顔に当たったのがボールじゃなくて、押忍にゃんの回し蹴りなら泣いてた。(歓喜)
−ラ◯ンでの会話–
凛『じゃあ用事が済んだら迎えに行くからね。』
毅『おう。頼むわ。また連絡してくれたまえ。』
凛『働く前から看板娘にそんな上からモノを言うんだ?減点だね。』
毅『えっ?もう面接始まってんの?今日も可愛いよ』
凛『そんなゴマ擦っても無駄だよ。』
…今のやり取りで、スマホ越しなのに顔が熱くなるなんて私もどうかしてる。
今日はウチの花屋に、毅がバイトの面接に来る。
あの後、家に帰ってお母さんに「ウチの店でバイトしたい友達がいる」って伝えると、ぜひいらっしゃいと歓迎していた。今日は面接も兼ねて、一度話しがしたいとの事だ。
私は午後までレッスンがあるから、その後に毅と家に向かう予定。
レッスンが始まる前に、更衣室のベンチに座って毅とラ◯ンしてるところ。さて、今日も頑張ろうかな。
「凛ちゃん、嬉しそうですねっ!何か良いことありました?」
凛「そう?別にいつも通りだよ。卯月。」
隣にいる笑顔が眩しい女の子に答える。
この子は島村卯月。私と同じ346プロのアイドル。卯月の笑顔がきっかけで、私もアイドルをやってみたいと思ったんだ。あの時の卯月の笑顔は、今まで見てきたものの中で一番キラキラ輝いていた。
卯月「そうなんですか?さっきからスマホを見ながらなんだか嬉しそうにしてたんで…。」
「しまむー!しっぶり〜ん!おっはよー!」
卯月「あっ!未央ちゃん!おはようございます♪」
凛「おはよう、未央。今日も元気だね。」
元気良く入ってきたのは、同じく346プロのアイドル、本田未央。
私と同い歳で、いつも明るく元気な女の子。未央といるとこっちまで元気になってくる。誰にも明るく接していて、そんな未央がちょっと羨ましい。
未央「ねぇねぇ!何話してたの?」
卯月「凛ちゃんが嬉しそうにしてたので、何か良いことあったのかなーって!」
未央「ほほぅ…?気になりますなぁ〜?」
凛「別に何もないよ。卯月の勘違い。」
未央「でも最近、しぶりんってやたらスマホ見ながらニヤニヤしてるよね?誰かとラ◯ンでもしてるの?」
凛「なっ…!ニヤニヤなんてしてないっ!」
卯月「ラ◯ンしてるのは否定しないんですか?」
凛「ラ◯ンもしてない!」
未央「さてはしぶりん……彼氏ですかな〜?」
凛「は、はぁっ…!?///」
卯月「えええぇぇ!?本当ですか!?」
凛「違うよっ!卯月も何言ってんの!?」
未央「否定する割には顔が赤いよしぶり〜ん?」
凛「…未央?怒るよ?」
未央「ごっ、ごめんってばー!」
未央はこういう時、かなりしつこい。いつも私が怒るまで続くのがテンプレ。卯月も未央には私以上にからかわれてる。
赤くなんてなってないし。……なってないよね?
3人で騒いでいると、勢いよくドアが開かれた。そこには、鬼の形相をしたトレーナーさんが立っていた。…ヤバい!
「お前らぁぁぁー!!とっくにレッスンの時間は過ぎてるぞ!!今日は倍のメニューでいくから覚悟しろォ!!」
私、生きて帰れるかな…?
午後12時のチャイムが鳴り、地獄のレッスンが終わりを迎えた。
…もう無理。血反吐吐きそう…。
未央「ぅぅぅぅぅ……、もう遅刻はしないぞぉ〜…」
卯月「立てませぇ〜ん…」
凛「ほら卯月、タオル持ってきたよ。汗拭かないと風邪引いちゃうよ?」
卯月「凛ちゃぁ〜ん…、ありがとうございますぅ〜…」
未央「しぶり〜ん…、未央ちゃんのは?」
凛「あ、生きてたんだ。てっきり手遅れかと。」
未央「酷くない!?ちゃんと生きてるよ!!」
誰のせいでこうなったと思ってるの?
まぁここまでにしとこう。さすがに可哀想だ。
凛「ほら、未央もタオル持ってきたから。」
未央「しぶりん愛してる!」
…なんだ、まだ元気じゃん。
未央「そーいえばしぶりんってさ、最近スタミナついたよね!今日のレッスン終わった後も、立ってたのしぶりんだけだったし!」
卯月「そういえばそうですね!レッスン終わっても、トレーナーさんに個別指導してもらったりしてますし!」
現在、更衣室で着替えを済ませて、休憩スペースで雑談中。
確かに…最近はレッスン終わった後でも少し余裕ができてきた。
最初の方は、軽いダンスレッスンでも息が上がって苦しかったのを覚えている。毎朝、毅と走ってるおかげかな。
卯月「レッスン以外にも、何かトレーニングしてるんですか?」
凛「ハナコの散歩くらいで、特別なことはしてないよ。」
未央「いやいやしまむー!もしかしたら…、彼氏と一緒にトレーニングしてるかもよ?」
凛「ちょっ、未央!!何言ってんの!?」
未央「しぶりん、冗談だよ?そんな怒らなくても…」
凛「…ッ!ご、ごめん…。」
未央「…おやおやぁ〜?」
卯月「……?」
未央の冗談に必死になってしまった。…未央が変なこと言うからだよ!
