Fallout:Stray Ranger   作:文月蛇

17 / 23


今回の話はゲーム外のNCR政府がコロラド川東側で唯一制圧している地点。ブルヘッドシティーについての話です。本編にはでて来ていませんが、作者の妄想百パーセントとなっています

本編は今夜投稿予定です。


十五話 Battle of bullhead city

 

 

 

 

 

 

NCR陸軍ニューベガス方面軍の兵站はザ・ハブから延びるインターステート15号線によって支えられていた。大戦争後、アスファルトは破壊され、車両の通行もままならない程にボロボロとなっていた。しかし、シーザーレギオンと戦うための軍需物資輸送やニューベガスへの輸出も相まって、幹線道路は戦前と同レベルにまで復旧した。未だ復旧していない道路があるものの、ハブから東へ行くインターステート40号線の先にあるブルヘッドシティーも同様に、レギオンの侵攻を阻止するために主要道路として整備された。

 

 

 

 

特にブルヘッドシティーはコロラド川を越えたNCR領土の中でもレギオンの攻撃を受けやすい地域の一つとして有名だ。NCRはその場所の部族を強引に併合して以降、コロラド以東に進出する足がかりとした。しかし、同時に成長を続けるシーザーレギオンとの接触により、ブルヘッドシティーはコロラドに侵攻するNCR陸軍一大拠点とされた。

 

 

 

 

だが、ニューベガスの戦略的価値とNCRのエネルギー問題を解決するフーヴァーダムはブルヘッドシティーの戦略的価値を下げるには十分。加えて、ニューベガス方面軍には現職のアーロン・キンバル大統領と懇意の間柄であったリー・オリバー将軍がおり、結果としてブルヘッドシティーは軽視されることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、NCRとてレギオンにNCR領内への橋頭堡を築かせようとは考えていなかった。それはNCRに侵食している“彼ら”とて同じ考えだった。

 

 

 

 

 

 

「くそ!くそ!くそ!・・・なんでNCRがあんなもの持っていやがる!」

 

 

 

ブルヘッドシティーから南にあるモハビ・バレーはシーザーレギオンの軍事拠点の一つであり、アリゾナ川以西にはデッドマウンテンと呼ばれる山岳地帯、NCRはそこに部隊を展開しにくく、渡河しようともリージョンの狙撃や銃撃によって餌食になる。既に破壊工作を行おうとしていたNCRレンジャーを狙撃して葬り、幾人もの放浪者(プロフリゲート)を磔にした軍団兵たる彼らは戦士として矜持を保ってきた。

 

 

 

 

 

 

だが、狙撃用に掘られた塹壕に隠れているレギオンの兵士にそれはない。彼の眼には恐怖の色と戸惑いが隠せない。何度も悪態を付き、河の向こうにあるNCR狙撃手の攻撃を避けるため塹壕内の通路を駆け抜ける。

 

 

 

 

 

「なんで奴ら的確に狙ってきやがる!ここまで偽装してるのに・・・判るわけがない!」

 

 

 

 

 

 

モハビ・バレーの軍団兵の殆どはローマ軍の鎧を模したアーマーを付けてはいなかった。彼らは併合された部族の中でも、狙撃を主とする狩猟民族であった。肉弾戦を得意とする軍団兵とは一線を画す彼らは異端であるものの、その狙撃能力はシーザーが重用するほどであった。狙撃ほど一般歩兵を恐怖に陥れるものはなく、銃声によって確実に仲間の誰かが死ぬ。どこに誰がいるかおおよそ分かる近中距離の銃撃戦と違って、狙撃は軍の進軍を止める効果があった。また、指揮官らしき人物を狙撃すれば、部隊は統率を失い瓦解する。

 

 

