Fallout:Stray Ranger   作:文月蛇

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二話続けて投稿中


七話 Ghost Town Gunfight

「下手に出るのもこれまでだ!すぐにリンゴを引き渡さないなら、仲間とこの町を焼き払ってやる。分かったなババぁ!」

 

 

 

 

「そうね、覚えとくわ。何も買わなかったら出て行って。他の客の迷惑よ」

 

 

 

 

―それと、ババぁは辞めて頂戴。壁の剥製の仲間入りする?

 

 

 

 

と壁にあったビックホナーとデスクローの剥製を指さす。いったいどうやって仕留めたのか分からないデスクローの凶悪な顔に脅していた男は目を丸くさせる。一体どうしてこれがここにあるのかと。ふと運び屋はカウンターの壁に掛けられた対物ライフルを見てババぁと呼ばれた壮年の女性がとんでもないハンターだと気が付いた。

 

 

 

 

 

凄腕の赤毛のハンターといい、デスクローを仕留めるサルーンの御主人など、運び屋はグッドスプリングスが独立町として存続しているのは何故か分かった気がした。

 

 

 

 

 

 

悪者とはいえ、助け船を出してやるか。

 

 

 

 

 

運び屋は気が進まないが騒いでいる矯正収容所と書かれたボディーアーマーを着たアフリカ系の男が無茶して銃を抜いたらここでOK牧場の決闘が始まってしまう。ドックミッチェルが話していた“やっかい事”とはこの事かと運び屋は内心ため息を漏らした。

 

 

 

 

 

「おい、そこの。要件を伝えたなら帰ってくれないか?ウィスキーが飲めないんだが・・・」

 

 

 

 

「んだと、てめぇ。関係・・・」

 

 

 

すっこんでろ、と続けたかったが運び屋の発する覇気と武装に言葉を発せなかった。見た目は温室育ちと見た者を思わせる青いvaultスーツだったが、その上からはNCR軍が近年正式採用したプレートキャリアと呼ばれる防弾ベストに身を包み、運び屋の

手はホルスターのハイパワーに伸びていた。

 

 

 

「関係ないな。だが、ウィスキーを飲む場所で暴れるならこっちも考えがある」

 

 

 

 

裏口には赤毛のハンターがバーミンターライフルを持っており、いつでも男に向けられる体勢になっている。そして、カウンター席に座った農夫の男は既に44口径マグナムが握られ、カウンターに置かれていた。1対4。

 

 

 

 

どう見ても劣勢であることは明らかだった。男は踵を返すと、出口へと足を向ける。

 

 

 

 

「覚えとけよ、期限は明日の11時だ。俺らパウダーギャングはてめぇらがリンゴを渡さなければ、ここを血祭りにあげてやる!」

 

 

 

 

「その時はお前さんの血で風呂を入れるさ」

 

 

 

 

男は捨て台詞を吐くと出口へと小走りで出ていく。運び屋の売り言葉に買い言葉の台詞が彼に届いたか分からなかったが、サルーンの中にいた人は運び屋の台詞に苦笑する。一番、其れを笑ったのは男と対していた女性であった。

 

 

 

 

 

「ハハハハハッ!言うわね!貴方、なかなか面白いわ」

 

 

 

 

 

「いや、それほどでもないよ。それにしても対物ライフルでデスクローを仕留めたのか?」

 

 

 

 

「ええ、北の裏街道から来たはぐれデスクローがこっちに迷い込んできてね。私が胸を撃ち抜いたのよ」

 

 

 

 

その時の事を誇らしく思ったのか、彼女は胸を張ってドヤ顔を決めた。

 

 

 

 

「私はトルーディーよ。このサルーンの主人、貴方は話題の運び屋ね」

 

 

 

 

「ああ、運び屋でいい。名前はない」

 

 

 

 

「あら、無いなんて面白いわね」

 

 

 

 

「違う違う、忘れたのさ。撃たれてね」

 

 

 

 