そして未央は、私の顔を見てニヤニヤしだした。
まずい、この未央は面倒くさい未央だ…!
ふと時計を見ると、時間は1時になろうとしている。
凛「やばっ、急いで帰らないと。」
卯月「凛ちゃん、もう帰っちゃうんですか?」
未央「えぇ〜!しぶりん帰るの!?まだ聞きたいことあるのにー!」
凛「ごめんね未央。また今度。それじゃ、二人ともおつかれ。」
卯月「お疲れ様でした!」
未央「あっ、ちょっとしぶり〜ん!」
退散退散。未央には悪いけど、面倒事になりたくないからね。
未央「……しまむー、どう思う?」
卯月「えっ?何がですか?」
未央「しぶりんのことだよ!…何か様子おかしくない?」
卯月「そうなんですか?今日の凛ちゃんも、可愛いかったですね!」
未央「ハァ……しまむー、クレープ食べに行こ?」
卯月「クレープ!いいですね♪行きましょう♪」
凛「ごめん!遅くなっちゃった!」
毅「俺はかまわねーよ。それより、凛の母さんは大丈夫か?」
凛「さっき電話したら、時間は大丈夫だから気をつけて来てって。」
毅「良かった…。とりあえず行くか。案内頼むわ。」
凛「うん、ついて来て。」
今俺は、凛と一緒に凛の実家の花屋に向かっている。
俺がバイト探しに四苦八苦していたところ、凛が母さんに頼んでくれた。
…それにしても、凛の家は花屋だった事に少し驚いた。別に似合ってないとかは思ってないぞ?むしろ、凛が花屋で働いているのを見てみたい。
毅「そーいやバイト頼んだ時って、凛の母さんは何か言ってたか?俺こんな見た目だけど、花屋で働いていいのか?」
バイトの面接なんて初めての経験だ。今の俺は、白いシャツに黒のスキニー、足元は白のスニーカーといった格好だ。
何を着ていけばいいかわからなかったが、派手な格好じゃなけりゃいいだろうと思った結果の選択だ。
この機会に、髪も黒染めしようと思ったが、時間が無くてやめた。
凛「見た目は関係ないと思うよ?ちゃんと友達がウチでバイトしたいんだけどって聞いてみたら、ぜひお願いしたいわって喜んでたよ。」
毅「…なら良いか。まぁ、俺としては助かったよ。サンキュー。」
凛「まだ受かってないけどね?」
毅「…ちょっと髪を黒染めしてスーツ着てくるわ。」
凛「ごめんごめん。大丈夫だから早く行こ?」
本当に大丈夫なのか…?不安しかないんだけど?
しばらく歩いていると、目的の花屋、もとい凛の家に着いた。
店の外にたくさんの、色とりどりの花が咲いてる。店の外観もとても綺麗だ。
凛「じゃあ入ろっか。…お母さーん!連れて来たよー!」
毅「こ、こんちわ!」
凛の後に続いて、店の中に足を踏み入れる。
店の中には、外以上に種類が多くカラフルな花が咲いていた。
ショーケースの中に入っていたり、鉢植えの中に束になって咲いているもの等様々だ。
こん中で俺働くのかぁ…。すげー浮いて見えるのは容易に想像つくな。
などと考えていると、店の奥から一人の女性がパタパタと足音を鳴らせてやってきた。
凛母「ごめんなさいねぇー!ちょっと電話に出て………て……?」
凛「お、お母さん…?」
凛がお母さんと呼んだ人が、俺の方を見た途端に固まった。
え?俺なんかした?
毅「おい凛、お前の母ちゃん俺見て口開けたまんま固まったぞ?何か失礼があったか?」
凛「いや、私もよく分からないんだけど…。」
毅「もしかして見た目か?花屋に茶髪はやっぱダメか?そうなのか?」
凛「だから見た目は関係ないってば。」
毅「いや、今からでも急いで黒染めとスーツ、七三分けにして…」
凛「気持ち悪いよ!…ちょっとお母さん?何固まってんの?」
凛が母の肩を揺らす。
ようやく正気に戻ったのかハッとした表情で、今度は凛の母さんが凛の肩を揺らしていた。
凛母「り、凛…?あの男前な子が、あんたの言ってたお友達なの…?どうなの?ええ?」
凛「ちょ、ちょっとお母さん…!揺らさないで!」
凛母「ドッキリなの?ついにあんたも芸能界でドッキリかけられるくらいのアイドルになったの…?」
凛「ドッキリなんかじゃないって…!っていうか、毅が困って店の外見てんじゃん!しっかりしてよもう!」
凛母「名前呼び!?あの凛が男の子を!?」
凛と凛の母さんが二人でギャーギャー騒いでいる。
凛は親の前では、こんな感じなのか…。なんか新鮮だな。
ていうかいつまで続くんすかね……?