彼らはそれこそレギオンの中でも異端として蔑まれていたが、父から子へと受け継がれた30-06マグナム弾を発射するハンティングライフルを戦士の証としている彼ら。それは騎士や武士にも似た物だ。だからこそ、シーザーの次に指揮権を握っているリガタス・ラニウスにも一目を置かれていた。他の部族出身の兵から蔑まれても戦士としての矜持は失っていない。敵兵と獲物を狩るためには手段を選ばない。例え、レギオンの鎧を着ず、草や木に模した衣服を身にまとい「野蛮」と呼ばれようとも、彼らからすれば、肉弾戦を好む部族出身兵の方こそが野蛮にすら思える。だが、悪態を付き、喚く兵士はその矜持を捨て去ったように、まるで「ギリースーツ」のような出で立ちで塹壕通路を走る。

 

 

 

 

 

「おい!持ち場はどうした!」

 

 

 

 

陣地の連絡通路を中腰で進む兵士に指揮官らしき男は叫ぶ。指揮官の男はベキシラリウスの階級を持つ、言わば専任曹長に相当し、士官と兵卒の繋げ役をする役職に酷似する。配置から外れた兵を捕まえると、持っていた10mmピストルを彼に突き付けた。

 

 

 

 

「お前逃げるつもりか!スポッターの相棒はどうした!」

 

 

 

 

 

「奴は死にました!プロフリゲートの鉄の鳥に焼かれました!」

 

 

 

 

 

「て、鉄の鳥だと?」

 

 

 

 

ベキシラリウスの男はオウム返しでその言葉を口にする。本来ならば、馬鹿馬鹿しいと鉄拳制裁をするべき所だが、鉄の鳥という言葉から幼い頃の記憶が蘇る。

 

 

 

 

戦士として訓練を受けていない。部族がシーザーに忠誠を誓う前の子供の頃にあった事件を思い出した。

 

 

 

 

 

夕暮れ時のこと。夕焼けの水平線に見える豆のような粒が幾つも飛んでいた。やがてそれは大きくなり、それが自分の村々に近づくとその姿が露になった。両翼に高速で羽が回転し、鉄の胴体が空中を舞う。風を切る轟音が周囲に響き、村が大騒ぎになった。それは一匹だけではない。数えるのも嫌になるほどの群れをなすそれは大小様々な形で大空を舞う。

 

 

 

 

 

だが、男が子供であったころには分らなかったが、今ならわかる。シーザーが戦士に与えた知識を思い出す。嘗てこの大陸を支配していた忌まわしき旧世界の武器。「ヘリコプター」と呼ばれたそれは兵員を輸送し、地上の敵を薙ぎ払う兵器を使用する。それらは大戦争で失われた代物。大戦争後もそれらを保有していたものの、滅んだ彼ら。その時見たヘリコプターには「E」という単語を星々で囲んだ印をつけて飛んでいた。

 

 

 

 

 

―いや、そんなはずはない!センチュリオンからはブルヘッドシティーにないと聞いていた。フルメンタリーがそんな些細なミスをする筈は・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベキシラリウスの男は考えるが、その結論は至らなかった。男の思考は音速で駆け抜ける弾丸によって飛散し、男であった肉は部下の男に倒れこむ。

 

 

 

 

 

「うわぁ!畜生!」

 

 

 

 

指揮官の頭が弾けて自分の顔に掛かるのは、戦士として鍛え上げられたとしても恐怖や不快さを取り除くことは出来ない。指揮官のものであった血や肉片を拭うことも出来ず、彼は後方陣地へと走ろうとしたその時だった。

 

 

 

 

 

今は亡きベキシラリウスの男が幼少期に聞いた風を切る轟音。デッドマウンテンの頂きから現れたのは先ほどの男の相棒を焼死体にした鉄の鳥「ベルチバード」だった。

 

 

 

 

 

「撃てぇ!あの化け物を撃ち落とせ!」

 

 

 

 

周囲の陣地にいたレギオン兵は残り少ないが、未だに闘志を燃やす戦士も存在する。彼らはライフルでベルチバードを撃ち落とそうとするが、強固な装甲は彼らの弾丸を弾き飛ばした。あまり精神的に良くない跳弾音がベルチバード機内に響き渡る。レギオンの空しい抵抗はパイロットを同情させたが、手加減するつもりはなかった。

