凛「じゃあ毅は私と同い年なんだ。てっきり年上かと思った。」
毅「老けてるって言いたいのか?そうなのか?」
凛「誰もそんなこと言ってないじゃん…。」
毅「いやしかし凛がいて助かったわ。あと3秒でマジで泣くとこだ
ったわ。」
凛「引っ越してきて土地勘無いのは分かるけど、自分の家くらい覚え
ときなよ。それにそんなに迷うくらいの距離じゃないと思うよ?」
毅「周りの景色見ながらランニングしてたつもりが考え事してて何も
覚えてなくてな…。」
今私達は一緒に毅の家へ帰っている。あの後、毅が家への帰り道が分からないと言ってきたので、スマホにメモしていた住所を見せてもらうと、ここからそんなに遠くない場所だった。ていうか私の家からも近い。ご近所さんだったんだ。
今ハナコのリードは毅が持っていてハナコも嬉しそうにしている。
…やっぱり少し悔しい。
凛「毅はどこの高校?ていうかもうすぐGWって時に転校してきたんだ。珍しいね。」
毅「確か◯△高校だったかな?それと転校じゃなくてちゃんとこの高校受けたんだぞ?…まぁ家庭の事情で入学が少し遅れたけどな。」
凛「あっ私と同じ高校じゃん。すごい偶然だね。…でもうちの担任の先生は何も言ってなかったから、違うクラスなのかもね。」
同じ学校、同じ学年ってことで少し嬉しかったけど、クラスは違うんだ。まぁそこまで偶然は重ならないか。
毅「ま、違うクラスでも会う機会もあるんだし、これからよろしくな。」
凛「うん。分からないことあったり、クラスで友達できなかったらいつでも言ってね。慰めてあげる。」
毅「ぼっちになるの前提で言うんじゃねえよ!100人作ってやるわ!」
凛「だって毅ちょっと見た目ヤンキーっぽいんだもん。怖がられるかもよ?」
毅「ぐっ…、人が気にしていることを…!」
やっぱ自分でもヤンキーっぽい見た目って思ってたんだ。でも見た目とは裏腹にこうやって冗談も言えるし、今歩道を歩いててもさりげなく道路側歩いてくれて優しいし、何よりその笑った顔見せたら大丈夫だと思う。
…なんて恥ずかしくて言わないけどね。
二人で話しながら歩いていると目的地に着いた。毅の家はマンションで、一人暮らしだそうだ。外観は真新しく、ロビーも綺麗。高そうだなぁ…。
凛「綺麗なマンションに住んでるんだね。」
毅「じいちゃんの知り合いのマンションでな。家賃安くしてくれてるんだよ。」
凛「へぇー。でも一人暮らしかぁ。ちょっと憧れるかも。」
毅「いや絶対実家だろ。一人で自炊洗濯掃除とかやってらんねーわ。」
凛「これから最低でも約3年やらなきゃいけないのに、今そんなので大丈夫?」
毅「大丈夫だろ。やるときゃやる男だから。…たぶん。」
そう言って彼は苦笑いをした。私は今実家で料理も洗濯も掃除もお母さんがやってくれている。私も少しは手伝ってるけど、それを全部一人でやるのは確かに大変だ。…お母さんありがとう。
毅「今日は助かった。じゃあ明日から学校だから、また学校でな。」
凛「うん、私の方こそ今日はありがとね。バイバイ。」
ハナコ「ワンッ!ワンッ!」
毅「ハハッ、ハナコもまたな。」
毅からハナコのリードを貰って私も帰路に着く。まぁここから10分もかからないけどね。
帰りながらさっきのことを思い出す。ハナコを保護してくれたのが同じ学校の人で、事情により明日から登校する男の子。こんなこともあるんだね。
しかし今思ってみると、同じ年代の男子とこんなに話したのって初めてかもしれない。同じクラスの男子とは学校が始まって1ヶ月が過ぎようとしているが、ほとんど挨拶だけ。
そういえば、クラスの友達の女の子が「凛はちょっと無愛想なとこあるから、男子も話かけにくいのかもねー。」なんて言っていたのを思い出した。
そりゃあ私は他の子みたいに見た目が可愛らしくもないし、自分から話しかける方でもないけど…いやこれじゃ人の事言えないか。
ごめんね毅。
家に着くと、軽くシャワーを浴びて、お母さんの朝ご飯を食べて準備をする。今日も一日レッスンの日だ。頑張ろう!
と思いながら外に出ると、ふと思った。
あ、連絡先聞いてないや。…ま明日でいっか。