隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 執筆遅れてしまいすみません!!

 タイトルからお察しの通り、あの子が出ます。
○魂って書くと、銀魂と読んでしまう自分が悲しい



砂糖と商魂とクローバー

都内某所

 

「「「お疲れさまでした~」」」

 

「撮影、スムーズにいって良かったね」

 

「うん! 『撮れ高もイイカンジ』ってディレクターさん喜んでたね」

 

「2人が成長してくれて、私は嬉しい。……おかげで時間も空いたしダラダラできるよ」

 

「「なんでやねん!」」ビシッ

 

「そっち方面の成長は期待してないんだけどなぁ~」

 

「空いた時間、どうしようか」

 

「それならおすすめのところが……あ、ここ」

 

「うわぁ~! 行きたいです!」

 

「はぁ~……しょうがないから行こうか」

 

 

 

 

 さて、夏休みも終わり2学期。修学旅行やら文化祭やらイベントのせいか妙に濃い印象のある2学期。

ん? 2学期なんてもう始まってる? まぁ、細かいことはいいだろう。

 

「槙原さんの高校は、修学旅行どこに行きました?」

 

 テーブルのセッティングをしている槙原さんに声をかける。

 

「私のとこは、北海道でしたね!」

 

「北海道かぁ~。美味しいものあるし、いいですね」

 

「って思うでしょ? でもね、行きたい場所が離れてて行けなかったりしたんだから」

 

「? タクシーとか使えばいいのでは?」

 

 ――まぁ、お金はかかるだろうけど――

 

「そこが北海道と他県の違いでね。例えば同じ北海道でも、札幌と旭川では、県を跨ぐレベルで離れているんだよ!」

 

 あぁ、北海道はでっかいどうと聞いてはいたけど、そこまでだったのか。

 

「だから、いくつか食べたいものを諦めて、ファミレスに行ったんだよ! あれは残念だったなぁ~」

 

 しみじみ語る槙原さん。どうでもいいけど、そこでもファミレスなんですね。

 

「あ、ファミレスを馬鹿にしましたね!?」

 

 ――そんなに顔に出やすいのかな? ――

 

「ファミレスは全国共通だから、裏切らないんだよ!」

 

「アッハイ」

 

 妙な説得力があった。

 

「で、いくつパフェを食べたんですか?」

 

「や、ヤダナー。ワタシダッテ、ドコデモパフェタベテルワケジャナイヨ?」

 

「で、結局いくつ食べたんですか?」

 

「うぅ~。優也くんのいじわる」

 

 頬を膨らませて、明らかに怒ってます! という状態の槙原さん。怖いというより、かわいいんですけど。

この人、本当に年上なのかな?

 

「表掃いてきま~す」

 

 槙原さんから反撃が来る前にそそくさと退散する。

 

 

「あれ? この辺のはずなんだけど……」

 

「看板とか無いのかな?」

 

「見つからないならしかたないね~。残念だけど帰ろうか~。いや~残念だ(棒読み)」

 

「あ、あそこの人に聞いたら分かるかな?」

 

「私、聞いてきます!」

 

「おぅ、たくましくなったね……」

 

 

 

「あ、新作メニュー考えなくちゃ」

 

 掃除をしながら、ふと思い出した。

9月ということもあり、暦の上ではすでに秋。

実りの秋、ということもあり、食とは切っても切れない関係にある。

 商いではあるが、秋無い、とはいかないのである。

 

「さつまいもとか栗とか、ありきたりではあるけど、その辺は使いたいよね。

 あとは……りんごとか梨もかなぁ。

でも、りんごって冬のイメージもある気がするんだよなぁ」

 

「すみません」

 

「まぁ、りんごはデザートとか、肉料理のソースとかに使えるからいいか。あとは……きのこか?」

 

「すみません!」

 

「ん?」

 

 呼ばれて振り向いたが、ここで俺は無意識にミスをしてしまった。

 

 状況

・考え事をしていたため、眉間にしわが寄っている

・掃いたゴミをちりとりで集めるためにしゃがんでいる

・声をかけてきた女の子を見上げる形になっている

・ふいに声をかけられたために接客モードではない

 

