冬のある日…
「ゆかりさん、帰って来るの遅いですね」
炬燵に入り、みかんを食べながらきりたんは言った。
「だいたい、自分から誘っておいて自分が一番遅いだなんておかしいですよね。葵ちゃんが事前に、ゆかりさんの家の鍵を預かってなかったら外で待つ羽目になってましたよ」
愚痴りながらもみかんを食べる手は休めない。ちなみに今までに6個のみかんを家主に無断で食べている。
「まぁ、残業があるかもだからと言ってはいたからね。鍵を今朝、仕事に行く途中のゆかりさんから強奪しといてよかったよ」
「強奪って…うちの妹、野蛮すぎやしないか」
「お姉ちゃんだけ外で待っててもいいんだよ?ていうか出てけ」
「葵ちゃんは気が利いて良い子やなぁ!……許して?」
冬だというのに笑顔で汗ダラダラの姉(威厳0)
そんな姉に対し、妹の葵は、
「一週間ラーメン、お姉ちゃんの奢りね」
この上ない笑顔で言い放った。
「い、一週間!?それはあまりにも罰が重くないですか!お姉ちゃんの財布が死んじゃうよ!」
「死ね」
「火の玉ストレート!?もっと姉に優しくしてくれへんか!?」
「死ね」
「まさかの追加攻撃!?わ、わかった、奢りますから!奢らさせて下さい葵様!」
「姉の威厳0だね、茜ちゃん。ずん姉様を見習ってみてはどうですか?」
若干呆れ気味に、言うきりたん。
「ずん子さん見習ったら、ずんだと課金狂いになるわ!美化しすぎやできりたん!うちの方が姉としてはランクが上なはずや!」
「「はぁ?」」
「待って待って!きりたんが怒るんはわかる!正直反応待ちだったしな!なんで葵まで反応してるねん、おかしいやろ!」
泣き顔になる姉(威厳−5億)
「妹に野蛮なんて言う人が、姉らしいと思う?」
「その件についてはすいませんでした!だから、ちょっとは姉としてうちを……」
「ちなみに、ラーメンは三食、全部食べるからそこんとこよろしくね」
「前言撤回や!野蛮なんてもんじゃない!強欲の擬人化か何かかい、うちの妹は!」
「きりたん、ずん子さん。明日ラーメン食べにいきましょう。お姉ちゃんが全員分奢りますんで」
「「喜んで!」」
「待って!葵はともかく、なんで東北姉妹にまで奢らなあかん!?」
「いやー。最近課金し過ぎて、ずんだ以外何も食べてないから嬉しいなぁ」
「姉様、課金もいいですが良い加減スイッチ買いましょうよ。ゆかりさんが一緒にイカやりたいって、いつも私に愚痴ってくるんですから」
「買えたら買うわ」
「それ断る時に言うセリフですよね、姉様」
そんな会話をしていた時、
「ただいまー」
玄関から気力が抜けた声が聞こえてきた。家主の帰宅である。
「遅くなってすいません。思ったより業務が長引いちゃいました」
コートを脱ぎ、一目散に炬燵に入る家主こと、結月ゆかり。
「おかえりなさい、ゆかりさん。これ、今朝預かった鍵です。返しますね」
「ありがとうございます、葵ちゃん。ところで、何の話をしていたんですか?なにやら盛り上がってたようですが」
「お姉ちゃんの奢りで、ラーメンを食べに行くことになったんです。ゆかりさんもどうですか」
「奢りマジか、勿論同行しますよ」
「葵ちゃん、うちが悪かったから。もう、馬鹿にするようなことは言わないから。一週間三食ラーメン奢るから。だから、3人追加は勘弁して下さい」
炬燵を出て土下座をする姉(威厳−5000兆)
「しょうがないなぁ、お姉ちゃんは。今回は特別に許してあげるよ、特別にね」
「葵!ありがとう!大好き!」
「私がいない間に、何があったんですかこの姉妹は」
話についていけず、目の前の光景に唖然とするゆかり。
「いろいろあったのよ、いろいろ。……きりたんは、今のままでいてね?」
「勿論です!私はずん姉様を未来永劫慕い続けます!」
「そ、それはよかった」
妹の愛が重すぎて戸惑う、ずん子であった。
数十分後
「さて皆さん、今日は集まっていただきありがとうございます」
「それはいいんですがゆかりさん、何の為に集まったんですか」
皆を代表して質問をするきりたん。
「それはですねぇ…」
ドンッ!とテーブルに古めかしい箱が置かれた。
「皆で、百人一首をしようと思って集まって貰いました」