 

 

 

 

「目標補足!奴らの対空兵装はない。ロケットは貴重だから機関砲で始末しよう」

 

 

 

 

「了解、掃射する」

 

 

 

 

 

銃撃のお返しとばかりに機首下部についた20㎜機関砲のガンバレルは回転すると、轟音と共にレギオンの数倍の火力で叩きのめされる。ライフル弾より大きい砲弾は人体をバラバラにしていく。裸眼による目視であれば、狙撃に特化したレギオン兵を始末するのは難しい。だが、ベルチバードにはサーマルと赤外線複合センサーが内蔵され、巧妙に偽装された狙撃兵をミンチにすることは容易かった。そして、デッドマウンテンと呼ばれた頂にもNCRの狙撃兵が複数潜んでいた。

 

 

 

 

 

彼らは新たに支給された狙撃銃によってギリースーツを着こむリージョンの狙撃兵を難なく撃ち倒す。辛酸をなめさせられてきたNCR兵は歓喜に震え、観測手と共に喜びを分かち合っていた。

 

 

 

 

「こちら、Delta1-2。航空支援に感謝する。渡河による攻撃が出来そうだ。助かったぞ、イーグルクロウのパイロットさんよover」

 

 

 

 

 

(こちらRino1-1、どういたしまして。そっちも良い仕事してたぞ。out)

 

 

 

「よく言うぜ、まったく」

 

 

 

 

 

 

キルスコアはイーグルクロウ警備保障のベルチバードが圧倒的に勝っている。パイロットの御世辞ともとれるその言葉に悪態を付く通信手兼観測手の兵士は遮蔽物に隠れると、赤いベレー帽を被り、NCRの食品工場で生産されたポークビーンズの食べかけを食べる。

 

 

 

 

 

 

彼らはNCR陸軍の中でも凄腕の狙撃手。前はニューベガス方面軍で第一偵察隊に所属していたが、転属してニューベガスよりも劣勢であったブルヘッドシティーを防衛するコロラド方面軍に入った。彼らは前の隊と同じく狙撃手を務めるが、第一偵察隊のベレー帽は手放せなかった。赤いベレーがトレードマークのそれは周囲に精鋭の狙撃手として知らしめることが出来るものだ。二人は狙撃手を募って敵陣地の対岸に位置するデッドマウンテンに狙撃ポイントを設け、防衛線を敷いた。

 

 

 

 

 

 

デッドマウンテン防衛ラインは多くの狙撃兵によって支えられ、なし崩し的に第二の偵察隊が誕生した。伝統的な第一偵察隊のそれとは歴史が無いに等しいが、実戦によって磨かれた狙撃兵が集う精鋭集団となった。

 

 

第二偵察隊も設立される日も遠くない。設立された時に彼らはそのベレー帽を脱ぐのだろう。それまでは、第一偵察隊でなくても、赤いベレー帽は被り続けるつもりだった。

 

 

 

 

 

 

「イーグルクロウの奴らが来てからここはすっかり変わったな」

 

 

 

 

 

 

狙撃手の男は対岸の掃討されたレギオンの陣地をスコープで覗く。向こう岸には何の反応もなく、赤外線スコープに何も映ってはいなかった。一人で食べる相棒に食べる時間を与えないためなのか、話しかける彼にポークビーンズを食う観測手は答えた。

 

 

 

 

 

「シェイディ―・サンズで政治家ごっこやってる奴らより、傭兵上がりの軍需産業はやっぱり理解があるよ。上の奴らはマジ“オリバー”だ」

 

 

 

 

 

 

軍のスラングで罵倒する相棒をよそに、狙撃手は耳に引っ掛けていた煙草を咥える。無論、火を付ければたちまち敵の狙撃手に自分たちの位置を教えることになり、自殺行為に他ならない。だが、狙撃手にとって精神を落ち着かせるために何かを咥えなければやっていけないのだ。ニコチンを摂取したい狙撃手は相棒の台詞に重ねるように「ほんと、オリバーだな」と呟いた。

