先輩、ATMはカルデアにありません!   作:れべるあっぷ

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先輩と恋の物語事件その3

「先輩が惚れ薬を飲んだのですか?」

 

 話がもう推理とか関係ない方向へ飛んで行きます。もう探偵はいらないんじゃないですか? 帰っていいですか? というのが本音でこの事件はさらなる進展を迎えました。

 

 惚れ薬とはなんともまたベタですね。

 

 聖女様に絶対飲まされたに違いないというのが、いつもの三人衆の見解でした。

 

 だから先輩を正気に戻そうとして暴走したそうです。

 

「でもあの奥手の聖女様がそんな真似しますかねー?」

 

 というのは、私の助手を志願した謎のヒロインXさん、もとい、ワトソンXくんです。

 

 アルトリアさん顔のサーヴァントです。

 

「奥手なんてとんでもない、アレはこういうチャンスを狙っていたんですよ。いつ私のますたぁを奪い取って独り占めして食ってやろうかと腹の底で算段してたに違いないですわ」

「清姫さん、我らの盟約をお忘れですか? マスターは貴女1人のマスターではありませんよ? まぁ、マスターの母は1人で十分ですが」

「マスターの影の労働者は私ですけど」

 

 と、このようにお三方の言い分を全て聞いていると日が暮れそうなので、要点だけを抑えて解散してもらいました。

 

 とてもやる気も出なくなってきましたが、後のことはこの名探偵か怪しいマシュ・キリエライトにお任せください。

 

 あと、静謐さん。労働者という表現はやめときましょう。

 

「それではマシュ先生、少しの間別行動と洒落込みますか。被害はここだけじゃ終わらないでしょうし」

「わかりました。アサシンネットワークに期待してます」

 

 こうして私たちは調査に乗り出すのでした。

 

 

 

 

☆―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 さて。

 

 調査開始と行きましょう、などと悠長に言ってる場合ではないのでしょう。

 

 しかし、予想していたよりも事は大きくなっていませんでした。

 

 ある者は……「はん。あんな白い聖女様のどこがいいのやら。ジル! ジルはいませんか! ワイン持って来なさい! え? ジルはいない? あぁ、もう! いいわよ、私ちょっとジルを召喚してきます!」

 

 などど、黒い聖女様がヤケを起こして聖星石をかき集めに行きました。

 

 ある者は……「ジャンヌもついに大人の階段を登るのね。良かったわ。本当に良かったわ。おめでとう。ずっと心配してたのよ。あんなに良い娘を放ったらかしにするマスターもマスターなのよ。普通、召喚したその日に済ますものでしょ? 私の時もそうよ? ということは、今日は赤飯かしら?」

 

 などと、数少ないバカップル肯定派かと思いましたが、ただ友達を出し抜いて自分だけ先輩とアレをピーしたのに後ろめたかっただけなんですよね、フランスの王妃さま?

 

 ある者は……「余は全然気にしてなどおらん。本当だぞ? 妬いてもおらぬ。まだ、何も焦ることはあるまい。何故そう言いきれるかって? 勿論、余が一番可愛がってもらってるからに決まっておるからだ! 先日も愛を語ったばかりだから、な!」

 

 などと、自信に道溢れている皇帝さまもいるようです。凄いポジティブです。このヒト多分まだ処女です。

 

 ある者は……「女神の私を差し置いてイイ気なものね。いえ、別にあいつに魅了が効かなくなったからってイジけていないわ。別に怒ってもいないわ。ただちょっとイラっとしただけ。ストレス発散は済ましたもの」

 

 妹さんに八つ当たりしたんですね。わかります。

 

 ある者は……「お姉さまにあんなことやこんなことされました。カルデアっていつもこうなんですか? マシュも大変ですね。とりあえずマスターを石に変えれば問題は解決しませんか?」

 

 私的にはあんなことやこんなことが気になります。

 

 ある者は……「主殿はアレですね、アレですよ。英雄などと呼ばれる者はワイフを沢山抱え込むとかなんとか。そんなアレですよね。産まれたての小鹿に蹴られて死ねばいいのに」

 

 その気持ちはよーくわかりますよ、牛若丸さん。

 

