Fallout:Stray Ranger   作:文月蛇

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主人公の下りは少ないですが、おまけ付けました。


二十一話 Come Fly With Me

 

 

 

 

 

「シックスさん、こんな映画知ってます?」

 

 

「え?」

 

 

 

 

「宇宙飛行士を目指していたのだけど、結局行けずに技師としてNASAに入り定年。だけれど、自分の設計の衛星が壊れて、定年おじん宇宙飛行士が宇宙にいくやつ・・・・・・・・・知りません?」

 

 

 

 

「すまん、戦前の映画は詳しくないんだ」

 

 

 

 

「残念、今と同じ状況ですよ」

 

 

 

 

ウリエルから渡された無線機とヘッドセットによって会話するシックスは放射能防護窓越しに、外見からはほとんど同じにしか見えないグール宇宙飛行士やフェラルグール乗員を見つめていた。

  

 

 

 

その傍らでせっせとレプコン社が設計した宇宙船の整備を行っており、痙攣と呻き声のフェラルグールがいるにもかかわらず、普段と同じようにスパナやトンカチで修理をしていくウリエルの姿があった。ロボットには反応しないのか、フラッと音のする方向に寄ってはするりとそのそばを抜けていく。すでに作業は殆ど終えており、長年復旧活動を続けていたブライト信奉者はまるで研修生のようにしか見えない。そもそも、宇宙工学などの技術は非常に高度なものである。核戦争後の荒廃した世界の中でそれらの技術を身に着けているのは、戦前から生きている超老人か、もしくは戦前から技術を保持し続けてきた組織の一員(・・・・・)の他にない。

 

 

 

 

「あのロボットは一体何者なんだ?NCRのイモ共じゃない、BOSはそもそもあれを手放さない・・・・・・レギオンなんて論外だ・・・・・・・・・どこで拾ってきたんだ?包帯男」

 

 

 

 

 

「グッドスプリングスだよ。ついてきた」

 

 

 

 

 

自分をグールと勘違いしている男、クリス・ババーサムはVaultで習得した工学技術を駆使してレプコン試験サイトに放置された宇宙植民プロジェクトの一環である有人ロケットの整備を行っていた。ただし、多くのスカベンジャーや旅行者によって散々荒らされたレプコン試験サイトに残っているものは少なく、奥の機密エリアでロケットの破損部品を組み立てる傍ら、各地にブライト信奉者を派遣して部品の収集に当らせた。多くの行方不明者を出しながらもなんとかやってきたのである。

 

 

だが、スーパーミュータントの一団が襲来したことで計画は頓挫する。一先ず、ロケット格納庫は隠すことができたものの、上層階に籠城する羽目になった。グールは食べ物を食べなくとも生き延びることができる。生物学的に不可解なことが多すぎるが、彼らの目標である土地に行くためにはミュータントの蔓延る倉庫区画を突破しなければならない。決死隊を編成して突入しようかと議論し始めた所で訪問者が現れる。それは彼らにとって好機であった。グールの対処のためにやってきたシックスとウリエルはフェラルグールを退かせながらやってきたことに一部の信奉者は怪訝そうな表情であった。

 

 

彼らの教義にある彼ら(フェラルグール)の存在は凶暴な友人であり、殺すべきクリーチャーではなかった。それはさておき、シックスは半ば仕方なく、スーパーミュータントの亜種であるナイトキン掃討に向かう。だが、潜入中に聞いた彼らの会話。彼らはただステルスボーイといった携行型光学迷彩装置を探していたのだ。その話を聞いたシックスはパワーアーマーを着た機甲部隊をも蹂躙できる見えない彼らと戦うことを避けるため、一先ず大佐と呼ばれている頭目と話し、ステルスボーイを探した。グールの商人に頼んでパソコンに触らせてもらい、納入仕様書と送付指令書を見つけたシックスは大佐に見せた。

 

 

彼らは無いことを知って憤慨したものの、仕方なくその場を後にした。あとはブライト信奉者たちを手伝い、未だ徘徊するフェラルグールを連れて約束の地とやらにいく支度をした。本来ならレプコン社やスカベンジャー御用達のスクラップ販売業者と取引しなければならなかったが、ウリエルのお陰でそうすることなく、放射能防護窓から長時間眺める羽目になったのだ。

 

 

 

 

 

「本当に行けるのか?」

 

 

 

「レプコンはロブコ社の子会社だったが、多くの企業複合体や政府との付き合いがあった。宇宙開発事業もその一つだ。政府の宇宙開発機構との技術協力があったと記されている。問題ないだろう」

 

 

ババーサムは自身のことをグールと勘違いしている科学者だが、持ちうる知識は非常に高度なものだ。ストリップ地区のVaultでリアクター管理をしていたが、そのためにはげてしまったのではないかとシックスは推測する。彼はそれをグール化したと言っていたが、どうでもいいことだ。毛根が弱り、毛が亡くなることは加齢によるホルモンバランスの乱れと考えられる。放射能障害の一つとしてよく挙げられる。

 

 

 

