久-Hisa- 大学編 ~もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら外伝~   作:神奈木直人

3 / 8
第3話 刺客

一年生大会の県予選が終わり、高校の県予選がそろそろ始まるらしく合宿をするから来て欲しいとまこに言われた為、私は清澄高校の合宿場に日帰りで過ごす事になった。まぁ、今流行り?の日帰り温泉みたいな物ね。そして、清澄のみんなと合宿をした。日帰り温泉とはいえ何かお土産でも用意しようかと思い、私はとある事を思い付いた。

「咲、マホちゃん、ちょっといい?」

「何ですか?竹井先輩。」

「何でしょうか?」

「この合宿が終わってから、貴女達の都合の付く日で良いから、私が通ってる風越大学に来て欲しいんだけど。」

「えっ、大学ですか!?ちょっと怖いです・・・」

「私がいるんだから大丈夫よ。それに、貴女と気が合いそうな人がいるから安心して。」

「そうですか・・・じゃあマホ、行きます。」

「でも、大学って勝手に入れないですよね?どうやって入るんですか?」

「も、もしかしてこっそり入らないといけないんですか!?」

こっそりって、そんな訳無いじゃない。でも、この子面白いからちょっと嘘付いてみようかしら。

「そうね、そうして貰う事になるでしょうね。因みに風越大学のセキュリティはかなり高いから頑張ってね。」

「えっ!?そんな、マホにそんな事出来るでしょうか・・・?」

「竹井先輩、マホちゃんで遊ばないであげて下さい・・・」

咲が呆れたような顔で私に言った。やっぱり咲にはバレてたみたいね。

「ふふっ、だってこの子、何を言っても信じてくれるんだもん、楽しくなっちゃうじゃない。」

「えっ!?今の、嘘だったんですか!?」

本当に嘘だって気付いてなかったの!?ヤバい、やっぱりマホちゃん面白過ぎるわ!

「逆に今のを本当だと思っている事に驚きなのだけど。」

「酷いです!マホ、忍者の本を買って勉強しないとって思ってたのに!」

「に、忍者の本?ぷふっ、もうダメ!あははははっ、貴女最っ高ね!」

「えっ、マホ、何か変な事言ったでしょうか?」

「あはは、何も、ふふ、変な事は、んふふ、言ってないわよ。」

「竹井先輩、それくらいにしないとマホちゃんが可哀想ですよ・・・」

「ごめんごめん、もう嘘は付かないから。」

「それで、結局私達はどうすれば良いんですか?」

「あぁ、そういえば貴女達を風越に誘ったんだったわね。ふふっ、に、忍者のせいで・・・ぷっ、あはは!やっぱり駄目!どうしても笑っちゃう!」

「も、もう!竹井先輩!マホの事笑わないで下さい!」

「分かったよ、忍者のせいで忘れてたわ。うん、忍者のせいで・・・んふふ。」

「もう!笑わないで下さいって言ったじゃないですか!!」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら私の肩をぽかぽか叩いてくる。本当に面白くて可愛いわね。ペットにしてみたいわ。

「分かった分かった、じゃあ、都合がつく日と到着予定時刻を指定してくれたら校門近くで待ってるから。気兼ねなく来て頂戴。」

「分かりました。」

「分かりましたです!」

「あっ、でも私、ケータイとか持ってないんですけど・・・」

「マホちゃんは持ってる?」

「はい、持ってます。」

「じゃあ連絡先を交換しましょう。」

「はい。」

マホちゃんと連絡先を交換した。

「あぁ、それとマホちゃん。」

「何でしょうか?」

「忍者の格好はしないでね?隣で歩くの恥ずかしいから。」

「なっ!?も、もう!忍者の事はもう忘れて下さい!!!!」

「あははははっ!」

マホちゃんの叫びは私の笑いしか誘わず、私は次の日に腹筋が筋肉痛になる程笑った。

 

 

