シンデレラ達とのストーリー   作:テリアキ

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14話

 

 

 

凛「んっ……」

 

 

カーテンの隙間から朝の日差しが差し込んでくる。

その光を浴びてベッドの上でのそのそと起き上がる。

寝ぼけ眼を擦り目を開けると、私の視界には見慣れぬ部屋が広がっていた。

 

凛「そっか……泊まったんだっけ。」

 

辺りを見回しながら状況を確認するように呟く。

自分で言っておいて何だけど、なんか凄く恥ずかしくなってきた。

男の子の家に入るのも初めてだった私が、男の子のベッドの上で朝を迎えている。

昨日はノリと勢いで泊まったけど、今思うと仲の良い友達とはいえ異性の友達の家に泊まるのはどうなんだろ?

 

ふとベッドの下に引いてある布団に目をやると、まだ静かな寝息を立てて寝ている毅の寝顔が見えた。

気持ち良さそうに寝ちゃって。お客さんが起きてるんだよ?

 

すっかり眠気も覚めた私はまだ目覚めない家主さんにちょっぴりイタズラしようと、ベッドから降りて床に寝ている毅の隣に座る。

顔に落書きでもしようかなと思い寝顔を覗き込む。

 

改めて見た毅の寝顔は、普段の目付きの悪さは消えて少し可愛く思えた。あ、毅って睫毛長いんだ。

いつもこれくらい可愛げのある顔ならなぁ……。

 

毅「可愛げ無くて悪かったな。」

 

凛「ひゃっ!」

 

先程まで閉じられていた毅の目がパチっと開き文句を言ってきた。

それに私は驚いて尻餅をつく。

急に起きないでよ!てか私声に出てたの?

 

凛「……起きてたならちゃんと起きなよね。」

 

毅「いや、起きようと思ったら凛が顔覗き込んできたんじゃねーか。起きれるかよ。恥ずかしいし。」

 

凛「う、うるさい!バカっ!」

 

毅「なんで怒られんの?」

 

凛「……ねぇ、朝起きて言う事は?」

 

毅「え?あぁ、おはよう。」

 

凛「おはよ。お腹空いたなぁ。」

 

毅「色々言いたい事あるが飯作ってくるわ……。」

 

不満気な毅が布団から出て台所に向かう。

手伝おうと思ったけど先に布団を片付けてあげよう。

料理が出来ない訳じゃないからね?

 

 

 

 

 

 

凛「ごちそーさま。毅って料理出来るんだね。ちょっと意外かも。」

 

毅「一人暮らしで料理出来ないのは死活問題なんだよ。外食ばっかだと金が飛びまくる。」

 

毅の作った朝ご飯を食べ終え、食後のコーヒーを飲む。

料理のスキルは私より断然上だった。……私もお母さんに教えて貰おう。なんか悔しい。

 

今の時間は午前9時半。もう少し寝るつもりだったがここ最近起きるのが早かったせいもあってかいつもより少しだけ遅い起床となった。

習慣って怖い。

 

凛「毅は今日何するの?」

 

毅「んー、今日は色々買いたいもんがあるから買い物に行こうかと。」

 

凛「え、私も行きたい!」

 

毅「いいけど凛は今日予定ないのか?」

 

凛「……今日は家族で親戚の家に行かなきゃいけないんだ。」

 

私がオフという事で前々から両親に今日は親戚の家に顔を出しに行くと言われていた。今この時ほど両親を恨んだことはない。一緒に買い物行きたかったなぁ。

 

落ち込む私に毅が優しく声を掛ける。

 

毅「家の用事はしゃあないな。また今度どこか一緒に行こうぜ?」

 

凛「……約束だからね?絶対だよ?」

 

毅「たかが遊びに行く約束なのに何故そんなに睨むんだよ!怖いわ!」

 

凛「約束破ったら末代まで呪うから。」

 

毅「コイツ……重い……っ!」

 

だって約束してないとまたいつ会えるか分からないでしょ?

ただでさえ最近会えてないんだからさ。

 

 

 

 

 

凛「じゃあ私帰るね?色々ありがと。それと、急に来ちゃってゴメン。」

 

毅「ほんと急だったな。まぁ俺も連絡気付かなくて悪かったよ。また今度な?」

 

凛「うん。あ、それとノートありがとう。助かったよ。」

 

毅「礼ならあの子に言ってくれ。写したのは俺じゃないしな。」

 

凛「……あの子何か変なこと言ってなかった?」

 

毅「え、寂しいって……ナニモイッテナカッタヨ?」

 

凛「ーーッ!お邪魔しました!バイバイ!」

 

私はドアをやや乱暴に閉めて早足でロビーまで向かう。

あの子、学校で会ったら承知しないから!