 

 

 

 

 

 

既にブルヘッドシティーに配備されたNCRはニューベガス方面軍司令、リー・オリバー将軍が大統領と懇意の間柄であると知っていた。敵を多く抱えるNCRは戦線を維持するのに多くの兵員が必要であったが、エネルギー問題を解決するニューベガス方面軍とレギオンを倒すためのコロラド方面軍。大統領が選んだのは、懇意にする指揮官の方だった。政治的な判断、戦略的判断であろうがなかろうが前線の兵士たちにとってみれば、個人的な友情によって兵力や物資を減らすことがどんなにつらいか、今からでもニューベガスに戻ってオリバー将軍の尻にライフルを突っ込んでやりたい将兵はどれだけいることか。

 

 

 

そして、ニューベガス方面軍やコロラド方面軍のNCR兵のスラングとして「オリバー=クソ」というものが出来上がった。

 

 

 

 

 

 

「それにイーグルクロウの連中は良い物を製造してるよな」

 

 

 

 

 

 

狙撃手は構えているライフルを撫でる。それは戦争前に作られたライフルでもなければ、ガンランナーなどの武器職人が手掛けたもの、NCR工廠が作ったものではない。「Eagle Claw Firearms Inds. MSR」と刻印されていた。長年NCR軍の訓練に耐えてきた狙撃手がそれを見た時、「これって俺らの一生分の給料でやっと買える代物じゃね?」と言われている。

 

 

 

 

第一偵察隊の時には木製ストックが当たり前であったし、スコープが壊れても支給されるまでに一か月は掛かった。しかし、目の前にあるのは1200mを余裕で狙える狙撃銃と巧妙に隠れたレギオン兵を熱感知によって狙撃可能なサーマルスコープが搭載されている。これを使った狙撃兵曰く・・・

 

 

 

 

『これ反則・・・・・(笑)』

 

 

 

 

『可愛いよ、可愛いよシャー〇ーン♡』

 

 

 

 

『ビューティフォー・・・・』

 

 

 

 

などなど、好評であった。しかし、それらは少数精鋭やベテランレンジャーによって使用されている。彼らはその精鋭としてそのライフルを支給されたが、出来れば持ち逃げしたいほど素晴らしいライフルだった。

 

 

 

 

 

「それだけにヤバい噂が絶えないけどな」

 

 

 

 

2270年にNCRはブルヘッドシティー周辺を占領した。そこには多くの部族がいたが、ハブの商社所属のキャラバンが襲撃されることやNCR市民への攻撃が頻繁に起き、ハブの資本家の圧力によってNCR東部軍は派兵、制圧した。旧アリゾナ州への橋頭堡を得、進出の足掛かりとしたが、2272年以降になって東部軍(コロラド方面軍)進行は止まった。

 

 

 

 

NCRと敵対する部族の半数以上がシーザーレギオンに加入し、コロラド川以東は危険地帯となった。それはブルヘッドシティーも例外ではなく、実効支配をしているものの、度重なるレギオンの攻撃によって弱体化。コロラド方面軍はベガス方面軍以上に切迫した戦場であった。更に不幸なのが、ベガス方面軍司令が大統領と懇意の間柄であるため、なけなしの戦力の比重は向こうが重く、コロラドをそのまま道なりに行けば敵の首都まで行けるはずであったが、ブルヘッドシティーを拠点とするNCRはこの地に釘付けになっていた。

 

 

 

コロラド方面軍崩壊とも目されていたが、急に事態が変わり始めた。

 

 

 

