日本国召喚~小話~ 作:北京煙人
短くてごめんなさい。
第3文明圏 フェン王国
午後4時
「おお、松さん。今日も来たのかい」
「あたぼうよ、この時間を楽しみに仕事してるんだ」
好々爺然とした老人の声に、家具職人の男が笑って答える。
彼らだけではなく、寺子屋を終えた子供など老若男女を問わず多くの人々がとある公園に集まっていた。
一部のものなどは酒などを持ち込んでおり、じっくりと居座る様子である。
このような光景は、この公園だけではなくフェン王国の各地で見られた。
「街頭テレビ」である。
フェン王国では、パーパルディア皇国との戦争後、クワトイネ公国、クイラ王国についで3番目に日本式のテレビの導入を決めた。
開戦のきっかけとなった悲劇はあったものの、本来のフェン王国は最も治安の良い地域の一つであり、戦後、日本からの観光客が多く訪れていた。
距離が近いこと、文化が昔の日本に似ていることもあって、人気を博していた。
訪れた日本人の中には「フェン王国には私達が失ってしまった精神がある」と絶賛するものもいた。
そんなフェン王国であるが、掲示板による情報伝達が、公的機関の主たる告知方法であった。
魔信によるいわゆるラジオ放送のようなものもあったが、フェン王国ではあまり普及していなかった。
現状では、緊急の対応ができないことなどから、フェン王国ではラジオ・テレビ・携帯電話の普及を行うことにしたのである。
日本国としても観光客が多く訪れるフェン王国で万が一があっては困るので、優先的に電波塔などの設置を行いたかった。
そこでODAによる開発援助を行い、その中の1項目として電波塔の整備を含み、優先的に整備を行ったのだ。
そして、電波塔の建設と併せ、各地に「街頭テレビ」を設置したのだ。
現在は、フェン王国の国営放送のみで1チャンネルしかなかったものの、ある若者を中心として民間のテレビ局も開局を予定していた。
フェン王国の放送は現在朝6時から夜9時までであった。
中心は国内のニュースや海外情報であるが、娯楽番組も放送されていた。
特に午後4時から行われる放送には人気が集まっていた。
水◯黄門、◯頭市、宮◯武蔵を始めとする時代劇、また「七◯の侍」といった映画は、フェン国民を熱狂させた。
さらに、時間帯が変われば、日本国の誇るアニメも放送され、特に流浪人を主役としたものが人気を博した。
フェン王国の子どもたちは技を再現しようとそこかしこで木刀で練習し、大人たちもこっそり影で練習している。
フェン王国 王城
ズドン、力強い踏み込みの音が聞こえる。
音の発信源は剣王シハンのいる執務室である。
部屋の警備についていた王国武士団の十士長アインは慌てて部屋に入る。
まさか賊か!?
「シハン様、失礼します!!」
そして、アインの目が点になった。
「天翔ける龍の閃き!!!」
見事な体制で刀を振り抜いたシハンが居たのである。
時が止まる。
「見たか?」
「いえ、何も見ていません」
フェン王国は今、平和です。
ちなみに後日、シハンは天翔龍閃を会得しました。