運び屋はカウンター席に座ると、棚に戻ったトルーディーは棚からショットグラスとウィスキーを取り出した。

 

 

 

 

「これはおごりよ。銃はカウンターの下だったからね」

 

 

 

 

「それで・・・あの男は?」

 

 

 

 

「あれはジョー・コップ、NCRCFの糞パウダーギャングよ」

 

 

 

 

トルーディーの話によれば、I-15号線や95号線から来るキャラバンからみかじめ料を徴収したり、気に入らない者が居れば皆殺しにするレイダーにも劣らない彼ら。そもそも、彼らは放棄されていたネヴァダ州立刑務所をNCR軍が接収し、労働力として連れてきた犯罪者だった。鉱物資源輸送のための鉄道路線建設のために連れてこられた囚人達であったが、シーザーレギオンとの戦争や囚人に宛がわれる食糧の減少など、彼らの不満は最高潮に達していた。そして、NCRとレギオンの戦況が膠着状態になった現在。囚人達は暴動を起こし、NCRCFを完全に制圧。I15号線とプリムまでの道路は完全に遮断されていた。彼らは強奪したダイナマイトから「パウダーギャング」と名乗り、ここいらを好き放題している荒くれ者達だった。

 

 

 

 

そして、その略奪から逃れたクリムゾン・キャラバンのリンゴと言うキャラバントレーダーは数人のギャングを撃ち殺した後、多勢に無勢で逃走を図り、グッドスプリングスに逃げ延びる。そして今は西のガソリンスタンドに息を潜めているとのことで運び屋は追加で頼んだイグアナの角切りを頬張るとため息をついた。

 

 

 

 

 

「あいつ殺しておけばよかったよ」

 

 

 

 

「やめてよ、するなら外でやって」

 

 

 

 

「でも、あいつを殺したら仲間がくるから面倒よ」

 

 

 

 

 

ジョー・コップは街の外れの廃屋に仲間を集めており、その数は10人ほどだという。グッドスプリングスの人口を考えても何とか撃退できる数だったが、グッドスプリングスの住人は乗り気ではなかった。事の発端はクリムゾン・キャラバンのリンゴが逃げてきたことに始まるので、彼を引き渡せば済む話である。これがもし保安官や警察官であれば、給与や表彰を受けることだろう。だが、敵はパウダーギャングであり、彼らを倒してもそこまで良い金銭は得られない。それどころか人数が多いため、仲間が流れ弾で死ぬかもしれない。はした金より命なので、リンゴを引き渡して解決なんて思うのも無理はない。

 

 

 

 

「で、どうするんだ?」

 

 

 

 

「あいつらを殺しておかないと、どの道みかじめ料と称してキャップを巻き上げてくるわ。奴ら本隊から逸れて来たらしいし、奴らを仕留めておけば時間は稼げるわ。奴らが仕返しを考える前にNCR兵が掃討しに来るでしょ」

 

 

 

 

「そうねー、やってもいいけど。勝算はあるわけ?これでアラモの砦みたく皆仲良く死ぬのはごめんよ」

 

 

 

 

 

運び屋はここに居た女傑二人の反応を見るに乗り気ではあるが、勝機がなければ動かないつもりだろう。サニーはまだ若く血気盛んなので、勝算がなくとも相棒の犬と一緒になって弾丸の嵐でも戦うだろう。彼らは無事かもしれないが、他の住民が生き残れるとは限らない。トルーディーはサルーンの女主人にして、グッドスプリングスのまとめ役であった。保安官や市長といった肩書ではないが、町の中心人物として村を支える女性だ。彼女が戦う号令を出せば、町は戦うだろう。

 

 

 

 

 

運び屋は町の人に武装させ、ダイナマイトを準備させれば完璧だと考えた。シーザーレギオンがNCR軍輸送車両へ攻撃を仕掛けるようなEOD(即席爆弾)を使う案を思いついたが、必ず勝てると言う保証はない。そもそも、ダイナマイトの準備が必要だし、ドックミッチェルから医療品を。隣の百貨店からはアーマーや弾薬を徴発しなければならないだろう。

