隠れ家喫茶ゆるふわ(凍結中)   作:ハマの珍人

9 / 70
 ポジパイベ始まりましたね! あぁ! あーちゃんは天使! これは総意だったんですね。

 一応番外編というか、思いつきの見切り発進。
本編とは特に関係ありません。
 あーちゃん視点です。


オリジナルカレーガラムマサラマシマシハチミツ……

「お疲れさまでした~」

 

「藍子ちゃん、お疲れさまです」

 

「お疲れさまで~す」

 

 仕事を終えて、スタッフさんたちに声をかけつつスタジオを後にする。

 

「あぁ~、タカモリエルに今日も癒された~」

 

「全くだよ! 藍子ちゃん見てると心が癒やされ、カレーを食べることで腹も満たされる」

 

「ってことは……」

 

「「今夜もカレー!!」」

 

「だよなぁ!」アッハッハ

 

 と、スタッフさんの笑い声が聞こえた。

 

 『スパイスパラダイス』のイベントを終えてからもいまだに私を『大天使タカモリエル』と言ってくる人が絶えず、評価してもらえることを嬉しいと思う反面、恥ずかしくもありました。

 そもそも346プロダクションでは、大天使と言えば、卯月ちゃんの『ウヅキエル』、智絵里ちゃんの『チエリエル』を筆頭に、天使と呼ばれる子がいるわけなんですがその仲間入りを果たしてしまいました。

 私自身はそんなつもりはないんですけど、未央ちゃんと茜ちゃんがことあるごとに、

 

「タカモリエル様~」ハハーッ

 

「タカモリエル様! バンザーイ!!」

 

 と吹聴してしまったこともあり、予想以上にスタッフさんの間でも広がってしまいました。

 舞台でお世話になった監督さんからも、

 

「タカモリエルはワシが育てた!」ガハハッ

 

 と言われる始末で――

 

 それに加えて、カレーのCMにも出させていただいたこともあり、

 

『華麗(カレー)なる大天使タカモリエル』

 

 なんて呼ばれることもしばしばあります。

また、さっきみたいにスタッフさんたちの間では、

 

「タカモリエルに心を満たされ、カレーを食べてお腹を満たす」

 

 なんてことを言われてしまい、てっきりカレーのイメージが定着してます。それに気をよくしたプロデューサーさんも、

 

「よし! 全都道府県の小中学校を回って華麗なるツアーをしよう!」

 

 なんて言って、小中学校でのライブと、カレー作りをしたり……もはやなんでもありですよね。

評判は良かったようですし、私たちも楽しかったので良かったですけど。

 

 ようやく一段落したこともあり、久しぶりにお店に来ちゃいました。優也くんとは毎日連絡とっていたんですが、お店に来ることは完全にサプライズ。ビックリしてくれるかな?

 

「こんばんは~」

 

 あいさつしながらドアを開ける。

そして出迎えてくれる懐かしいにおい――

 

 ――あれ?――

 

 久しぶりのはずなのにここ最近ずっと嗅いでいる匂いがした。

 

 ――このお店、こんなに()()()()()()()がしたっけ?――

 

 鼻腔をくすぐるのは、いつもこのお店に漂っている落ち着くコーヒーや紅茶の匂いではなく、神経を刺激するようなスパイスの――具体的にいえばカレーの匂い。

 

「あ、高森ちゃん。いらっしゃい」

 

 こちらに気づき右手を挙げながらあいさつしてくれるのはマスターさん。何か疲れてます?

