隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

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 毎日のようにバカ暑い日が続く今日この頃。
いかがお過ごしでしょうか?
 学生の方は夏休み、満喫していますか?
バイト、部活など忙しいとは思いますが、たまには無理せずゆっくり休みましょ?

 社会人の方、お盆休みまでもう一息です。気を緩めず、まぁ、適度にいきましょう。

 さて、今回は……出たから書きます。(少し遅れましたが)
 タイトルから出てくる子、分かりますかね?
では、お楽しみいただけたらうれしいです。


ちょっと大きい子とちょっと小さい子とコンプレックスと

 修学旅行も間近に迫り、荷作りやらバイトのシフトを考えたりやらしなきゃいけない今日この頃。

 

 ――バイト終わってから荷物のリスト確認しながら荷作りしなきゃな――

 

 そんなことを考えていると――

 

バン!

 

「お願い! 匿って!」

 

 見た目は子ども、中身はぐうたら。これでもアイドルの双葉杏が立っていた。

 

『働かずにがっぽり稼ぐ』を信条とする彼女には珍しく、走ってきたのか息を乱していた。

 

「はい?」

 

「時間がないんだ! 早くしないと……」

 

「早くしないと?」

 

 早くしないと、なんだというのだろう?

 

「とりあえず隠れさせてもらうね!」

 

 言うが早いか、そそくさと身を隠す双葉。

 

 

 先日来た時に同い年と知ったのだが、その際、

 

「別に敬語じゃなくていいし、敬称もいらないよ。

 面倒じゃない?」

 

 と、言われたこともあり、『双葉』と呼んでいる。

 

 

「あ、ちょっ!」

 

 せめて何から、誰から身を隠そうとしているのか聞こうとすると――

 

カランカラン

 

「いらっしゃいまs――」

 

 入り口に目を向けると、自分と同じぐらいの身長の女性(少女?)が立っていた。

さっきまで双葉と話してたから、遠近感がおかしくなったのかと思ったがそうでもないようだ。

 服装は原宿系……というのだろうか。ポップというか、メルヘンというか……蘭子さんの服装をカラフルにするとこんな感じなんだろうな。

 

「コホン、失礼いたしました。お一人様ですか?」

 

 非礼を詫びて、接客につとめる。

高身長だからって、ジロジロ見ていい理由にはならない。似たような境遇だから分かる。

 

 ――もっとも、俺の場合は、『目つきが悪い』という評価もついているワケだが――

 

「えっとぉ……人を探しているんですけど~……」

 

 よく、甘い声のことを『あめ玉を転がすような――』と言うが、彼女の場合は、あめ玉というより、ロリポップ(棒状のあめ)のようなイメージを受ける。

 ん? 分からない? 考えるな! 感じろ!

 って、人を探していると言ったか!? もしかしてそこのぐうたら小人では……って、そんな偶然あるわけないよな。

 

「ちなみに、どんな人でしょう? 見た目とか……」

 

 と、尋ねると、女性はスカートを整え屈み、

 

「身長がこれくらいで~、長めの金髪を2つ縛りにして~、ちょ~っとやる気が無いようなきゃわいい女の子なんです」

 

 うん。『きゃわいい女の子』意外は双葉と条件が酷似している。

 さて、どうしようか。この人に双葉を引き渡すのは簡単だが、『きゃわいい女の子』という1点が無視できない以上、他人の可能性も否めない。

 ここで『この子ですか?』と差し出してみたものの、違うと言われたら虚しい。

 ここはこの人が『双葉を探している』って確証を得るたまで待つしか無い。

 けして『双葉がきゃわいい女の子』っていうのを否定したいわけではない。断じてないのだ!

 

「困ったにぃ。智絵里ちゃんとかな子ちゃんにここにいるかも、って聞いてきたのに……」

 

 ――うっ、なんか悪いことしている気がしてきた。でも、双葉も何か理由があって――

 

「レッスンまで時間無いにぃ……」

 

「お姉さん、コイツです!」

 

「んな!?」

 

 隠れていた双葉を引っ張り出す。

 

「杏ちゃん、やっぱりいたぁ~」

 

「う、裏切り者ぉ~」

 

「とある美女は言いました。『裏切りは女のアクセサリー』であると」

 

「それは立場が逆じゃない?」

 

 あぁ、そっか。俺が裏切られる場合なら正しいのか。

 

「ともかく時間無いにぃ~」

 