(作業終わりましたよ、ブライトさんがクリスさんに言いたいことあるそうです)

 

 

「了解、あんたにだ」

 

 

「スムーズスキンが俺に?」

 

 

「いや、ウリエルが中継してブライトさんと会話できるとさ」

 

 

格納庫は高い放射線なため、シックスは入ることができない。耐放射線防護服をも貫くであろう非常に高い放射線。普通の人間ならば、即死してもおかしくない。なぜ、ブライト信奉者がババーサムを外で作業するように言ったのか。

 

 

哀れなグールと思い込む男への同情か、それとも仲間故に死なせないようにするためか。どちらにしても、彼は死よりも辛い「置いていく」という選択肢が待っている。

 

 

「貸してくれ。今からそちらに降りますから……え・・・・・」

 

 

 

みるみるうちに表情が強張り、まるで伝説のヌカコーラクアンタムを飲んだ試飲体験者のように蒼白な顔となる。傍から見れば、愚かな男が騙され、信じていた者たちに置いてけぼりを食らう。ウェイストランド人基準で言えば、悲劇のような喜劇。一時、酒場で噂されて馬鹿にされる話だろう。

 

 

その様子を見るシックスは遂に見るに堪えず、その場を後にする。次は聞いていた試験サイトの発射管制塔にて、点火スイッチを押すだけ。もうこの場には要はない。

 

 

後に残るのは、号泣する男だけであった。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

(すいません、調子乗ってネタ入ります)

 

 

 

 

 

 

(前作の序盤に人気があったと思われる料理回になっています)

 

 

 

 

 

 

 

(本作とは全く関係ありません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不味い・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボットと一人のウェイストランダーの野営地。ぼそりとつぶやいた一言がロボット、-ウリエルの心をえぐった。

 

 

 

「ひどい!まさか他の女にもそんなことを!」

 

 

 

 

「いや、そこは『だったらあなたが作ればいいじゃない』って冷めた夫婦みたいなセリフを……ってなんでノリツッコミを……」

 

 

 

 

ウリエルの女性のような言動とコントのようなボケの連発にとうとうシックスのツッコミは限界になっていた。というか、ここまでボケれば突っ込むほかがないという感じである

そして、シックスは手元にある器を見る。それはNCR軍が製造する兵士の雑嚢に必ずあるスチール製食器である。器の中にはウリエルが作った料理がある。

 

 

 

それはアメリカの代表的料理『ポークビーンズ』別名「ベイクドビーンズ」とも呼ばれ、日本では大豆を主に用いるが、アメリカなどはインゲン豆などを入れて、甘辛いソースで作っている。16世紀ごろにはその原型があり、南北戦争中にも兵士に支給され、塩漬け豚肉とトマト、豆を煮詰め、岩塩や胡椒をトッピングする。

 

21世紀後半のアメリカでは保存料込みの賞味期限無期限やとんでもなく長いもの「あなたの孫も食べられる」のキャッチフレーズで親しまれる国民食である。西海岸がNCRになってからも、トマト栽培やインゲン豆栽培は進められ、養豚場が少ないために代わりの肉を投入しており、NCR食品医薬品局認定の缶詰が流通しているのだ。

 

 

味はどうかというと、アメリカの大味ということで理解していただきたい。そもそも、ウェイストランドで味など気を付けるものなど少ない。そして味覚のないウリエルも同様であった。

 

 

「食べるもの少ないんですから、好き嫌いしないで食べてください」

 

 

 

「いやいや、どう見てもそこの方焦げているし、肉も入ってない」

 

 

シックスはとある事情で舌が肥えている。本人もそれについては覚えていなかったが、ウリエルの作った味見をしていない料理が不味いことはわかる。そして、シックスの説教が始まった。

 

 

 

 

「味も重要なんだぞ。戦前じゃ味を楽しむとかあるけどさ、サバイバルにおいては危険察知の方法なんだ。毒や腐ってたらやばいだろ。苦かったりすっぱかったりすると嫌なんだよ」

 

 

「成程!」

 

 

以外にもすんなり納得したウリエルだった。

 

 

「んでどこがダメなんです?」

 

 

 

 

「焦げているのもそうだが、ポークビーンズは煮物なんだ。ちょっと次の野営まで待ってくれ。作り方教えてやる」

 

 

 

 

「わーい(棒)」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日が落ち、昇っていく。ギャングやレギオンの斥候を仕留め、装備を奪いながら次の

野営地に到着すると、シックスは雑嚢からフライパンを取り出した。

 

 

 

「ではこれより料理講習を開始する!」

 

 

 

 

 

 

「「「おぉ~!」」」

 

 

そこにはウリエルの他にも、スカベンジャーや巡回中のNCR兵士の存在もあり、何が始まるのかと待ち構えていたのだ。

 

 

「よし、材料は以下のとおりだ」

 

 

 

<ポークビーンズ4人前(シックス)>

 

・インゲン豆のさや、     二束(もしくは松の実)

・ハラペーニョ        適量《個人)