 結果――

 

「ひっ!?」

 

 目の前の女の子をビビらせてしまった。

 

「あ、すみません。何か御用でしょうか?」

 

 スッと立ち上がり、接客モードに入る。

 

「あ、えと、その……cloverというお店の場所を――」

 

 目の前の――例えるなら、うさぎの様な小動物系の女の子が徐々に声を小さくしながら尋ねてきた。

 まぁ、ビビらせてしまったし、仕方ないよね。

久しぶりに怖がられたからといって、傷ついてないよ? ホントダヨ

 

「いらっしゃいませ。当店がcloverになります」

 

「えっ?」

 

「いきなり当たり引いたね」

 

「さすが蘭子ちゃん曰く、四葉の申し子……」

 

 後ろの連れの2人が何か言ったような気がするが、距離があったため、聞こえなかった。

 

 

 なんやかんやで3名様ご案内。先ほどのうさぎの様な子と、連れのふくよかな子。もう1人は……小学生、かな? 橘ちゃんより背が低いけど……少なくとも常連さんではない。

 

「ご注文お決まりになったらお呼び下さい」

 

 1礼して引っ込む。お客さんが来たので、バックルームで休憩しているマスターを叩き起こす。

 

「あと5時間~」ムニャムニャ

 

「働け!」ズバーン

 

 ――文字通り『叩き』起こす! ――

 

 

「全く。客の1人や2人、優也1人でも捌けるだろうに!」

 

「まぁ、そうなんだけどさ。……今来てるお客さん、アイドル……だと思うんだよね」

 

「マジで!?」クワッ

 

 鬼瓦の様な顔をして驚くマスター。マンガとかなら集中線が入っているか、電流奔る! って感じなんだろうな。

 

「その顔、怖いって」

 

「すまんすまん。で、本当なんだろうな?」

 

「多分、おそらく、maybe……」

 

「はっきりしないヤツだなぁ」

 

 仕方ないでしょ。アイドル大百科のマスターに比べたら全然なんだから。ただなんとなくそんな気がするだけだし。

 俺も毒されてるのかな?

 

「すみませーん!」

 

「ほら、呼んでるぞ」

 

「はーい。じゃあ、マスター。調理よろしくね」

 

 マスターがぶつぶつ言いながら手を洗っているのを尻目にフロアに戻った。

 

 

 

「えっと……以上でご注文の品、お揃いでしょうか?」

 

 ファミレスなんか行くとよく店員さんが確認するよね? 

 1品、2品だろ? 確認するまでもないだろう!? と思うかもしれない。それでも、何卓かの注文を受けている以上、過不足、注文が違う、なんてことが起こりうるかもしれない。そういったことが無いように店員、客の両方でチェックするためでもあるのだろう。

 もっとも――

 

「はい。大丈夫です!」

 

 このテーブルの上のデザート、スイーツの山を見て、本当の意味で使うことになるとは思わなかったが。

 

「か、かな子ちゃん! 大丈夫なの!?」

 

「美味しそうだから大丈夫だよ~」

 

 小動物系の女の子が心配しているが、謎の理論で言い張る。大丈夫だと。

何の根拠にもなっていないけどな!

 

「見てるこっちが胸焼けしそうだよ」

 

 見た目は子供! な子、同感です。

 

「いっただきまーす」

 

 かな子と呼ばれたスイーツの天使? 女神? はフォークとナイフを手に取り、パンケーキを切り分け、1口。

 

「ん~。ふわふわだけど、しっとりしてる。次はシロップをかけて――」

 

 頬に手をあてて悶えている。とりあえず、1枚のままペロリと平らげることがなくてホッとしてしまった。

 

「杏、飲み物だけでいいや」

 

「そう言わずに杏ちゃんも1口」

 

「んあ~」

 

 口に入れてもらう分には食べるらしい。

小さいながらちゃっかりしている杏と呼ばれたぐうたら生物。

 

「智絵里ちゃんも、おひとつどうかな?」

 

