それと、Fo3の外伝も投稿予定。シグマ分隊が主人公ですw
サンセット・サルサパリラ
ネヴァダ州や一部のカリフォルニア州などを跨るモハビ砂漠全域で見かける清涼飲料水である。ヌカコーラよりも歴史が長く、サウスベガスの本社に近づくにつれて、ボトルの数は多くなっている。
だが、味の方はどうかと聞かれると何とも言えない。現在はNCR一部で栽培されるサルトリイバラ属の植物の根を使っており、ルートビアに近いが、その独特な風味は薬草の如く臭い。その香りは湿布のような刺激臭がしているため、ガーゼに染み込ませれば何かの効能が見込めると思われるかもしれない、だが、糖分が多いために、何かしらのミュータントが酔ってくる危険性がある。
唯一の利点は放射能汚染されていないことだが、水分がある程度供給されているモハビにおいて、ヌカコーラの次に人気がある飲み物と言える。というか、それ以外に水分がないのなら飲むしかない。なので、不味いとしても、飲まなければ生きていけないのだ。
だが、例外はいる。以外にも愛飲者はおり、まことしやかに伝わる伝説があった。ボトルキャップの裏に輝く星を見つけ、それを集めてサルサパリラ本社に行くと伝説の財宝が手に入れられるのだと言う。それを求めて強盗や殺人を起こす者もおり、戦前から生きている者は「馬鹿なんじゃない?」と呆れ顔をする。何故なら、その宝物と言うのが子供のために作られた保安官バッチだと言うのだから笑えない。
「動くんじゃねぇ!ぶっ殺す!」
パンクヘアのレイダーに近く、凶悪そうな顔をする女は10mmピストルを撃ち、廃車の物陰に隠れたひ弱そうな青年を殺そうとする。
「ちくしょう!なんで俺がこんな目に!」
数日前に出会ったその女は悪そうな割に話せば気の合う奴だった。一緒に動いていくにしたがって、それなりの中になり、ハブに付いたら両親にも紹介しようかと思っていたのだ。だが、青年―トーマスの幸運の首飾りを見ると、豹変して銃を突きつけたのだ。まさか、金目当てだと思わない彼はキャップの入った袋を渡したが、それでも銃を突きつけ続け、隙を見て応戦したのだ。だが、肝心の銃が動作不良を起こしてしまい、万事休すと言った感じだった。
「糞糞!こ、降参だ!何でも渡してやる!だから殺さないでくれ!」
「はっ!出来ない相談だね!そもそもあんたに近づいたのはママのおっぱい臭いあんたが好きだったんじゃない。私はあんたの持ってるスターキャップが欲しいのさ!」
―何で幸運のお守りを?
財宝の眉唾に近い伝説を知らなければ、珍しいキャップだとしてお守り代わりに持ち運ぶのも少なくない。だが、それは一部の人間からすれば喉から手が出るほど欲しく、人を殺してでも手に入れたい悪人共が沢山いるのだ。
「それにあんたの事はここで殺さないと、他の奴にスターキャップを持っていると知られちまう!あんたはそこで蟻の餌になるんだね!」
ゆっくりと近づいてくる足音はトーマスに死を知らせ、その瞬間を耐えようと目をつよくつぶる。だが、その瞬間は訪れなかった。風を切る音と共に、女の頭部ははじけ飛び、あごから上が無くなってしまうグロテスクな状況になっていたからだ。
「ひぃ!?」
突然の事で驚くトーマスであったが、彼の目には恐怖と共に重武装な旅人と風変わりなロボットを連れていた。
「あ~、すまないんだが事情教えてくれない?」
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「あ~めっちゃいますね・・・・・・」
「だな……ここまで来ていたか・・・・・・」
シックスは双眼鏡から二プトンの黒煙が登る様子を見つめていた。既に事を終えているのか、銃声や悲鳴は聞こえないものの、ゴムの焼ける匂いが遠方まで流れてきており、シックスは鼻を抓みながらその光景を眺める。
二プトンは人口50~100人程の比較的大きい集落の一つである。スローンやサーチライト、前哨基地に近いためにNCR兵に好まれている町でもある。だが、其れは兵だけであり、士官や下士官、若しくは精鋭のレンジャーや古参兵はあの町を歓迎しない。