 

「こんばんは。……お疲れですか?」

 

「まぁ、疲れてはいるかな。まぁ、僕の場合は高森ちゃんが来てくれたおかげで、疲労の原因とは今日でおさらばだけどね」

 

 そう言って席に案内してくれつつ、伸びをするマスターさんの顔は少し晴れやか。

 

「えっと……どういうことですか?」

 

 マスターさんに意味を問いかけると、マスターさんは黙って厨房の方を指差す。そちらを見ると――

 

「…………」ブツブツ

 

 変わり果てた表情を浮かべ、何かを呟きながら何かをかき回す優也くんの姿が。

 

「どうかしたんですか!?」

 

「彼も憑かれているんだよ」

 

 何故でしょう。同じことを言われているのに、違う意味に聞こえるのは。

 

「えっと……あれはカレーを作ってるんですよね?」

 

 どう見ても不思議なお薬を作ってる魔法使いさんにしか見えないんですけど……

 

「ん? あれは召喚の儀式」

 

 なるほど、召喚の――

 

「召喚の儀式!? 何を召喚するんですか?」

 

 マスターさんはなんでもないように言ったけど、普通は召喚の儀式を、それもカレーでなんて行わないですよ。

 

「それはほら、『華麗なる大天使タカモリエル』をだよ」

 

 あぁ、ここでもかと思わず頭を抱えてしまいます。

電話ではそんな様子無かったのになぁ。

 

「ちなみにこれで5日目ね」グテー

 

「5日目!?」

 

 今日だけだと思っていたのに、まさかの状況に驚きました。

 

「しかも毎日種類が違うしね~」

 

「 」

 

 聞いた途端に私は厨房へ――

マスターさんが止めようとしていた気もしますが、それどころではありません。

 

「タカモリエルサマ、タカモリエルサマ」ブツブツ

 

 近くで見ると、何とも言えない状況に溜飲が下がりそうになりますが、それはそれ。

 

 そもそも、こんな儀式なんて行わなくても恋人なんだから会えるのに。

 でも、それは優也くんからしたら『タカモリエル』ではなくて、『高森藍子』なんでしょうか?優也くん、そういうところありますしね。

 前にグッズとかチェキの懸賞に応募しているのを見たこともありますし……そういうところは律儀なはずなんですけどね。

 

 閑話休題(それはそれとして)

 

「優也くん」

 

 声をかけるとピクリと反応。顔を上げて驚き半分、喜び半分の表情をうかべています。

 

 久しぶりに会ったので、気持ちは分かりますが――

 

「正座」

 

 それは後回しです♪

 

 

 

「優也くんはアルバイトとは言え、お金を貰ってるんですから公私混同しないでください」

 

「はい」

 

「それとここは喫茶店であってカレー屋さんではないので、そこのところをしっかりしてください」

 

「はい……」

 

 正座した優也くんを見下ろして、怒りに任せるようなことはせず、目線を合わせて諭すように話し掛けます。

未央ちゃんに、

 

『あーちゃんは甘い!』

 

 って言われるんですけどね。

それでも反省しているのか、優也くんは少しずつ小さくなっていきます。

 

「明日からは元通りの営業、出来ますか?」

 

「はい」

 

 反省しているようなので、この辺で終わりにしましょうか。それに――

 

「会えなくて寂しい気持ちは私も一緒でしたから……」

 

「藍子!」パアッ

 

 怒られてシュンとしていた顔が一瞬で笑顔になり、立ち上がろうとした優也くん――

 

「ストップ! まだお説教は終わってませんよ」

 

「はい」ピシッ

 

 制止を呼びかけると、立ち上がろうとした姿勢から一転、これが正座だと言わんばかりに姿勢を正します。

 

――正座の見本として写真に撮ったら、さすがに怒られますよね――

 

 あまりの姿勢の良さに、そんなイタズラ心がふつふつと沸いてきます。

一方で優也くんは何かを期待するような目を向けてきます。何を期待しているのか分かりませんが、ともかくこれだけは伝えておきましょう。

 

「最後に優也くん、これだけは心して聞いてくださいね?」

 

「 」ゴクリ

 

 急に真剣な表情になる優也くん。

確かに『心して』とは言いましたが、清良さんのオシオキを受ける愛海ちゃんみたいな表情にならなくても……まぁいいか。話進まなくなりそうですし。

 

「カレーで召喚の儀式は出来ません」ナンチャッテ

 

 冗談のつもりで言ったんですが――

 

「なん……だと……!?」ズガガーン

 

 青天の霹靂ってこんなことを言うのでしょうか?

