−346プロレッスンルーム内−
トレーナー「よし、15分程休憩だ。しっかり休むように。」
未央「うへぇー…。今日もしんどいねー!」
卯月「でも、最近はなんだか体力ついてきた気がします!」
私達は現在、レッスンに励んでいた。今日もトレーナーさんは私達に容赦がない。でも、私達は確実にレベルアップしているのを感じる。
最近はレッスンが楽しいんだ。
すると、レッスンルームの扉が開き一人の男性が入ってきた。
この少しだけ強面な大男は、私達のプロデューサー。今は慣れたけど、最初は私もびっくりしたなぁ…。卯月なんかは会った時腰を抜かしそうになったとか。
プロデューサーは私達の元へとやってきて「お疲れ様です。」と言った後、私達を見回しながら話しだした。
武内P「渋谷さん、本田さん、島村さん、レッスンの後少しお時間よろしいでしょうか?」
未央「何々?もしかしてお仕事の話!?」
武内P「まぁ…そのような所です。では、また後ほど。」
トレーナーさんにも挨拶をしてプロデューサーが部屋を出る。
凛「話ってなんだろ?」
未央「だからー、お仕事の話だってば!テレビかな?それともラジオかな?」
凛「それがホントなら少し緊張するね…。」
未央「だーいじょうぶ!3人で力を合わせようじゃないか!ね、しまむー?」
卯月「は、はい!島村卯月、頑張りますっ♪」
3人であーだこーだ話していると、トレーナーさんから休憩終了の声が聞こえ私達はレッスンに戻る。今は目の前のことに集中しなきゃ。
毅「ありがとうございましたー。またお越しください。」
凛母「…すっかり一人で出来るようになったわねー。毅くん物覚えが良いんだ?」
毅「まぁ、早く戦力になりたいとは思ってましたね。まだ怪しいところもあるっすけど。」
凛父「凛がアイドルになって手伝ってくれる時間が減ったからね。毅くんが来てくれてホント助かるよ!」
凛母「花嫁修行ならぬ、花婿修行よね♪」
凛父「我が家も安泰だなぁ!ハッハッハ!」
毅「あんた達ホント何言ってんの?」
今俺はアルバイトの真っ最中。俺が接客を終えて客が外に出た後、凛の両親が冗談を言い合っている。
初めてのバイトから2日しか経っていないが、凛や凛の両親に助けてもらいながらなんとか、ある程度は一人でこなせるようになってきた。
凛の両親は俺のことをからかってくるものの、すごく良くしてくれている。昨日も晩御飯をご馳走してくれて、一人暮らしの俺には非常に助かる。
外がすっかり暗くなって閉店時間が近いてきたので、俺は店内の清掃をする。…しかし凛のやつ、今日は遅いな。
ある程度片付けを終えレジを閉めようとすると店のドアが開いた。見ると凛が帰ってきた。
凛「ただいま。少し遅くなっちゃった。」
毅「おかえり。何かあったのか?」
凛「うん、ちょっとね。今日も晩御飯食べて帰るんでしょ?」
毅「二人とも、凛が帰ってきたら俺も入れて皆で食べようって言ってくれてるからな。」
凛「そっか。…じゃあ話があるから晩御飯の時に話すね。」
毅「了解した。」
凛は両親にもただいまと言った後、自分の部屋に向かった。
気のせいかもしれないが、帰って来た凛は幾分か上機嫌に見える。
何か良いことでもあったんだろう。それに話ってなんだ?
レジを閉め終え、凛のおやっさんと店の奥に入っていく。
リビングへと繋がる廊下からも良い匂いがする。今日はカレーか。
毅「やっぱ凛の母さんの料理は最高っすね!おかわり!」
凛母「そう言ってくれると嬉しいわ♪どんどん食べてね!」
凛父「母さんの料理は世界一だからな!俺もおかわり!」
凛母「あらあら♪…って凛?どうかしたの?」
凛の母さん特性のカレーに舌鼓をうっていると、凛が真剣な顔をして俺達の方を見る。
そーいや話があるって言ってたな。何だろう?
