴー!」

 

 未希と日野さんに手を引かれて高森さんも海へ向かった。

――そういえば、あそこまで肌が露出してるの初めて見たなぁ。

と、藍子さんの後ろ姿をボーッと見ていると……

 

「なになに、かっしー。あーちゃんの水着姿に見とれちゃった? それとも、茜ちん?」

 

 本田さんがニヤニヤしながら隣に座ってきた。

――どうしてこの人はパーソナルスペースが狭いんだろう!?

 

「ねぇ……私の水着姿はどう?」

 

 ――うぉい! あまり煽るような言動は勘弁してください! 正直近くに来られるとドキドキします」

 

「あははっ。かっしー、心の声漏れてるよ?」

 

 ――しまったぁ~!

 

「よしっ、じゃあ未央ちゃんも海へ向かってダーッシュ!」

 

 そう言うと、本田さんも先に行った3人に合流するべく走って行った。砂浜なのに、よく足取られないね。

 こうして荷物番として俺とプロデューサーさんが残ったわけだが……

 

――気まずい

 

俺とプロデューサーさんに接点という接点がなく、先日のライブでもご一緒していない。全くの初対面。何か話題がないか周りを見る。

 

――水着姿と下着って似たような面積だよなぁ……。下着は姿は恥ずかしいのに、水着姿は恥ずかしくないのだろうか……

 

「川嶋くん」

 

「は、はい!」

 

 そんなどうでもいいことを考えていたときに、急にプロデューサーさんに声をかけられた。不意すぎて声が裏返る。

 

「女性物の水着って下着と似たような形だよね? でも、下着は見られて恥ずかしいのに、水着を着ていると、ああも堂々としている」

 

 ――まさか、また声に出ていた!?

 

「しかも、肌を焼いてる人なんかは、うつぶせになってなければ下だけの状態だ」

 

「そ、そうですね」

 

 もしかしたらプロデューサーさんも何を話したらいいか分からないからこんな話をしているのかもしれない。

話の内容はアレだが、そう考えればこの人はいい人なのかもしれない。

 

「だったら、下着姿で同じことしても一緒じゃないか!」

 

 訂正、この人も大概変態だ。

 

「水着の状態でそこまでできるなら、下着姿で手ブラは恥ずかしいんだ?」

 

 うん、さっきと違って別な意味で気まずい。

 

「まぁいいか」

 

 そして、問題を不法投棄して完結させるの止めてください。こっちとしてはこの気持ちのモヤモヤを投げ捨てたいです!

 再び沈黙が訪れた。先ほどまで何か会話を……と考えていたけど、今は距離感の取り方を考えてしまう。やはりプロデューサーという仕事はどこかおかしくなければ出来ないのだろうか。

もしそうなら、P.C.Sのプロデューサーさんは人間であるうちにプロデューサーを辞めるべきなのだろうか。

 チラッとプロデューサーさんを見ると――

 

「」モグモグ

 

 バナナを食べていた。バナナを食べていた。

 

「ん? 食べるかい?」

 

 サッとバナナを俺に差し出してくる……1房。

 

「あ、いえ、大丈夫です」

 

 1本なら『じゃあ、いただきます』ってなるだろうけど、1房って……なにより――

 

――どこから出した!?

 

 プロデューサーさんはセカンドバックは持っているものの、さすがに入りそうにない。プロデューサーさんの格好は、仕事が終わって着替えたのだろう。薄手のシャツにハーフパンツというラフな格好だ。1本ならシャツの胸ポケット、ハーフパンツのポケットにねじ込めなくはない。

 

 ――考えるのやめよう。

彼が他のプロデューサーさん達から『ゴリラ』と称されるのが分かる気がした。

 

「バナナはいいぞ。栄養あるし、何かをしながら片手でも食べられる。皮を剥かなくても食べられるらしいしな。しかも皮にはビタミンA、B6、B12、C、マグネシウム、不溶性食物繊維なんかも含まれている。ただ、よく洗わないといけないけどな。さらに冷凍させれば釘も打てる。無人島に持っていくならバナナだな」

 

「は、はぁ」

 

 突然のバナナ講義に困惑する。というか、冷凍したバナナを無人島に持っていくってどんなシチュエーションなのだろう?

 

「焼いてよし、煮込んでよし、揚げてよし、メインもはれるし、脇役、引き立て役にももってこいだ!」

 

 この人の謎のバナナ愛はなんなんだろう。

そして、なんでこの人と海岸でバナナについて語ってるんだろう。ここで――

 

『プロデューサーさん、うちの店のチョコバナナパフェ食べに来ませんか?』

 

 と、誘えばいいのだろうか? 正直、あとが怖い!

