今回は番外編になります。
上手くまとまらず短めです
――それは虫の知らせか、恋する乙女の勘なのか――
「優也くんが困ってる気がする」
レッスンを終えて、ランチでも……と思った矢先にあーちゃんが言った。
え、かっしーって困ると救難信号を発するの!? というか、それを察知できるあーちゃんって一体……
「学校生活でかっしーが困ることってあるの?」
私の中では、多少の困難だったら悩む素振りすら見せない喫茶店のバイトのお兄さんのイメージしかないんだけど……。
「学食の新しいメニュー考案とか……」
「えっ!? ちょっと待って!!」
一学生が関われることじゃないよね!?
「かっしーにはそこまで関われる権力が!?」
「権力っていうほどのことじゃないけど……前に遅刻したときに、調理担当の方が3名ほど休まれたことがあって、その時に代理で入ったとか……」
「んん?」
※回想
「あ、武田先生。おはようございます!」
「もう昼だけどな。で、重役出勤して、何してるんだ、お前は?」
「ご覧の通り、人助けですよ」
ほら、と両手を広げて自分の格好を見てとばかりにアピールする。
「あぁ。調理場に立つ以上、白衣なのは正しいが……それよりもやることがあるんじゃないか?」
怒鳴られてもおかしくない状況で、怒りを堪えて諭す言い方はさすがである。
「先生の言うことはごもっともなのですか、自分は、社会に出る上で勉強より大事なことってあると思うんですよ」
「ほう……」
「目の前で困っている人がいれば何をなげうっても手を差し伸べる。そういう姿勢も大事ではないですか?」
「ふむ。一理あるが……学生の本分は勉学ではないのか?」
「ええ。ですが、
先生は目を閉じ、腕を組んで――
「お前とは放課後にでも話し合わなければならないな」
「ははっ。お手柔らかにお願いしますね」
結局、その日から1週間、放課後一時間の補習と課題提出で許してもらった。
※回想終了
「ということがあって、食堂の方とは親しいとか……」
「うん。私も食堂のおばちゃんとは仲がいいって思ってたけど、そこまではいかないや……」
むしろ、『仲がいい』で済む話でもないよね?
「で、今かっしーはそれで困っているの?」
それを察知できるあーちゃんって本当に何者? いや、あーちゃんだけどさぁ。
「いえ、優也くんは昨日から修学旅行で奈良・京都に行ってますし……」
あ、そうなんだ。それでも救難信号? を察知できることについては突っ込まないでおこう。
……正直私1人じゃツッコミ入れるのしんどくなってきた。あー、かみやんでもいたらなぁ――
「そう言えば、かみやんのところも修学旅行って聞いたなぁ」
「そうなんですか? まぁ、大体修学旅行って春か秋にやりますからねぇ」
まぁ、夏は暑いし、冬は寒いし、どっちも長期の休みあるしね。
「どこ行くって言ってたかなぁ~」
「お疲れさま~」
「おぉ、かれん。お疲れ~」
「お疲れさまです」
そこに来たのはかみやんの理解者兼『被』保護者のかれん。
「ふたりとも何してるの~?」
「かっしーが京都で救難信号発しているかもって話」
「は?」
うん。その反応は分かるけど、『何言ってんのコイツ』みたいな目をするのはやめてほしいかな。
「加蓮ちゃんはお仕事終わりですか?」
「うん。今日は雑誌のインタビューだったんだ。ずっと座ってたから少し疲れちゃった」
そう言ってググッと伸びをするかれん。
「あ、ねぇねぇかれん。かみやんって修学旅行でどこ行くって言ってたっけ?」
「ん~? 昨日から京都って言ってたけど」
「ヘェー、ソウナンデスネ」
おう、いつものゆるふわ空間ではなく、絶対零度のような空気と、ハイライト70%OFFの目がかなり怖いって! あーちゃんじゃなくて、藍子様だよコレじゃあ!
(え、なんかしたの?)
尋常じゃない
(かっしーも昨日から修学旅行で、今日は京都なんだって)
(あぁ~)
「まぁ、京都っていっても広いしね? まぁ、遭遇することなんて無いと思うよ?」
「そうそう。観光スポットもいろいろあるし、そうそう会うこと無いと思うよ?」
「そうでしょうか?」
おっと、まさかの藍子様の反論!