優也くんはまるで雷に打たれたような表情を浮かべて崩れ落ちます。

 そこまでショックなんでしょうか? というか、仮に召喚の儀式だとして、一体何が召喚されるというのでしょう。頭にターバンを巻いたインドの方でしょうか?

 

「カレーと一緒に食べる薄いパンのようなものは?」

 

「ナン……だと……!?」ズガガーン

 

 マスターさん、ややこしくなるのでやめてください。

と言うか、優也くんもそんなにショック受けてませんよね?

 

「カレーでタカモリエル様を召喚出来ないのか!」

 

「っ! もうっ! それやめてください。恥ずかしいんですから。それにそんなことしなくても、『会いたい』って言ってくれれば、会いに来ますから」

 

 最も予定次第ですし、優也くんは仕事のこととかも考えてくれてるので言われることはめったにないんですけどね。

 

「藍子!」

 

「あーあ、今日のカレーは激甘だねぇ。ハチミツ入ってないんだけどね。ガラムマサラとチリペッパー足そうかな」

 

 マスターさんがぼやきながらも、『戸締まりはよろしく~』と言って去って行っちゃいました。

気を遣ってくださったんでしょうか。

 

「ちなみに今日のカレーは何ですか?」

 

「今日は満を持してのシーフード! これだったら来てくれるかなぁと思ってさ」

 

『シーフード様々だ』とニッコリ笑う優也くん。

 

 先ほどなんやかんや言いながらも、カレーの匂いの影響か、お腹が空いてきました。

 

「えっと……その……いただいてもいいですか?」

 

「喜んで!」

 

 先ほどまで正座していたのがまるで嘘のように素早く厨房へと優也くんが戻っていきます。

 

「ターメリックライスと白米、どっちがいい?」

 

 ターメリックライスって凝ってますね……食に関しては本当に妥協がないんですよね。

 

「じゃあ、せっかくなのでターメリックライスでお願いします」

 

「はぁ~い。こんくらい?」

 

 ご飯を盛った皿を見せて確認してくれる。

ちょうどいい量なのでそのままでお願いした。

 

「ほい、ちょうど1人前~」

 

 ターメリックライスの方を私に、白米の方を自分の手元に置いた。

 

「もしかして、取っちゃいました?」

 

 自分の手元の皿を指差して訊ねる。

 

「どっちにしても1人前分しか残ってないからね。俺はどちらでも良かったしさ」

 

 ちょうど1人前って言ってたけど――

 

「ちなみに、もし私が少なめでって言ってたら?」

 

「余ったターメリックライスもいただいてたよ?」

 

 カレーをセンターに、ターメリックライスと白米で挟む感じに、とにこやかに説明する優也くん。

 

「じゃあ、いただきましょうか」

 

「「いただきます」」

 

 

 ちなみにそのあと仲良くカレーを食べたことを後日未央ちゃんに話したら、

 

「マスター。今日のカレー、甘すぎない?」

 

「何故だろう、そんな気がする」

 

 辛めのカレーを一心不乱に食べていた。

 

 

※ちなみに~

 

「この5日間はどんなカレーだったんですか?」

 

「まず初日、王道ビーフカレー!」

 

 ところで、カレーのお肉って普通は牛肉なんでしょうか? それとも豚肉?

 

「二日目はチキンカレー!」

 

「前に骨付き肉が入っていたお店があったんですよ。少し食べにくかったです」

 

「スプーンじゃ()()()()いしな」

 

「あはは」

 

 思わず苦笑い。

 

「三日目、あなたに勝ちます! カツカレー!!」

 

「茜ちゃんおすすめですね」

 

「とんかつとカレーの強力タッグ。嫌いな人などいないはず」

 

 ただ、カロリーがちょっと……

 

「四日目、ここで変化球。ドライカレー」

 

「いろんな食感が楽しめますよね」

 

「それに洗い物が楽(個人の見解)」

 

「「みんなもカレー食べよう!!」」

 

 




 何だこれ!?
ちなみにサブタイは某アニメの合言葉だったり
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。