「優也。止めてくれ~」

 

「いや、働け」

 

 真っ向からぶった切った。正論は正しくはあるけど優しくはないのだ。

 

「ほら、杏ちゃん、急ぐにぃ!」

 

「まぁ、終わってからなら一品くらい奢ってやる。えっと……」

 

 そのくらいならお安い御用だ。

 

「きらり、諸星きらりだにぃ」

 

「諸星さんも後で来て下さいね」

 

「分かったにぃ。じゃあ、優也ちゃん、後でねぇ~」

 

 そう言うと、双葉を抱えて店を出て行った。

ってか、アイツ自分で歩かないのかよ。

 

「本当にぐうたらだな。まったく」

 

「それが彼女の美徳であり、アイデンティティだからね」

 

「ものは言いようなんだけどさ……あそこまでぐうたらなのもなぁ」

 

 ――ん?――

 

 振り返ると、カウンター席には――

 

「二宮さん、いつの間に!? というか、久しぶりです」

 

「……飛鳥」

 

「はい?」

 

「ボクの名前は飛鳥だ」

 

 うん。それは分かっているけど……

 

「『二宮』は血筋を表す。ボク個人のことではない」

 

 えっと……つまり……

 

「『名前で呼べと?」

 

「端的に言えばそうなるね」

 

 彼女の言葉を借りるなら、この言い回しが彼女のアイデンティティなのだろう。

 

「で、今日はどうなさいます?」

 

「ふむ……サンドイッチとアメリカンをもらおうか。もちろん――」

 

「ブラックですよね?」

 

「あぁ」

 

 満足そうに肯く飛鳥さん。

一礼して下がる。さて、今日はどのくらい砂糖を必要とするのやら。

 

 

「お待たせいたしました。サンドイッチとアメリカンのブラック(とスティックシュガー)です」

 

「あぁ。……ところで、いつの間にいたか、という質問だったね」

 

 あぁ、さっきそんな質問したっけなぁ。

 

「まぁ、きらりさんが、ただ事じゃない雰囲気でいたものでね。案内がてら一緒に来たわけさ」

 

「あぁ~……申し訳ありません。諸星さんの(背の)大きさに驚いて気がつきませんでした」

 

「な……な……」

 

 驚愕、と言ったような顔をする飛鳥さん。

 

「そ、そこまで(胸が)大きくないと思うけれどな!」

 

 うわずった声で言いながらサンドイッチを一口ほおばる。

 

「そうでしょうか? あそこまで(背が)大きい方は初めて見ました」

 

「ま、まぁ、確かにそうだけれど……ボクも将来的にはあれくらい(胸が)大きく可能性もなきにしもあらずだろう?」

 

「さすがにそれは……」

 

 ――180を越える高身長の飛鳥さん……ありかもしれないけれども――

 

「な!? それはボクには(巨乳になる)可能性は無いということかい!?」

 

 あれ? かなり激昂しているぞ? そこまで高身長に憧れがあるのかな?

 

「いえ……ただ、飛鳥さんは今のままでも十分魅力的だとは思いますけど……」

 

「なんだと……今に見返してやるから、首を洗って待つがいい」

 

 ――まさかの打ち首案件ですか!? ――

 

「それはそうと……やはりミルクももらえないだろうか?」

 

「え? あぁ、はい」

 

 身長の話になったから、少しでもカルシウムを摂取しようと思ったのかな? 

 

「少しでも大きくしないとな」

 

 胸に手を当てながら飛鳥さんは呟いた。

その後、三杯ほどカフェオレを飲んで、飛鳥さんは帰って行った。

 カフェインの摂りすぎにならなければいいけれど……。

 

 

「あ~、疲れた~。休みた~い」

 

 しばらくしてレッスンを終えた双葉と諸星さんが戻ってきた。

 

「おう、諸星さんに運んでもらって何言ってるんだ」

 

「もう、無理~。歩けな~い。週休8日を希望します」

 

「政治家になれば出来るんじゃないか?」

 

 まずは1週間を8日以上にすることから始めなきゃだろうけど。あぁいうのって、憲法改正とかで変えるんだろうか。

 

「イヤだよ、めんどくさい」

 

 机に突っ伏してぶーぶー言う双葉。

 

「お前みたいな面倒くさがりが、よくアイドルになれたな……」

 

 正直、プロデューサーさんは外郭に騙されたんじゃないかとすら思える。

 