 

 

 

 

 

運び屋は明日の11時が決戦であることを確認し、町の有力な人々をサルーンへ集めようと提案しようと口を開いたその時だった。

 

 

 

 

「話は聞かせてもらったわ!!」

 

 

 

 

入口の扉が音を立てて開かれるとともに声の主が彼らの目の前に現れる。女性のような声であったが、その声は人が発したのではなく、スピーカーを通して発せられ、その異様な声にカウンターに居た人々の視線が集中する。

 

 

 

 

 

 

思わぬ助っ人が現れたのか。運び屋は若干の期待と幾ばくかの疑りを持ちながら、その人物を見る。

 

 

 

 

 

だが、人ではなかった。

 

 

 

 

 

濃緑色の塗装の防弾装甲に唸るアクチュエーター。プロテクトロンのような短足ではなく、人のようなスラリとした足。鋼鉄の身体を持つロボットだった。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

そこは照明が消された部屋。

 

 

 

 

コンピューターの光のみが照らされたその部屋の電話が鳴り響いた。

 

 

 

 

大戦争から二世紀余り。呼び鈴を鳴らす電話の数は少ないが、保存状態が良好なマホガニー材の机に置かれている所はもっと少ない。もしかしたら、NCR大統領官邸にも無いかもしれない其れは一将校の執務机として使われている。

 

 

 

その机と一緒に置かれた椅子に座った男は電話を取った。仮眠を取っていたらしい彼は眠たい眼を擦り、受話器を充てる。

 

 

 

 

「はいはい・・・・ああ、久しぶり。シェイディ―サンズはどうだい?へー、そりゃ首都開発の役人に聞かせたら卒倒しそうだな。行ってみたいね」

 

 

 

 

男の親しい間柄の人物らしく、彼の表情は喜びに満ちていた。

 

 

 

 

 

「ニューベガスか、順調だよ。そっちの連絡係も色々手をまわしてくれて助かってる。ベガス方面軍の兵士は可愛そうだよ。オリバーは無能だ、残念ながらね」

 

 

 

 

 

ニューベガスに展開している方面軍司令はリー・オリバー将軍だった。しかし、その将軍に対し「無能」と言えるのは中々いない。NCR陸軍は巨大組織であり、告げ口して誰かを追い落とそうとする者もいるはずである。だが、その男は手元のニューベガスに展開する部隊の情報を見つつ、呆れたような口調で話し始める。

 

 

 

 

 

「他にも戦線があると言うのにハウスに搾取されてるんだ。もう少しやりようがあるだろうに。物資の供給も滞っているから、カバーカンパニーを通じて障害を排除しないと」

 

 

 

 

 

「あとはハウスにどうやって退陣してもらうか、一ついい方法があってな。そろそろ、ロボット以外にも使う頃合いだと思う。明らかに俺達から選抜したメンバーだとバレる可能性があるから、こちらに引き込めそうな人員を一人見つけた・・・・。一応、こっちから一名サポートに回している。何とかなるさ」

 

 

 

 

 

男は近くのコンピューターの電源をきり、席を立つ。光が殆どないため、男の恰好は分からないが、佇まいからして何処かの軍将校に違いなかった。

 

 

 

 

 

「ああ、そっちも頑張れよ。それじゃあ」

 

 

 

 

電話を切り、男は自身の後ろを振り返り、隅にあったコンソールのボタンを押す。男の後ろにあった壁は窓だったらしく、外側の遮光壁が取り払われる。そして見えたのは、無数の星が漂う何もかも吸い込みそうな漆黒の宇宙(そら)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 




明日の十一時にやって来る悪党”パウダーギャング”

其処へ対するは、名を忘れた運び屋とグッドスプリングスの住民たち

凶悪犯達は銃火器を装備し、町に攻め入る。


多勢に無勢、諦めかけたその時、謎のロボットが現れる!


一体、何者なのか?!敵か味方か!


そして、電話をしていた人物とは?……こうご期待!



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