リー・オリバー将軍やアーロン・キンバル、ニューベガス地区NCR大使館のデニス・クロッカ―などの外交路線を進む派閥とNCR陸軍参謀本部や軍部といったタカ派派閥、財界関係者派閥など、NCRでは戦前のアメリカのように、派閥争いが繰り広げられていた。三つの派閥争いは新たに財界にイーグルクロウ警備保障が加わったことにより、軍部と財界が結託。既に現職のアーロン・キンバル大統領の支持率が低下していた。

 

 

財界と軍部は戦争の早期終結と敵対勢力の殲滅を選び、戦略ミスからキンバルの派閥は影響力が低下。イーグルクロウの航空部隊を送ることによって、崩壊し始めていたコロラド方面は持ち直していた。

 

 

 

その航空部隊はNCR正規軍よりも高性能な兵器を所有し、X-01型パワーアーマーを運用する。しかし、敵国として認知していたエンクレイヴの兵器を使用することで嫌な噂が絶えなかった。既にイーグルクロウ警備保障を正規軍に編入しようとしていたために、汚職を告発された高級将校の事件など、強力な後ろ盾がいることが明白であった。

 

 

 

 

「もしかしたら、エンクレイヴじゃないか?」

 

 

 

 

 

「………まぁ、構成員に居そうだよな……でも仕方ないんじゃないか?BOSよかマシだろ」

 

 

 

 

 

「レギオンやジャッカル、80sレイダーよかマシか……」

 

 

 

 

 

 

NCRでは、元エンクレイヴ軍兵士や構成員には即拘束の命令が共和国政府から大統領令によって制定されている。しかし、殆どが保護観察処分となり、民間人への虐殺を行った将兵のみ極刑に処されるだけで技術を持つエンジニアや科学者、思想的に問題のない人物へはそこまでの処分は下されない。戦前のテクノロジーを復興させようとするNCRの政策は一般民衆の心も変え、若干の恐怖心は残るが、エンクレイヴに属していた者達への風当たりは昔より少ない。

 

 

 

 

 

軍事に多大な貢献をするイーグルクロウ警備保障のエンクレイヴ製兵器。ベルチバードの航空兵器やX-01パワーアーマー部隊、強力な光学兵器は、エンクレイヴの強力な軍事力による恐怖の矛から、NCRを守る強力な盾となった。

 

 

 

 

 

旧エンクレイヴ出身の市民への風当たりはまだ悪いかもしれないが、人の行き来がないこの時代。住み分けられた人々の暮らしはそこまで悪くない。寧ろ、お互いが程よい距離感を保っていたこともあってか、憎悪を必要以上に集めることはなかった。

 

 

 

それだからか、過去にFEVによって変化した人類を抹殺しようとしたエンクレイヴに属していた民間人であっても、価値観や文化の近い彼らを畏怖の対象としていたとしても、憎悪の対象として弾圧し、迫害することはなかったのだ。

 

 

「……そういえば、サンフランシスコはエンクレイヴ出身の民間人やら技術者の町があるらしいな」

 

 

 

 

「美人が多いって話だぞ」

 

 

 

 

「国に帰りてぇ……」

 

 

 

 

「ニューリノに帰りたい……」

 

 

 

 

 

 

2人は喧噪の溢れる道徳観の薄いあの町がお気に入りだった。幼少の頃から堅気ではない人々に囲まれて育った彼らだったが、それでも彼らの生まれ故郷であり、他では味わえない安心感があった。

 

 

 

 

 

 

ポークビーンズを食べ終えた狙撃兵の一人は思い出したように声を出す。それは何かを思い出したようで、空になったブリキ缶を地面へ置く。

 

 

 

 

 

 

「そうだ、ニューリノのビショップファミリーだが、面白い噂を聞いたぞ」

 

 

 

 

 

「ん?どうした」

 

 

 

 

 

「ビショップファミリーの親族がニューベガスに来てるんだとよ」

 

 

 

 

 

 

ビショップファミリー

 

 

 

 

 