所謂、花を売る仕事。売春宿を大規模に行っている所であり、前線が近いためにNCR兵の慰安として娼婦が来ていた場所であった。元々は寂れた町だったものの、喰うに困った住人が春を売ったことをキッカケに娼婦と言った人種が増加した。NCR兵の他にもスカヴェンジャーやスローンの採掘労働者もおり、町の治安は非常に悪かった。加えて、NCRCFも流入したために更に悪くなるかと思ったが、無断離隊や巡回ルートを逸脱した分隊が遊びに来るなどしたものの、「敵」ではなく「客」として迎え入れてしまったのだ。
某フルメンタリー曰く「ソドムとゴモラと呼べる掃溜め」と表現しており、シックスがレギオンの軍旗が町の周囲に刺さっていることを見るに、彼らがどのような行いをしたのかすぐに理解した。
「……あの様子だと一個中隊はいるんじゃないか?…」
「突入しますか」
「いやいや、馬鹿言ってんじゃないよ」
シックスは呆れたようにウリエルの頭を叩く。
「ハリウッド映画じゃあるまいし、マシンガンとランチャー抱えて一個中隊潰すなんて出来るわけない。更にここまで進入する部隊と言う事は、奴らの練度は高いぞ」
何せ、河を隔てたこちら側の領域はNCRが支配していると公言するエリアである。つい最近になって、レギオンの浸透攻撃が行われて疲弊している。その支配エリアに深く入り込み、重要拠点でない場所を攻撃して虐殺(マサカー)を行えると言う事は彼らの力量が伺い知れる。
「じゃあどうします?」
「道を迂回してノバックに向かう。……やつらを野放しにするのも気が引けるがな」
手元にあるAR-15では近距離からでしか狙えないし、同等の中隊規模でもレギオンの精強さと比べたら、逆にNCR兵の中隊は壊滅しかねない。
「砲撃支援を求めるのはどうでしょう?」
「確か、NCRCFを制圧してからここら辺の作戦地域を支援砲撃するために、砲兵基地を建設する手筈だったな」
2人は同業の運び屋と別れてからいろいろな情報収集をしてから前哨基地を後にした。レンジャーから頼まれた蟻退治も終えてから、ゴーストと名乗っているレンジャーから「二プトンの様子が知りたい」とウリエルが頼まれたらしく、軍用無線機の周波数を教えてくれたらしい。
その時にNCRCFを制圧に向かった部隊は砲兵基地を建設した後に、スローンのデスクロー退治を行うという情報を掴んでいたウリエルはシックスに今後、砲撃支援が行われることを伝えた。
「でも、二プトンに前哨基地を置いたりはしないだろう。あんな風に自分たちがここに居るなんて知らせたら馬鹿だ。あれは見せしめだから、直ぐにあの場所を引き払うだろうさ」
―俺が指揮官ならそうする。
二プトンを襲ったのは、NCR兵の慰安を妨害する事やNCRの玄関先に近く、恐怖を与えられるからに他ならない。NCRCFやスローンなどの障害が無ければ、前哨基地から空港跡地に作られた基地まで補給路としているNCR軍は広大なモハビに軍を分散させるほかなくなる。もし、二プトンやサーチライトに部隊を集中させれば、ダムが手薄になってしまい、レギオンに隙を見せかねない。
今後、こうした破壊工作や補給路への攻撃は日に日に増していくと思い、シックスの表情は優れなかった。
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其処は嘗てラスベガスに本社を置く、小さい気象観測システムを開発する企業がネヴァダ一帯の気象観測のために施設を置いていた。今となっては分からないが、戦前に都市伝説があった。
『其処には軍の新型秘密兵器が収納されている』
『核戦争に備えるために軍が物資を備蓄している』
『死体を研究するマッドサイエンティストの秘密基地』
などなど、その場所の噂などは眉唾ものもあれば真実も混在する。多くの都市伝説は真実を元に嘘と偽り、推測によって肥大化されていく。その内の一つが『気象観測施設に偽装した貯蔵施設』と。
裏付けであったのが、ここは元々vault建設予定地であったが、突然建設がストップした。だが、その後も多くの資材やトラックが行き来し、いつの間にかぽつんと気象観測施設が立てられていた。周囲には警備員の他に重武装の警備ロボットが常駐しており、不良学生の何人かが不法侵入で逮捕されたことが伝説の契機となっている。
そうしたことから、軍隊を駐屯させるに足る平坦な土地があったために、古代ローマをリスペクトしたシーザーレギオンの大部隊はこの場に駐屯する。テクノロジーに対して忌避している彼らであったが、コロラドを攻撃するNCRはヘリを使用するために、どこから持ち出したのか対空機関砲や対空ミサイルなどのハイテク兵器を配備しており、これまで彼らを監視していたNCR兵は驚愕を隠せなかったら。