凛「…みんなに報告があるんだ。」
凛父「報告?何かあったのか?」
凛「実は……CDデビュー、決まったんだ。」
リビング内がシーン…とする。そんな空気に凛が「あ、あれ…?」と困っていたが、数秒後に理解が追いついた俺達は凛を祝福した。
凛父「そうか…!やったじゃないか凛!おめでとう!さすがは俺の娘だな!」
凛母「おめでとう、凛。今日はお祝いしなくちゃね?」
凛「べ、別にいいよっ!まだ発売もしてないんだから!」
凛母「私今からケーキ買ってくるわ!」
凛父「俺もついていくぞ!凛の大好きなチョコレートケーキを買ってくるからな!」
凛「ちょっ、ちょっと!…行っちゃった。大袈裟だなぁ…。」
家の中が俺と凛だけになった。ハァ…とため息を吐いた凛は俺の方をチラッと見てくる。
凛「…毅は何か言うことないの…?」
凛が不満気な顔で見てくる。ないわけねーだろ。心配すんな。
毅「あの二人に圧倒されてな。タイミング失ってたわ。…おめでとう、凛。頑張れよ。」
凛「…うんっ。ありがと。」
俺がお祝いの言葉をかけると凛が少し笑った後、晩御飯を食べ始めた。
その後、凛の両親がどデカイケーキを買って帰ってきた。凛は文句を言いつつも、『祝CDデビュー!』と書かれたチョコレートケーキを嬉しそうに食べる。そんな凛の顔を俺はずっと見ていた。
ケーキを食べ終えた後帰り支度をする俺と凛に、凛の母さんがニコニコしながら言ってきた。
凛母「毅くん!明日はお休みだから、凛と一緒にデートしてきなさい♪」
凛&毅「………はい?」
マンションの自室に帰った俺は風呂に入った後ベッドに転がる。
それにしても凛がCDデビューか…なんか変な感じだ。
祝福はしている。この気持ちは本当だ。だが、心の中では凛が遠くに行ってしまうような感じがする。
凛はアイドルだ。CDデビューなんてスタートラインに過ぎない。
CDが売れ、知名度が上がってくるとそれこそテレビやラジオなどに引っ張りだこになるだろう。
ただの一般人の俺とは全く別世界に行っている。今みたいな日常はやがて無くなるんだろう。
そう考えると、心がモヤモヤしてくる。…やめよう、今は凛を応援するんだ。
ベッドの上でそんなことを考えていると、スマホが鳴った。
画面を見ると凛からの着信だ。
凛『もしもし、今大丈夫?」
毅『大丈夫だ。どーした?』
凛『うん、明日の事なんだけど…』
毅『…ん?明日?』
明日って何かあったか?…頭の中で思い出していると帰り際の凛の母さんの言葉が浮かんだ。マジ?デートするの?
毅『…アイドルがデートなんかしていいのか?』
凛『デっ…デートじゃないよ!ただ一緒に遊びに行くだけだから!変なこと言わないで!』
電話越しに凛の焦ったような声が聞こえる。
それを世間一般ではデートって言うんじゃねーの?したことないから分からんが。
凛『…私はただ、CDデビューのご褒美が欲しいだけ。』
毅『ああ、いいけどあんま高いのは勘弁な?何が欲しいんだ?』
まだ給料入ってないんだよ。ブランド物とかは買えねーぞ?
凛『…毅と1日中一緒にいたいな。ただそれだけ。』
毅『へっ?そんなのでいいのか?』
凛『うん。ダメ…?』
全く、欲が無いヤツだな。せっかくのご褒美なのに…
しかし凛の言葉に俺の心臓の音はみるみる大きくなってくる。
毅『……分かった。明日の朝も走るんだろ?』
凛『もちろん。走りながらどこ行くか決めよ。じゃあまた明日、おやすみ。』
なんとか平静を保ってみたがその日の夜は全く眠れなかった。
展開が遅くてすみません。
物語を書くのは本当に難しいです泣