ニューリノの住人であれば知らぬ者はいない。町で最大の勢力を誇るマフィア。ニューリノ周辺のシマは全てビショップファミリーの手のうちにあり、軍隊並みの練度と忠誠心を誇る。物資や資金も潤沢であり、善悪で言えば悪に違いない。だが、世間体で言えば必要悪。町を巨悪に包み込むようなものでもなく、かと言って完全なる善とは言えない。

 

 

 

 

大規模な集落になると、カルマが悪に染まっている者が存在する。更には、中間の者も。それらの者達が問題を起こさないようにするのがビショップファミリーの仕事であり、ニューリノのNCR政府高官でさえ、共生関係を示唆するような発言すら行っている。嘗てのアルカポネのような様々な企業に金を出し、汚職を広めるタイプではない。堅気との明確な線引きを行う仁義を信じるマフィアであった。

 

 

 

 

 

 

「それって……奴らニューベガスのファミリーに戦争を?」

 

 

 

 

 

 

「いや、噂によると一人らしい。家族内の抗争が嫌で来たとか……」

 

 

 

 

 

 

 

「一枚岩じゃないんだな」

 

 

 

 

 

 

「どこの勢力も権力を持てば互いに争い合うのさ。血が繋がっていてもな」

 

 

 

 

 

 

対岸を見つめる狙撃手はサーマルスコープの電源を切り、クリアな視界で対岸の様子を確認する。既にレギオンの狙撃陣地は黒煙に紛れて肉の焦げる匂いが周囲を満たす。レギオンの軍団旗は炎に包まれ、暗くなりつつある周囲を照らし始める。

 

 

 

 

(こちらCP、Delta1-2応答せよover)

 

 

 

 

「こちらDelta1-2どうぞ!」

 

 

 

 

(Grid N(November)456 S(Siera)331より、敵集団をレンジャー偵察分遣隊が捉えた……確認できるか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待てよ……どれどれ~」

 

 

 

 

 

 

布の切れ端を合わせた迷彩シートを上から被ると、CP(戦闘指揮所)から指示された座標へ観測器を向ける。

 

 

 

 

 

 

彼が見た先には白い植物性塗料を全身に塗った部族民らしき兵士が30人近く川岸に接近しつつあった。

 

 

 

 

「こちらDelta1-2、Grid内に敵歩兵30人の集団あり。川岸に接近中。敵の装備からして、部族民の戦闘員のようだ。こちらの兵装では対処しきれない。航空支援を要請するover」

 

 

 

 

(こちらCP、それは無理(Negative)だ。現在、近接航空支援は他地域にて要請が多数でている。補給も鑑みてそちらに行けるのは30分、だが砲兵隊の砲撃支援が可能。目標座標を伝えよout)

 

 

 

 

 

 

「川を横切るように見るか……座標コードGrid N450 S325」

 

 

 

 

 

「了解……こちらDelta1-2より、I(インディア)A(アルファ)B(ブラボー)。砲撃支援を要請!Grid N450 S325。目標敵歩兵集団、榴弾にて攻撃求むover」

 

 

 

 

(こちらIAB、要請了解、待機せよout)

 

 

 

射手の男はライフルの横にあった地図を確認し、目標座標を言い、観測員の男がその座標コードを後方の砲兵基地に命令する。既に後方のアイビス臨時砲兵基地には射程20kmの大口径榴弾砲が多く配備されていた。

 

 

 

 

 

そして、一分もしないうちに砲弾が空気を切り裂く高音と共に、対岸へ行こうとする部族民に直撃する。砲撃と言う攻撃を知らなければ、地面が割れて爆発するかのような天変地異に見えたことだろう。土と水が4m以上飛翔し、目標地点は抉れる。土煙が消えた時には死屍累々の惨状が広がっていた。

 

 

 

 

「こちらDelta1-2、敵集団壊滅。砲撃支援感謝するout」

 

 

 

 

 

銃火と怒号。硝煙と血潮の風が常に吹き荒れるブルヘッドシティーの日常だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




NCR強い!強い!


でも、そんな簡単に勝てる相手じゃないんだよなww



ご感想・ご批判お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。