超高校級の暗殺教室   作:宗谷

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ツウシンボ アカバネ カルマ 1

1時間目 数学……

「……というわけで、どう計算してもこの数字が余ってしまう!そんな、割り切れないお悩みを持つあなた!!」

 

殺せんせーは、まるでテレビの通販番組のような文句で授業を進める。

せんせーの授業は下手な塾よりもはるかにわかりやすい。面白いくらいに問題が理解できる。

 

「でも大丈夫、ぴったりの方法を用意しました。それがこの特殊解です。これを使用して、次の問題を皆で一緒に解いてみましょう」

 

ちらりと赤羽を見る。

イスに寄りかかって隙を窺ってるみたいだ。

赤羽に時折注意を向けながら、問題に手を付ける。

えっと、この特殊解を使って……割り切れない数を処理して…

 

「……と、なって、簡単に解くことができます。ああ、カルマ君。銃を抜いて撃つまでが遅すぎますねぇ。暇だったのでネイルアートを入れておきました」

「……!!」

 

いつの間にか、赤羽の手には銃。

でも、その銃は殺せんせーによって完全に抑え込まれ、挙句ネイルアートまで施されていた。

 

 

4時間目、家庭科……

今日は調理実習で、班でスープを作るものになっている。

 

「不破さんの班はできましたか?」

 

殺せんせーは、それぞれの班を見回りながら、調理のアドバイスをしている。

俺たちの班はすでに完成しているから、あまり来ない。

 

「うーん、どうだろ…なんか味がトゲトゲしてんだよねぇ…」

「どれどれ」

「へぇ、じゃあ作り直したら?一回捨ててさ!」

 

赤羽が近づいて……鍋をひっくり返した!?

そのまま殺せんせーにナイフを向け……

 

 

 

 

 

 

「エプロンを忘れてますよカルマ君」

 

一瞬で、赤羽は花柄のかわいらしいエプロンとバンダナを着けさせられていた。

それだけでなく、赤羽がぶちまけたスープも殺せんせーの手元の鍋に収まっている。

 

「スープの方もご心配なく。全部空中でスポイトで吸って回収しておきました。ついでに砂糖も加えてね」

「あ、マイルドになってる!!」

 

赤羽の攻撃は、完全に失敗だった。

少なくとも、相手がマッハ20のトンデモ生物でなければ、問題はなかったかもしれない。

でも、殺せんせーは赤羽の奇襲に完全に対応してのけた。

 

 

 

 

 

 

5時間目、国語……

 

今日の内容は『赤蛙』。

話自体は好きじゃないが、授業なのだから仕方ない。

 

「私がそんなことを考えている間にも……」

 

赤羽は、はたから見るとおとなしく授業を聞いているようには見える。

…教科書は開いておらず、目には明らかにいら立ちが見えるが。

 

 

 

 

 

「……赤蛙はまたも失敗して戻って来た。私はそろそろ退屈しはじめていた」

 

赤羽が袖に隠したナイフを出すよりも早く、殺せんせーは完全に赤羽の動きを止めていた。

 

「私は道路から幾つかの石を拾って来て……」

 

 

結局、赤羽は、殺せんせーに尽く返り討ちにされた。

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

 

「14、15、16、17…」

 

俺は、登校時間よりだいぶ早くに来て、竹刀を振っている。

昨日の放課後、授業が終わったと同時に赤羽はどこかに行ってしまった。

渚が追いかけて行ったが……大丈夫だろうか?

あの二人は、中1からの友人同士らしい。

何が原因で仲良くなったのかは知らないけど、俺は、何となく大丈夫だろうと思っていた。

今日、赤羽は登校するのだろうか……

っと、いけないいけない。

 

「25、26、27、28…」

 

俺はまた素振りを続ける。

昨日の放課後、対先生用の刀を烏間先生に頼んだ。

最初は少し渋っていたが、最終的には了承してくれた。

でも、完成までは数日かかるそうだ。

 

 

 

 

「あれ、日向じゃん」

 

ふと、声がした。

声がしたほうを向くと……

 

 

「赤羽?」

 

赤羽がいた。着崩した制服にパックのジュースを持って、いかにも「たった今登校してきました」という装いだ。まだほかの生徒が登校するには早い時間のはずだが……?

 

「なになに、こんな朝早くから竹刀片手に登校してきて。朝練?」

「昨日、烏間先生に対先生用の刀を頼んだんだよ。それで、いつも家でやってる朝練をこっちでしようと思ったんだ」

「真面目だねぇ、日向は」

「そう言うお前こそ、こんな朝早くからどうしたんだ?」

「いやね、あのタコ用の罠でも仕掛けようかと思ってさ」

 

そう言って赤羽は、ポケットから小さなボールのようなものを出した。

 

「ほらこれ。おもちゃの煙玉だけど、中に対先生BB弾を粉末にして混ぜてんだ~。これをせんせーが入ってきた瞬間にボンッ!てね」

「そうか…」

 

いたずらなのか本気の暗殺なのかイマイチわからない。

 

「せっかくだし、俺にも見せてよ。」

 

そう言って赤羽は、近くの木に寄りかかった。

 

 

 

 

 

 

「なあ、赤羽」

 

ある程度時間がたった頃。

ふと、気になったことがあり、素振りを止めて赤羽を見る。

赤羽は、のんきに木に寄りかかってあくびをしていた。

 

「あっれぇ、素振り止めちゃってもいいの?」

「ほっとけ」

 

一応、いつものノルマはこなしているし、こっちの疑問を解消するほうが個人的に重要だ。

 

 

「昨日…、あの後何があったんだ?」

「何がって?」

「昨日丸一日殺せんせーを殺そうとして、放課後すくにどこかに行ったじゃないか。その時のことだ」

 

赤羽は飄々とした態度を崩さずに答えた。

 

「いやぁ、昨日崖から飛び降りたら捕まっちゃって」

「が、崖!?」

 

あっけらかんとした赤羽の言葉に驚いた。

E組の校舎は山の中だ。崖も探せばあるが、そこから飛び降りるなんて……

 

「そうしたらさぁ、あのタコ『安心して飛び降りてください』だってさ。ほんと……馬鹿にしてるよねぇ」

 

そういう赤羽の顔は、なぜか晴れやかだった。

 

「じゃ、俺は罠仕掛けに行ってくるよ。あと日向。俺のことはカルマでよろしく」

 

そう言って、赤羽…カルマはさっさと行ってしまった。つかみどころのない奴だ……。

 

 

 

 

ちなみに、しかけた罠はものの見事にかわされた。

まさか、破裂する前に回収するなんて……

 

 

 

 

 

ツウシンボが更新されました。

 

アカバネ カルマ 1

飄々とした態度と、不敵な表情を崩さない少年。殺せんせーにダメージを与えるなど、意表を突いた行動はE組でも群を抜いている。

今回の一件で、少なくとも殺せんせーへの不信感はなくなったようだ。

 




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