「まぁ、杏は印税で遊んで暮らすためにアイドルやってるわけだしね」

 

 ん? 遊んで暮らすためにアイドルをやる……お互いに騙し騙されているんだろうなぁ(思考停止)

 

「さて……ご注文なにになさいます?」

 

 いつまでも駄弁っているわけにいかないし、仕事に戻るとしよう。

 

「メニューの端から端まで。もちろんゆうやの奢りで」

 

「なぁ、双葉。封印されし者の創作料理(イチゴパスタMarkⅡ戒)っていうのがおすすめなんだけど、食べてみないか? 代金は俺が払うからさ。双葉は座って食うだけ。どう?」 

 

「やめろぉ~やめろぉ~」

 

「諸星さんはどうなさいます?」

 

「うきゅ?」

 

 おう、ハムスターが鳴いたのかと思ったぞ。

 

「でも、優也ちゃんに悪いにぃ……」

 

 ――あ、この人常識人枠だ――

 

「んじゃあ、こうしましょう。俺は一時的とはいえ、双葉を匿いました。その謝罪の意味も込めて一品奢らせてください。

 そんで、これからも店に来て下さい。こんな条件でいかがでしょう?」

 

「お安い御用だにぃ」

 

 この提案には、キッチンにいるマスターもニッコリ。

 

「じゃあ、この『グレートゴージャスパフェ』で」

 

「かしこまりました。では、グレートゴージャスパフェと、イチゴパスタMarkⅡ戒で……」

 

「やめろぉ~!」

 

 

「お待たせいたしました。グレートゴージャスパフェと……オレンジジュースになります」

 

「うきゃー!!」

 

 パフェのタワーを目の前に興奮する諸星さんと――

 

「ア、ウン、アリガトウ」

 

 先ほどまで興奮しすぎて燃え尽きちゃってる双葉。

すこし、やり過ぎたかな?

 

「ん~、ハピハピだにぃ~」

 

 一方で、パフェを一口食べるごとにいい顔をする諸星さん。これだけ喜んでもらえるなら、野口さんの2人や3人。財布から飛び去っても惜しくは無い。

 

「ところで、諸星さんはどうしてアイドルに?」

 

「うきゅ?」

 

 ――だから、その鳴き声は何!? なんでスプーン咥えて首傾げるのさ。仕草がかわいいぞ!――

 

「あ、食べ終わってからでも――」

 

「きらりはね……」

 

 わざわざスプーンを置いて、諸星さんは語る。

 

「きらりはね、かわいいものが大好きだにぃ! かわいい小物とか、お洋服とか……でもね、きらりは、ちょっぴり大きいから、他の皆みたいには出来ないって思ってたの。でもね、Pちゃんが、アイドルにしてみせる! って言ってくれたから、Pちゃんを信じてアイドルやってるんだゆ」

 

 なるほど――

 

「他の、身長が高いって悩んでいる子からすれば、諸星さんはカリスマ的存在なんですね」

 

「カリ……スマ? うきゃー!! 恥ずかしいにぃ~」

 

 顔を赤くして、ごまかすためか、パフェを食べ進める諸星さん。

 

「でも……こんなきらりでも、誰かの憧れになれるんなら嬉しいにぃ」

 

 晴れやかに笑って、またパフェに取りかかる。

彼女はコンプレックスを抱えながらも、それでも同じコンプレックスを抱える人の憧れの存在になろうとしていた。体だけじゃなく、心も大きい人なんだと思った。

 俺も大きな心を持とうと思った。

 

「女ったらし」

 

 とりあえず、双葉の発言は聞かなかったことにしよう。

 

 

 

 346プロ

 

「ボクだって、ボクだって……」

 

ガチャ

 

「闇にのまれよ!」(お疲れさまです!)

 

「あぁ、やみのま」

 

「我が友飛鳥よ、錬金術の模倣に精を出しているのか?」(飛鳥ちゃん、ハガ○ンの真似?)

 

「いや……」チラ

 

「?」ポヨン

 

「」ストーン

 

「飛鳥ちゃん?」

 

「持っている者には、持たざる者の気持ちは分からないだろうさ」

 

「え、えっと……?」

 

「ユダめ」

 

「」ガビーン

 

 その後、飛鳥と蘭子によって優也が巻き込まれるほどの胸囲的な戦争、『(ニュー)ラグナロク』が発生することになるのだが、まぁ、それは機会があれば語るとしよう。

 

 

 

 

 

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