とある朝。
先日、アルトリア艦隊をもってして特異点を修復し終えてたばかりの朝のこと。
先輩をハンサムに映すために付き添い廊下を歩いていた時の出来事でした。あぁ、先々日の記録で手を抜いたことが先輩にバレて叱られたので、心機一転して業務に励む私でした。
何やら上機嫌な先輩。
鼻歌を歌ってます。
スキップもしています。
くるりとターンまで決めています。
えぇ、キモいです。
その奇行はハンサムで格好良く撮れたものではありません。
まぁ、勝利の美に酔いしれるその気持ちはわからなくはないのですが、あまりハメを外さないように。
「あぁ、人理を修復する最後のマスター。それは誰?」
え?
「魔人柱だろうが不適に笑い飛ばし、その頭脳明晰な作戦で完全勝利をもたらすのは……それは誰?」
えっ?
「女性サーヴァントしか召喚できなくてもハンデとは思っておりません! それは誰?」
えっ??
「マーリンも諸葛孔明もいないパーティーでもへっちゃらだよ! それは誰?」
えぇっ!?
「日本が生んだスターだよ。それは誰??」
と、言いますと……??
「藤丸立香だよ! そう、俺こそが最強のマスター♪」
うわー。
うわー。
えーと、うわー。
自分に酔ってます。
慢心王以上に慢心しています。
天狗になってます。
こういう輩は先ず調子乗りますよねー。
ウザさマックスです。
すれ違うスタッフやらサーヴァント達が怪訝な顔して通り過ぎていきます。
いや、まぁ今日くらいは多めにみてあげましょうか。
先輩も頑張っているんです。
確かに馬鹿です。阿呆です。怠け者です。駄目な人間です。何股も余裕でこなすゲス野郎です。しかし、それでも一癖も二癖もある女性サーヴァント達と上手く関係を結んでいるものです。
男性サーヴァントという抑止力がいないここカルデアで本当に良くやってくれています。
身体一つでよくもまぁあの人数を相手にしてきているものです。
敵サーヴァントや魔人柱が微笑ましく見える時すらあります。
先輩に降りかかる不幸を見ていると人理修復も可愛く見えます。
先輩は強い人です。
だから私は先輩を応援しています。
だからもっと調子に乗らせてみましょう。
「先輩は最強です♪」
「そうさ、俺が最強ー♪」
「先輩、最強ー♪」
「おれ、最強ー♪」
「へい、最強ー♪」
「へい、最強ー♪」
「ユー・アー・ナンバーワン?」
「オーイエ~! イッツ・ミー・オンリーワン!」
「「フォーっ!!」」
もうこのままベッドインしますか、先輩。
まだ朝ですが、私はやぶさかでも満更でもありません。
たとえ、目の前から誰かが歩いてきても私たちは止まれません。
いざ、夢の国へ。手を2人で繋いでゴールインです!
「おかあさ~~~ん!!」
あ、ジャックちゃんです。
「ジャーックちゃ~~~ん、おはよ~~~!! 会いたかったよー」
「おかあさん、おはよ~~~!! わたしたちも会いたかった~」
先輩の中のロリコンの血が騒ぎ出しました。
なので夢の国は今度にしましょう。
「ねーねーおかあさん。おかあさんに聞きたいことがあるのー」
「おやおや、何を聞きたいのかなー? おやつは持ってないぞー」
「ん~ん、いらなーい」
「なら、あれか。ナーサリーのオママゴトでやりたいポジションは母親役じゃなく父親役だぜ? 残業でへとへとになって帰ってくるサラリーマン風ジャンタが羨ましいって言ってたなー。まぁ、ジャックちゃん達の前では遠慮してみたいだけど、今度役代わってあげてね」
「それもちがーう」
「じゃあ、ジャンタのあの槍と合体した旗。実はアレ、野宿の時は寝床になるだけじゃなく、かじると林檎アメみたいな味するんだぜ~。この前、確かめてみたらマジだった」
「かじっちゃダメだよ? もう、そうじゃなくってー」
「ふっ、わかった。赤ちゃんはどこから来たか、ついに知りたくなったんだな。ジャックちゃんのおませさん!」
「んーん、それはもう知ってるー」
「し、知ってるんだ……」
「おかあさんのお腹からドバーって生まれてくるんだよね」
「それだと俺の腹からエイリアンが誕生しちゃうじゃねーか!?」
「えーちがうのー?」
「ちげーよ、こえーよ、それだとこの世から妊婦さんいなくなっちまうぜ? つーか、誰だよジャックちゃんにテキトーなこと教えた奴? 絶対許さねぇ……ジャックちゃん! 誰から教わったんだ!! そいつの名前を言えぇ!! あとでこらしめてやる!! ついでに言うと、赤ちゃんはコウノトリさんが運んできてくれるんだよ!!」
「もーそんなことよりー……ねぇ、なんでレイシフト連れて行ってくれなかったの、おかあさん?」
「あっ………」
あっ、そういえばそうでしたね。
そんな話してましたよね。そして、先輩は完全に忘れていた、と……今思い出した顔してますね。
「おかあさん、わたしたちを連れて行くって言ってくれてたじゃん。うそつき」
「ごふっ…………ご、ごめんごめん、これには海よりふか~い事情があってだな~。今度は絶対に一緒に行こうね。それに、今日は一日ずっと遊ぼう。皆で遊ぼう!」
「ふーん、そうやって大人は子供の機嫌を取ろうとするんだね。もうおかあさんなんて知らな~い」
「ガビーン……ッ!?」
あ、先輩のメンタルにダメージが……凄いショックを受けてます。
さらに……
「というか、嘘つきなおかあさんなんてだ~っいキラ~~イ! 此よりは地獄。“わたしたち”は炎、雨、力――カンチョーをここに。『
「ぎょええええええええ~~~!??」
あっ、宝具展開からのカンチョーです。
なんという恐ろしいカンチョーでしょうか。
先輩はたまらず奇妙な叫び声を上げ飛び跳ねました。
漫画のように両手でお尻を押さえて目ン玉が飛び出るぐらいに目見開くほどの威力だったのです。
嘘つきにはもってこいの罰ですね。
忍法カンチョーの術の印を結んだままでポーズを決めているジャックちゃん、なんて恐ろしい子。
というか、カンチョーを教えたのも先輩でして自業自得なのですが。
こうして、先輩は医務室に運ばれるのでした。
まる。
ご質問、ご感想等あれば、カルデア窓口まで(>_<)