だが、彼らは知らなかった。彼らの足元には忌避すべきハイテク兵器群が息をひそめてスリープ状態になっており、大隊規模のロボットが主の命令を待っていることを。
そして、駐屯地の中心。陣営を見渡せる比較的高台の場所に大軍を指揮する司令部があった。そのひと際大きい天幕に入った人物、パルプス・インカルタはローマ式敬礼を行う。
「シーザーに忠誠を!」
「シーザーに忠誠を!」
シーザーが敷いた政策の一つに統一した敬礼を行うことがある。これは400年も前に勃発した二度目の世界大戦において、国民を束ねるために使った敬礼をモチーフにしており、多種族連合であるシーザーレギオンを結束させるために、規律と共に教え込んでいる。
ある者はシーザーを讃えるために軍歌を作り、またある者はシーザーの威光を宣伝すべく、多くのスパイ(フルメンタリー)を各地に派遣している。それはNCR領内にも入り込んでおり、政治腐敗の激しい首都において入り込むのは容易かった。
「殿下、ネルソンでの粛清は完了いたしました。」
「ご苦労……NCRの様子は?」
「傍受した無線連絡によりますとサーチライトとネルソンに部隊を展開する模様です。既に各駐屯地から部隊の抽出が行われております。」
シーザーは満足した顔で玉座に座っており、果物の皿を持つ奴隷をいったん下がらせると、羊皮紙に書いてある作戦計画を読む。
シーザーの思惑であるNCRへの心理的攻撃、そして戦力の分散は成功した。他にも様々な陰謀に加担していた。既に後継者に本国の内政を任せており、自身は疲弊する双頭熊を仕留めるべく、軍を巧みに操っていた。内政よりも軍を指揮するほうが性に合っているのか、NCRへの破壊工作は多く成功していた。
「そうか………。インカルタよ、お主は今日のカリフォルニアタイムズを読んだか?」
「いえ」
「そうか、あれが一面に載ってたぞ」
どこで入手したのか。『NCRA ネバダ方面軍司令部発行』と判子を押されたNCR全国紙として発刊されている新聞をインカルタへ渡す。其処には一面で『大法廷で爆弾テロ!シーザーの陰謀か!?』と号外記事で書かれていた。
「あの女は我々との盟約を忘れていたようですね」
「所詮、あの程度の俗物だ」
シーザーの命令によってマクラファティが流通させる物資をレギオンへ流し、更にNCR軍への物資を意図的に遅らせるなど、多くの所で役になっていた。彼女の他にもNCR議会にも現政権の政策に反対し、内通する議員も多くいた。政権を退陣に追いやるために敵まで利用する、腐ったNCR富裕層を利用する方が簡単に仕留められるとシーザーは思っていた。しかし、意外にも腐っても国を守る者も多くいたらしく、マクラファティは副業で捕まった挙句、軍上層部にレギオンのスパイを教えると盟約を破ったのだ。
マクラファティの利用価値はゼロに等しく、最早その価値はNCR世論を沸かせるための生贄位にしかなく、命を捧げても良いフルメンタリーによって行動に移された。
既に抱き込んだマスコミは政権批判の記事を掲載し、ラジオでも数曲政権批判の放送をしている。アメリカの屋台骨とも言える民主主義や自由主義と言った概念を掲げたNCRは自らの楔によって傷ついていく。
表現の自由や報道の自由、言論の自由の名のもとに、売国奴に等しい議員の後押しから政権批判をシーザーの意思によって行われていく。既にシーザーと言う名の寄生虫に双頭熊(NCR)は内側から蝕まれ、屠られていく。既に世論は厭戦気分が出て来ており、ちらほらと種が芽吹き始めていた。
「まさか、NCRCFの脱獄やスローンへの破壊工作、フィーンドへの兵器供給には驚きました」
「クリムゾンキャラバンにはシルバーメダルを送らなければな」
シーザーの笑いと共に近くにいた側近も笑い声が漏れる。
クリムゾンキャラバンはシーザーとの盟約の元、数々の破壊工作の隠れ蓑として活動した。クリムゾンキャラバンの大半は善良なNCR市民であるが、それを利用し「流通大手の信用できるトレーダー」に扮してNCRCFの囚人に強力な兵器を提供し、スローンの奥でデスクローの卵を設置。そしてフィーンドには数々の物資を提供した。しかも、多くがNCR製と言うレギオンの存在を全く出さずに行えたことは、指揮したインカルタとて意外であった。ここまで防諜や国家への忠誠が薄く、溶け込みやすいとは思わなかったためだ。近年、NCRも本腰を入れて捜査をするが、取り締まるのが労働者層であるため大した効果は無い。
