「災難だったな、運び屋さん。プリムは今ご覧の通りの有様さ」
鎮圧部隊を率いるヘイズ少尉は運び屋がやってきた事に対して、パウダーギャングの密偵かと思ったようだが、NCRCFへ向かう賞金稼ぎやこの事態を商機と感じて北へ赴くキャラバンもいる事から、半信半疑のまま運び屋を迎え入れた。幾つかの質問と共にヘイズ少尉の持つ無線によって、モハビ前哨基地にいるモハビ・エクスプレスの連絡員と話が付き、身元の確認が取れたのだ。運び屋の名前は分からなかったものの、パウダーギャングの密偵でない事は見て明らかであった。
「敵の規模は?」
「敵はパウダーギャングから離脱した野盗擬き約20。加えてミニガンを搭載するトラックが一両いる」
「嘘だろ……」
運び屋は頭を抱える。パウダーギャングから離脱した野盗がそれらを保有したのには訳がある。NCR軍はスローンにおけるデスクローの対処として速度と火力があるミニガンを搭載したテクニカルトラックを派遣した。対戦車ライフルや重火器を搭載した偵察小隊はI-15からプリム、ジーンスカイダイビングまで来たものの、車両が故障。NCRCFで修理を行っていたらしい。その時、NCRCFの暴動とダイナマイトによる爆発。これにより、NCR陸軍の兵器も幾つか奪われてしまった。
プリムからストリップ地区に至るI-15号線はスローンのデスクロー、NCRCFの蜂起によって完全に遮断。本国から増援部隊として重装備部隊が向かっていると報告があったが、まだ到着していない。
ヘイズ少尉は軽歩兵連隊の一個小隊を率いてきたものの、情報と違う敵の規模に圧倒され、プリム西側に後退。膠着状態となっていた。小銃や支援火器はあるものの、対戦車ロケットと言ったものは持ってきていない。
現在、駐屯しているのは一個分隊のみであるが、残りの二個分隊はNCRCFへ威力偵察を行っており、所持する軽迫撃砲や爆薬と言った兵器はプリムには残されていない。プリムでの人員配置と作戦は全くの誤算だった。プリムまで勢力を伸ばしていて、火力のある軽装甲車輌がいるとは思わなかったのだ。
「ダイナマイトは幾つか持っているが、破壊工作できるか……」
消音器はなく、使用できる武器も限られている。軽歩兵連隊にはそもそも支給されていないだろう。闇夜に紛れて破壊工作出来なくもないが、消音器を持たないでいくのは自信がない。
「それにプリムは独立町だ。彼らの自治権を維持したいと言う意思を尊重するNCR政府の意向を無視するわけにもいかない。………昔とは違うからな」
現在のアーロン・キンバルが大統領となる前の政権、ウェンデル・パターソン大統領時代のこと。2248年にタンディ大統領が死去し、副大統領のジョアンナ・ティベットが大統領に就任した後、外交重視の政策を打ち出した。危険な人食い部族が攻撃的である場合に限り、攻撃を認めていたが、積極外交による平和外交路線へ舵を切った。
ところがモハビに流入したNCR市民がレイダーによって虐殺されたことをきっかけに失脚。ウェンデル・パターソンがその後任として選出された。
ただし、政策は外交平和政策から打って変わり、軍事を前面に押し出したものであり、モハビに軍を駐留したのもその一環だった。この時の軍事一辺倒の政策は帝国主義とも言える政策であり、これまで独立集落として存続していたコミュニティーを軍事的優位から一方的に吸収、旧州道80号線の部族民に対しての攻撃を始めた。旧世界の文化を継承したNCRと自然と共に生きてきた部族民とは、嘗てのインディアンとアメリカ開拓民と同じように征服。BOSと部族民の二方面に戦線を築いてしまった。
アーロン・キンバルの就任以降、タカ派ではあるものの、外交面においては軟化した。しかし、シーザーレギオンとの戦いも含めて、軍事一辺倒な政策は変わっておらず、三方面の戦いを強いた国内は度重なる戦乱により、政府と企業の密接な結びつきが汚職と腐敗を招いた。
「つまり、プリムの脱獄囚を掃討するにはNCRに属することを宣言しなければ、軍は動かないという訳か……囚人を連れてきて、管理不徹底で逃がしたのにな」
「それを言われても困る………こっちとしても掃討したいのは山々だが、前哨基地からの命令だからな。」
ヘイズ少尉は苦々しい表情を浮かべる。囚人を連れてきた手前、そこを指摘されたら言い訳は出来ない。軍の砲身ならば仕方ないことだった。
「う~ん……テクニカルトラックを排除できれば、二人でもなんとかなるし、ダイナマイトは腐るほどあるから……成功確率は昼間で20%、夜間で67%でしょうか?」
ウリエルは右手の親指でテントの外にある爆薬箱を指さす。爆薬箱はパウダーギャングのキャンプと脱獄囚の持ち物から頂戴したダイナマイトや地雷、簡易的な動体センサーを利用した簡易地雷、キッチンタイマーを利用した時限爆弾など。それひとつあれば、パイソンスティーブホテルを丸ごと崩壊させることが出来るだろう。
「あとは音が出ない武器か・・・・・ヘイズ少尉、
「レンジャーや第一偵察隊、それかイーグルクロウの傭兵部隊じゃなければないよ。我々は軽歩兵だから、もっぱら占領地域の治安維持と軽装備の進軍が任務だったりするし………」
