(剣を振るのなんて75層以来か…まぁマトモに使ってたのなんざ1層の時ぐらいだけど…果たして今の俺がこの子を本気にさせるほど上手くやれるもんか…)
「さ、私は準備OKよ。お好きな時にどうぞ?ビギナーさん」
「そうかい…それじゃあ…遠慮なくっ!」
ビュンッ!!!
「ッ!?速っ!?」
「うおおおおおっ!!!!!」
ザンッ!!!!!
上条は思い切り足に力を込め地面を蹴ると、最高速度で少女へと肉迫し、その剣で胸元に斬撃を見舞った。ノーガードだった為、少女はモロにダメージを受け、HPがかなり損なわれた
「くっ…!やったわね…はぁっ!!」
ギン!キンッ!キキキキキキンッ!
「は、速すっ…!?」
「そこっ!!」
「ッ!?しまっ…!!」
ザシュッ!!!
「いいっ!?」
上条の初撃をもらい、彼は慢心して挑むべきでない相手と判断した少女は、一気に前進し上条との間合いを詰める。そして驚異的な速さで連続してレイピアの斬撃を繰り出した。上条は連撃こそ全て剣ではたき落とし防ぎ切ったが、防ぎきった安心の末に隙を見せた一瞬を少女は見逃すことなく、渾身の突きを叩き込んだ
「やあああああああああ!!!!!」
「うおおおおおおおおお!!!!!」
ギンギンギンギンギンギンッ!!!
「せいっ!!」
「だりゃ!!」
ガキィン!!!ギリギリッ…!!
互いの踊るように鮮やかな剣戟の末、その刀身がぶつかり合い、つばぜり合いになって火花を散らした
「ッ!やるわね…その反応速度といい先読みといい…あなた本当にビギナー…?」
「へへっ…そっちこそ、戦闘はプレイヤーの運動能力に依存するこのハードなゲームでそれだけの剣術を持ってるなんて只者じゃないだろ…?」
「お褒めに預かり光栄だわ…なら…これでっ!!」
「!!!!!」
ズバババッ!ギンッ!キィンッ!!
それは流星の如く速く、鮮やかな剣技だった。常人であればその剣技を初見で防ぐ術はない。しかし、現に上条はその全てをはたき落した。それはなぜかと問われれば、上条にとってその剣技は『初見』ではなかったからだ
「っ!!これも防ぐなんて…!」
「・・・中段3連…下段切り払い往復…斜め切り上げから上段2連突きの計8連撃…その動きは…」
「『スター・スプラッシュ』」
「ッ!?あ、あなたっ…!」
「まさか君は…SAOプレイヤーだったのか…?」
見間違うはずもなかった。あの剣の世界で共に戦った仲間…御坂美琴が好んで愛用していた剣技だった。すっかり上条の脳裏に焼き付いていた彼女の剣技を、目の前の少女はソードスキルのシステムアシストなしで完璧に再現していた。その華麗な動きに、上条の目には目の前の少女とかつての美琴の面影が重なって見えていた
「・・・そっちこそ、この剣技の太刀筋と名称を知ってるってことは、元SAOプレイヤーなのね…」
「・・・そうか…俺以外にもう1人だけ目覚めた人がいるとは聞いてたけど…君のことだったのか…」
「・・・もう1人?」
「君も知ってるだろ。SAOに囚われた末、ゲームがクリアされたのにも関わらず、クリアまで生き残った約6000人の中から目覚めたのはたったの2人だけ。つまり、俺と君がその2人なんだ」
「・・・えっ?ちょ、ちょっと待って…あなた一体何を言っているの?」
「そっちこそ、それだけの剣さばきを見せてくれておいてシラを切るのか?同じSAOプレイヤーだったんだ仲良く出来るはずだ。実はこのALOにはまだ現実で目覚めていない約6000人を助けられる方法があるかもしれないんだ。良かったら話だけでも…」
「ちょっ!ちょっと待ってってば!2人しか目覚めてない…?まだ目覚めていない6000人…?あなた一体何を言っているの?SAOに囚われて生き残った人達は…ゲームクリアと同時にちゃんと全員解放されたじゃない…!」
「・・・・・え?」