・ザンダールート       1本

・ポークビーンズ       一個

・肉詰め           一個

・岩塩            適量

 

 

 

 

「え、これ使うんですか?」

 

 

「戦前の食品を二つも?」

 

 

「いや、(ポーク)がないわけだし……」

 

 

とシックスは弁解するが、説明は続いていく。

 

 

まず、NCR産玉ねぎは入手できないために、ザンダールートを代用。千切りにしたうえで、葉っぱの部分もみじん切りにする。そして、ハラペーニョも細かく刻んでおく。肉詰めは官から取り出し、ある程度潰しておく。

 

次にフライパンに油をひき、肉詰めをつぶしたものを炒めておく。次にザンダールートの実を投入して更に炒め、色が着くまで弱火にする。そしてインゲン豆のさやから出した豆、なければ松の実を投入する。

 

 

煮込んでいくが、「甘辛い味」にするには、元のポークビーンズの味も加えておく。

 

 

 

「あれ、普通に入れちゃうんですか?」

 

 

「トマト缶もトマトが入手できなかったからな~。そこは理解してくれ」

 

 

そして、甘くなければ、バナナユッカフルーツを適量練っておいて、味見しながら足していく。

 

「甘さというのは塩分を際立たせ、肉のうま味を引き出す。入手出来たら使うといいよ。それか、NCRの製造する合成甘味製品を入れるのもいい」

 

 

「あと、煮詰める時には味を見つつ水も入れていく。ここでリススープみたいに水っぽくならないように炒め続ける。豆はすぐに火を通すけど、よーく炒めておく。この時に辛味を強くしたいなら刻んだハラペーニョを入れるのもおすすめ」

 

 

程よく煮ることが出来たら、個々の皿に載せて、残していたザンダールートの菜の部分を盛った上に置いておく。

 

 

「あとはNCR糧食のクラッカーか、それともトウモロコシの粉で練ったトルティーヤに載せれば完成」

 

 

 

―召し上がれ

 

 

 

完成したポークビーンズはウェイストランドでもお目にかかることがない料理だろう。もしかしたら、ストリップ地区にならあるだろうが、荒野の真ん中にある野営地にある料理は群を抜いて旨そうに見える。

 

 

「おぉ~、あの不味い肉詰めが!」

 

 

「holly shit!なんて旨さだ!!」

 

 

「甘い!そして辛い!旨いな!」

 

 

NCR軍の支給される軍用糧食はかつてのハイテク米軍の戦闘糧食(MRE)と程遠く、缶詰や植物性ビニール袋によって梱包されたクラッカーなどがある。味はと言えば、察していただけたらいい。戦前から米軍戦闘糧食は最も不味い飯と言われているが、NCRも高カロリーで腐らない、そして内部被ばくしなければいい考えで作っている。味など二の次である。

 

 

それを考えれば、NCR兵がなんで泣いているのかわかることだろう。戦場では、火を焚けば食事中だと気づかれてしまう。加えて、砲撃用の監視ドローンに搭載された熱赤外線センサーに察知されてしまう。そうすると、冷や飯を食うとあるように不味い飯を食うほかない。

 

 

 

「あぁ~、久々に生き返るな」

 

 

 

「マッカランの食堂は本当にダメだからな」

 

 

 

 

「ああ、聞いたことある。マッカランの一番ダメなところは飯がクソすぎる」

 

 

シックスはどこで聞いたか覚えていないが、マッカランの兵站部門に属する食堂の提供する飯は不味いと言われている。それこそ、戦闘糧食に勝ると劣らないと言われるほど。必ず食休みにはトイレに行列ができるらしい。風のうわさであまりの不味さに政府高官《外交官》が食あたりを起こしてNCR食品衛生協会の役人を派遣する羽目になったと話を聞いていた。

 

 

 

 

「成程、参考になります。甘みと塩分を適度に入れればいいんですね?」

 

 

 

「メニューによるが、このメニューだとそうだな」

 

 

 

 

シックスの脳裏にはサバイバルや多くの先人達の知恵によって色々なレシピを持っている。だてにサバイバルskillは高くない。出来ることなら、ウルトララグジュの料理人からレシピを教えてもらいたいと思っている。一部では人食いの噂が流れていたが80s部族の存在や部族民の一部では、儀式的な者や食料不足によって、タンパク質不足を補うために食人を為すこともある。シックスは実際、あったことがある(とはいっても朧気)が、モールラットに似ていると言われて、肉類が食べられなくなった記憶があることから、まだまだ若かったのだろう。

 

 

 

「でも私気づいちゃいました」

 

 

ウリエルはメモっていた手を止めてシックスを見やる。

 

 

 

 

 

「私ロボットだから、味見できないです」

 

 

 

 

ぎゃくのようにずるっとこける一同。

 

 

 

―なんで気づかなかったのか?

 

 

 

シックスは薄れゆく意識の中で後悔する。フライパンに載った次の料理を見つつ、「ああ、これは焦げる」とつぶやいたとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字脱字がかなりあると思いますので、


「ここ変じゃない?」とか聞いていただけると幸いです
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