とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第10話 魔法

 

「ぐふっ…ほ、本日二度目の落下…不幸だ…いやてかこれむしろ悪いのリーファだろ…」

 

 

元々さっきの落下でHPはギリギリであったはずなのに、今回の激突では伴った痛みと全く比例してないと言っていいほどHPが減っていなかった。良くも悪くもやはりこの男は簡単な死に方は出来そうにない

 

 

「ごめんごめん、今ヒールしてあげるから」

 

 

少し笑いながらそう言うと、リーファは片手を上条にかざし回復魔法に部類される魔法のスペルを唱えた。すると、見たことのない文字が具現化した

 

 

「おお、すごい…それが魔法か…」

 

(コイツが…現実の魔術と同じ…)

 

「高位の治癒魔法は『ウンディーネ』じゃないと唱えられないからこれは気休めぐらいにしかならないけどね。でも一応必須スペルだし、上やん君もその内覚えて使えるようになっておいた方がいいよ」

 

「なるほど…そこは種族によっても魔法の得手不得手があるって訳か…」

 

「スプリガンの得意魔法は確かトレジャーハント系と幻惑魔法かな。どっちも戦闘には不向きだから種族ランキングだと堂々の不人気No.1なんだけどね…ってあれ?あれれ?」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「いや…んーっ…んーっ!…やっぱりダメだ…一体なんで?」

 

「だからどうしたんだよリーファ?」

 

「いや、回復魔法使ってちゃんとエフェクトも出た筈なのに上やん君の体力がちっとも回復してないでしょ?それに本当は青白い光みたいなのが対象の身体を包むはずなんだけど…後なんか手応えがないっていうか…だからなんでかなーって…」

 

「・・・あーそゆこと…」

 

 

リーファの様子がおかしい理由を聞いた上条はゲームとしては絶対におかしいことなのだが、簡単に納得した。なぜなら、彼にはあの右手があるからである

 

 

「え〜?なんでー?今までこんなことなかったのに〜…バグなのかな?」

 

「大丈夫だリーファ。バグじゃないし謎は全て解けた」

 

「え、本当?なんで?」

 

「ワケを話すと長いからいつかその内話すよ。それより回復系のアイテムってなんかあるか?あったらHPが心許ないしできたら欲しいんだけど」

 

(・・・でもそう考えると俺に幻想殺しがある限り俺が回復魔法唱えても意味ないんだろうし、パーティーの仲間からの補助も受けられないってことだよな…そりゃなんつーかまぁ…キッツイな…まぁなんとかなるか)

 

「えーー!!気になる〜!まぁいいや、その内話してくれるなら。はいこれ回復ポーション」

 

「悪いな、サンキュー」

 

 

上条はリーファから手渡された回復ポーションを飲み干した。するともはや残っているかすら怪しかった上条のHPは半分まで持ち直した

 

 

「っぺー…生き返った…」

 

「さて、それじゃあ気を取り直してお店に行きましょうか」

 

「おう、ゴチになります」

 

<リーファちゃーん!!

 

「お?」

 

「レコン!」

 

 

リーファの名を大声で呼びながら、『レコン』と呼ばれた一人の緑色の髪をしたオカッパ頭のシルフの少年が上条達に向かって近づいてきた

 

 

「良かった!無事だったんだね!…ってなんでこんなところにスプリガンがいるの!?」

 

「ああ、この人がさっきのサラマンダーからあたしを助けてくれたの。上やん君、紹介するわ。コイツは私のフレのレコン。ついでに言うと、さっき私たちが絡まれてたサラマンダーからコイツと一緒に逃げてたんだけど、レコンだけ先にキルされちゃってたの」

 

「レンコン?」

 

「違うわ!レ・コ・ン!」

 

「お、おう。なるほど…ってことは俺が駆けつける前は二人で行動してたってことか。よろしく、レコン。俺は上やんだ」

 

「あ、これはご丁寧にどうもどうも…ってそんなことよりリーファちゃん!本当にいいの!?ここシルフの領だよ!?まさかスパイとかじゃ…!」

 

「あのねぇ、自分を助けてくれた恩人をそのままほっとける訳ないでしょ?それこそシルフの恥よ。それに、上やん君はスパイなんて出来るほど頭の良い人じゃないわよ」

 

「なんかその言い方は語弊を感じるんだが…」

 

「そ、そっか…そう言えばリーファちゃん、シグルド達がもういつもの酒場で席取って待ってるって」

 

「あ、そっか今日は分配の日だったっけ。う〜ん…いいや、あたしはパス」

 

 

リーファは腕を組んで少し悩むように唸ると、あっさりと元々組まれていた自分の予定を切り捨てた

 

 

「えっ!?来ないの!?」

 

「うん。上やん君にお礼に一杯奢る約束してるから」

 

「おいおい、なにも俺を気にしてそこまでしてくれなくていいぞ?」

 

「いいのよ。だって元はと言えばさっき一杯奢るだけじゃなくてこの世界のこと色々教えるって約束したじゃない。じゃ、そういうことだから!レコンお疲れ〜」

 

「え?お、おい…」

 

「あ!?り、リーファちゃぁん…」

 

 

そう言うとリーファは上条の手を取りグングンと歩き始めた。上条も止める隙間を見つけられずそのまま腕を掴まれて連行された

 

 

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