久が清澄高校の合宿に行っている頃、私、福路美穂子は後輩の池田華菜に招待されて風越高校に来ていた。

「来てくださってありがとうございます!福路先輩!」

「こちらこそありがとう。こっちも練習になるし、みんなの顔も久しぶりに見たかったしね。」

「福路先輩、早速対局して下さい!」

「良いわよ。他に誰か入ってくれないかしら?」

「じゃあ、私が入ります。」

この子、見ない顔ね。1年生かしら?でも、なんだか見た事があるような・・・あっ!もしかして・・・

「間違っていたら悪いんだけど、貴女冬室焦華さんの妹さんかしら?」

「姉を知っているのですか?」

やっぱり、冬室焦華さんの妹さんだったのね。

「貴女のお姉さんとは高校1年生の時に個人戦で対局した事があるの。まぁ、完敗しちゃったんだけどね。」

「高校1年生の時?もしかして、福路美穂子さんですか?」

「あら、知ってらしたんですね。」

「はい、姉が高一の時に言っていました。福路美穂子さんは強くて負けそうだったけど、何とか火力でねじ伏せたと。」

「確かにあの対局は、力ずくでやられたわね。」

「そうですか、あの、そろそろ始めませんか?」

「そうですね。」

 

~場決め結果~

池田華菜

吉留未春

冬室氷華

福路美穂子

 

 

~南一局~ 親:池田華菜

福路美穂子 37200

池田華菜 27000

吉留未春 20200

冬室氷華 15600

(華菜から冬室氷華さんは強いから最初から本気でお願いしますって言われたけど、親番に安手を3連荘したってくらいであんまり稼げてないわね。調子が悪いのかそれとも・・・)

「ツモ、清一。3000・6000です。」

(7巡目に清一の跳満ツモ。やっぱりこの子、南場に強いみたいね。)

~南二局~ 親:吉留未春

福路美穂子 34200

冬室氷華 27600

池田華菜 21000

吉留未春 17200

(南場に強いならこの点差で安心は出来ないわね。かといってツモ和了りすると2人が飛ばされかねないし、出来れば直撃したいわね。)

~8巡目~

「ロンです。5200。」

(この人、南場の私に直撃をするとは、流石は去年の部長ですね。)

(福路先輩流石です!これなら、氷華を倒す事もできるかも・・・)

(でも、次の局は多分、ダブリーしてくるよね・・・)

~南三局~ 親:冬室氷華

福路美穂子 39400

冬室氷華 22400

池田華菜 21000

吉留未春 17200

「リーチ。」

(えっ、ダブルリーチ!?)

(やっぱり、ダブリーしてきた・・・)

「ツモ。ダブリー一発ツモタンヤオ。4000オール。」

(ダブルリーチの上に一発ツモ!?この人、普通じゃない何かを持っているのかしら・・・?)

~南三局一本場~ 親:冬室氷華

福路美穂子 35400

冬室氷華 34400

池田華菜 17000

吉留未春 13200

「リーチ。」

(またダブルリーチ!?もしかして、また一発で和了られちゃう・・・?)

「ツモ。ダブリー一発ツモタンピン。6100オール。」

(これ、もしかしたら打点が上がってる!?もし次もダブルリーチしてきたとしたら、吉留さんがトビ終了しちゃう。)

~南三局二本場~ 親:冬室氷華

冬室氷華 52700

福路美穂子 29300

池田華菜 10900

吉留未春 7100

「リーチ。」

(あっ、鳴ける。)

「ポンです!」

(これなら、ズレるから氷華は和了れないはず!流石福路先輩!)

