晴れ渡る太陽。砂漠から舞い上がる砂埃。照りつく太陽は全生物の水分を取っていく。そんな道をあるく一人の運び屋がいた。そしてその後ろにはアサルトロンと呼ばれる珍しいロボットまで。
I-15号線を南へ進むとプリムがあると分かっていた運び屋はカジノの町プリムに向かっていた。
運び屋の荷物の事やそれを奪ったチェック柄のスーツを着た男、そしてグレートカーンズと呼ばれるギャング達。運び屋の脳裏には、嘗てNCR領で略奪行為を行っているとして、討伐作戦が展開されていたこともある、因縁のある勢力であることに間違いない。だが、ビタースプリングスの虐殺事件以来、NCRはグレートカーンズと極度の緊張状態となっている。
「憎しみは憎しみを生む・・・・世知辛い世界だよ・・・ここは」
「悲しいですね・・・・で、パウダーギャングは撃っちゃいましょうか」
辛気臭いことを言っていた運び屋に対して、ウリエルは一片の慈悲なく、トラック近くにいたパウダーギャングの頭にレーザーを撃ち込み黙らせた。ほかのギャングも気づいたらしく、プリムのほうへ逃げようとする。
― なんであいつ等プリムの方へいくんだ?
運び屋は持っていたM16ライフルを構えて両足を撃ち抜く。足が動かないレイダーはわめいており仲間がいないか確認した。
「他に敵兵は……居ないか」
「半径1kmに他の人間の大きさの生体反応はないですし、さっさと片付けちゃいましょ」
運び屋は内心、高スペックのウリエルに驚いていた。半径一キロの生体反応を瞬時に読み取ることが出来るのは今のNCRの技術では出来ないものだろう。
運び屋は足を撃たれて呻き声を上げるパウダーギャングの一人に近づいた。
「痛てぇ!糞、NCRの糞ったれ野郎が!」
NCRCFの青い囚人服を着たギャングは足の関節を撃ち抜いているため、動くことは出来ないだろう。既に血が大分出ており、放置すれば失血死は免れない。
「うるさいですね~・・・・そもそもあなた達は問答無用で殺されても文句は言えない立場なんですよ」
ウリエルの正論とも言える台詞が囚人に投げかけられる。犯罪をしたのが、NCRであったからだったからこそ、問答無用で殺されずに刑務所で生きられたのだ。これが、NCR外のモハビなら、即射殺されてもお咎めにならないのだ。そもそも統一した司法機関はなく、犯罪行為や他者に害を為すならば、殺されても文句は言えない。
「俺はただの薬の売人だっただけなんだ!それなのに………」
「黙れ、次は右ひざを撃つぞ」
運び屋がホルスターからハイパワーを抜き、膝へと向ける。脅しではないと分かったのか黙るが、運び屋は淡々と問い質す。
「それで……お前らは何で住処の収容所じゃなくて南へ行こうとしたんだ?」
「し、知らねぇよ。俺は下っ端で」
「よし、ウリエル。こいつの指を一本斬って」
「了解です」
「うわぁぁぁぁ!!!待ってくれ!言うから話すから」
運び屋は正直な所、拷問なんて見たくないし、指を斬られて泣き叫ぶ男の顔など見たくない。それをウリエルが知っているか分からなかったが、話すことからか刀は鞘に入ったままだ。
「B棟の連中がプリムを襲おうって行って俺も付いていったんだ。俺は手前の所でキャラバンを襲えればいいかなって。そしたら、ジョーの野郎がグッドスプリングスを襲おうって。そしたら……」
「いや、もう十分だ」
プリムで何かしら補給品を手に入れようと考えていたが、プリムにはNCRCFの囚人が占拠しており、しっかりとした補給ができないことを悟った。
「どうします?」
「う~ん、一応プリムの様子を見てみるか。だがモハビ前哨基地が近いから大きく迂回して通り抜けることも可能だし」
「いや、そうじゃなくて………」
器用にもウリエルが指さす先には尋問したパウダーギャング。
「こいつの始末どうします?そこの砂漠にふんじばっておけば蟻かブロードフライの苗床になりますよ」
捕虜の取り扱いは核戦争後のウェイストランドでも取り決めがしっかりなされているのが、NCRという民主主義国家だった。それでも、旧世界でいう“強制労働”に近いものであるが、餓えはしても死ぬほど酷使するのではなく、ウェイストランドで餓えるよりは労働すれば食事を貰えるとして軽犯罪に手を染める者がいた。だが、それはNCR領外であれば犯罪=死は当たり前なのだ。Mr.ハウスの取引によってモハビにNCRの犯罪者を労働力として使うために連れてきたが、外へ出れば射殺が常。犯罪を犯せば、撃たれるリスクがあった。キャラバンを襲い、運び屋たちを襲ったパウダーギャングは死んでも誰にも文句は言われない。
「あ~……それもいいかもね」
「ちょっ!!?マジかよ!頼むよ!NCRに投降するから勘弁してくれよ!」
ジャパニーズドゲザという最上位の謝罪をしようと頭を下げようとするが、膝関節を撃ち抜いたパウダーギャングは上手く出来ない。既に自分の運命を察しているのか、ズボンが湿り、目からは大量の涙が流れ出た。