 ここでかな子さんは、うさぎ女子、智絵里さんにも勧める。

 

「私は、自分のがあるから良いかな」

 

 苦笑を浮かべながらやんわり断った。

 

「そっかぁ~」

 

 おかしい。お菓子じゃなくて、おかしい。口に入れながら話しているわけではないのに、かな子さんの前のスイーツがどんどん減っていき、空になった器だけが残される。

 昔見た洋画の『イ○ビ○ブ○』やら『○ャ○パー』のように、透明人間やらお化けやらがいる! って言われた方が納得するような減り方だ。

 でも、ちゃんと味わってはいるようで、一品一品へしっかりとコメントしている。

それでもフォークは止まらない。止まった時は? それはスプーンに持ち替えた時だ。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 驚いた ただひたすらに 驚いた

 

テーブルの上にあったスイーツは器だけを残し、無くなってしまった。気持ちいいまでの完食である。

 

「ご満足、いただけましたか?」

 

 正直ここで

 

『いえいえ、全然足りません。追加オーダーいいですか?』

 

 と言われたら、離れた席でグダっとしているマスターを再び叩き起こしてでも応えなければならない。

 

 ――ハハッ、冷や汗が止まらないね――

 

「ううっ、鎮まれ。俺の右手……」

 

 ――うん。アイツは割と大丈夫そうだ――

 

「はい! 事務所の子達から聞いて、1度来てみたかったのですが、大満足です!」

 

 ――あぁ、やっぱりアイドルだったんですね。って、結構な量食べてたけど大丈夫なんですかね? ――

 

「かな子ちゃん……」

 

「あ!」

 

 智絵里さんに言われて、アイドルバレしてしまったことに気づいたのだろう。

 まぁ……今更ですね!(通算10人以上)

 

「まぁ、アイドル御用達だし大丈夫でしょ~」

 

 ダラダラ~としながら言う杏ちゃん。

 

――えっと……アイドルだよね? ――

 

「ところでさ、このお店なんでcloverっていうの?」

 

「あ、それ私も気になります!」

 

 小さく挙手する智絵里さん。

 

「なんでだっけ? マスター」

 

「んあ~? 四葉のクローバーって身近にある幸せじゃん? だから、うちの店もお客さんにとっての身近な幸せになれたらいいかなぁって」

 

「なるほど!」

 

 納得する智絵里さん。

 

「でもさ、クローバー要素無くない?」

 

「「うっ!!」」

 

 痛いところを突いてくる杏ちゃん。

 

――勘の良いガキは嫌いだよ――

 

 まぁ、冗談ではあるけど。

 

「それなら、四葉のクローバーをイメージしたプレートメニュー作るとかさ、コースターとか小物作って売ったりとかさ~」

 

「な、なるほど」

 

「あとは、自家製ハーブ栽培して、ハーブティーとして売り出したり、ハーブ自体を売ったりとかさ」

 

 杏ちゃんの言うことをしっかりメモしているマスター。

こんなにひたむきに仕事している姿、見たことないよ。

 

「なんなら、杏がこのお店のコンサルタントやろうか? 

 大丈夫大丈夫。必要以上にコスト削減させたり給料カットとかはしないから。ただ、杏のアドバイスを聞いて、売り上げの2割ほどマージンしてくれるだけでいいから。ね?」

 

「ははーっ、杏様の仰せの通りに!」

 

「いや! 断れよ!!」

 

「ハッハッハ、楽して稼ぐ! 杏王国(キングダム)の建国を宣言する!」

 

 ――なにこの子、恐ろしい子――

 

「誉めよ! 讃えよ! 崇め奉れ! わはははは!!」

 

 なお、杏王国(キングダム)は数秒後、2人の少女のツッコミにより崩壊した。

 三日天下ならぬ3分天下。双葉杏、17歳の秋だった。

 

「って、同い年!?」

 

 事実は小説よりも奇々怪々であった。

 

 




 川嶋優也の噂②

最近、クラスメートに誘われてサブカルチャーにも手を出しているらしい
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