「示し合わせれば会うこと出来ますよね? 昨日、連絡来ませんでしたし……お二人で盛り上がっていたんですかね……」プクー
あんのバカっしー! 連絡いれなきゃダメでしょうが!!
(大丈夫。藍子はただむくれているだけだよ)
かれんが小声で指摘し、ここは任せてとウインクをする。
「いやいや、優也さんが藍子のことないがしろにするわけないでしょ? 昨日の夜連絡しようとしたけど、夜だし気を遣ったんだよきっと」
「そう……でしょうか?」
「そうだよ。それとクラスの人たちと盛り上がったのもあるだろうし。藍子にゾッコンの優也さんが藍子を悲しませること、するわけないでしょ」
「そう……ですね」パァッ
(さすがかれん!)
(まぁね)フフン
あーちゃんは気分よくなったのか鼻歌歌ってるし。
(しかし……最近のあーちゃんは……ちょっと)
(ん? どうかしたの?)
(いや、普段はいいんだけどね、かっしーが絡むと……ね?)
(あぁ。言わんとすることは分かるかな)
(プロデューサーのことになると面倒くさくなるさくまゆみたいだなぁって)
「誰が面倒くさいんですかぁ?」
「だから、さくまゆだって」
ん?
今、かれん以外の声が聞こえた気が――
「まゆ、面倒くさいですかぁ?」
「「ひぃっ!?」」
ふと足元、正確には近くの机の下から声が聞こえ、そちらを見たら――
「まゆ! いつから居たの!?」
「ふふっ、最初からいましたよぉ?」
346の恋する妄目乙女、さくまゆこと佐久間まゆだった。
「こんにちは、藍子ちゃん、加蓮ちゃん、未央ちゃん」
薄暗い机の下から出てきて挨拶をするさくまゆ。
「フヒッ、まゆさん。膝元に汚れが」ポンポン
「裾にもホコリがついちゃってますけど」サッサッ
そしてさくまゆの足元で甲斐甲斐しくしているキノコちゃんこと星輝子ちゃんとぼののこと森久保ののちゃん。
「うふっ、2人ともありがとう。それで……未央ちゃん?」
「は、はひ……」
2人にお礼を言って、私向き直るさくまゆ。
不思議と全身の震えが止まらない。
「まゆ、面倒くさい女ですかぁ?」
「あ、いえ、そんなことは……」
「では、どういうことなんでしょう?」
ズズイッとにじり寄るさくまゆ。
「ただ、最近のあーちゃんが、プロデューサーが絡んだときのさくまゆみたいだなぁって……」ダラダラ
さくまゆのプレッシャーに冷や汗が出てきたよ。
「未央ちゃん……」
ふと、後ろをむくと、あーちゃんが私の後ろに来ていた。
「あーちゃん、助け――」
「私、面倒くさい女ですか?」ハイライトオフ
前門の
だけど大丈夫。まだ私には頼れる仲間がいる。そうでしょう――
「じゃあ、輝子ちゃん、ののちゃん。ファミレスでも行こっか?」
「フヒッ!? 友だちとファミレス!? リア充じゃないか!?」
「森久保も一緒でいいんですか?」
「うん! 2人と一緒に行きたいな」
「ちょい待って~!!」
私を置いていこうとしないでぇ~!!
「え? 何?」
今日、あたり強くない!? 『いいところなんですけど』みたいな目で見られても……
「た、助けて~」
「「む~り~」」
「それ森久保のなんですけど! いぢめですか?」ガビーン
助けを求めるも、断られた。そんな私以上にぼののはショックを受けていた。
「そんなわけないじゃん。ほら、行こっ。私ポテト食べたい!」
「フヒッ。私は……キノコハンバーグだ」
「森久保は、森久保は……まだ決められません!」
「まぁまぁ、メニュー見ながらでいいじゃん」
そして、無常にも戸が閉められた。
「かれーん! カムバァック」
「さ、未央ちゃん……」
「お話しましょう?」
この後めちゃくちゃお話した。
ちなみにしまむーが来て、
「昨日、優也くんとお話しました」
という一場面があったけど、語りたくない(白目)
NGシーン
「私、面倒くさい女ですかぁ?」
「ひいっ!?」ガンッ!!
「痛い」ナミダメ
2人の驚きに驚き、頭をぶつけるさくまゆ。