「ツモ。ダブリーツモ清一。8200オール。これで終わりですね。」

「お疲れ様です。」

「お疲れ様でした。」

「お疲れ様です。」

 

~試合結果~

冬室氷華 77300

福路美穂子 21100

池田華菜 2700

吉留未春 -1100

 

(福路さんを飛ばす事は出来ないとは思っていましたが、まさか2万以上残してしまうとは・・・ちょっと本気を出さないといけませんね。)

この後、冬室氷華さんと2回対局して2回とも飛ばされてしまった。1回目で2万以上残ったから本気を出したのかもしれない。ただ、トビ終了した経験があまり無かった私は、この結果がただただ悲しかった。華菜には相性が悪かっただけだと励まされたけど、相性では埋められない程の実力差がそこにはあった。だから私は、この悔しさを糧に更に強くなって1年生大会で優勝しようと思った。

 

 

咲とマホちゃんと約束した日になった。

「ねぇ久、そろそろ教えてよ。私達に会わせたい人って一体誰なの?」

「そろそろ来るわよ。」

ピコン

タイミングを見計らったかのようにマホちゃんから連絡が入った。

「あら、来たみたいね。ちょっと行ってくるわ。」

「はぁい。気を付けてね。」

私が部室を出て校門の方に向かった。そこには既にマホちゃんと咲の姿があった。

「よく迷わず来たわね二人とも。」

「はい!昨日ぐーぐるあーすというものでここまでの道を覚えて来たので迷わず来れました!」

「そう、偉いわね。じゃあ、行きましょう。」

「はい。」

「はいです!」

私が咲とマホちゃんを連れて部室に入った。

「連れてきたわよ。清澄高校2年の宮永咲と、1年の夢乃マホちゃんの二人よ。」

「えっ!?宮永咲さんですか!?本物ですか!?」

「逆に偽物の咲を見てみたいわよ・・・」

「うわぁ!生宮永咲さんです!感動です!あのあの!サインとか貰えませんか?」

「えっ!?えっと、その、書く物が何も無いんですが、ど、どうすれば・・・」

「私、持ってます!どうぞ!」

風花、手際良いわね。それにしても、後輩からサイン貰う先輩ってどうなの?まぁ、見た目的には咲が先輩にしか見えないけど。

「ありがとうございます!宝物にします!」

「風花、サインが欲しくなる気持ちは少し分かるけど、この子達は風花と美穂子に対局して貰う為に呼んだのよ?」

「えっ!?宮永咲さんと対局させて頂けるの!?」

「素よりそのつもりよ。」

「やったぁ!嶺上開花が見れる!」

「はいはい、分かったから、始めるわよ。」

 

~場決め結果~

福路美穂子:東

宮永咲:南

七瀬風花:西

夢乃マホ:北

 

~東一局~ 親:福路美穂子

福路美穂子 25000

宮永咲 25000

七瀬風花 25000

夢乃マホ 25000

~3巡目~

「リーチです!」

やっぱり風花は聴牌するのが速いわね。

(東一局だから風花は東を3枚持っているはず。この子の理牌と捨て牌的に考えて手牌は索子の染め手。ちょっと高そうですね。)

(七瀬さんのリーチ、少し高そうだよ。ここは無理にでも和了りにいこう。)

「カン。」

(まさか、早速嶺上開花ですか!?)

「ツモ。嶺上開花ツモ南。2000・4000です。」

「嶺上開花で3翻満貫!?宮永咲さん凄過ぎです!」

「あはは・・・」

咲は愛想笑いをしたと思ったら突然背筋を伸ばして喫驚したような表情をして後ろを向いた。

(今の感覚、お姉ちゃんの照魔境、でもどうして・・・?)

咲とほぼ同じタイミングで風花も後方に頭を翻した。

(何でしょうか、今、何かを見られていた気がします・・・)

(成る程、七瀬先輩は字牌の能力なんですか・・・)

~東二局~ 親:宮永咲

宮永咲 33000

七瀬風花 23000

夢乃マホ 23000

福路美穂子 21000

(七瀬先輩の能力も分かりましたし、宮永先輩にやられる前にマホが稼ぎます!)