シーザーはこのまま進めば年明けにはNCR入りするとにらんでおり、コロラドに入りつつある部隊も撤退を余儀なくされるはずだと考えていた。
しかし、懸案事項が一つだけあった。
「最近になって出来た傭兵会社………あれはどうなっている?」
「レイヴンクロウと名乗る民間軍事会社ですね………現在調査中です」
シーザーの計画に無かった組織。レイヴンクロウ警備保障。
多くの分野に突如として現れた組織。非常に高い技術力と資本力を武器に勢力を伸ばし、NCR正規軍よりも高い練度と質を保つ民間軍事会社である。レギオンはかなりのプロフリゲートを送り込んだものの、多くが帰ってこないかプロフリゲートの拠点を地図から消された(・・・・・・・・)りしたために、後手に回った状態であった。
NCR軍中枢に潜り込ませた潜入工作員の報告から推測するにエンクレイヴの元要員を主軸に活動しており、彼らの後ろ盾にはシーザーを毛嫌いする軍人出身の議員や政財界が絡んでおり、そこに介入するのはレギオンの諜報部隊でも手が出ない有様だった。
「奴らは亡国の亡霊(エンクレイヴ)だ。奴らが裏に居ると不味いが、そこはどうなのだ?」
「難しい所です。彼らの本隊はオイルリグの一件以降壊滅しましたので。ただ、生き残った主力が東海岸に潜伏しているとまでしか……。放射能の被害が多く、東の領域から出れば異形共が待ち構えています」
アリゾナを中心に広がるシーザーレギオン。彼らもまた豊富な自然環境の中、放射能のない生活を送っているが、いったん東の領土から出てしまうと多くが放射能に汚染されているため、直ぐにグール化するなどして被害が出ている。東海岸に行ったのではないかという憶測が流れているが、向こう側へ行く者やこちらに来る者は少なく、情報は断たれているのが現状であった。
「ふむ、潜入工作の件は慎重に進めろ。奴らの対策は練っているが、我々の信条に反する行為であることは変わりない。」
「畏まりました」
シーザー。
嘗てはNCRの国民であり、アポカリプスの使徒として活動していたが、NCRの腐敗ぶりから東部の部族に身を寄せ、精神的な物から作り替え、テクノロジーを無くした生活に戻ろうとしていた。だが、相手がヘリなどの航空戦力を用いる時、槍や弓矢で落そうにも無理がある。銃火を交える相手に全て剣で戦うのは撃ってくれと言っているようなものだ。
レギオンは高度なテクノロジーは邪とするも、銃などの原理が簡素な物は許容している。陣地に例外としてある対空砲や対空ミサイルはその例外として挙げられるが、貴重なベルチバードを戦線に投入しないというのがシーザーの所見だった。
シーザーは天幕を挙げて、フォートから見えるフーヴァーダムを見る。其処には西海岸の電力をカバーできる巨大な発電施設が広がっており、既に復旧した電線や地下電線を通ってカリフォルニアまで送電している。もしそれを止めればどうなるだろうか。
粗悪な原子力発電に頼らざるおえない状態のまま発電を行い、メルトダウンや暴動が発生するカリフォルニア。NCRは瓦解して、プロフリゲートを一掃できるだろう。
シーザーは嘗てNCRで経験した記憶を思い出す。アポカリプスの使徒になる以前は富裕層の家庭で生まれた。順風満帆だったが、親の会社が買収され、資本主義の名のもとに搾取され、家族は崩壊。今は亡き妹は極貧街で春を売り、梅毒でこの世を去った。アポカリプスの使徒になっても心の穴を埋めることは出来ず、善の心で人に尽くしても何も変わらない。金ある者は全てを食い物にしていき、貧しき物には一銭も与えず餓えていく。ならば、武によってすべてを粛清し、武が正義である世界を創る目標を掲げ、西海岸制圧を目論み邁進を続けてきた。
彼の読み通り、NCRは多くの汚職に伴い、瓦解寸前に陥っている。現在のキンバル大統領は身内政府であり、仲の良いゴマすりを重用するという悪化の一途を辿っている。NCRは機能不全に陥るのも時間の問題だった。
「西海岸は私の物だ……」
悲劇を経験した男は二度と繰り返さないために行動を起こす。それが善の心が発端であったとしても。結果として善かどうかは後世が判断するだろう。