「ウリエル、後は頼んだ」
「了解です、亀甲縛りでいいですか?」
「こ、後生だからぁ!頼む!やめてくれ!」
ギャングだった男の悲痛な叫びが砂漠に響き渡る。それを止める者は誰も居なかった。
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「・・・・・・はぁ・・・・・・・・」
モハビの外れ、プリムの端に位置する場所には、土嚢と蛸壺が掘られた陣地が築かれていた。本来であれば、軽機関銃などの支援火器が添えられているはずであろう場所には、暇を持て余していたNCR兵がため息をつく。
プリムはカリフォルニアからニューベガスに至るI-15号線沿いに出来た町である。モハビに来た旅人はまずプリムでキャップを落とし、ベガスのストリップ地区に至るルートを進んでいく。NCRは最終的に鉄道を走らせ、モハビをNCRに編入すべく動いていたものの、レギオンによる侵攻や破壊工作、Mr.ハウスのロビー活動を含む政治的介入が行われ、鉄道の施設はパウダーギャングの蜂起も進められていない。
しかし、I-15を通ってここまで来た旅人は一度プリムで補給品を購入してストリップ地区へ行くのが常であり、独立の保たれたカジノを中心とした交易町であった。だが、現在、プリムではNCRCFからやってきたパウダーギャングの一派らしき武装集団にパイソンスティーブホテルを拠点に占拠しており、住民たちはピッキ&バンスカジノに立てこもっていた。鎮圧に赴いたモハビ前哨基地駐屯の部隊、NCR陸軍第301軽歩兵連隊第五大隊第一中隊の一個小隊は陸橋の向こう側に陣地を設けていた。
本来ならば、早急に脱獄囚を鎮圧する手筈であったが、予想外の攻撃に遭い、部隊はかなりの打撃を受けた。移動手段を徒歩とする彼らは機動力に欠け、何とか陸橋反対側の廃墟地区に防衛陣地を敷き、膠着状態にあった。
NCRは嘗て質より量を重視した「兵士は畑から取れる」ソ連っぽい匂い漂う軍隊であったが、最近は兵器や物資の質を高めたものに変化しつつある。それでも、末端に全てが行き届いてはいなかった。敵の攻撃の可能性がない防御陣地には歩哨が一人しか立っておらず、歩哨は暇そうに欠伸をする練度の低い二等兵。新型戦闘服を身に纏い、新型ライフルを持っていたとしても、中身はウェイストランド人とそう変わらない。軍服を着せてもらっている民間人かそれともコスプレイヤーの類なのか。もし、ここにマッカランのシュー大佐がいれば、すぐさま本国の訓練施設に再教育を命令し、フーヴァーダムのムーア大佐がいれば、その場で射殺かもしれない。
シーザーレギオンの兵が見れば、嘲笑と共に狙撃することがあるだろう。パウダーギャングと言ったチンピラ紛いの犯罪者集団が相手であったことが幸運であった。
「あ~・・・核の冬が訪れないかな」
もし、戦前から生きていたグールの老人がいれば、右ストレートをすること間違いなし。パイソンスティーブホテルから狙撃も可能なその場所で歩哨しているにも関わらず、緊張のきの字も見えないその兵士は新型ライフルを壁に立てかけて瓦礫に腰を掛ける。
もはや、歩哨の意味を為していない。
― 眠りしてしまおうか
兵士の心の悪魔がそう囁く。脳内NCR議員が睡眠法案に賛成し、保守的議員の大反対を押し切って可決する。目元が重く感じ、視界は一気に狭まっていく。しかし、視界が狭まる中で荒野の彼方に動く姿を見つけて一気に覚醒する。
腐っても鯛、NCR兵と言えど訓練を受けた軍人。何度か戦闘に参加していたこともあり、反復教練によって脳内に警戒信号が送られ、一気に意識が覚醒する。そこに見えたのは近年、NCRが採用した新型アーマー「プレートキャリア」と呼ばれるコンバットアーマーを身につけた人物と見たことのない濃緑色の旧軍ロボット。そして、そのロボットが引きずる人物。NCRCFの囚人服と思われるが、何をしたのかその姿はボロボロになっていた。
青い囚人服は何をしたのか、擦り切れており衣服としての意味を為さなくなっており、さらに下着が丸見えの状態からゴモラの男娼を想起させる様子だ。そして極めつけが囚人を拘束する荒縄。それは粗く、囚人の肌を傷つけるものだったが、その結び方は梱包や拘束の意味を帯びているだけでなく、どことなく卑猥であり、男色やSMを趣向に置いている者ならば、確実に興味を持つ。そしてそのNCR兵は………
「………(ゴクリ)………」
と唾を飲み込み、やって来る者を今か今かと待ち構えたのだった。
NVは同性愛も可能ですのでね(笑)
男娼もゴモラにいるわけですし………
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