~4巡目~

「リーチ!」

(宮永咲さんの隣にいた人、やっぱり久が連れてきただけあって凄いですね。)

(マホちゃんのリーチ、高そうで怖いな・・・)

(宮永さんは戦った事こそ無いものの打ち方は知っている。けれどこの子は打ち方も何もかも未知数。ちょっと様子見かしらね。)

~7巡目~

「ツモ!リーチツモ清一平和一通。6000・12000です!」

(なっ、三倍満!?凄過ぎです!警戒すべきは宮永咲さんだけだと思っていましたがこの人もですか。)

(これは、危ないですね・・・)

マホちゃんったら、相変わらずめちゃくちゃやるわね・・・今のは絶一門かしら?

~東三局~ 親:七瀬風花

夢乃マホ 47000

宮永咲 21000

七瀬風花 17000

福路美穂子 15000

(親番、風牌は無いですけど何とか和了ってオーラスで少しでも良い配牌になるようにしなければ・・・)

「ロン。」

(えっ!?まだ5巡目・・・)

「リーチ一発七対子ドラドラ。12000です。」

(リーチ!?いつの間に!?)

風花、リーチしていた事に驚いてるわね。マホちゃん、ステルスを使ったのね。

「言っておくけど、マホちゃんはちゃんとリーチ宣言してたわよ。」

「本当に!?あれ、どうして気付かなかったのでしょう・・・」

~東四局~ 親:夢乃マホ

夢乃マホ 59000

宮永咲 21000

福路美穂子 15000

七瀬風花 5000

~6巡目~

「カン!」

(えっ!?カン!?)

(マホちゃん、もしかして・・・)

「ツモ。嶺上開花ツモ清一。8000オールです。」

「うわぁぁぁ!こっちも嶺上開花!?それに、私が飛んじゃいました!」

「お疲れ様です!」

「ありがとうございました。」

「お疲れ様です。」

 

~試合結果~

夢乃マホ 83000

宮永咲 13000

福路美穂子 7000

七瀬風花 -3000

 

「いやぁ、終わってみればマホちゃんの圧勝ね。」

「久!こ、この人は何者なの!?」

「夢乃マホちゃんよ。今年の清澄高校の中堅に入る子よ。」

「そうだったんだ。そういうのは先に言ってよ!」

「先に言ったら面白くないじゃない。」

「あっ、そうです。竹井先輩!」

マホちゃんが話し掛けてきたわね、何かしら・・・?

「どうしたの?」

「次は竹井先輩が入って下さい!マホ、この前の合宿以来竹井先輩とずっと対局したいと思っていたんですよ!」

満面の笑みでマホちゃんが言ってきたけれど、私はこの発言の真意に気付いてしまった。この前の合宿、つまりマホちゃんを弄り倒したあの日以来という事だろう。つまりマホちゃんは弄られた分麻雀で返すつもりなのだろう。

「あっ、私は、いいわよ・・・ほら、合宿の時に結構対局したし?大丈夫よ。」

「そんな事言わずに~!マホ、とぉぉぉっても竹井先輩と対局したいんですよ~!」

「いや、遠慮しとくわ・・・」

その場を離れようとした刹那、咲に腕を捕まれた。

「先輩、マホちゃん、凄い怒ってましたよ。ここは素直にやられた方が得策ですよ。」

えっ、私、逃げ場無いんですけど・・・というかやられる前提なの!?まぁ、今のマホちゃんには勝てる気がしないけれど・・・

「分かったわよ、やれば良いんでしょ・・・」

「わーい!楽しく麻雀、しましょうね?」

これほど笑顔が怖いと思ったのは初めてだろう・・・

 

 

対局の結果は当然ながらマホ様の圧勝だった。というか、私を7連続くらいで直撃してじっくりと飛ばして終わらせた。正直ここまで恨まれていたとは思わなかった。対局が終わり、かなり上機嫌になられていたマホ様と咲が帰った。そして、咲はともかくマホちゃんを呼ぶ事はもうしないと固く誓った。




~1年生大会概要~
・先鋒中堅大将の三人の団体戦
・点数は10万点引き継ぎ(5人の時と同じ)
・オーダー変更は不可
・全国大会に出場する高校は47都道府県+東京都大阪府北海道の50校

基本的には原作と同じです。不明な点があればコメントでお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。