とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第11話 指南

 

「で?さっきのレコンってヤツはリーファの彼氏なのか?」

 

「は、はぁ!?///違うわよ!アイツはただのパーティメンバーよ!///」

 

 

リーファに手を引かれ連行された上条が連れていかれた先はオシャレな店構えと内装をしたバーだった。リーファと上条の二人は自分の好みの飲み物を注文すると話を始めようとしたが、結局二人の話は恋バナから幕が上がった

 

 

「それにしちゃ随分と仲良さそうだったように思えますがねぇ?」

 

「り、リアルでも知り合いってだけ。本当にそれ以上はなんもなし!///」

 

「へぇ〜…いいねぇ最近の若者は…」

 

 

リーファの赤くなった顔や面白いほどバカ正直な反応に上条の顔は自然と緩み、ニヤついて話を聞いていた

 

 

「な、なによ!どうせ上やん君だってあたしとそんなに歳変わんないでしょ!?」

 

「なーにを言いやがりますか。これでも上やんさんは今年で大学デビューですのことよ?あ、でもだからって敬語とか使わなくていいぞ。むしろ今の方がやりやすい」

 

「え!?大学生!?ってことはあたしが今高1だから3つも離れてるんだ…へぇ〜…にしては態度とか立ち振る舞いは大学生らしくはないよね。本当は歳誤魔化してんじゃないの?」

 

「い、いやまぁ色々とあんだよ、色々と」

 

(まさか貴重な高校生活真っ只中の二年間がSAOに囚われてたおかげでその辺の心の成長のベクトルが違うとは…言えねぇよな…)

 

「ま、とりあえず助けてくれてありがとう。乾杯!」

 

「おう!乾杯!」

 

ゴクッゴクッ…!

 

「っぷはぁ…まぁ確かに助けられたからいいが、随分と好戦的な連中だったよな…あーいう集団PKとかPvPってのはよくあるもんなのか?」

 

「まぁ、サラマンダーとシルフは元から仲悪いってのもあるんだけどね。でも、あーいう組織的なPKが出るようになったのは最近だよ?きっと近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな?」

 

「!!それだ!その世界樹ってヤツについて詳しく聞きたい!」

 

 

リーファが発した「世界樹」という単語に上条は反応を示し、テーブルに身を乗り出してリーファに問いかけた

 

 

「そういえば上やん君そんなこと言ってたっけ。でも一体なんで?」

 

「あの世界樹に俺がALOを始めたきっかけがあるからだ」

 

「お、大雑把だね…でもまぁそれが普通だよね、きっとALOをやってる全プレイヤーがそう思ってる。てかそれがALOのグランドクエストだし、最大の目的だもんね」

 

「グランドクエスト?なんだそりゃ?」

 

「簡単に言えば、世界樹の周りには上空へ行くのを阻害する障壁が張られていて天辺まではたどり着けないのよ。でも、世界樹の根元で受けられるクエストがあって、そのクエストをクリアすると世界樹の上にある空中都市に行けるようになるの」

 

「その世界樹の根元で受けられるクエストがグランドクエストか」

 

「そ。そして空中都市に最初にたどり着いて『妖精王オベイロン』に謁見した種族は全員、『アルフ』っていう種族に生まれ変われる。そうなれば滞空制限時間もなくなって、いつまでも自由に飛べるようになるのよ」

 

「なるほど…そりゃ魅力的な話だな…で?その空中都市ってのが世界樹の天辺なのか?」

 

「それがどうなのかはまだ誰にも分からないの。なんでかって、世界樹の根元はドーム型の空洞になっててそこを守るNPCのガーディアンがめちゃめちゃ強いの。おかげで未だに誰もグランドクエストを攻略出来てないし、世界樹の構造を詳しく知らないの」

 

「へぇ…そんなに強いのか…」

 

「ALOが正式にサービスを開始してもう一年経つのにまだクリア出来ないなんて、そんなのアリだと思う?」

 

「そうだな…何か他の鍵になるクエストがクリア出来てないのか…単一の種族だけじゃ絶対にクリア出来ないようになってる…ってとこか?」

 

「へぇ〜?良い勘してるじゃない。あなた本当にビギナー?」

 

「まぁ、これが初めてのVRMMOって訳じゃないからな」

 

「ふーん…前はどういうゲームやってたの?」

 

「まぁこんなゴリゴリのPK推奨のハードなゲームじゃなかったよ」

 

(嘘は言ってないよな。俺はラフコフじゃなかったし)

 

「そう…ちなみに見落としクエストの方は今みんな躍起になって探し回ってるわ。でも、後者はまず無理ね」

 

「無理?なんでだよ?」

 

「だって矛盾してるもの。最初に謁見した種族しかアルフになれないのに、他の種族と協力して攻略しようなんて思う?」

 

「そりゃそうか…それにこのゲームは元々種族間抗争が前面に打ち出されてるゲームなんだからな…」

 

「そうね…元々このゲーム自体が北欧神話がベースになってるからね。北欧神話って結構死ぬ死なないの血みどろの戦いが多い神話なとこもあるから」

 

「北欧神話?」

 

「ええ。サラマンダー…ウンディーネ…シルフ…スプリガン…大半の種族は北欧神話の生き物の名前がそのまま妖精の種族名になってるの」

 

「へぇ…でも、そうなると種族間の友好関係が築かれるのは絶望的…つまり、世界樹の攻略は事実上不可能…」

 

「そうね…あたしはそう思う。でも、諦めきれないよね。一旦飛ぶことの楽しさを知っちゃったら…例え何年かかってでもっt…」

 

バアンッ!!!

 

「それじゃ遅ぇんだ!!」

 

「!!!!!」

 

 

上条が怒号と共に右手の拳をテーブルに叩きつけた。グラスのなかのドリンクがゆらゆらと揺れ、その水滴が周囲を濡らした。そう、上条は自分で分かっていたのだ。確かに学園都市に入院していることSAO患者は学園都市の医療技術により最先端の延命措置を受けられるのでまだしばらく寝たきりでも多少は問題がない。しかし、それ以外の世界各地の病院で寝ているSAO患者の人々にはもうそんなに長い時間をかけてはいられないのだ

 

 

「か、上やん…君…?」

 

「あ、悪い…つい取り乱した…」

 

「・・・・・」

 

「でも、俺はどうしても世界樹の謎を解き明かさないといけないんだ」

 

「なんで…そこまで…」

 

「・・・たくさんの…多くの人の運命がそこにあるかもしれないんだ」

 

「・・・どういうこと?」

 

「すまん、色々と教えてもらっておいて悪いんだが…それは言えない…」

 

「・・・ねぇ、話してよ上やん君」

 

「・・・え?」

 

「確かにあたし、上やん君とはほぼ初対面だし、歳下だし、頼りないってのは分かる。でも、それでも話を聞いてあげるくらいの手助けは出来るよ」

 

「い、いやでもそれは…」

 

「それにね、上やん君。自分で気づいてる?」

 

「気づくって何に?」

 

「今、上やん君…泣いてるんだよ?」

 

「・・・え?ぁ…」

 

 

リーファにそう言われて自分の右頬に触れた上条。するとその頬には一粒の涙がつたっていた

 

 

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