Fallout:Stray Ranger   作:文月蛇

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やっと出来ました。

私生活で色々あり、投稿するのに時間がかかりましたが、シリアスあり、笑いありで行きたいと思います。


第一章 Good springs
一話 prologue


かつてこの世界がどのような文明を築いていたか、知るものは殆どいない。

 

 

 

人類が誕生してから、その歴史は同じ種族の血に染まっていた。戦いは人を成長させ、文明を昇華させた。剣から槍へ。弓から火砲へ。そして火薬からレーザー。爆薬から原子爆弾へと人類は戦争を繰り返し、戦争の方法を変えていった。しかし、戦争の本質は変わることはない。

 

 

 

 

2077年.資本主義と共産主義の戦いは遂に終止符を打たれた。核戦争という最悪の結果で。

 

 

 

 

アメリカの資本主義経済によって優雅を誇る摩天楼や権力者の力を誇示する為に作られた高層ビル群、そして工場で大量生産された物の数々。これらは核の炎によって焼き尽くされ、瓦礫と廃墟、そして数百年以上残る放射能が残った。

 

 

 

 

人々はこの世界を「Wasteland(ウェイストランド)」と呼び、人類の歴史は血に染まり続ける。

 

 

 

 

荒廃した土地は人の心を荒廃させ、法も秩序もない世界へと変貌した。戦争が始まる直前、アメリカは核や疫病から逃れるために「vault」と呼ばれる核シェルターに身を寄せた。そして、そのシェルターから出てきた人々は世界を見て驚愕した。そして彼らは旧世界のような栄光に満ちた世界を創るために国を興した。嘗ての旧世界、民主主義という価値観によって建国された新カリフォルニア共和国。彼らは更なる資源と領土を求め、東へと進出した。

 

 

 

偵察隊を送り、彼らは稼働可能なフーヴァーダムを発見。慢性的なエネルギー不足を解決する糸口として、領土拡大を推し進めた。だが、西へと進出するシーザーレギオンとの軍事衝突に加え、Mr.ハウスのストリップ地区の中立化は新たな戦乱が引き起こされる。

 

 

 

 

 

 

 

人…は過ちを繰り返す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒涼とした砂漠と強く日照る太陽。

 

 

凍てつく氷もその熱射ですぐ溶けるような暑さの土地。

 

 

岩々と点々とある廃墟が無ければ、自分の居場所も分からなくなるであろう。そんな土地は昼間には暑苦しく感じるだろうが、夜は肌寒く感じてしまう。

 

 

嘗てあった大国を煌々と照らす街灯類も消え失せ、大都市の明かりも失せた夜空は多くの星々を見せていた。文明の衰退によって引き起こされた悲劇は意外なことに、夜空を美しくさせた。

 

 

そんな星々を見上げ、一息ついて周囲を見渡すと見えることだろう。ネオンと喧騒が支配する砂漠のオアシスに見えるその町が。

 

 

ニューベガス

 

 

かつてのラスベガスストリップ地区と呼ばれたそこは、大戦争の荒廃を感じさせないような盛況ぶりだ。多くの旅人や軍人、商人が財布の金を落としていくその場所はオアシスではなく、金を貪る蟻地獄に見える。大抵の人間ならばあの場所を目印に動くのが多く、遥か彼方の荒野でも見ることが出来た。

 

 

 

その荒野でも高台に位置する墓地に複数名の男達が立っていた。その内の二人は何やら会話を行い、他の何人かは死体を入れる墓穴を掘っていた。その傍らには縛られ、気を失っている男が一人。猿轡をはめられ、ジーパンとシャツという出で立ちだ。他の装備はご丁寧にも彼のその横に置かれていた。

 

 

「こいつの装備なら高く売れるだろうな」

 

「ああ、2000キャップにはなるんじゃねぇか?」

 

男たちの会話は追剥のそれであり、彼の装備だったものは高品質な装備ばかりだ。彼らの恰好はギャングのそれであり、「グレートカーンズ」と呼ばれる結束の固いそこらのギャングやレイダーとは違う部族にも似た彼ら。騒がしい彼らは拘束された人物を覚醒させた。

 

その人物は自身が縛られ、拘束されているのを確認するかのように体を揺する。それを気づいたのか、見張りの男が声を上げた。

 

「おい、こいつ起きたみたいだぜ」

 

周囲の男たちは目が覚めた人物に目線を向ける。これから行われることを知っている男たちの目には憐みにも似たものが込められていた。そして、少し遅れてチェック柄のスーツを着た男が火をつけていた煙草を捨て振り返った。既にカーンズの一人は357マグナムリボルバーが握られ、銃口は既に目覚めた男に向けられていたが、チェック柄の男はそれを制す。

 

「相手に敬意を払わないのがカーンズ流かもしれないが……俺は違う」

 

オールバックにし、気取った感じのスーツを着こなす男はその荒野には不釣りあいだった。すると、男は胸元のポケットからカジノのチップと思しき物を取り出した。縛られた男は目を見開き、何か言おうとするが猿轡が邪魔をしてうまく発せられない。

 

 

「お前は仕事を立派に果たした」

 

いや、仕事は終わっていない。

 

拘束された男は言いたかったが、それも言えぬままチェックの男は続ける。

 

 

「巻き込んでしまって申し訳ない。こんな状況に置かれたら、自分の運の悪さを恨むだろう」

 

チップを胸元のポケットに仕舞い込むと、代わりに芸術的な彫刻が施されたカスタム拳銃が姿を現す。戦術的優位性をもたらす様なものでなく、観賞用の拳銃にも見受けられるそれはプロからしてみれば、金持ち道楽の一つに過ぎないのだろうと縛られた男は目線を落とす。

 

 

こうして捕まったのは自分の能力不足であり、慢心が元と言うほかない。グッドスプリングス経由の裏ルートを使えば早く依頼品を届けられると考えたのが運の尽き。

 

 

 

「……だが」

 

 

そう区切り、銃口は彼へとむけられる。その先は彼の頭。

 

 

彼は自分の分が来たかと諦める。そして脳裏に思い出す死んでしまった戦友。

 

彼らの元に向かうのか、それともそれ(ヴァルハラ)とは違うどこ(地獄)かに向かうのか。

 

 

彼は自分を殺す男の姿を脳裏に刻み込むように視線を向け続けた。

 

 

 

「最初から決まっていたんだ」

 

 

 

一発の銃声が荒野に響き渡る。

 

 

一人の命が終わった瞬間の音であり、広大な荒野では日常である音。

 

だが、その音はこのモハビ・ウェイストランドを巻き込む戦いの始まりに過ぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、居なくなったわね。ビクター!掘り起こすわよ」

 

「まったく、助けなくても良かったのかい?君たちの力なら可能だろう?」

 

「それを言うなら貴方もじゃないかしら?バイタルサインが弱まってるわ。早くミッチェルの所へ運びましょう!」

 

 

墓場に現われる何者かの人影。

 

 

一人の人間が殺される瞬間を見ていた彼らはまるで宝探しのように墓に埋められた人物を助け始める。

 

片方はシナトラの「Blue moon」を流しながら。

 

 

寂しく、フランク・シナトラの曲が荒野に流れていく

 

 

 

 

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