 そして、ある者達は……「先ほどモードレット卿が騒いでいたな」「全く目障りな……そろそろまたシバきに行くか?」「まあまあ、下の乳が成長した黒い私、モードレット卿もリリィを気にかけているのでしょう。今回は多目に見てあげましょう」「青い私は丸くなったな。だかしかし、その手は悪手だ。ロン!」「ふっ、やるな………」

 

 いや、ふっやるなじゃありません。

 

 アルトリアさんが4人も揃って麻雀してる場合じゃないんですが。

 

「マシュ、そう荒れるな。落ち着け」

「マシュ、こういう時こそ我慢が必要ですよ」

「マシュ、それよりもモードレット卿を私の代わりにシバいといてくれ」

「マシュ、モードレット卿は私がシバいておきますので代わりにドンジャラやっておいてください」

 

 あ、それドンジャラだったんですね。

 

 代役はいたしませんが。

 

 獅子王さんの代役はまた今度にして、私はここから早々立ち去るのでした。

 

 というか、地の文だと誰が誰だか見分けが付きにくいですね。

 

 なので、ヒントです。

 

 上から、黒、青、下乳、上乳です。

 

 というか、どうでもいい証言ばかりが集まりました。参考になりません。

 

 

 

 

☆―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 さて、いろいろ回ってみましたので、そろそろ事件のおさらい、もとい整理してみましょう。

 

 事の発端は先輩が惚れ薬を飲んだせいで事件が起こりました。

 

 これも日頃の行いのせいでしょう。

 

 聖女ジャンヌ・ダルクさんに惚れてしまい、まんまとジャンヌさんの策略にハマってバカップルが誕生してしまったのです。

 

 このカルデアには「マスター独占禁止条例」なるものがあります。要は独り占めをしてはいけないというルールです。

 

 それをジャンヌさんは破ってしまいました。

 

 当然、ルールが破られ不満を漏らすサーヴァント達で溢れ返りました。やけ酒するサーヴァント然り、他の者に八つ当たりするサーヴァント然り、食堂で暴走するサーヴァント然り、失恋するサーヴァント然りです。

 

 タマモキャットさんが犠牲になりました。

 

 モードレットさんも直にアルトリアさん達にシバかれるでしょう。

 

 もうこれ以上の犠牲者を出さないためにも先輩を正気に戻すのが最善の策なのです。

 

 だから、私はダ・ヴィンチちゃん工房へ足を運ぶのでした。

 

「なに、簡単推理ですダ・ヴィンチちゃん。貴女は先輩からのアプローチがまったく無いジャンヌさんを不憫に思い、惚れ薬を作り渡してあげました。これが今回の事件の全貌です。まる」

「今、さらっと酷いことを2つぐらい言わなかったかい?」

 

 はて、なんのことでしょう。

 

「まあ、いいさ。私が真っ先に疑われるのは心外だったけど、確かに惚れ薬を作ったのは他でもないこの天才な私だよ」

 

 ほら、やっぱりです。

 

「では、答え合わせも済んだことですし、元に戻りそうな解毒剤をとっとと渡してください」

 

 これにて一件落着です。

 

 勿論、抵抗するなら力ずくでも奪い取るのみです。

 

 しかし、天才はこう告げました。

 

「解毒剤は渡す気はないさね。だって、彼に解毒剤を使う必要がないもの」

「………」

 

 この天才は何を言ってるのでしょう。

 

 しかし、それこそ少し考えれば何を告げられたか分かったも同然です。

 

 ダ・ヴィンチちゃんはこの事件の共犯者です。

 

 事件の全貌たるや知る人物です。

 

 故に、私の推理が間違っていることは明白なのです。だから、話しが噛み合わなくもなる。暗に推理ミスを指摘されているのです。

 

 そう、これが私の推理の限界。

 

 他のヒトたちよりも劣る私は、これまでの難事件も全て偶然が度重なって、そういうのが上手いこと行って解決できたものばかりです。

 

 だから、少し女の勘を働かして探偵の真似事をしたぐらいじゃ、今回は真実にもたどり着けなかったのです。

 

 私の想像力はなんて貧相なのでしょう。

 

「マシュ、君の推理を訂正しよう。私は惚れ薬を作ったけど、それは聖女様のためじゃない。そして、ぐだ男くんは惚れ薬を飲んでやしないよ」

 

 なん……ですと……っ!?




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