とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第21話 旅立ちに向けて

 

酒場を出た上条一行は世界樹攻略への長旅を想定し、スイルベーンの市街地のショップで消費アイテムなどを購入してからこの街を出ようと決めた

 

 

「さて…じゃあまずは上やんの装備だな。その装備じゃまず世界樹攻略は無理だ」

 

「だろうな…ステータスはチート並でも装備はバリバリの初期装備だからな…」

 

「そういえば上やん君いくらぐらいお金持ってるの?」

 

「え?えーっと…」

 

 

アスナにそう聞かれ上条はウィンドウを呼び出し、自分のステータスを確認し、複数ある項目から自分の所持金の項目を探した

 

 

「んー…この『ユルド』ってやつがそうか?」

 

「そ。いくら?確か上やん君、あたしのこと助けてくれた時にサラマンダーの人二人ぐらい倒してくれたから少しは溜まってると思うけど…」

 

 

リーファに言われ自分のウィンドウに表示されているユルドの金額に目を凝らし、その全額の確認の為に上条は指で数の位を数えた

 

 

「えーっと…いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……2713万6239ユルド…だな」

 

「「「2713万ユルド!?!?」」」

 

 

上条の口から伝えられた金額を聞くなり、他の3人が口を揃えて同じ金額を復唱し驚愕しながら上条の顔を見た。

3人の大声に周りのシルフ達は一体何事かと4人へと視線を向けていた

 

 

「え〜っと…ひょっとしなくてもこの金額って初期金額よりも大分多い?」

 

「大分どころじゃないわよ!2000万ユルドもあれば一等地にちょっとした城が建つわよ!?」

 

「お、おいバカ!スグ!そんなこと大声で言ったら…!」

 

ザワザワザワザワ…

 

「おい聞いたか?2000万ユルドだってよ?」「だったらアイツを今ここでPKすれば…」「よせよ、聞こえるって…」

 

ヒソヒソヒソヒソ…

 

「言わんこっちゃない…」

 

「あ…ご、ごめん…」

 

「ひ、一先ず武具屋に向かってダッシュ…かな?」

 

「そ、そうだな…買い出しは必要だし…それが一番か…」

 

「よし…走れっ!」

 

 

ダダダダダダダッ!!!!!

 

 

周りのシルフ達が上条の所持金を聞きざわつき始めてしまった為、4人はその場のシルフ達の目を振り切るように全速力で武具屋へと駆け出した

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁはぁはぁ…不幸だ…」

 

「ぜぇぜぇぜぇ…2000万ユルドも持ってるやつのどこが不幸だ…むしろ巻き込まれてる俺たちの方が不幸だろ…」

 

「はぁはぁはぁ…でもやっぱりアイテムとかステータスが引き継がれてたみたいに、上やん君がSAOにいた頃の所持金が引き継がれてたのかな?」

 

「はぁはぁはぁ…ど、どうかな…SAOでの通貨はユルドじゃなくてコルだったし…いやでも通貨が変わっただけで金額の数字は変わらなかったのかな…ユイちゃん何か分かる?」

 

ピュン!

 

 

アスナが呼びかけるとキリトの胸ポケットから小さなプライベートピクシーが勢いよく飛び出した

 

 

「はいっ!そうですね…おそらくは上やんさんがSAOプレイ時の最後のコルの所持金額がそのままユルドに変換されただけだと思います」

 

「げほっげほっ…そ、そりゃありがたい話だな…それなら確かに不幸とか言っちゃダメだな…」

 

「ま、とりあえず金がある分にはいいだろ。ここが武具屋だ。さ、入ろう」

 

カランカラン!

 

 

4人は武具屋に入ると、上条は各々のアドバイスを聞きながらまずは全身を包む防具を揃えた。結局SAO時代と同じで防御力だけを重視した鎧系の防具ではなく、敏捷を殺さない洋服系の防具を選択した

 

 

「こんなもんか…どうだ?」

 

「うん。似合ってると思うよ。ねぇリーファちゃん?」

 

「うん!ゴ○ブリっぽさが増して似合ってると思うよ!」

 

「それは似合ってるって言わないと思うんでせうが…」

 

「ま、まぁスプリガンである以上防具の着色が黒になるのは仕方ないさ…俺もスプリガンだけど…」

 

「まぁしょうがねぇな…さて、お次は盾だな」

 

「へぇ…上やん君は盾が欲しいタイプなんだ」

 

「どうする?盾だったら色んなタイプの形があるけど…」

 

「円形一択だな」

 

「随分なこだわりだな?」

 

「まぁ俺の戦闘スタイルだと円形が一番性に合うんだよ」

 

「え?別に上やん君ただの片手剣と盾装備の標準型でしょ?だったら戦闘スタイルも何もないし盾の形状にそこまで拘る必要はないんじゃ…あ、もしかして実はランス使いとか?あれ?でもランス使いなら円形はむしろ不向きなんじゃ…」

 

「あー…まぁ追い追い説明するよ。あ、すいません円形の盾で一番いいやつ下さい」

 

「はい、円形の盾ですとこちらになりますね。こちら80万ユルドになります」

 

「はいどうぞ」

 

「毎度ありがとうございます」

 

 

NPCの武具屋の店員に盾を買い求めると、高額のユルドを請求されたが、上条は持ち前の所持金でもって何の躊躇いもなく会計を済ませた

 

 

「まだ各パーツの防具を揃えて盾を買っただけなのにもう見慣れたわね…あの大金を躊躇なく使うあの大盤振る舞いっぷり…」

 

「いいなぁ上やん…俺もSAOの時はそんぐらい稼いでたのに…」

 

「さて、そんじゃ消費アイテム買いに行くか」

 

「え!?ちょっ、何言ってるの上やん君!?まだ片手剣にしろ何にしろ何も武器を買ってないじゃない!?」

 

 

そう言って武具屋から踵を返し、雑貨屋へ向かおうとした上条。しかし、そんな上条の姿を見て、一番大切な武器をまだ購入していないのに店を出ようとした上条の肩をアスナが掴んで止めた

 

 

「あ、あー…まぁいいんだよ。俺にとって武器なんて飾りにしかなんないから初期のまんまで。それに多分金の無駄になるから」

 

「何その理論!?」

 

「いやまぁアスナとはちゃんと剣で戦ってたから分からんだろうけど…その点リーファは見てただろ?俺が昨日の赤い連中倒した時」

 

「え…?そ、そう言えば片手剣なんて一回も抜かずに確かに素手で…ってはぁ!?まさか上やん君の戦闘スタイルって盾と素手!?!?」

 

「ま、そういうことだな」

 

「べ、別ゲームにもほどがあるな…」

 

「あ、そうだ。リーファ、後で俺とデュエルしてくれよ、色々と試したいことがあるんだ。そん時に俺が素手で戦う理由を教えるよ」

 

「え?ま、まぁ別にいいけど…なんであたし?」

 

「?いやなんでもなにもリーファがいいからだよ」

 

「は、はああああぁぁぁっ!?///」

 

(おー、スグも上やんも中々隅に置いとけないな)

 

「じゃ、決まりだな。よし、消費アイテム買いに行こう。回復系アイテムは上やんさんにとっては必須アイテムだからな」

 

「いや別に上やん君じゃなくても必須だと思うけど…」

 

 

上条の言い方も多少問題があったが、様々な勘違いを引き起こした末、二人のデュエルを後に控え、一行は市場のアイテムショップに立ち寄ると体力回復アイテムや魔力回復アイテムや蘇生アイテムなどを買い込み、ようやく旅の準備を全て整えたのだった

 

 

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