「俺たちの目的は最初っから、世界樹を攻略することだろ?」
「・・・え?い、いやだってお前とアスナはお互いを探す為にALOを始めたんじゃ…」
「最優先の目的はもちろんそうさ。でもそれが達成できたからってALOをやめるつもりなんて毛頭ないよ。じゃないとアミュスフィアとALOのソフト買ったお金が勿体ないしな。アスナもそうだろ?」
「ええ、もちろん。むしろキリト君と会えた今は世界樹の攻略が一番の目的になったと言っていいわ」
「私もパパとママと同じくです!」
呆気にとられる上条に向けて、キリトとアスナとユイはそう宣言した
「お兄ちゃん…アスナさん…ユイちゃん…どう、上やん君?これで全員目的は同じだよ?」
「いや…どうって言われてもな…」
「それに、恩を返すなら俺たちの方さ上やん。さっきも言ったが、曲がりなりにも俺とアスナを引き会わせてくれたのは上やんがいたからなんだぜ?」
「いや…でもそれこそ本当に確証ないんだぞ?無駄足になる可能性だって否定できないぞ?」
「それこそ無駄足にかける時間は少ない方がいいでしょ?上やん君は一刻も早くSAOから目覚めないみんなを助けなきゃいけないんだから。それだったら人数は多い方が世界樹を攻略できるのも早いんじゃない?」
「・・・ぬぅ…」
「一緒に行こうぜ上やん!」
「そうだよ上やん君!持ちつ持たれつだよ!」
「あたしに至っては最初に世界樹まで案内するって約束したでしょ!」
「いやそれは俺の事情を全部聞いて納得したら付いて来るって話だったはずでは…」
「今納得した!意地でも付いて行く!」
「んな横暴な…」
「私はいつだってパパとママと一緒です!」
「・・・・・どはぁ〜…」
反論の悉くを打ち砕かれ、ついに弁解の余地がなくなった上条。みんなからひとしきり言葉をかけられた後、腕を組んで考え込むと、深くため息を吐いて言った
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!分かったよこの頑固者ども!!だったらとことん俺の冒険に付き合ってもらうぜ!?後悔すんなよ!?」
「「「「もちろん(です)!!」」」」
こうして満場一致で世界樹攻略という目的が定まったことで、上条をリーダーとしたパーティー申請がなされ全員がなんの躊躇いもなくその申請を受けるのかと思ったが…
「あっ!あ〜…ちょっと待って…」
「ん?どうしたんだスグ?」
リーファだけがパーティー登録申請のOKボタンを前にして、一度手を引っ込めた。そしてそのウィンドウを一旦脇によけると、自分のメニューを呼び出して今参加しているパーティーの詳細を示すウィンドウを開いた
[このパーティーを離脱しますか?]
「「「???」」」
「んむむ…パーティーに参加するのは都合のいい時だけでいつでも抜けていいって約束だったし…いいよね!えいっ!」
[OK]<ピコンッ!
上条たちが不思議そうに見つめる中、リーファは数秒悩んだ後に今参加しているパーティーを離脱するか問うウィンドウのOKボタンを押し、今自分が参加していたパーティーを脱退した
「え?勝手に抜けちゃっていいのかスグ?それ今まで参加してたパーティーだろ?」
「いいのいいの!そういう契約の元に参加したパーティーだったし、お兄ちゃんや上やん君のパーティーの方が絶対面白いと思うし!」
そう言うとリーファは脇に置いておいた上条がリーダーのパーティー登録申請のウィンドウを目の前に戻し、OKボタンを押し、無事にパーティーメンバーが「上条、キリト、アスナ、リーファ」の4人となった
「よし、これで一先ずはOKだな。次は冒険のための買い出しだ!」
「「「おーーー!!」」」
こうして4人は酒場のドアを開いて酒場を出ると、これからの冒険の準備を整えるためにスイルベーンの市場へとくりだした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・なぁ、気づいてるか?どうやらついにこの世界に『幻想殺し』が来たようだぜ?」
「貴様に言われずとも気づいているさ…だが、『槍』の完成に『アレ』はもう既に必要ない」
何かの世界の果てのどこかで、誰かが話していた。もはやその場を世界と捉えるべきなのかは分からない。あまりにも異質で、そこにいる『彼ら』の存在は異次元の域だった
「うにゃー、てゆーかそろそろこのバカでかい樹の上にも飽き飽きしてきたんですけどー…」
「そいつにゃ正直俺も同感だな…少しぐらいは外で羽を伸ばしたいってもんだ…」
「愚痴を零す暇があるなら槍の完成を急げよ『黒小人』。槍さえ完成すればこの樹の上で退屈することもない」
「なぁ、てことは『マリアン』は別として俺はこっから出てもいいわけだよな?」
「・・・そんな身勝手な言動が許されるとでも?もしもその気があるのならその腕を切り落とされるぐらいの覚悟があるんだろうな?『雷神』」
「まぁ待て待て神様さんよ。確かに幻想殺しは槍には必要のないことかもしれねーし、もはや今の段階じゃなーんの足しにもならんさ。だが、アレは今のアンタの思想とは相容れないモンだし、何より邪魔でしかないだろ?」
「・・・・・」
「だろぉ?アレをほっといて万が一にもここに辿り着くようなことがありゃ、脅威にもなり得るだろ?それに下手すりゃアンタの世界の邪魔になりかねない。だったら芽は早いうちに摘んどくのが定石じゃねーのか?」
「とかかこつけて戦いだけじゃないのか?アンタは」
「生憎、戦闘狂なもんでな。経験値は多い方がいい」
「・・・いいだろう、今回は特別に外出を許す」
「恩に着る。そんじゃ、ぼちぼち行ってくるぜ。『オーディーン』」
こうして動き出した世界の裏でも強大な何かが蠢き出していた。彼らという存在とその思惑を、まだ上条達は知らない…