というわけで、中村一回目です。
そろそろ4月も終わり。
殺せんせーの暗殺期限まで…あと11ヶ月。
一向に暗殺成功の糸口は見つからないが、今は冷静になろう。
大丈夫だ、あと半年以上ある。
今はしっかりとベースを作って…必ず殺す。
「それでは、今日の授業はここまで。また明日」
殺せんせーはいつものように教室を出ていく。
俺も荷物をまとめて帰る準備をしていた時、
「ぃよっ、ひ~なたっ!!」
「うわっ!?ってなんだ、中村か」
「ちょっと、なんだって何さ」
はたから見れば外国人とも思えるほどの容姿。
鮮やかな金髪と碧眼。
『中村莉桜』。
以前、俺に刀の注文を提案してきた女子が、そこには立っていた。
「で、何か用か?」
「日向この後暇?ちょっち付き合ってほしいんだけど」
この後…。特に予定はない。
暗殺を試そうかとも考えたが、今はまだ研究を続けてもいいだろう。
「何かあったのか?」
「殺せんせー殺すために作戦でも立てようかと思ってさ。学校だと、聞かれるかもしんないし、別のところで……ね」
なるほど。そういうことか。
「ああ、それなら構わないぞ」
「んじゃ、よろしく!」
中村は暗殺では何でもこなす。
奇襲、戦略、射撃にナイフ。
多分、器用さではクラストップクラスだろう。
そんな中村の作戦……今度こそ殺せんせーに届くのだろうか……。
放課後……
「なあ、中村……」
「ん?どーしたん?このお店、合わない?」
中村に案内さえるがままに来たのは、駅近くの喫茶店。
席について早々に注文をして、目の前にはグラスが2つ。
作戦会議とはいったい……。
「いや、結構おしゃれだし、いいと思うけど……」
周りに本校舎の生徒の姿は見えないが、どこから聞かれているとも限らないんじゃ……
「なら、いーじゃん」
そんなことを話していると、店員さんが何やらデザートを出してきた。
頼んでなかったはずだが……?
「アハハハ、実はここ、今日男女のペアで入るとスペシャルデザートついてくるんだよね~」
「おまえ、まさかこのために……」
「それもそーだけど、作戦も本当」
そう言って中村は、カバンの中から紙束を出す。
内容は、中村が考えたであろう暗殺計画がいくつかまとめてあった。
「うちらで唯一特殊なカードの日向は、使いどころも重要だからね。まず、この作戦なんだけど……」
その後しばらく、中村と暗殺計画について議論した……。
「そういや、日向」
「なんだよ」
計画もあらかたまとめ終え、そろそろ解散しようかという話になってきた頃、突如中村が訪ねてきた。
「『それ』。どんな感じ?」
そう言って、俺の竹刀袋を指さす。
「ん?ああ、これか」
竹刀袋を持ち上げ、軽く振る。
さすがにこんな場所でとりだすわけにはいかない。
「結構馴染んでるよ。ナイフよりもなんかしっくりくるし」
「にしし、あたしの意見は間違ってなかったってことだよね~」
本当に、中村には感謝だな。
中村と話をしなければ、『刀』なんて発想は生まれなかった。
「前に岡野とナイフ訓練したんだけど、その時にこれ使ったらナイフよりもやりやすかったな」
「へぇ~。そうだ、岡野ちゃんって結構ナイフうまいでしょ?」
「あ、ああ…」
「あの子、元々体操部でさ、どっちかっていうとああいう、近寄ってどうこうってのが性に合ってるんだって」
…正直、意外だ。
結構お茶らけているところがあるし、そこまで真面目に人を見ているとは…。
「中村だって、女子の中では結構体力あるだろ?」
「まあね~。でもさ、積極的に仕掛ける奴って、作戦とかあんまり立てないっしょ?」
「だから、あたしは前衛指揮官!自分も前に出るし、日向のこともこき使ったげる!」
口調は軽く、どこか生意気なようにも聞こえるが、中村がそういうやつではないはよく知っている。
「殺せんせーもさ、多分、コロコロ状況変えれば、動揺くらいはするだろうし、いっそ大きく状況を変えるとかね。そういうのは、最前線でしっかり判断しなきゃ」
「中村って、結構真面目なんだな」
「あたしはもともとクソ真面目よ。賞金も作戦も、ビッグに行かなきゃね!」
いつもの軽い口調で中村は笑う。
結構適当なイメージがあったけど、今回の件で中村の意外な一面が知れた気がした。
結構、真面目な女子なんだな……
「でも、どうせなら別のものも大きく……」
「おい!?」
「にしししし。冗談冗談」
女子……だよな?
ツウシンボが更新されました。
ナカムラ リオ 1
E組のムードメーカー。気さくな性格で、男子とも積極的に関わってくる。
ギャルのような見た目だが、クラスメイトのこともしっかり見ているようだ。
時折見せる男子顔負けの下ネタなど、若干おやじ臭いところも……。
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