 

 

 

 

 

 

 

 

凛が乱暴に閉めたドアを呆然と見つめる。ヤバい、どうやらバレちまったようだ。すまんな凛の友達よ。健闘を祈る。

心の中で凛の友達に謝罪した後、台所の流しに浸けていた食器を洗い出掛ける準備をする。洗剤などの日用品が少なくなってきたので買い足す必要があるのだ。

近くのスーパーでも良いが、せっかくの休みだしちょっと遠出するとしよう。……同じ過ちは繰り返さん。迷子にはならねーぞ?

ただの買い出しに並々ならぬ覚悟を決め、俺は街へと出掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

毅「……よし、あらかた買えたな。」

 

街へと繰り出した俺は某激安の殿堂にて買い物を済ませた。

やっぱここは何でもあるし安いよなぁ。これがマンションの目の前にあったら毎日行くわ。

店内にかかっているBGMを口ずさみながら店を出る。

もう買う物は無いが、せっかく街に来たから帰りに何か美味い物買って帰るか。少し遠回りして帰ろう。

そう思い俺は来た道とは逆に歩き出した。

……荷物が少し重いけどな。

 

しばらく歩いていると道端にクレープの屋台を発見した。

少し離れたところからでも甘い匂いが漂っている。よし買うか。

 

しかし店の前には若い女性で列が出来ていた。男もいるが、皆カップルだと思われる女の人と一緒に話しながら待っている。

この中並ぶの?罰ゲームだろ……。

 

また別の日に凛と一緒に来るかと思い、引き返そうとすると近くのベンチに座っている小さい女の子2人の姿が見えた。

 

黒髪の女の子はタブレットとにらめっこしているが、隣のうさぎ?の着ぐるみを着た女の子は泣きそうな顔で黒髪の子を見ている。

なんかあったのか?

その光景を見てしまったので見過ごす訳にはいかないと声をかけてみる。

 

 

毅「どうした?何かあったのか?」

 

??「……だ、誰ですか?もしかして私達を誘拐するつもりですか!?」

 

黒髪の子がかなり警戒している。見知らぬ人に声かけられてビビるのは分からんでもないが、少し傷つく。この顔か?この顔がダメなのか?

 

毅「断じて誘拐なんてしねーよ!てかデカイ声でそんな事言わないでくれる?」

 

??「怪しい……。」

 

まだ警戒を解いてはいないようだ。女の子が睨んでくる。

もう泣いていい?

 

俺が泣きそうになっていると、先程まで俺と同じく泣きそうな顔をしていた着ぐるみの子が俺を見ると、ベンチから立ち上がって助けを求めてきた。

 

??「おにいさぁん……助けて欲しいでごぜーます……。」

 

毅「お、おう。なんだ?」

 

??「迷子になっちゃったでごぜーますよぉ……」

 

どうやら今回は俺が迷子を助ける立場になったらしい。

 

 

 

 

 

 

毅「で?なんで迷子になったんだ?」

 

ありす「迷子じゃありません!タブレットが動かなくなって、地図が表示されないので少し道に迷っただけです!」

 

毅「ありす?それを迷子って言うんだぞ?」

 

ありす「橘です!さっきそう呼んでくださいと言ったでしょう!?」

 

毅「すまんな、ありす。」

 

ありす「もうっ!あなたのことは嫌いです!」

 

仁奈「クレープ美味しいでごぜーますよ〜♪」

 

俺達は今、先程と同じベンチに座って3人でクレープを食べている。

二人ともお腹が空いていたようなので、ちょうどいいと思いクレープ屋に一緒に並んでもらった。

これなら妹と一緒に買いに来ましたー、妹のため仕方なくーとか言い訳できるしな。完璧だろ。

 

並ぶ前にそれぞれ自己紹介をしてもらった。

黒髪の子は橘ありすと言い、言葉遣いも良くしっかりした子だった。

まだ俺に心を開いてくれてないが、嬉しそうにイチゴクレープを食べるその姿は大変可愛い。あと名前で呼ぶのはダメらしい。ま、呼ぶけどな!