 

「時に、川嶋くん」

 

「は、はい」

 

 急にプロデューサーさんが真剣な空気を出し始めた。

もしかして藍子さんと付き合っていることがバレたのだろうか……ならば、やられる前に……やられる未来しか見えないや。

 

「君のアルバイト先では、チョコバナナパフェはあるだろうか?」

 

「……は?」

 

「ないのか?」

 

「い、いえ、あります」

 

「そうか! では今度寄らせてもらうことにしよう」

 

「は、はい。お待ちしてます」

 

「む、電話だ。少し失礼する」

 

 そういってプロデューサーさんは去っていった。

 

――――――

 

 あ、焦った~。何だよ、あの人。微妙にこっちの考えてること当ててくるとかエスパーかよ!?

 

『呼びました?』ニュッ

 

 なんか今どっかでスプーンを曲げてるアホっぽい子とフラグが立った気がした。何言ってるか分からないな。

疲れてるのだろう。

 

 

 フゥーとため息をついて、波打ち際に目をやると、母親と幼稚園に入ったか辺りの男の子と、さらに小さい女の子がいた。

 女の子にとっては初めての海だったのだろう。波打ち際で母親と2人でバシャバシャ遊んでいた。

男の子の方は早く泳ぎたいようで、母親に『泳いできていい?』と聞いてるようだった。

少しして許可をもらったのか浮き輪をつけて泳ぎだした。

 

「あ!?」

 

 そこに大きな波がきた。母親は咄嗟に女の子を抱き上げた。男の子の方は、浮き輪のおかげで吞まれることはなかったのだが――

 

「まずい!」

 

 引き潮で男の子が浜から離されていく。母親含め、近くの人はまだ気づけていない。

急いで走って行きたいが、砂に足を取られもどかしい。

そこでようやく母親が気づいたようだ。

 

「子どもが! 子どもが!」

 

「大丈夫です。任せてください」

 

 パニックを起こしはじめた母親に一声かけてから男の子目指して泳ぐ。

 

「ママ-! ママ-!」

 

 男の子も何とか母親のところへ行こうとするも、そうそう行けるわけもない。男の子の体力が尽きるのが先だろう。

 

「大丈夫。お兄ちゃんがママのところに連れて行ってあげるよ」

 

「本当!?」

 

「おうよ! お兄ちゃんに任せろ!」

 

 とりあえず、男の子が落ち着いた。あとは、離岸流から逃げ出しながら岸を目指すだけ。

片手で浮き輪ををつかみ引き寄せながら片手で水をかく。まずは、離岸流から脱出を……

 

「!?」

 

 あ、足が攣った。

疲れと、準備運動をしなかったからだろう。

 

「ゲホッ!」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「だ、大丈夫。安心してくれ」

 

 ここで俺がパニックになったら男の子も不安になってしまう。冷静に、冷静に。足が攣ったなら手だけで泳げばいいだけのこと。

 

「坊や、名前は?」

 

「……つよし」

 

「そうか。つよしは強いんだから、泣いちゃダメだ。お兄ちゃんなんだから、泣いてちゃ妹に笑われるぞ?」

 

「うん!」

 

 さて、おそらく離岸流から抜け出せただろう。あとは浜を目指す。

 

「君、大丈夫か?」

 

 母親から話を聞いたのだろう。ライフセーバーの方が来てくれた。

 

「こ、子供を……」

 

 浮き輪を手放し、ライフセーバーにつよしくんを任せる。

正直足が攣っているから辛いが、つよしくんを任せた分、自分に専念出来るので何とかなる……はず。

 しかし、ライフセーバーとの距離は離れていく。

まぁ、溺れなければ大丈夫。そう自分に言い聞かせながら水をかく。

 

 

「本当にありがとうございました」

 

なんとか岸へたどり着いたところで母子そろってお礼を言ってきた。

 

「いえいえ、無事で良かったです。つよしくん、今度からはお母さんのいうことちゃんと聞くんだぞ? お兄ちゃんとの約束な?」

 

「うん!」

 

「よし!」

 

 つよしくんの頭を撫でて立ち去る。

その後、ライフセーバーの方が感謝状を送りたいと言ってきたのだが、丁重にお断りしておいた。

 一緒にいる人がいる人だし、なにより攣った足が限界なので拠点に戻りたい。

 

「大丈夫ですか?」

 

 と、聞き覚えのある安心する声が聞こえた。

 

「人がいるけど、大丈夫?」

 

「一応、変装はしてますよ?」

 

 またパーカーを羽織り、今度は麦わら帽子を被っている。

 

「そっか……」

 

「肩貸しましょうか?」

 

 あ、これは誤魔化しても無駄そうだ。

多分、足を攣っていることまでは分からないだろうけど、どこかおかしいってことには気がついたんだろう。

 

「魅力的な提案だなぁ」

 

「失礼しますね」

 

 スルッと左腕を肩に回して支えてくれる。

 

「パーカー、濡れちゃうぞ?」

 

