この話って、原作においても結構重要な伏線なんですよね…。
理科の時間……
今日は、お菓子から着色料を取り出す実験だ。
昨日言われたとおりに、学校に来る前に適当なお菓子を買っておいた。
「……では、お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!余ったお菓子は……」
一瞬で全員の席、全員の班からお菓子が消える。
こんなことができるのは一人しかいない……!
「先生が回収しておきます!」
やっぱり殺せんせーだった。
給料日前だからか、授業を利用しておやつを調達しているようだ。
というか、なんで地球を破壊するはずの超生物が給料で暮らしてるんだよ…。
それ以前に給料出るのかよ……。
まあ、取られてしまったものは仕方ないので、片づけを始めようとしたときに、ガタッと誰かが椅子を立った。
音がした方向を見ると、昨日毒を作っていた奥田が、先生のもとへ行っていた。
「あ…あの、先生…」
どんな毒でも飲ませなければ意味がない。
奥田はそれをどうやって飲ませ……
「毒です!!飲んでください!!」
…………っておい!
俺は思わず崩れ落ちかけた。
いくら何でも真正面から「毒です!」って……。
「……奥田さん、これはまた真正面から正直な暗殺ですねぇ…」
うわぁ…さすがの殺せんせーも戸惑ってる…。
「わ……私、みんなみたいな不意打ちとかうまくできくて…」
「でも、化学なら得意なんで、真心こめて作ったんです!」
いやいやいや、奥田。さすがにそれで「はいそうですか」と飲むやつは……
「それはそれは、ではいただきます」
……いた。
殺せんせーは、奥田が持っていた試験管の薬品の1本を一気に流し込んだ。
あれは……確か水酸化ナトリウムだったはずだが……?
「ウグッ!…こ……これは……」
殺せんせーが痙攣を始めた!?
まさか……効いてる?
そして、次の瞬間、
角が生えた。
殺せるどころか、なんか変化したぞ!?
「この味は水酸化ナトリウムですね。人体には有害ですが、先生には効きませんねぇ」
「…………そうですか」
しかも毒の名前までばれてるし!
「あと2本あるんですね」
「は、はい!」
「それでは、こっちから……」
2本目を飲む。あれは…酢酸タリウムだったか?
また同じように痙攣を始め……
羽が生えた。頭から。
「酢酸タリウムですね。では、最後の1本」
最後の1本、あれは王水だ。
いくらなんでも劇薬なら多少はダメージに……!
と思っていた時間が俺にもあった。
先生は…なんと言うか…真顔になっている。
それこそ一切の感情をどこかに投げ捨てたかのような感じだ。
「王水ですねぇ。どれも先生の表情を変化させる程度のものです」
いやいや、劇物飲んでその反応って、一体全体どういう身体してるんだ?
「先生のことは嫌いでも、暗殺のことは嫌いにならないでください」
一体全体どうした突然!?
「それと奥田さん。生徒一人で毒を作るのは安全管理上見過ごせません。特に王水は劇薬。下手をすれば違法になりますしね」
「…はい、すみませんでした…」
…まあ、そうなるよな。
いくら才能があっても、何も考えづに使うことは認められない。
でも、才能があるだけでも…俺には、奥田がうらやましかった。
「放課後に時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
「…!はっ、はい!」
……っておい!
暗殺対象が自分を殺す毒薬作ってるんじゃない!!
そして結局、奥田は放課後、殺せんせーと一緒に毒薬の研究をすることになった。
翌日……
「……で、その毒薬をもって来いって言われたのか」
「はい!!理論上では、これが一番効果があるって!!」
次の日、昨日の放課後にあった毒薬作成教室のことを奥田に聞いた。
なんでも、宿題として毒薬を作ってくるように言われたらしい。
笑顔で話す奥田の手には、何かの薬品であろう液体が入った容器が大事そうに抱えられていた。
「毒物の正しい保管法まで漫画にしてある…」
「手厚いな…一体何考えてるんだ、あのタコ教師」
渚が手にしているのは、数ページ程度の小さな紙束。
毒の保管方法が漫画になっており、非常に細かい注意点までしっかりと説明されている。
というか、毒の保管っていつ役立つんだ?