 

着ぐるみの子は市原仁奈。変わった言葉遣いだがクレープを買ってあげるとちゃんとお礼の言葉をくれたし、ありすより俺に懐いてくれている。大変可愛らしい。

……決してロ◯コンではない。断じて違う。

 

そーいえば二人の目的地はどこだ?聞いてなかったな。

 

毅「二人はどこに行くつもりだったんだ?」

 

ありす「えっと、その…」

 

何やらありすが言いにくそうにしている。

あ、流石に家だったら教えたくないか。んじゃスマホでルート検索してメモ書いて……

と思っていると仁奈が手を挙げて教えてくれた。

 

仁奈「私達は346プロの事務所に帰るところなんでごぜーますよ!」

 

毅「……マジ?」

 

この小さな女の子達は芸能人だったようだ。

 

 

 

 

 

 

毅「じゃあ二人とも子役とかなんかか?」

 

ありす「いえ、一応はアイドルとして活動してます。」

 

毅「マジ?んじゃ凛と一緒なの?」

 

仁奈「凛おねーさんを知ってやがりますか?」

 

毅「ああ、友達だ。」

 

現在、スマホで346プロまでのルートを検索してそれを見ながら歩いている。ありすは隣を歩いて、仁奈は俺の上、つまり肩車している。

仁奈を担ぐくらい全然余裕だが、先程から仁奈が頭をペシペシ叩いているのはちょっと痛い。でも可愛いから許す。

 

しかしこんな小さな子もアイドルだったのか。二人とも小学生とアイドルをちゃんと両立してやってるのだから、本当にすごいと思う。

 

ありす「本当に凛さんと友達なんですか?」

 

毅「どんだけ疑ってんの?」

 

ありす「あのクールで優しい凛さんが、こんな茶髪で見た目ヤンキーみたいな人と友達とは思えません!」

 

毅「見た目関係無くね?」

 

小学生にここまで言われるとかなりキツいな。ありすにはめっちゃ嫌われてるなぁ俺……。

 

仁奈「毅おにーさんはいい人でごぜーますよ?」

 

毅「仁奈ぁ!」

 

仁奈はいい子だなぁ!

俺の頭をまだ笑いながらペシペシしてくるけど。

 

仁奈に癒されていると、隣のありすが俺から顔を背けて小声で呟く。

 

ありす「ま、まぁクレープ買ってくれたり、こうやって助けてくれたのは感謝してます……ありがとうございます。」

 

毅「聞こえないからもっかい言ってくれありす。」

 

ありす「絶対聞こえてるでしょう!?それと橘ですっ!」

 

ありすもいい子だなぁ。

 

 

 

しばらく歩くと、目的地である346プロに着いた。

初めて来たけどデケーなおい。城みたいだ。門の前から中を覗くと、スーツを着た人や作業員のような服を着た人が歩いていた。

ここで凛がアイドルとして働いてんのか…。

俺が346プロの外観をまじまじと見ていると、俺の肩から降りた仁奈がありすと並んで感謝の言葉をかけてきた。

 

仁奈「毅おにーさん!今日はありがとうごぜーました!また今度一緒に遊ぶですよ!」

 

毅「ああ、いつでも言ってくれ。3秒で駆けつける。」

 

ありす「……変態ですね。」

 

毅「真顔で言うのやめてくれません?」

 

最後までありすとは仲良くなれなかったか。と思っていると、ありすが俺の手に握られているスマホを奪って、何やら操作しだした。

操作を終えたありすからスマホを受け取ると、ラインの友達の欄に橘ありすと表示されていた。

 

ありす「……私の連絡先です。必要無かったら消してください。」

 

毅「消す理由がねーよ。またな、ありす。」

 

ありす「……今回は許してあげます。でも橘です。」

 

そう言ってありすがクスッと笑った。

なんだ、やっぱアイドルじゃんか。笑った顔も可愛い。

 

 

すると、俺達が別れの挨拶をしていたところにスーツを着た大男が門の中から歩いてきた。顔もかなり厳つい。マ◯ィアの方ですか?

ヤバい、殺られる!

 

武内P「あの、どうかなさいましたか?」

 

毅「いや、あの、これはっすね……」

 

どう言ったらいいの?この状況は小学生二人に声かけている不審者にしか見えねーよな?

あ、死んだわ俺。いろんな意味で。

 

俺が言葉を詰まらせていると、スーツの男性の後ろから見知った顔がひょこっと出てきた。

 

未央「あれあれ?タケっちじゃん!どしたの?」

 

毅「……救世主っ!」

 

 

 

日常でメシアって初めて言ったな。

 

 






今回も長くなってしまいました……。
ありすと仁奈可愛い。
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