今更ですが、主人公の容姿はBLEACHの一護っぽいイメージです。
今日は日曜日。本来なら学校が休みの休日だが、CDデビューを果たし来月のライブに向けてパフォーマンスの精度を高めなければならない私は今日もレッスンに励んだ。
レッスンはいつも厳しいものだが、今の私はそのレッスンさえすごく楽しい。今はアイドルに夢中なんだ。
アイドルになった頃から目の前のことは全力で取り組んできた。それは今も変わらない。
まぁ変わったといえば……
仁奈「毅おにーさん!仁奈と一緒に遊ぶでごぜーますよ!」
みりあ「みりあも遊ぶ〜!」
雪美「毅……ペロも……遊びたいって。」
毅「よっしゃ!皆んなで遊ぶか!」
年少組「わーい!!」
事務所に毅が出入りするようになったこと。
凛「ホント、知らない間にあんなに懐かれてるんだから……。」
卯月「でも毅くんが来るようになってから、今まで以上に事務所のみんなが明るくなりましたね!」
隣で卯月が嬉しそうに言う。
先日、私がオフの時に毅がありすと仁奈ちゃんを助けてあげた事がきっかけで346プロに招かれたらしい。
プロデューサーとちひろさんともいつの間にか仲良くなってたし、その場に居なかった私はその事に驚いちゃった。
ウチの事務所は基本プロデューサーが1人でアイドル全員をプロデュースしてるから、年少組以外は自分で仕事へ行く事も多い。
だから、事務所でレッスンや仕事を終えた年少組の子たちはちひろさんが面倒を見ているが、最近はライブが近い事もありちひろさんも中々忙しいらしい。
もちろん、仕事やレッスンまで時間がある時は私を含めた皆でなるべく一緒にいてあげている。
しかし、事務所に小さい子達だけになるのは心配だからと、プロデューサーとちひろさんが毅に時間がある時に年少組の面倒を見て欲しいと頼んだ。
それ以来毅は、仁奈ちゃんや雪美ちゃんを始めとした年少組達にすごく懐かれている。
凛「あんなニヤニヤしちゃってさ、変態だね。」
卯月「あ、あはは……」
美嘉「凛ー、卯月ー!おっつかれー★」
唯「お疲れちゃーん!何してんのー?」
卯月「あっ!美嘉ちゃん!唯ちゃん!」
小さい子達にだらし無い顔をしている毅を見ていると、レッスンを終えた美嘉と唯がやってきた。
すると、毅を見た唯がいきなり毅の方に走っていき腕に抱きついた。
唯「あ!タケちゃんだー!やっほー♪」
毅「うぉ!?……って唯か、お疲れさん。とりあえず離れてくれ。」
唯「なんでー?タケちゃんは唯の事キライなの?」
毅「んなわけないだろ。ほら、仁奈達もいるしな?」
唯「みんなやっほー♪イイ子にしてる?」
仁奈「唯おねーさんも一緒に遊ぶでごぜーますか!?」
唯「いいの!?遊ぶ遊ぶ〜♪」
毅「話聞いてくれません?」
毅と年少組の輪に唯も加わり、さらに賑やかになった。
唯は初めて毅と会った時からやけに毅を気に入ったらしく、会う度にいつも過度なスキンシップを取っている。
毅の方も唯のスキンシップ、もといボディタッチを注意はするものの拒むことなく受け入れている。
……イヤなら離しちゃえばいいじゃん。
美嘉「ホント、唯は毅クンの事大好きだよねー」
凛「…………。」
美嘉「ちょ、凛?顔めっちゃ怖いよ?」
小さい子ならまだしも唯に抱き着かれてデレデレしている毅を見ると、なんかモヤモヤする。
そりゃあ唯は同性の私から見てもすごく可愛い。私とは違って明るくて人懐こくて、その……スタイルも抜群だ。
男の子が好きそうな魅力的な女の子だと思う。
私も唯みたいに毅に接したら……やめよう。想像できない。
ていうか私はなんでこんなにモヤモヤしてるの?
凛「私、ちょっと飲み物買ってくる。」
卯月「え?ちょっと凛ちゃん!」
美嘉「……凛?」
私はその場から逃げるように出て行った。
卯月「凛ちゃん、どうしたんでしょうか?」
美嘉「……まぁ、あんなの見せられたらヤキモチも妬いちゃうよね。」
卯月「えっ?」
美嘉「なんでもない!それより、私も混ざってくるね!みりあちゃんもいるし★」
卯月「は、はい!美嘉ちゃんはみりあちゃんのこと大好きですね♪莉嘉ちゃんを入れて3姉妹みたいです!」
美嘉「……卯月は本当にいい子だね!」
卯月「へっ?……ありがとう、ございます?」
その日の夜、仕事を終えて家に帰ると店先の花を手入れしている毅の姿があった。私がレッスンしている間に帰ってきたのかな?
最初の頃は私がつきっきりで教えていたが、今では1人でこなせるようになっている。細かいところまでちゃんと出来ているのが凄いと思ったし……ちょっぴり寂しかったりする。
毅の作業をボーっと見ていると、毅が私に気づいた。
毅「凛、お疲れさん。今日も遅かったな。」
凛「ただいま。ライブ近いし、頑張らないといけないから。」
毅「そうか、ライブ頑張れよ。凛のステージは絶対見るからな。」
凛「……うん。ありがとね。」
たわいもない会話だが、毅の優しい声に私の疲れが吹き飛ぶように感じる。最近は毅との会話で私の心の中が色んな反応を見せるようになった。ドキドキしたり、チクチクしたり、癒されたり……。私の表情よりも豊かかも。
今日のレッスンもかなりキツかったけど、ライブ当日にスタッフとはいえ毅がライブに来てくれるし下手な所は見せられない。もっと頑張らないと。
毅にカッコイイところ見せるんだ……!
毅「そーいえば……凛、明日は事務所行くのか?」
凛「うん、明日も学校終わったらレッスンだからね。」
明日は放課後からレッスンだから朝、久しぶりに毅と一緒にハナコの散歩に行こうかな?
なんて考えてると、毅が申し訳無さそうに言ってきた。
毅「じゃあ悪いんだが、唯にコレ渡してくれるか?今日話してたら、唯もこの歌手好きみたいでさ。俺のおすすめのアルバム貸してやるって約束したんだ。」
そう言いながら、一枚のCDを私に手渡す。
大切な友達のお願いはなるべく聞いてあげたい。でも唯の名前を聞いたら心がチクっとして……何故か素直にうんと言えなかった。
凛「……最近特に唯と仲良いよね?私は毅が好きな歌手なんて知らなかったしさ。」
毅「凛?どーした?なんで急に怒ってんだよ。」
凛「やっぱり私みたいに無愛想な子より、唯みたいに可愛げがある女の子といた方が楽しいよね?」
ダメだ、私何言ってるんだろう……。こんな事言うつもりじゃないのに。
毅「いや誰もそんな事言ってないだろ?何言ってんだ?」
凛「……とりあえず渡しておくよ。じゃ、私疲れてるから部屋に戻るね。バイバイ。」
毅「ちょ、凛!待てよ!」
毅が私を呼び止める声を無視して、私はその場から逃げるように早足で部屋に戻った。
部屋に入った私は、ドアを勢いよく閉めて自責の念に駆られる。
何やってんだろ私……。なんで毅の前でこんなに情緒不安定みたいになってるの?最悪じゃん……。
制服がシワになるのを気にもせず、ベッドの上に寝転ぶ。
右手に持ったCDを見て、一つ大きな溜め息を吐いた。