あって警察くらいだろ。
「きっと、私を応援してくれてるんです。『国語なんてわからなくても長所を伸ばせばいい』って」
…やっぱり、殺せんせーもそう思っているのだろうか。
『才能があればそれでいい』と…。
そう考えている間に殺せんせーが来た。
奥田は、笑顔で毒を渡しに行く。
「先生、これ……」
「さすがです…では、早速いただきます」
一瞬、殺せんせーがニヤリと笑ったように見えた。
まるで、何かの計画を成功させたかのような…。
そしてせんせーは奥田の作った毒を飲む。
「……ヌルフフフフフ。ありがとう、奥田さん」
毒を飲んだ殺せんせーが言う。
そして、気づいた。
殺せんせーは、何かをするために奥田を利用したのだと。
「君の薬のおかげで…先生は新たなステージへと進めそうです」
「…えっ?」
もう遅い。
すでに毒薬…ではなく、おそらく殺せんせーにとって有益なものだろうそれは、殺せんせーが飲んでしまった。
「それってどういう……」
その疑問の答えですというかのように先生の体が光る。
強い光に目がくらみ、次に先生を見たとき、先生は……
「……ふう」
溶けた。
それ以外に言いようのないほどに溶けた。どろりと。
メタリックな色、溶けた体。まるで、あのゲームのはぐれた経験値の塊みたいな姿だった。
「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬です」
一瞬ではぐれ先生が消える。
かろうじて残っていた残像を追うと、どうやらクラスの最前列、片岡の席にいるようだ。
「液状なので、どんな隙間でも自由に入り込むことができる……。しかも、スピードはそのままに!!」
「さあ、殺ってみなさい!さあ、さあ、さあ!!」
そういって高速で動き回り始める殺せんせー。
クラス全員で狙おうとするが、狙えないし当たらない。
机の中、天上の隙間、床板の隙間、ありとあらゆる場所に一瞬で移動し、そこを狙う頃にはもう別の場所にいる。
「だっ……騙したんですか、殺せんせー!?」
奥田はここに来てやっと、自分が騙されたことに気づいたようだ。
まあもう遅いが。
「…奥田さん。暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」
「えっ…?」
その言葉で俺は確信した。
殺せんせーは『長所を伸ばせばいい』と言いたいのではなく、『長所を活かすために短所を補え』と言いたかったのだと。
「どんなに優れた毒を作れても、、今回のようにバカ正直に渡したのでは、暗殺対象(ターゲット)に利用されるだけ利用されておしまいです」
……確かにその通りだ。
『正直者はバカを見る』なんて言うように、何でもかんでもまっすぐにやっている奴は、いいように利用される。
「渚君、君だったら先生に毒を盛るためにどうしますか?」
「…えっと、先生の好きな甘いジュースとかで毒を割って、特性ジュースだと言って渡す…とかかな」
なるほど。
甘いものが好きな殺せんせーに毒を渡すなら、甘いものに混ぜればいけるかもしれない。
「そう、人を騙すには、相手の気持ちを知る必要が、言葉を工夫する必要がある。逆もまた然り。騙されないようにするためにも、そういうものは必要です。上手な毒の盛り方、それに必要なのが『国語』です」
時間切れなのか、はぐれせんせーは元の姿に戻る。
「君の理科の才能は、将来皆の役に立てる。それを多くの人に分かりやすく伝えるためにも、毒を渡すための国語力も鍛えてください。」
「は……はい!!」
カルマが、皆暗殺以前の問題だなんて言っているが、まったくその通りかもしれないな。
殺せんせーにかかれば毒薬を作成できる子供ですらもただの生徒になってしまうのだから。
暗殺期限まで1年、まだまだこの先生の命には遠いと実感した。
第6話(ツウシンボを除けばまだ3話目)、いかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
また、今後の展開ですが、基本的には通信簿イベントが多くなると思います。
少なくとも修学旅行までにはヒロイン候補(律以外)の一回目はやる予定です。
具体的には原、狭間以外の女子ですね。
もしも「このキャラとのツウシンボが見たい」っていうのがあれば、っ感想にお願いします。優先して考えます。
実は、正直ヒロイン関係で非常に悩んでおります。
一人選んで、本編終了後に番外として他のヒロインをやるか、だれもヒロインにならず、本編後にすべて持ってくるかという感じです。
ヒロイン調査は変わらず受け付けているので、お気軽に投票ください。