とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第28話 集団戦法

「何とか逃げ切れそうだな!」

 

 

自分たちを追っているであろうサラマンダーのパーティーからひたすら走って逃げていた上条一行は、中立都市ルグルーへと続く橋を駆けていた

 

 

「よし!これで中立都市に入ればプレイヤー同士の戦闘は出来なくなるわ!」

 

キュウウウウウウウン…

 

「!!まずい!アレは!」

 

 

しかしルグルーへと逃げ走る上条一行の頭上を二本の赤い閃光が通過していき、彼らを追い越した

 

 

ズゴゴゴゴゴゴ!!!ズズゥンッ!!

 

「な、何だぁ!?壁ができたぞ!?」

 

 

その二本の閃光はルグルーを覆う城壁の手前の地面に着弾し、爆発した。すると、地面から巨大な壁が現れ、ルグルーへの入り口を塞いでしまった

 

 

「土魔法の障壁!?これじゃ街に入れない!!」

 

「魔法!?だったら話は簡単だ!俺の右手が触れれば…!」

 

「待って!!!」

 

「いっ!?」

 

 

魔法で作り上げられた障壁に上条の右手が触れようとした瞬間、アスナの空気を振動させるような短くも迫力のある声が上条の右手に待ったをかけた

 

 

「い、いきなりどうしたんだアスナ?ビックリしたじゃないか…」

 

「ねぇみんな、考えてもみてよ?」

 

「考えるって…何を?」

 

「上やん君はALOを始めたばかりだし、魔法も使えないからあんまりイメージ湧かないかもしれないけど、追跡魔法なんて普段使う?」

 

「でも、好戦的で集団PKをよくやるサラマンダーなら話は別かもしれないんじゃないですか?」

 

「それもそうだけど、多分トレーサーが私たちについてかなり時間が経ってる。それに私たちは暗視能力付加魔法でもないと碌に前にも進めないような洞窟に入ったのよ。普通なら4人ぐらいだったら諦めると思わない?」

 

「そ、そう言われれば…」

 

「つまり、今私たちを狙っているプレイヤー達は、そこまでしてでも私たちをキルしなきゃいけない理由があるのよ」

 

「「「!!!!!」」」

 

「なるほどな…言われてみれば確かに…でも、一体なんで…」

 

「それは…連中に聞いてみればいいんじゃないか?」

 

「へ?」

 

「さっき上やんだって言っただろ?逃げるか戦うかって。俺たちにそこまで用事があるってんなら受けて立とうぜ?そしたら後は簡単だ。切り倒して俺たちをつけ狙う理由を聞き出す!」

 

ブォンッッッ!!!

 

 

そう言うとキリトは、自分の身長にも迫るほどの大剣を、自分の背中の鞘から引き抜いた

 

 

「・・・そういうことなら…まぁいっちょやりますかぁ…」

 

 

続いて上条も背負っていた盾を持ち上げ、その左手に構えた

 

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ!?サラマンダーがこんな高位の土魔法使えるってことは、向こうにはよっぽど手練れのメイジが混ざってるってことだよ!?」

 

「どんだけ強い魔法だろうと、上やんさんには効きませんのことよ?」

 

「そ、そうかもしれないけど…」

 

「そうだぞスグ。それに忘れたのか?」

 

「え?」

 

「死んだら終わりのSAOを生き抜いたプレイヤーが…ここには3人もいるんだぞ?」

 

「・・・お兄ちゃん…」

 

「まぁ、そういうことだ。やろうぜリーファ。それに言ったろ?」

 

「な、何を?」

 

「いざという時は、なんとしてでも俺がリーファを守るって」

 

「わああああああああ!?!?///」

 

 

微笑みながらそう言った上条の言葉を聞いたリーファは、彼の顔を見つめた瞬間にまたもや茹でダコのように顔が一気に沸騰した

 

 

「よし!そういうことだ!俺と上やんで敵に切り込んでいく!スグとアスナは後ろでサポートを頼む!」

 

「了解キリト君!」

 

「もーっ!!どうなっても知らないからね!」

 

ダッダッダッダッ!!

 

 

キリトと上条が前衛となり、リーファとアスナが後ろに下がり後衛を担当する簡単な陣形を組むと、正面から上条達をずっと追っていたであろうサラマンダーの集団が近づいてきた

 

 

「おいでなすったな…先方の3人はタンクか…超えられるか上やん?」

 

「おうよ!」

 

「よし、それなら…」

 

「ッ!?待ってお兄ちゃん!あの3人の後ろ!!」

 

「後ろ…!? 3人の回復アシストのメイジにそのまた奥に6人の攻撃魔法のメイジか…ゴリゴリの集団戦法だな…」

 

「?キリト、アレはどういう戦法なんだ?」

 

「典型的な集団陣形だよ。洞窟の中じゃ飛行補正がかかって飛べなくなるから地上戦しか出来なくなる。だから先方にタンクを3人置いて敵を近づけさせず、その奥からタンクがダメージを受けた時に回復するメイジと、相手に遠距離魔法で攻撃するメイジを配置するんだ。正直厄介だよ」

 

「なんだ、思ったより簡単に突破出来そうだな」

 

「え?」

 

「キリト、耳貸してくれ。俺に考えがある」

 

「お、おう」

 

ゴニョゴニョゴニョ……

 

「え〜〜…別にいいけど…俺そういうのあんまり得意じゃないぞ?」

 

「別に得意じゃなくてもいんだよ。大事なのは相手に一瞬でもそう思わせることだ」

 

「まぁそういうことならとりあえずはやってみるよ。だけどもし失敗した時は?」

 

「強行突破」

 

「・・・そりゃ最高だ」

 

「キリト君!来るよ!」

 

「「「Ek verpa einn brandr muspilli, kalla bresta bani, steypa lundr drótt!」」」

 

ボボボボボウゥッ!!!!!!

 

 

アスナの警告の直後、前衛に置かれたラマンダーの頭上を飛び越え、6つの曲線弾道爆裂魔法が上条とキリトに襲いかかってきた

 

 

「来るぞキリト!上手くやれよ!」

 

「了解!!」

 

ドゴオオオオオォォォォォン!!!

 

 

襲いかかる爆裂魔法に対して、2人は一切防御の姿勢を取ることをしなかった。そしてそのまま爆裂魔法が直撃し、2人を含めた辺り一帯が炎と爆煙に包まれた

 

 

「!?キリト君!上やん君!」

 

「2人とも大丈夫!?」

 

・・・ボボゥ……

 

「!?そっ、そんな!!」

 

「う、うそ……」

 

 

爆煙が晴れ、立ちこめる黒い霧の中にリーファとアスナが見たのは、2つの黒いリメンライトだった

 

 

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