「構いませんよ」

 

 正直恥ずかしくて、拠点に戻るまで何も話せなかった。

 

 

「さて、残念なお知らせなのだが、急きょ仕事が入ってしまいました。俺に」

 

 俺が不調なこともあり、帰ることになった。

濡れている水着って脱ぎにくいんだよな。足が痛いからなおさら。

 

「未央ちゃんたちは休みだから、頑張ってねプロデューサー」

 

「まぁ、お前たちは明日、明後日と休みだけどな」

 

 まぁ、昨日ライブで、今日もイベントみたいだしね。

 

「で、だ……帰るなら乗せていくけどどうする?」

 

「え、帰っちゃうの?」

 

 急に寂しくなったのだろう。未希が呟いた。

 

「未希……さすがにそれは……」

 

 未希の気持ちは分かる。でも、相手はアイドル。いつ仕事が飛び入りで入るかも分からない。

 

「プロデューサー。泊まるとしたら、ホテルとか民宿あるかなぁ?」

 

 ――本田さん?

 

「あるが、今の時間なら空室は正直厳しいだろうな」

 

「そっか……未希ちゃん」

 

「は、はい!」

 

 本田さんが未希に目線を合わせて告げる。

 

「お母さんに3人泊まれるか聞いてもらって良いかな?」

 

「えっ!?」

 

「で、もし大丈夫なら泊まってもいいかな?」

 

「本当!?」

 

「うん」

 

 マジですか……って――

 

「着替えはあるの?」

 

 え? 俺変なこと言いました?

 

「かっしー、エッチだぁ~」

 

「な!?」

 

「ま、冗談はさておき……。行楽シーズンなんかは渋滞で帰れなくなると悪いから、お泊まりセットを持っていくようにしてるんだ」

 

 へぇー。

 

「じゃあ、うちに行くとしますか」

 

 ――まぁ、母さんのことだから――

 

「ただいま~」

 

「お帰り~。ってどうしたの!?」

 

 まぁ、驚くだろうなぁ。息子と娘がアイドル3人連れてきたうえに、その息子が熊のような大男に背負われてるんだから。

 

「ナンパに失敗したうえに、足挫いて、海のくまさんにおんぶされてきたの?」

 

 ――どこをどうなったらそういう解釈になるのさ

 

「いや、実は――」

 

 母さんにことの顛末を話した。

 

 

「あら、もちろんOKよ」

 

 あっさり了承した。

 

「やったー!」

 

 と嬉しさを爆発させ、ポジパの3人の周りをグルグル回る未希。

 

「母さん、大丈夫なのか?」

 

「別に問題ないでしょう? それとも、あなたがお嬢さん方に粗相をすると言うの?」

 

「それは無いけど……」

 

「そうよね? もしそんなことあったら、あなたを布団でグルグル巻きにして……」

 

「グルグル巻きにして?」

 

「ウフフフフ」

 

 ――怖ぇよ! 目が笑ってないのがなおさら怖ぇよ!

 

「さぁて、未来のお嫁さんのために腕によりをかけるわよ~」

 

「ちょっ! 母さん!?」

 

「うふふ、私の灰色の脳細胞をもってすればあなたの隠しごとなんてお見通しよ」

 

 ――灰色どころか、パステルカラーのお花畑なんだよなぁ。

 

「じゃあ、川嶋くん。申し訳ないが頼むよ」

 

「はい」

 

「今度、お店にも行くから、チョコバナナパフェも頼むよ」

 

 そういってプロデューサーさんは去っていった。3房のバナナを残して。

 

――あぁ、忘れてた……。まぁいいか。

 

「未希、3人を空いてる部屋に案内してくれ」

 

「はぁい。みんな、こっちだよ」

 

「「「お邪魔します」」」

 

 未希の案内で3人も玄関を去る。

 

「とりあえず、風呂でも沸かしてくるか」

 

 ため息ひとつついて、痛みの残る足にむち打って風呂場へ向かった。

 

 

 

 

 




 THEざだんかい

「お久しぶりです ハマ珍です」

「川嶋優也だ」

「やーい、エロゲの主人公~!」

「何がだ!」

「家にアイドルが3人泊まりに来るとか、イベントスチルばっかの展開だろうが!」

「いや、友達だからな!?」

「友達って何ですか?美味しいんですか?」

「お前、友達は?」

「ふっ、ボッチを嘗めるなよ 『お仕事探しているお友達がいたら紹介してください』って派遣会社の人に言われて『じゃあ、友達紹介してください』って切り返したヤツだぞ?」

「面倒なヤツだな」

「ともかく、後悔したくなきゃ、若いうちはやりたいことやれ」

「うん。薄いな」

「次回のざだんかいではアイドルを出す予定です。具体的には、最近エロティックなあの子です」

 お楽しみに
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