ヘイズ少尉は愚痴るように呟き、テーブル横に立てかけられた新型ライフル「R91アーバンアサルトライフル」などの武器ラックへ指をさす。
以前まで採用されていたAR-15。通称「サービスライフル」「
第二次大戦中、ヒトラー率いるナチス・ドイツ第三帝国のstg44を中心とした先進的な重火器は終戦後、東西に技術が流出した。これらは後に中国とアメリカの兵器開発局などの次世代の歩兵の銃器を開発する種子として、多くの技術者が参加した。その中でAR-15は名高い開発者によって作られるも、大戦争後の
問題なのはNCRにおける技術採用部の傲慢さと工作機械の過大評価によるお陰でAR15の設計者が貶められていることであるが、今回はそれを批判はしない。後の設定資料にてお話ししよう。
現在NCRが正式採用したR91アーバンアサルトライフル。それは2077年当時における最新型として米軍に配備されたものだ。西海岸には製造拠点があまりなく、製造拠点が僅かながら残存するAR-15などのサービスライフルがNCRでは主流となった経緯がある。
ちなみにアンカレッジ解放作戦では、R91よりも水冷式アサルトライフルのほうが、寒冷地では雪に突っ込んで冷やすより、水冷タンクを復刻してアサルトライフルに巻き付ける方が手っ取り早かった。次世代プロトタイプ
R91は東海岸、主にワシントンD.Cを防衛するためにその地域一体に広く採用されたが、ボストンを主としたコモンウェルス地域には水冷式アサルトライフルが配備された。これはR91と言った複雑なアサルトライフルよりも、比較的高い工業力故にパワーアーマー普及率が高いマサチューセッツ州の機甲兵が装弾数や集弾性能・連続的な弾幕を張れる継続的戦闘能力が断然R91よりも、水冷式アサルトライフルが有利であったからに他ならなかった。
(ちなみに国防総省のデータによると、チェイス将軍とVRシュミレーション制作会社とその件で何度ももめた記録が散見される)
そして、R91アサルトライフルは東海岸に集中的に配備された次世代アサルトライフルの一つであるが、木製ストックやハンドガードも含め、石油不足に伴った設計が為されている。Rシリーズ以前のAR-15を有するMシリーズは石油の安定供給が見込まれていたが、Rシリーズのライフルは石油不足に伴い、木製の部品や金属製部品を多く取り入れた。R-91を製造したステント・セキュリティー・ソリューションズ社は米ソの冷戦時代初頭に開発されたセメトやG3ライフルをモデルとした過去に戻った設計思想を持っている。しかし、ローラー・ロッキング/ディレイド・ブローバックシステムを採用したそれは、その後のキャピタル・ウェイストランドにおける混沌期においてBOSや傭兵結社のタロン・カンパニー、果てはレイダーなどの無法者集団に至るまで、新兵でも短期間で遠距離の敵を射殺できる精度から、製造されたのが200年前でも整備さえすれば撃つことが出来る傑作アサルトライフルが出来上がった。
そして、その小銃が東海岸のとある勢力の者どもによって、工作機械の発達と工作要員の養成により、R91の生産が出来るようになったのである。
以前として戦前のアメリカの技術力には劣るかもしれないが、R91を再設計し開発能力を持つまでにNCRは成長した。
長ったらしくアサルトライフルの開発過程について説明したが、それらの突撃銃の変遷についての説明には・・・・・・・・(添削により以下削除)
ヘイズ少尉は頭を抱えるが、運び屋はその横にいる女性准尉に目が行った。もしかしたら、ヘイズ少尉の恋人かもしれなかったが、案外美人な彼女であったため、ちょっと卑猥な想像をしてしまう運び屋だった。
持っていたきれいな水のボトルから清潔な水が滴り落ち、綺麗な肌の表面をするりと滑り落ちていく。白い肌に水滴が垂れていることに劣情を禁じ得ない場面であったが、ふと運び屋は思いついたように、その女性准尉に近づいた。
ヘイズ少尉は運び屋の尋常でない動きに驚き、咄嗟にホルスターに手を伸ばし、件の女性准尉は驚いたのか、水のボトルを口にくっつけたまま椅子から転げ落ちてしまう。貴重な綺麗な水が零れ、薄着であれば密着する素肌が見えてしまいそうであるが、残念ながらタックトップでなく、アーマー姿であったことが幸いだ。そして、尻餅を突き、女性准尉の顔元に運び屋は近づくとキスをしそうな勢いで、水のボトルを奪い取った。
「………あ!この方法があったか!?」
運び屋の発見に周りは分からなかったが、一人……いや一台のロボットが同じ結論に達した。
「成程!!!!」
なんか後半がNCRの国内話(ねつ造)とNCR軍をバージョンアップしたために起きたねつ造設定ライフル開発秘話が出来上がってしまったww
一番やりたかった事なんだけども。
サービスライフル→R91アーバンアサルトライフルへ変更
(一部修正:MシリーズとRシリーズの相違点、及び兵器開発についての記述を変更。修正ミスがあったので追加修正)
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